5スレ>>721-2

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5スレ>>721-2」(2009/05/27 (水) 17:58:50) の最新版変更点

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 こそこそと進む黒服集団を尾行する。  黒服集団――もとい、ロケット団の人数は3。全部男だ。  私1人でも何とかなるかもしれないけど、流石に分が悪そう。  少々癪だけど、ここはトウマの言うことに従っておこう。 「さて、何処に行くつもりかしらね」  頭の中で町の地図を開く。  現在地はセキチクの東端あたり。ロケット団の移動方向を考えると、行き先は―― 「サファリパーク……でしょうか?」  腰のボールから控えめな声が届く。  どうやらルーメも私と同じ結論に至ったみたい。 「そうね。多分間違いないと思う」 「だとしたら狙いはサファリの萌えもんですね」 「でしょうね。あいつら他に狙うものなさそうだし」  言いながらポケギアを取り出し、トウマにメールする。  ……よし、送信完了。  顔を上げれば、ロケット団が移動速度を上げていた。  いけないいけない、置いていかれないようにしないと。  足音に気をつけながら、私は足を速めた。  十数分後、サファリパーク東側。  サファリの外周を覆う林にたどり着いたロケット団は、そこで二手に分かれた。  2人がその場に残り、1人が林の中の小道を奥へ――サファリの方へと進んでいく。  迂回路もないような小道の入口を押さえたことを考えると、いよいよ悪さを始めるみたい。 「あーもう、あいつなにやってんのよ」  周囲を窺うけど、トウマが来る気配は無い。  そうしている間もロケット団はどんどん先へと進んでいく。  ……これ以上は待てない。 「あんた達、何やってんの!」  大声と共に男達の方へと出て行く。  突然の声に男達は一瞬驚いたけど、見張りの2人がこっちに向かってきた。  片方は背が高く、もう片方は結構ちっちゃい。絵にかいたような凸凹コンビだ。  問答無用とばかりに、取り出したボールを投げてくる。  とりあえず私を黙らせるつもりらしい。なかなか早い対応だけど……遅い。  だって、私の相棒はもうボールの外にでているんだから。 「ルーメ、『しびれごな』」 「はいっ!」  ボールが開き、中の萌えもんが出てくるタイミングを計ってルーメがしびれごなを放つ。  ボールから出たばかりのロケット団の萌えもんたちはなす術もなくその粉を浴び、  体の自由を奪われていく。 「なっ!?」 「卑怯だぞ!」 「なによ、いきなり2人で襲い掛かってくるのは卑怯じゃないっていうの?」  男達は当然のように怒るが、そんなものは無視。  いいじゃない、これ公式戦じゃないんだし。  男達が出してきた萌えもんを見る。  小さい男のほうはドククラゲ、大きい男のほうはマタドガス。  有利な相手とはいえないけど、相手の得意な毒はルーメには効かない。  時間を稼いでトウマが来てくれれば、勝機はあるはず。  なら―― 「ルーメ、『やどりぎのたね』。続けて『はっぱカッター』!」 「わかりました!」  私の指示通りにルーメの攻撃が繰り出される。  麻痺とやどりぎによって行動を制限された2体にはっぱカッターが面白いように当たっていく。 「くそっ、マタドガス、『えんまく』だ!」  男の声とともに目の前が煙で覆われる。  こちらの視界を遮って体勢を整えるつもりなんだろうけど、そうはいかない。 「ルーメ、やどりぎから敵の位置を割り出せる?」 「やってます! ……そこっ!」  再度放たれるはっぱカッターの嵐。  さっきみたいにクリティカルヒットにはならないだろうけど、当たってはいるみたい。  状況はこっちに有利、これなら私とルーメだけで十分いける。 「ルーメ、一気に――ん?」  つま先が何かを蹴飛ばした。石かと思ったけど、転がる音からして石ではなさそう。  慎重に周囲の地面を観察する。煙幕で見えにくいけど、そこに散らばっているのは―― 「どくびし? ふふっ、残念でした。  