「5スレ>>503-2」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
「5スレ>>503-2」(2008/07/28 (月) 19:32:42) の最新版変更点
追加された行は緑色になります。
削除された行は赤色になります。
フライゴンの新たな一面を垣間見た数日後。
俺が朝食に行くと、フライゴンがそこにいないのに気付いた。
「おはようございます、マスター」
「ああ、おはようシャワーズ。…フライゴンはまだ来てないのか」
「みたいです…」
「…よし、じゃあちょっと様子を見てくる」
「お願いします」
「フライゴン、入るぞ?」
俺は部屋のドアをノックし、それから入った。
ベッドにうずくまっている姿を確認し…とりあえずその傍まで行く。
「ご、御主人様…」
「………」
フライゴンはメガネをかけていなかった。
「お前、メガネは?」
「な、ないから出られないんですよぅ…」
なるほど、そう言う事か。
「心当たりは?」
「わからないです…」
んー…どうしたものかな…
「とりあえず、朝飯くらいは運んできてやる。待ってろ」
「は、はぃ…」
* * *
とりあえずシャワーズには簡単、かつ内密に事情を説明してから朝食を運んでもらい、俺はリビングを捜索し始めた。
…まぁ、ここにあればすぐ分かるのだが。
「…ん?」
ふと気付くと、ソファーテーブルの上にメガネが置いてある。フライゴンのではない。
そういえばフーディンが時々これをかけて本を読んでいたか。
「…ちょっと借りていくか」
* * *
「マスター、ありましたか?」
「いや。…だが、気になるものを見つけた。
フライゴン、これをかけてみろ」
「は、はぃぃ」
縁なしのメガネを手渡す。
「マスター、これ…フーディンのですよね?」
「ああ、借りてきた。見つかるまでこれで代用出来ればいいと思うんだが」
メガネなしの状態のフライゴンはドジなだけでなく、頭の回転も悪くなるらしい。
なので、とりあえずこれをかけさせて思い出させようと思ったわけだ。
「…どうだ、フライゴン」
「…ええ、頭は多少回りそうです」
「「…あれ?」」
なんか違うような…
「昨日の私はほとんどジムからでていませんので、メガネはジム内にあると思われます。
ただ、昨日アルコールを多量に摂取していたため記憶に不備があり――んにゃ!?」
「要するに思い出せないんだな、ならいい」
「あ、あぅぅ…」
解説の途中でメガネを外した。
…こいつ、かけるものによって性格変わるのか?
「とにかく、代用品とメガネを並行して探してみる。
シャワーズはフライゴンのフォローを頼む」
「わかりました」
「御主人様、いってらっしゃーい…」
…なんか気が抜ける…
* * *
玄関の棚の上から調べる。
多分、どこかの机の上にでも放り出されているのだろうから、とりあえずは目立つところから…という魂胆だ。
「……マスク、か?」
なぜか置いてあった、白い竜か何かを模したマスク。
…目を隠せるなら、これでもいいだろう。なんとなく被らせてみたい気もするし。
「と言うわけで被れ」
「きゃー!」
「…マスター…何か目的が変わってる気がします…」
おお、ピッタリだ…って、フライゴンの様子が…
「強靭☆無敵☆最強ぉー!!」
「「ええええーっ!?」」
なんか叫びだした!?
シャワーズも壁際まで慌てて後退する。
「粉砕☆玉砕☆大・喝・采!!ワハハハハハハハハハハ……」
高笑いしてる…フライゴンが…高笑いしてる…!!
って、あのモーションは…!?
