5スレ>>649

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 シルフカンパニー。  カントーで流通している萌えもんグッズの大半を生産・販売している、業界最大手の会社である。  その本社ビルの内部は今。  戦場と化していた。 『決戦、シルフカンパニー(中編)』 「侵入者が……ぐあっ!」 「そこで寝てろっ!」  一階に控えていた数名の団員を突破した突入部隊は、各自社長室への道を開くべく上のフロアへと向かっていた。  そんな中、とあるフロアでは二人のトレーナーが何処からとも無く大量に湧いてきた下っ端に囲まれていた。  アキラとクリムである。 「ちっ、流石に数が多い……!」 「……アキラ、やるぞ!」 「わかってる!」  二人は腰につけていたモンスターボールを全て外し、放り投げた。  まず現れたのは……デルとロコン。  彼女らに向かって、数え切れないほどのズバットやゴルバットが殺到する。 「……ロコンさん、二人で纏めて薙ぎ払いましょう」 「わ……わかり、ました!」  言葉を交わし、身構える二人。  その視線は一度交わり、次の瞬間には群れの中央へと。 「いきますよ……ダブル!」 「ばーにんぐ……!」 「「ふぁいやーーーっ!!!」」  小柄な二人から放たれた二条の火炎放射。  二つの「火」は合わさり「炎」と成りて敵を焼き尽くす。  また、それによって起きた空気の対流は火炎の熱を取り込み、熱風となって群れに襲い掛かった。  ……そして、その炎が消えた時。  あとに残ったのは、力なく折り重なったズバットらの群れであった。  一方、反対側ではメリィとピカチュウがコラッタやラッタを相手に大立ち回りを演じていた。 「おりゃおりゃおりゃーーーっ!!!」 「やぁっ、せいっ、せやぁーっ!」  「やられる前にやる」を体現するかのように、動きを止めず、次々に敵へと飛び掛っていくのはピカチュウ。  逆にメリィはその場で足を止めて攻撃を見切り、近くに来た相手には拳を、遠い相手には電撃を撃ちこんでいる。  更に彼女達をフォローするように、シャドーボール・水鉄砲・葉っぱカッターの弾幕が飛んでいた。 「おらおらぁっ!撃墜マーク、ゲットだぜ!」 「あははっ、負けないよーっ♪」 「ふ、二人とも、最初からそれだと体力が持ちませんよ?」  競うように敵を叩き落していくゲンとフシギソウ。  そんな二人を気遣いつつ、シャワーズも弾幕を張る手を緩めない。  更にそこから少し敵陣側。  やはり大勢の敵に囲まれ、背中合わせで立っている二人の萌えもんが居た。  フーディンとホウである。 「……やれやれ。たった二人を相手にこれだけの人数を裂くかね、普通」 「……妥当な線。むしろ足りない」 「何がだい?」 「……敵の戦力」 「ふむ……確かに。だけど、いくら小物とはいえ一つづつ片付けていくのも面倒だね」 「ん。力を合わせる」 「なるほど。面白そうだ」  二人は少しだけ姿勢を崩す……団員達はそれに対し、各々で身構える。 「……今からする攻撃は」 「キミたちが何をしようが関係ない攻撃だよ」  いつの間にか、二人の周囲で紫色の火花が散っていた。 「それじゃあ、始めようか」 「……全力全壊」 「「サイコブラスター!!!」」  二人が声を上げると同時に、彼女達を中心とした半径数メートルの範囲は念力の嵐が巻き起こっていた。  彼らは気づかないうちに、ホウが築き上げたリフレクタードームの中に閉じ込められていたのだ。  そうして念動力的に閉鎖された空間に、フーディンの力が指向性を持たずに解放されたのである。  するとどうなるか。いわゆる念力版電子レンジの出来上がりだ。 「ぎゃああああああああああああああああああ!?!?!?」 「頭が……頭が割れる……!!!!!」  閉鎖空間を不規則に暴れ回る念力は、内部に居る生物を無差別に叩きのめす。  嵐が止んだ後、立っていたのはフーディンとホウの二人だけであった。 「ふむ……少々、やりすぎたかな?」 「……いいんじゃない?」  再び視点はピカチュウとメリィ。  