5スレ>>693-1

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--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--        Ray Side Story... -ⅳ-           待ち焦がれた出会い --*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*-- 「じゃぁ頼んだぞ」 「ご主人様こそ、お願いしますよ?」 日も傾いた茜空。 その夕焼けの下には、青年とハクリュー。 「任せとけ、というか、もうグッスリだしな、わたぽんと一緒に」 今日はエネコが仲間になった日である。 盛大に歓迎会でもしてやろうと、青年とハクリューは企ていた。 なので、エネコの寝ているこのうちに準備をしてしまおうということになったのだ。 青年は内装、ハクリューは買出しである。 「念には念を、です。それじゃ、行ってきますね」 「うん、気をつけてな」 もえもんセンター、その宿泊施設の玄関で、青年はハクリューを見送り、ハクリューは買出しへと向かう。 心配とか寂しさとか、いろいろなことが頭を駆け巡りながらも、ハクリューはショップへと急いだ。 2、3店、寄ってはいつも以上に丹念に食材を選んでいく。 「えっとぉ…お肉買ったしー…野菜も買ったしー…」 ハクリューは、手にぶら下げた幾つかの袋を探りつつ確認する。 パーティーの料理は鍋。 大人数で盛り上がるには一番の料理と青年達は考えており、なにかあれば鍋を囲んで騒ぐのはもうお約束である。 「あとはー…んー…よし…!」 ハクリュー自身、自分の料理の腕にはそれなりに自信があった。 事実、そこらのプロ顔負けの実力の持ち主である。 今夜は仲間を迎える特別な日、彼女は、たまには豪華に、ちょっと腕を振るおうかとメニューを考える。 ワクワクは止まらず、ふふ、と笑みを零しながら次なるショップへと足を踏み出した。 そのショップへと向かう途中である、彼女はふと、か弱い声を聞いた。 「泣き声…?」 なんだろう、と声のする方へと急ぐと、彼女の思ったとおり、そこには泣き蹲る少女。 もえもんのようだが、野生ではないようだ。 身なりは人工的であるし、野生ならば、こんな小さな子を親が見ていないわけがないはずである。 少女はハクリューには気づいてない、このまま声をかけても恐がらせるだけ、ハクリューはしゃがみこんで、できる限り優しく声をかける。 「…どうしたの?」 「!?」 やはり少女は驚く、驚いて、怯えた表情を見せ――ると思いきや、意外にもハクリューに興味を示してきた。 「…迷子?」 ハクリューは、まず思いついた小さい子が一人で泣く理由、それであるのかどうかを聞いてみる。 「……」 少女は無言で、警戒はしているものの、頷く。 少女も人懐っこい性格のようで、それがだれであろうと、一人で泣いていたところにだれかがきてくれた、ということに落ち着きを取り戻せてはいるようだ。 「そっか、じゃぁ、私が一緒に探してあげる!」 「…ホント!?」 少女は、ハクリューの差し出した手に、若干躊躇い、何かを思い出すように考え込んだが、それも一瞬。 どうやら『主人に会える』という事実には勝てなかったようで、すぐさま笑顔、ハクリューの手を取った。 ハクリューも微笑みを返し、二人、少女の主人を探すべく歩き出す。 それからしばらくはあっちへいきこっちへいき、ハクリューは少女に振り回されるがままであったが、それはそれで双方楽しいものであった。 二人、それぞれの主人について話したり聞いたり、もはや主人を探すという目的すら忘れかけるほど夢中になっていた。 しばらくの一時の後、さすがのハクリューも時間が経ち過ぎてることにようやく気づく、気づいて、本気で少女の主人を探し始める。 その時であった。 またもや問題を抱えていそうなもえもんがハクリューの目の前に現れたのである。 「…リーシャン。こっちへきなさい」 ハクリューと同じ程の年齢に見える、長く、自由に動く青髪に、少々眠たげな眼差し、並みの者ではないと容易に窺わせる出立ちをした女性。 ドククラゲだったっけ、などとハクリューが分析してる内に、迷子少女、リーシャンのパァッっと輝く顔がハクリューにも届いた。 そういえばこの子の名前はリーシャンだったな、とハクリューは思い当たる。 