5スレ>>484

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「さーさーのーはーさーらさらー♪」  夕刻。メリィが上機嫌で七夕の歌を口ずさんでいる。  今日は7月7日、七夕。  織姫と牽牛が天の川を渡って逢えるという、ロマンチックな話の日である。  アキラはつい先ほどまで庭に出て、笹の固定作業を行っていた。 「はぁ、一仕事したら喉が渇いたな…何か飲もう」  アキラはそう呟いて食堂へと向かう。  と、先ほどと同じメロディーに乗って、ホウの歌声が食堂から聞こえてきた。 「ぼーたーもーちーぼーとぼとー、おーちーたーらーくーえーるー…」 「って、何奇妙な歌歌ってんだオマエは」 「…ん」  アキラが食堂に入ってそう言った時、ホウは丁度棚から牡丹餅を取り出しているところであった。 「…棚ぼたの歌」 「何じゃそりゃ…ってか、その牡丹餅はどうしたんだよ」 「…通販で買った」  そう言って牡丹餅のパッケージを開けるホウ。  その中から一つ取り出し、かじり付いた。 「んぐんぐ…」 「今喰うのかよっ!?」 「…食べる?」 「あー…頂こうか」 「…ん」  ホウはまた一つ牡丹餅を取り出す。  そして。 「…えい」 「え」  ヒュッ べちっ  神通力でアキラへと飛ばしたのだった。  勿論、口すら開けていなかったアキラが喰えるはずもなく顔面に直撃。 「………オイ」 「…口、開けて」 「……」  納得のいかない表情で口を開けるアキラ。  するとホウは、アキラの顔に直撃した牡丹餅を神通力でひっぺがして口の中に放り込む。  今度はしっかり口を開けていたので口を通過した…が。 「んごっ!?」 「……あ」 「~~!~~~~~!?!?!?」  口どころか喉に直撃し、見事に詰まらせてしまった。  窒息状態で転げまわるアキラ。  ホウは、少し考えると再び神通力を発動した。 「~~っ!~~~~~~!!!!!」 「………えい」 「~~~んごふっ!?」 「…ん、よし」 「よし、じゃねぇ…」 「…気にしたら負け」  むりやり詰まっていた牡丹餅を胃袋に落とされ、アキラは疲れた声を出した。  ホウはパッケージのふたを閉じると、それを持って部屋へと去っていった。 「ったく…また部屋でネットでもやるのか?」  アキラはマスターとして、幼馴染として、結構彼女のことが心配であった。  ホウは自分の部屋に戻ると、机に向かっていた。  机の上には、朝のうちにアキラから配られた短冊が1枚。 「…ボクの願うことは、これだけ」  筆ペンを握り、中々丁寧な文字で願い事を書いていく。 『皆の願いが、叶いますように』 「ボクは今の生活があれば…他に何もいらない」  アキラがいて、デルがいて、メリィがいて。  その周りに、自分と他の人物が暖かく見守っている。  ホウは、そんな今をとてもかけがえの無い、大切なものだと思っているのだった。 「強いて言えば…これからも、こんな毎日が続きますように」  ホウは暗くなってきた空に向かって呟く。  空には、一番星がきらりと輝いていた。  ~おまけ~他の人の願い事~ 『今後もうまい夢が喰えますように ゲン』 『ホウが自立して生活できるようになりますように アキラ』 『ホウちゃんが自宅警備以外の仕事を見つけられますように メリィ』 『ホウさんがニートを脱出できますように デル』

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