5スレ>>739

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 ある夏の日のこと。  ここ、シオンタウンジムの一室で、ホウはいつものように惰眠を貪っていた。 「……zzz」  今日はジムの休業日。  普段はやかましく起こしに来るアキラやデルも、今日ばかりは彼女を放置していた……の、だが。 「起きろぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!」 「……ふぁ?」  耳元で大声で叫ばれ、ゆっくりと体を起こすホウ。  騒音の元へと視線を動かすと、そこには息を切らせているゲンの姿があった。 「……ゲン、うるさい」 「ぜぇ、ぜぇ……お前、今日が何の日か忘れてるだろ……」 「???」  ホウは、「はて?」というような表情で記憶を漁り始める。  そして数瞬後。 「……あ」 「ったく、待ち合わせのタワーで1時間待っても来ねーからまさかと思って来てみりゃ……」 「ごめん……」 「別に構やしねーよ、いつものこった……下で待ってっから、さっさと支度済まして来いよな」  ゲンは頭をかきながらそう言うと、部屋から出て行く。  ホウはその背中に向かってこくりとうなずき、もそもそと着替えを始めた。  もうそろそろ日も暮れようかという時刻。  少し遠くからは、祭囃子が微かに聞こえてきていた。 『Love You Forever』  シオンタウンの象徴とも言える、萌えもんタワー。  そのふもとでは、普段の寂しげで静かな街からは考えられないほどの賑やかな祭が行われていた。  そんな中を、ゲンとホウも多数の人々にまぎれて歩いていた。 「アキラの奴にとっ捕まって以来ご無沙汰だったが……相変わらずだな、この活気も」 「……ゲンは、よく来てたの?」 「ったりめーだろ!転生してから捕まるまで、俺はタワーで生活してたんだぜ?」 「……野生でも、祭に?」 「おうよ。っても、オレはこれ以外の祭は知らねーから普通はどうなのかは知らんがな」  と、笑顔で話すゲン。  祭ということで、彼もいつもの服装ではなく藍染の甚平を着ている。  ホウも、青地に紫陽花の描かれた浴衣姿である。 「じゃ……案内、お願い」 「へへっ、任せとけ!」  そう言うとゲンはホウの手を取り、屋台の密集している方へと歩き出す。  ホウは、その手をしっかりと握り返しながら彼に続いた。  そうして少し歩き、彼らが行き着いた屋台は…… 「よーよー釣り……?」 「何だ、知らねーのか?」  コクリ、とホウは頷く。 「よっしゃ、んじゃまずはオレが手本を見せてやるとすっか。おいオヤジ!一回頼むぜ!」  毎度、と応える屋台の主から針つきの紙縒りを受け取ると、ゲンは早速獲物の選別に取り掛かった。 「よーく見てろよ……」 「……」 「こうやって、紙縒りを濡らさねーようにして……それ!」  と、見事に大き目の水風船を釣り上げていた。 「……おー」 「へへっ、ホウもやるか?」 「……(コクコク」  ゲンはもう一回分のお金を払い、貰った紙縒りをホウに渡す。  ホウはじーっと水面を見つめ……適当に針を引っ掛けて持ち上げた。 「おぉ、やるじゃねぇ……か……」 「……」  ホウの釣り上げた物を見て固まるゲン。  彼女が釣り上げたのは…… 「ビーチボール……だよな、コイツ」 「……おっきい」  直径30cmはあろうかというビーチボール(マスターボール柄)。  それがゴム紐にぶら下がり、ぶらんぶらんと揺れていた。  ……結局のところ、他の屋台を回るのに邪魔になるという理由で彼らは普通の水風船とそれを交換してもらったのだった。 「……ちょっと、びっくりした」 「オレもだ……ってか、やるじゃねーか」 「ん……」 「負けてらんねーな……よし、次はあれだ」  と、ゲンが目差した屋台は射的。  