煙幕にまぎれて私が萌えもんを交代すると読んでの技でしょうけど、無駄だったわね」  どくびしは基本的に萌えもんの交代時に効果を発揮する技。  私の手持ちはルーメ以外にはいないし、  戦闘中に踏ませることを狙うとしても、ルーメに毒は効かない。 「ふふふ、果たしてそうかな?」  煙幕の向こうから小男の声が返ってくる。 「何言ってるの? このこに毒は効かないし、存在がわかってるどくびしなら対策は取れるわよ」 「確かにお前のフシギソウには毒は効かないさ。  だが、お前自身がそのどくびしを踏んだらどうなる?」 「――っ!」  小男の言葉にはっとする。  ただの人間である私がどくびしを踏めばどうなるかなど考えるまでもない。下手をすれば命に関わる。  初手でルール違反の攻撃をしておきながら、  トレーナー狙いなんていう最大クラスの違反を考慮していなかったなんて――  「ついでに教えてやろう。これからお前らに向けて放つ技は全て毒タイプの技だ。  いつまで避けられるか見ものだな?」  自分の迂闊さに歯噛みする私をよそに、小男の言葉は続く。  その間にも煙幕は濃さを増していき、周囲もろくに見えなくなっていく。  まずいかな、と思ったとき、ヒュッという音が聞こえた。  反射的に姿勢を低くする。頭上を何かが通っていき、背後に落ちてべちゃりと音を立てた。  今のはヘドロばくだん……かしら?  今回は当たらなかったけど、この状態でいつまでも避けきれるとは思えない。 「ちょっと……まずいわね」  あごを伝っていく汗が、妙に冷たく感じた。 ――― 「サヤのやつ……どこだ?」  町の東側、サファリ付近。  サヤが教えてくれた方向に向かったはいいものの、サヤもロケット団も見当たらない。  ポケギアで連絡を取りたいところだが、サヤがロケット団を尾行していることを考えると  迂闊な連絡はサヤの危険につながる可能性がある。  なんとかサヤを見つけて合流しないと…… 「ご主人様、あれなに~?」  ファルが空を指差す。その方向にはなにやら黒いものがたちこめていた。 「火事……でしょうか?」 「いや、それにしては様子が……。  ファル、上から煙の発生源を見てくれ。何か見えないか?」 「えっと~、あれ?  煙はいっぱい出てるのに、火が出て無いみたい~」 「……あの馬鹿!」  ファルの報告を聞いた瞬間、俺は煙の方へと走り出していた。 「ちょ、ちょっと待ってよ、ご主人さま~」 「マスター、どうしたんですか?」  慌てて追いかけてきたファルとミルトが疑問の声を上げる。 「あの煙は火事じゃない。おそらく萌えもんの技。少なくとも人為的なものだ。  こんな朝っぱらからバトルしてるやつといえば――」 「まさか、サヤさん!?」 「そういうこと。もしかしたら違うかもしれないけど、方向はあってる。  あそこで何かが起きてるのは間違いない」 「そうですね。急ぎましょう!」  その言葉を合図に速度を上げる。  目指す煙が、なんだか遠く感じた。 ――― 「はぁ、はぁ、はぁ……」 「しぶといな。そろそろ諦めたらどうだ?」 「お断りよっ!」  叫ぶと同時に体を右に傾ける。  次の瞬間、さっきまで体があった空間を何かが通り過ぎていった。  これで何発目だったっけ?   そんな思考が頭をよぎるが、すぐに霧散する。  最初の麻痺のおかげだろう。散発的な攻撃のおかげでまだ戦えているが、正直いってかなり厳しい。  この2人を倒すこともそうだけど、私がやるべきなのはそれだけじゃない。  壁のところにはロケット団がもう1人いて、今も壁を破壊しているはずなのだから。  さっさとこいつらを倒さないと……  ヒュンッ 「っ!」  そんなことを考えていたからだろう、空気を裂く音に対して私の反応は一瞬遅れた。  すぐ傍で響くしめった音、それと同時に右足に痛みが走った。 「くっ……」  おそらくヘドロ爆弾の破片がかすめたのだろう。傷自体はたいしたことは無い。  だけど傷からじわじわと広がってく熱が、その傷の本質を物語っていた。  ――毒――  その単語に背筋を冷たいものが這うが、今はそれどころじゃない。 「とどめだぁ!」 