粗方敵は排除し、細々と残っている連中は後方からの弾幕が掃除している中、一人のゴローニャと対峙していた。 「うぅ……硬いよ、このひと」 「だからって諦めてちゃ話になんないよ!もっかい行くよ!」 「う、うんっ」  ピカチュウは助走をつけ、電気を纏い一直線に飛び掛る。  メリィは反対側に回り、腰だめに拳を構えて力を溜めている。 「いくよ、必殺!イナズマ……キーック!!」 「いち…に…さん、きあい……パーンチッ!!」  前後から挟み込むようにしての同時必殺技。  だがしかし。 「……甘い」 「うそぉっ!?」 「そんなっ……」  前面からのイナズマキックは交差させた腕で防ぎ、背後からの気合パンチは全く意に介した様子も無く。 「フン!!!」  ずしんっ!!!!!!! 「うわああああああっ!!!」 「きゃうぅぅぅぅっ!!!」    大技を繰り出した後の硬直に地震を合わせられ、大きなダメージと共に二人は壁際まで弾き飛ばされた。 「メリィ!!」 「ピカチュウ、大丈夫か!?」 「あぁうあうううーっ……痛いけどだいじょうぶ……」 「あたしも平気っ……まだやれる!」  メリィは頭を抱えながら起き上がり、ピカチュウも少しふらつきながら立ち上がる。 「だけど、このまま攻撃してもジリ貧だぞ……どうする?」 「………ピカチュウ、お前の攻撃の弱点…それは攻撃に重さが無いことだ」 「うっ……それはわかってるけど、どうしようもないじゃない」 「だから、重さが足りなければ加えればいいんだ……頼めるか、アキラ?」 「…!なるほど、わかった。メリィ、さっきのピカチュウの動きを物真似するんだ!」 「わ、わかったよ。ピカちゃん!」 「おっけー、いくよ必殺っ!」  再び助走をつけ、電気を纏って加速するピカチュウ。  それをメリィが鏡写しでなぞる様に動き、同じように電気を纏う。 「イナズマ……」 「ダブル……!」 「「キーーーック!!!」」  雷の矢となってゴローニャへと突っ込む二人。  それを先ほどと同じように交差させた腕で防ごうとして。  ドゴッ!!! 「……っがぁ!?」  勢いを殺せずに吹き飛ばされた。  その向かう先は……ガラス窓。  パァン! 「うああああああぁぁぁぁぁ…………」  重量級の体は窓を容易く突き破り、そのまま悲鳴を残してフロアから姿を消した。 「はぁ、はぁ、ふぅ……」 「あたしたちを……なめないでよね……」 「……なぁ、クリム。ここ何階だっけ」 「……知るか。それより、敵も粗方片付いたし、先に進むぞ」 「ああ、了解……っと、待ってくれ。フロアの探索と上階の制圧に別れたほうが良くないか?」 「……いつまでも固まって動いてる訳にもいかない、か。よし、俺が上に行こう」 「わかった、そんじゃ幸運を祈る」 「お互いにな」  ……十数分後。  応接室らしき部屋で、アキラ達は休息をとっていた。 「ふぅ……この階の探索も大体は終わったか」 「この階は、あんまり仕掛けとか敵とか無かったね」 「そうですね……各ワープ床も、重要そうな場所には繋がっていないみたいですし」 「……よし。下には制圧の連絡入れたし、少ししたら上に行くぞ」 「ん、了解」 「……あ、ちょっと待って」 「ん、どうしたメリィ」 「えと、その……」  もじもじして言いずらそうにしているメリィ。 「……あー、メリィ。ちと俺トイレ行くから護衛についてきてくれ」 「あ……うん!」 「ご主人様、私達は……」 「ああ、そんなにしないで戻るから待っててくれ」  そう言って、二人は連れ添って部屋を出て行く。  トイレへ向かう途中の廊下で、メリィは小声でアキラに話しかけた。 「……マスター、ありがと」 「気にすんな。トイレ行きたかったのは本当だしな」  そしてそれぞれ用を足して戻る途中。 「~♪」 「……」  鼻歌なんぞ歌いつつ、ゆっくり歩くメリィ。  その後姿をぼーっと眺めながらついていくアキラは、ちょっとした悪戯心が首をもたげてきていた。 「……なぁ、メリィ」 「なーに、マス……きゃっ!?」  突然後ろからメリィの体を抱きしめるアキラ。  