「ブルーアイズホワイトドラゴンの攻撃!滅びのバーストストリィーム!!」
「破壊光線を撃つなぁあぁぁぁーーーっ!!」
* * *
「全く…酷い目にあったぜ…」
シャワーズが冷凍ビームで相殺してくれなければ、俺は死んでいたな…
とりあえずマスクを元の場所に帰す。
「…俺の部屋には…ないな」
そもそもあいつは昨日俺の部屋に来てないし。
…何か代わりになるものはないだろうか…。
「…ん?」
目を覆うための目隠しか…。使えるかもな。
なんで俺の部屋にあるのかって?…聞くなよ、それは。
「と言うわけで、こんなものを用意してみた」
「目隠しですか…何か、いろいろ間違ってる気もしますけど」
とりあえず目隠しを広げてフライゴンに迫る。
「さぁフライゴン、大人しくこれをつけろ」
「い、ぃゃぁ…こわい、です…御主人様…」
「…マスター、なんか犯罪者みたいですよ…」
「ええぃっ、問答無用!」
「あ~~れ~~!」
と言うわけで、半ば無理やりに目隠しをさせたわけだが…
「どうだ?」
「…ぉ?ぉぉ、行ける行ける!マスター、目隠しでもいけるっぽいで!」
「そうか…よかった…」
「…でもマスター、これはこれで外に出られない気がするんですけど」
「そうだな」
…そこまで考えてなかった…。
と、何やらフライゴンの様子がおかしい。
「おい、大丈夫か、フライゴン」
「な、なんか…変な気分って言うか…ウチ、興奮してきた…」
「「ぇ?」」
なにやらフライゴンの頬が上気している。
よろり、とベッドからはい出てきて…俺に手を伸ばしてきた。
「ま、マスタぁあ…」
ヤバイ。アレに捕まったらヤバイ。
俺の体は無意識に、左隣にあったものを身代わりにしてフライゴンの手につかませた。
「……ぇ?」
「………ぁ」
次の瞬間、シャワーズがフライゴンの馬鹿力でベッドに引きずり込まれる!
「マスタぁぁぁぁぁっ!?」
「…許せ、シャワーズ…たぶん、死ぬことはないだろうから」
目を閉じたまま、俺は出口へ向かう。
耳にシャワーズの悲鳴が届く。…何か別のニュアンスの声も混じってる気がしたが気のせいだ。うん。
ベッドの方をなるべく見ないようにして部屋を出て、俺は鍵をかけた。力の限り。
* * *
なるべく時間をかけてメガネを探す。
と、俺の目には奇妙なものが止まった。メガネのような、ゴーグルのような…まぁ、オモチャだ。
「ウルト○アイ…か?」
…目を隠すという点ではこれも一緒だろう。
その後、小一時間ぐらい探し回ったが、メガネは見つからずじまいだった。
「あ、おかえりなさい、御主人様」
部屋に戻ると、フライゴンが迎えてくれた。シャワーズは…ベッドで倒れて荒い息をついている。
「お嫁に行けない…」などと呟いているようだが、お前既婚者だろ。というか俺のとこに嫁に来てるだろ。
「フライゴン、とりあえずこれ付けてみろ」
「え…はぃ、わかりましたぁ」
右の手でウ○トラアイを持ち…勢いよく顔に装着する!
「ジュワッ!…って、できるかーっ!!」
…ジョウト特有のノリツッコミは健在らしい。
「もぉ、御主人様…ふざけてないでどうにかしてくださいよぉ…」
「そうですよ、マスター…」
ぉ、シャワーズが復活した。
「とは言ってもなぁ…フライゴンが思い出してくれないと、ジム内は結構広いんだぜ?」
文句を呟きながら、頭に手をやる。と…髪とは違う感触に気づいた。
「あ、そうだ。コイツを試してなかったな」
がちゃり、と。重量感のあるゴーグルを、額から外す。
シルフ社製多機能ゴーグルの試作型ワンオフモデル。俺が普段から愛用してる代物だ。
「じゃあフライゴン、これつけてみろ」
「あ、は、はぃ…重い…です」
「落とすなよ?」
少々不安定な手つきながらも、なんとかゴーグルを着け終わるフライゴン。
「…おぉ、行ける!行けるでマスター!」
「副作用もないか?」
「今のところないなあ。むしろ調子ええわ、50%増しってとこやな!」
…恐るべし、シルフ社製。
「で、どうだ、思い出せそうか」
「んーと…せやせや。ウチ、昨日はフーディンとお酒のんどって、そのまま寝てしもてん。
フーディンが知ってるかもしれへんね」
「そうか…聞いてみるよ。行くぞ、シャワーズ」
「は、はい」
* * *
「ああ、フライゴンの眼鏡かい?預かってるよ」
「ホントか!?」
「昨日フライゴンが部屋に戻るとき落としたらしくてね。
返そうと思ってたんだけど姿が見えないから困ってたのさ」
…なるほどな。
フーディンからメガネを受け取る。シャワーズにそれを預け、俺はリビングに戻ることにした。
まだ昼前なのに…なんでこんなに疲れてるんだ、俺。
無性に眠くて仕方がない。ソファーでひと眠りするかな…
「……はぁ」
とりあえず、フライゴンのために今度ネックストラップでも買いに行こう。
俺はそう決意して、ソファーに横になり…意識を手放した。