「―――っ!」  体勢を立て直すより早く響いた大男の声に思わず身を固くする。   しかし次の瞬間、 「させるかっ!」  強風が大男の声と黒煙を薙ぎ払っていった。 ――― 「ファル、もういいぞ!」  黒煙が晴れたのを確認して、ファルに指示を出す。  同時に状況を確認。  追い詰められてはいるようだが、相手を麻痺させ、さらにやどりぎを植え付けている。  2対1という不利な状況下で戦っていたにもかかわらず、  まだ逆転の目を残していることに素直に関心する。  これなら俺が加勢すればなんとかなるはず、そう思って駆け出そうとした足は、 「来ちゃだめっ!」  サヤの大声によって押しとどめられた。 「足元見なさい、足元っ!」  見ればサヤの周囲の地面に何かが落ちている。  見たところまきびし――いや、どくびしか。  さっきまでは全然気付かなかったが、一度気づくと結構な量が撒かれていることに気づく。  注意すれば避けられないこともないが、サヤのところまで行くには時間がかかりそうだ。  何とかどくびしが少ないルートを探して――  ドンッ  小さいながらも響いたその音を聞いて、サヤの顔に焦燥の色が浮かぶ。 「トウマ、サファリの方に行って!」 「どういうことだ?」 「この先にもう一人いて、サファリに入ろうとしてるの。あんたはそいつを何とかして」 「だけど……」  今の状況ではサヤの提示した作戦が一番効率的に思えるが、  そうすればサヤは決して有利とはいえない状況で1対2の戦いを続けることになる。  できればそんなことはさせたくないが…… 「そう簡単には行かせんぞ!」 「邪魔すんじゃないわよ!」  俺の行く手を阻もうとするロケット団のもえもんに牽制のはっぱカッターが飛ぶ。 「早く行きなさい! こいつらは私がなんとかするから!」 「……わかった。なるべく早く戻る!」  再度響いたサヤの大声に蹴飛ばされるようにして、俺はサファリの方へと駈け出した。 ――― 「……わかった。なるべく早く戻る!」  トウマの背中が小さくなっていく。  どうやら足のことには気付かなかったみたい。  心配をかけずに済んだという安心となんだかよくわからないもやもやした感情。 「ルーメ、いくわよ!」  湧き上がってきたそれらを頭から追いやってルーメに声をかける。  こちらには毒、あちらにはやどりぎ。  状況としてはまだ五分五分だから何とかなるはず。 「何とかする、か。これでも同じことが言えるかな?」  しかし小男が取り出したものを見て、私は自分の考えが甘かったことを知った。  回復の薬。状態異常と体力の両方を全快させるその薬は、この状況下においては決定的な意味をもつ。 「さて、一気に行くぜぇ!」  大男の言葉と共に攻撃が始まった。  麻痺させていた先ほどとは比較にならない手数に防戦一方に追い込まれる。  やどりぎが吸収してくれる体力のおかげでなんとかしのげているけれど、  傷薬すら使わせてもらえないこの状況ではジリ貧になるのは目に見えていた。  凸凹コンビのサポートも万全で、ドククラゲにもマタドガスにも息切れの様子は見られない。  こうなれば残された手は一つ、強力な攻撃で一気に戦闘不能にする。 「ルーメ、もう少し我慢して!」  ルーメの体力と周囲の状況把握に全神経を集中する。  チャンスは一度。それを逃せばもう負けるしかない。 「はぁ、はぁ……。ま、まだまだです!」  言葉とともにルーメが自らの特性、新緑を発現させる。  植物が持つ強大な生命力がルーメの体に満ちていく。  ルーメの準備はこれでいい。あとは―― 「さぁ、とどめだぁ!」  大男の声と共に2匹が同時に仕掛けてくる。  それと同時に、私の背中に心地よい温かさが伝わってきた。  ――今だ! 「ルーメ、私の傍へ!」 「はいっ!」  私の言葉に反応したルーメが大きくバックステップ。  2匹の攻撃をかわすと同時に私の傍――昇りつつある太陽が作り出した陽だまりの中へと着地する。  可能な限りの速度でチャージ。先ほどの空振りのせいで一か所にかたまっている2匹に向けて、 「いっけぇーーーー!」 「発射します!」  