「この子のお知り合いですか――」 「クラゲちゃん!」 ハクリューの質問は、リーシャンの喜びの叫びに遮られたが、彼女らが知り合いであることはハクリューも確信できた。 ならば彼女に引き取ってもらうだけなのだが、先程からドククラゲの放つ不穏な空気に、ハクリューは動けないでいる。 誤解でもされているのだろう、ハクリューは咄嗟に弁明の言葉を搾り出す。 「あ、あの…この子が迷子で泣いていたので…一緒に探してあげてたんですけど…」 相手は中々の強者、とハクリューは感じている。 できる限り優しく、刺激しないような語りで話す。 一方のドククラゲも流石である。 警戒は全く解かずに、しかしハクリューが見る限りでは優しく、この状況の元凶であるリーシャンへと確認する。 「………そうなの…?」 「そうだよっ!このおねーちゃんやさしかったよ!」 そのリーシャンの言葉に、ドククラゲは安心したように攻撃態勢を止める。 やはり警戒だけは解かずに。 同時に、ハクリューもホッと胸を撫で下ろすが、再度気を引き締める。 とその時、 ドククラゲの後ろから、走ってくる影が、2つ。 さらに上から舞い降りてくる影、1つ。 ハクリューが見る限り、少女とマグカルゴ、そしてエアームドなのだが、その人間に見覚えがあった。 (この子…やっと見つけた…けど…) 「はぁ…はぁ…やっと…おいついた……はぁ…」 「主が遅いのが悪いだろう」 この状況どうしよう、その見覚えのある少女とエアームドの会話を聞き流しつつ、ハクリューは思案する。 いや、普通ならば、説明すればわかってくれるだろうと楽観視するところだが、ドククラゲの印象が離れなかったのだ。 何故だか、このままじゃまずいという思いを彼女に抱かせた。 しかし、そんな思いも一瞬、今度はハクリューの後ろから声が掛かる。 「お、見つけた、ハークー!」 声の主は、ハクリューにとって救世主、彼女の主人の声であった。 その青年は状況を見、やはり最初に目が止まったのは、もえもんのいる中に唯一人の人間、その少女であろう。 その青年の第一声は、 「…ひなちゃん?」 ハクリューにとっては、当たり前の、むしろ必然の発言なのだが、場は混乱した。 向こうからしてみれば、知らない男が自分の、あるいは自分の主人の、その名前を口にしたのだ。 「…なんでわたしのなまえしってんのよ」 「あ、えーと…」 青年は口にして初めて、これじゃ通じるわけがないと当たり前のことに気付く。 さらに気付けば少女のもえもん達が敵意むき出しに臨戦状態になっている。 助けを求めるようにハクリューの方を見るが、その表情からは何も期待できそうにないと諦めた。 やってしまいましたね、とでもいいたげなその表情に見なかったフリを決め、青年はともかく根本から説明を始める。 シオンでのこと、少女の父親のこと、タマムシでのこと、その他諸々。 「ふーん」 話は通じたようではあるが、未だ警戒が解かれているわけではなかった。 信じられてないのか、と青年は思うが、何かまた違う、気怠さにも似た空気も感じた。 「あのオヤジがそんなことをね…」 気怠さは増し、同時に不穏な気配も増すしていくのを、青年、ハクリュー共に感じていた。 両者思わず気持ちは身構えてしまう。 「どんなりゆうがあろうと」 その空気を主に形成してるその少女は、こちらの警戒など気にも掛けずに続けている。 「オヤジのみかたならあんたはてきよっ!」 「「えぇ!?」」 急な展開の結末に青年、ハクリュー両者共、流石に驚き、奇声まで上げるほどであったが、もちろんそれどころではなかった。 いくのよクラゲちゃん、という少女の掛け声とともにドククラゲが構え、繰り出すは激流、“なみのり”。 「なんでだっ!もうっ!ハク――うわっ!?」 “なみのり”で相殺、と青年が命令を下すよりも少し早く、後ろから激流の発生。 青年は何時の間にかハクリューに後ろから抱えられていた。 「さすがハク…!」 「どうも――っと」 ハクリューは“なみのり”の展開と同時に、青年を抱えて真上へと大きな跳躍をしたのだ。 激流と激流はぶつかり合って消滅、ハクリューは自由落下にバランスを崩しつつも、元の位置へ着地。 再び対峙したその光景は、地面が濡れている事以外、技の展開前となんら変わりなく、先程のぶつかり合いなど微塵も感じられない。 対峙する双方、お互いの実力を感じあう。

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