そのままうなじに顔を寄せ、首筋を啄ばむ。 「ちゅ、む……」 「ひ、ぁあっ!…ま、マスター、何して…!?」 「いや……なんかこうムラっと来て」 「だからってこんな時にこんなとこで……んっ」  後ろからメリィの唇を奪い、小柄な体躯を抱き上げて逸れた通路へと連れ込むアキラ。  ……と、その時だった。  カチッ。 「あ」 「え」  アキラが踏み込んだその地点。  敷かれているマットからはみ出している床。  その床は、マットの下に隠された……彼らがまだ確認していないワープ床だった。  シュン、というような音と共に、二人は違うフロアへと飛ばされる。  不安定な格好のままワープした二人は、ワープ先でもつれ合うようにして転倒した。 「きゃ!」 「ぐぇ……」 「ま、マスター大丈夫?」 「お、おう……ってかここはどこだ?」  立ち上がり、周囲を見回すアキラ。  部屋は薄暗く、多数のよくわからない機械が電子音を立てながら稼動している。  と、その中に一つ、とりわけ目立つ機械があった。 「なんだこれ……!?」  円筒状のカプセルに液体が満たされ、発光している装置。  その中には全身痣や傷だらけの、幼いサイホーンの少女が一人入っていた。 「ひどい……こんな怪我、普通に戦ったらできないよ」 「……もしかしたら、トレーナーに虐待されたのかもしれないな」 「クックック……その通りさァ」 「!?」  奥から聞こえてきた笑い声に、二人は身構える。  さっきまでは暗くてよくわからなかったが、よく見ると粗末な椅子に腰掛けた黒服の男が居た。  メリィは警戒しつつ、アキラをかばうように前に出る。 「どういう、ことですか…?」 「どーもこーもねぇよ、言葉通りの意味に決まってんだろが。クックク…」 「そんな……あんな小さい子に」 「ククク…クッハハハハハハハ!!!」 「何がおかしいんですか!」 「馬鹿じゃねぇかお譲ちゃん?……ちんまいガキだからこそ、よーく怯えてくれて面白れぇんじゃねーか」 「……ッ!」 「メリィ、落ち着け!奴はロケット団なんだ……叩きのめして、確保するぞ!」 「了解だよ!」 「クックク……俺と戦おうってか。望むところだ、出て来いサイドン!」  男は立ち上がると腰に一つだけ着けていたモンスターボールを放り、サイドンを呼び出した。 「サイドンか……相性最悪に近いな。メリィ、格闘技で行けるか?」 「…………ぁ…」 「……メリィ?おい、どうした?」  メリィは青ざめた顔で、相手のサイドンを見ている。  瞳孔は縮み、体は震え、今にも膝から崩れ落ちてしまいそうであった。 「メリィ、おい!返事してくれ!」 「……ます、たー……?」 「一体どうしたんだ、お前……」 「う、ううん。なんでも、ないよ」 「そうか?無理はするなよ」 「うん……ねえ、マスター」 「ん、何だ?」 「えと…キス、して。それから、ぎゅっと、して」 「……いいぜ」  アキラはメリィの要求どおり、震える体を抱きしめて唇を重ねる。  五秒ほどの時間が経ち、メリィの方から唇を離した。 「充電、完了……なんてね」 「ばか、何言ってんだ」 「おーおー、人前でお熱い事で……さぁ、やろうか。ククク……」 「……余裕こきやがって。メリィ、行くぞ!」 「…っ、うん!」  メリィは気合を入れ、右の拳をしっかりと握りなおす。 (昔のことなんて、いつまでも引きずってられない……) (大丈夫……私にはマスターがいる……) (見ていて……お母さん!)  そしてメリィの跳躍と同時に、戦いの幕は開いたのであった。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ・あとがき  ども、約二ヶ月ぶりに(ry  えー、今回は戦闘編……というか合体攻撃のオンパレードでした。  ってか引き続きキャラ貸していただき、ストーム7氏にはホント感謝の気持ちでいっぱいです。  ……書くことがもう無いっ(マテ  ということで、次は後編でお会いしましょう。それでは。

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