極大威力のソーラービームが放たれた。  ビームは狙い違わず2匹に直撃。 「え?」 「なにぃ!?」  射線上にいたロケット団員もろとも吹き飛ばした。 「やっ……た……」  それを確認すると同時に、体から力が抜けていく。  まずいかな、と思うと同時に視界がブラックアウトした。 ――― 「サヤさんは無事でしょうか?」 「わからない。とにかく急ぐぞ!」  林の中の小道を全力で駆け抜ける。  壁の破壊工作をしていたロケット団は俺たちの姿を認めると同時に逃げ出した。  引き際が良すぎるような気がするが、今はサヤの方が問題だ。  小道の入口にたどりつく。そこには、 「ご主人さま、ご主人さまぁ……!」  泣きながらサヤの名を呼ぶルーメと、倒れているサヤの姿があった。 「サヤ!?」 「トウマさん! ご主人様が、毒にっ!」 「わかった。とにかく落ち着け! ミルト、ファル、救急車を!」 「はいっ!」 「は~い」  俺のポケギアを受け取ったミルトとファルは、すぐに通りの方へと向かった。  空を飛べるファルを目印代わりに使えば、救急車も比較的早く来てくれるはずだ。  サヤの傍へ駆け寄る。  ルーメが移動させたのだろう、どくびしの範囲外、地面が比較的軟らかい場所にサヤは寝かされていた。  見る限り、傷は大したことはない。かすり傷だし、旅をしていればこのくらいは日常茶飯事だ。  問題は毒のほう。 「ルーメ、この毒は何の毒だ? ついでにいつ受けた?」 「煙幕のせいでよくわかりませんが、多分ヘドロばくだんによるものだと思います。それで、その……」  幾分か落ち着いたのだろう。普段に近い様子で話していたルーメが急に口ごもる。 「どうした?」 「トウマさんが来られた時には、もう……」 「……この馬鹿!」  つまりこいつは毒におかされたまま戦ってたってことか。  サヤの様子を見る。呼吸も脈も速く、顔が赤い。  額に触れてみると、予想通りかなりの熱を発していた。 「くそっ、ミルト、まだか……?」  通りの方を見ても、ミルトの姿も救急隊員の姿も見えない。  何もできないという現状に焦りが募る。  せめてレーティがいれば病院まで運ぶこともできるのに……って、まてよ? 「そうだ、これなら!」  上着のポケットを探り、緑色の木の実を取り出す。  ラムの実。今朝レーティに1つ運んでもらったが、俺の手元にはまだ2つ残っている。  カイリューの話通りなら、これでサヤを救うことができるはず。 「だめ……よ……」  すぐ下からの声に手を止める。  見れば、サヤがうっすらと目を開けていた。 「サヤ!」 「ご主人様!」 「それ、使ったら……ミルトは、どうすんのよ……」  とぎれとぎれのサヤの言葉にぎくりとする。 「だが……」 「このくらい……どうってこと……ないわよ。あんたね……もうちょっと、後先考えなさい……」 「お前に言われたくねぇよ。こんな無茶しやがって」 「うるさいわね……私は、無茶なんか……」  言い切る前に再び目を閉じるサヤ。 「おい、サヤ!?」 「ご主人様!?」  慌てて呼びかけるが、返事がない。また意識を失ったみたいだ。 「ご主人様! しっかりしてください、ご主人様!」  必死に呼びかけ続けるルーメを見ながら、俺の頭には先ほどのサヤの言葉が響いていた。 「後先考えろ、か……」  まさかその言葉をこいつから聞かされるとは思わなかった。  この実を使えば、サヤは助かる。しかしそれはミルトが暴走した時の切り札を1つ失うことでもある。  ひどい二者択一だが、迷っている時間はない。  この後のことを考えれば、俺は―― 「……ごめん」  ラムの実を口に運び、軽く咀嚼する。  すっきりとした甘みが口に広がると同時に、全身がすっとするような感じがした。  うっかり飲み込んでしまわないうちにサヤの鼻をつまみ、 「……んっ……」  小さく開いた口へと咀嚼したラムの実を押し込んだ。 「……ふぅ」  ラムの実を全部押し込んでから口を離し、サヤの様子を見る。  呼吸は少し荒いが、表情は安らかになっている。  安心はできないが、少なくとも死の淵からは脱したみたいだ。 「……トウマさん……?」  目をまん丸にしているルーメと目があう。 