「5スレ>>517」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
「5スレ>>517」(2008/08/10 (日) 21:36:35) の最新版変更点
追加された行は緑色になります。
削除された行は赤色になります。
「おーい、草むらに入っちゃいかん!」
街を出ようとして、この言葉をかけられた奴は何人居るんだろう…
かく言う俺もそのうちの一人で、
隣町へ買い物に行こうとするところをオーキド博士に呼び止められた。
そして今、長々と説教を受けているわけだ。
野生の萌えもんが出るから~…こちらも萌えもんを持っていれば~云々…
…萌えもんなら既に持ってるんですけど。
「マスターも災難ねぇ、こんなおせっかいジジィに捕まっちゃって~」
そう言って現れたのはゴース。
物心ついたころから俺に取り付いていた萌えもんだ。
何故か俺以外の人には見えないらしい… だから今説明に困っているのだ。
「気の毒に思うなら実体化のひとつもしてくれよ、そうすりゃ一発で納得してもらえるさ」
「面倒だから嫌。…やり方知らないわけじゃないんだからね!」
「はいはい分かった分かった」
「そ、その代わり…その…憑依なら、してあげてもいいわよ?」
「何されるか分からないからヤダ」
…そんなこんなで、解放されるまで3時間かかった。
博士はやけに萌えもん図鑑を勧めてきたが、旅なんてする気はないので丁重にお断りした。
「マスター、なんで図鑑もらわなかったのよ?」
トキワシティへの道すがら、ゴースが問いかけてくる。
「何でってそりゃ…旅とか面倒だし? 俺はマサラを出る気はないよ」
やっぱり住み慣れた街が一番だと思う。
考え方が年寄りくさいとよく言われるが、それで何が悪いというんだ。
だがコイツが言っているのはそういうことではないらしい。
「ほら、あんな便利機械なんだし…売れば相当なお金になったんじゃない?」
「お前…悪魔だな」
「失礼ね、幽霊よ!」
「あっそう」
トキワシティに着くとすぐ、トレーナー(短パン小僧)に勝負をふっかけられた。
一応腰につけてる萌えもんボールで、こちらがトレーナーであるとバレたようだ。
無視したが追ってきて勝負しろと言ってくる。しつこい。ウザい。
こういう時は少し遊ぶことにしている。
「やめてよね、君ごときを相手にするのに萌えもんなんて出さなくても十分だよ」
無視しても追っかけてくるトレーナーは大抵単純な奴なので、こう言うとすぐキレるのだ。
「…ふざけやがって! いけコラッタ、「ひっさつまえば」!」
そこをゴースが背後から不意打ちする。不可視性を活かした戦法だ。
そして困惑しているトレーナーにさいみんじゅつをかけ、賞金を貰って(奪って)そのまま逃げる。
ゴースいわく、
「アンタねぇ…ロケット団にでも入った方がいいんじゃない?」
と呆れ顔。
ノリノリで共犯やってる君が言いますか。
「なぁゴース、何か欲しいものあるか?」
予定の物は買ったが、先ほどの臨時収入があったので金が余った。
そこでゴースに何か買ってあげよう!と思ったわけだ。
「マスターからもらえるなら何でも……何でもないわよっ!」
可愛い。
うん、可愛いのでやっぱり何か買ってあげよう。
「そっかー。残念だなー、お金余ってるのになー(棒読み)」
「ぅ… い、いらないんだからねっ! 帰るわよ!!」
「あ、ちょっと待って。 店員さーん、これください」
…………
「ふ、ふんだ! こんなペンダントでご機嫌取ろうだなんて甘いんだからね!」
その割には超ご機嫌なゴースである。
「だ、大体… 私がつけたってどーせ見えないんだから!」
そこで追い討ちをかけてみる。
「うん、俺だけは見えるんだけどね。つまり俺専用」
「…ば、バッカじゃないの!? …~♪」
やっぱり可愛い。
さて、予定のものも全部買ったし…
「そろそろ帰ろうか?」
「ちょちょちょちょっと待った! まだ買い忘れてるものがあるかも」
「えー? 買い物リストに書いたのは全部買ったよ」
「く、来る途中でそれが書き換えられたかもしれないじゃない!!」
ないない。
あまりにも必死なその様子に、笑いをこらえることができなかった。
「な、なに笑ってんのよ!」
「いやー、やっぱどっか寄ってこうか? 暗くなるまでまだ時間あるしね」
「……そう? ならそれでもいいんじゃない。」
「素直じゃないなぁ」
「誰が!!」
結局家についたのはあたりがどっぷり暗くなってからで、母さんにすごく叱られた。
でもいいや、あの子が楽しそうだったから。
いつも一緒にいるけれど、あんな楽しそうな姿は久しぶりに見た。
これからは、もっと一緒にお出かけとかしてみようか。
彼女に言ったら興味ないそぶりを見せるだろうけど…きっと喜んでくれると思う。