「これで何とかなるだろ。……ラムの実を使ったのばれたら大目玉だけどな」  なんとなく気恥ずかしくなって、そっぽを向きながら言う俺に、 「ふふ、そうですね」  やっと明るくなったルーメの声が返ってくる。  その笑い声に交じって、遠くの方からサイレンの音が近づいてくるのが聞こえた。 ――― 「で、なんであんたは私にあの実を使ったわけ? 後先考えろって言ったわよね?」  その日の夕方、病院の一室で俺はサヤの尋問を受けていた。  ミルトの『暴走』のことに触れる可能性があったので、  ミルトにはファルを連れて一足先にもえもんセンターへ戻ってもらった。  あれからすぐに救急車が到着、病院へと運び込まれたサヤは治療の後、  様子見ということで一応入院となった。 「ほら、さっさと答えなさいよ」  ……お医者様、こいつどう見ても健康体なんですが。様子見なんているんでしょうか。  ちなみにサヤがラムの実を使ったことを知っているのは、目覚めた後ルーメを問い詰めたかららしい。  朦朧としてたくせに、俺がラムの実を使おうとしたことなんてよく覚えてたな……。  ちなみにルーメはといえば、申し訳なさそうな顔をしながら花瓶に花を生けている。 「……しかたないだろ」  サヤの迫力に押されて、しぶしぶ口を開く。 「お前、あのままだと死んでたぞ? ほっとけるわけないだろうが」 「ミルトの『暴走』に対する切り札を使ってでも?」 「そうだ」  はっきりと言い切る。  サヤはしばらく俺の顔を睨んでいたが、 「ふぅ……わかった。あんたはそういうやつだもんね」  そう言って視線を和らげた。どうやら尋問はこれで終わりらしい。 「それに、お前がいてくれた方がミルトの『暴走』を防げるだろうし、  『暴走』したとしても対処しやすいしな」  言葉と共に席を立つ。これ以上ミルトたちを待たせるのはさすがに悪い。 「ちょっと待ちなさい」  しかし、歩き出そうとしたところで腕をつかまれた。  和らいでいたはずのサヤの視線がまた鋭くなっている。 「おいおい、まだなんかあるのか?」 「……カンだからね」 「え?」 「だからっ、ノーカンだっていってんのよ!」 「は? 何の話だ?」 「何って、それはその……あんたが実を使うときに……その……。ああもう、わかりなさいよ!」  何が何だかわからないうちに怒られた。  わかれと言われても「実を使うとき」だけじゃ……ってまさかっ!  この場にいるもう1人の当事者へと視線を向ける。  ようやく花を生けおわったらしいルーメは、俺と視線が合うと 「すみません、つい……」  申し訳なさそうに笑ってそう言ってきた。  なんて余計なことを……っ! 「何のことかわかったところで、ちょっとお話しましょうか……?  この際だから言っておきたいこともあるし……」  怒りのオーラをまといながら、俺の腕に力を込めるサヤ。  まずい、何か言わないと殺される…… 「いや、ほら、気を失ってたからああでもしないと喉に詰まらせるかもしれないし……」 「だったらルーメにやらせればいいでしょ?」 「…………あ」 「気づくのが遅ーーーい!」  その後、サヤの説教(主に俺のデリカシーに関して)は怒声を聞きつけてきた看護婦さんに怒られるまで続いた。 ――― あとがき  どうもこんにちは、白です。  友人に「たまには書け」と言われたのであとがきというものに挑戦してみました。  毎度毎度長文な上に書くのが遅くてすみません。  他の作家の方々のスピードがうらやましい今日この頃です。  さて、内容について。  ここまで読まれた方にはお分かりのことと思いますが、今回は『暴走』対策とサヤのフラグ強化がメインです。  人間が対抗馬というのはあんまりないんじゃないかなーと思いつつ書かせていただいています。  もしサヤが対抗馬っぽく見えなかったらそれはひとえに私の力量不足故なので、びしばし指摘してください。  直せるように頑張ります。  では今回はこのあたりで。よろしければ次回も読んでください。

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