ここでも手馴れた様子で料金を支払い、受け取った銃をホウに手渡した。 「ほらよ。コイツで的になってる賞品を撃って、倒れりゃゲットって訳だ」 「……ん」  ホウは言われた通りに的に狙いをつけ……引き金を引く。  が。  ぽんっ!  かこん 「……」 「……大ハズレだな」 「……難しい」 「ははっ、まぁここはオレに任せとけ……んで、どれ狙ったんだ?」 「あれ……」  彼女が指差したのは……文庫本だった。  表紙には『グラエナと調味料』と書かれている。 「なんだありゃ……料理の本か?まーいいや、見てろ」 「どきどき……」  ゲンは本に向かって銃を構え、良く狙って……引き金を引いた。  すると。  ぽんっ!  ぱこんっ!  ぱたん! 「倒れた……」 「へっ、どんなもんよ!これでも昔は『タワーのコルクスナイパー』って言われてたんだぜ!」 「……微妙な二つ名」 「言うな、若気の至りだったんだ……ってまーそれは置いといて、ほらよ」  と、ゲンは店主から受け取った本をホウに渡す。 「……いいの?」 「良いも何もおめーのために取ったんだし、オレは本は読まねーからな」 「ありがと……ちゅっ」 「……んななななななななぁっ!?」  ホウははにかみながら礼を言うと、軽く背伸びをしてゲンの頬にキスをした。  往来のど真ん中で不意打ちを食らったゲンは、真っ赤になって慌てていた。  そして。 「ととと、とりあえず次行くぞ、次!」 「あっ……」  周囲のニヤニヤ視線から逃れるため、ゲンは脇目もふらずに走り出すのだった。  当然、ホウの手を引いたまま。 「ぜぇ、ぜぇ……ここまで来れば、もういいだろ……」 「はぁ、はぁ……ゲン、慌てすぎ……」 「うっせーバカ、道のど真ん中であんなことされりゃ恥ずかしいだろ……」 「気にしなければいい……」 「いや、気になるっての」 「……見せ付けてやりたいのに」 「無 茶 言 う な」 「……残念」 「っと、エラく外れの方まで来ちまったな……」  そう言ってゲンは周囲を見渡す。  屋台もまばらで、目ぼしい物は無い……と彼が思ったとき、ホウに袖を引かれた。 「ん、どした?」 「……あれ」 「お、何々?……モンスターボールくじ?」  どうやら、モンスターボールに似せたカプセルを箱から見ないで取り出すタイプのくじ引きらしい。 「……やってみたい」 「おし、んじゃやってみっか」  二人分の代金を払うと、二人は同時にボールを取り出した。  ゲンは早速ボールを開く。  と、中には一枚の紙切れが入っていた。 「何々……四等・フエン煎餅セット?」 「おぉ、兄ちゃんはこれだな」  と、そこそこの大きさの箱を店主から渡されるゲン。  箱には『ホウエン銘菓』と書かれている。 「おー、中々いいもんが当たったぜ」 「……そう?」 「まーな。ハズレとかだとマジでロクなもん貰えねーし……ってかホウ、おめーはどうだったんだ」 「ん、今開ける……」  そう言ってホウも持っていたボールを開く。  とその瞬間。  パァーン! 「のあっ!?」 「……クラッカー?」  ボールの中からリボンやら紙ふぶきやらが飛び出してきたのだった。  そしてそれを見た店主は笑顔で鐘を鳴らす。 「おめでとうっ!一等・シンオウ地方一周旅行券はお嬢ちゃんのもんだ!」 「な、何とおぉぉぉぉっ!?」 「…………」  派手に驚くゲンと、店主から賞品を受け取ってもなおぼーっとしているホウ。  視線を手元の旅行券とゲンの顔になんどか往復させ、最後にゲンに視線を止めた。 「……ゲン」 「な、何だ?」 「いつか一緒に、行こうね……」 「お……おうよ!」  その後も、二人は様々な屋台を回って祭りを楽しんだ。  輪投げに的当て、片抜きにスーパーボール(保護用)すくい。  食べ物の屋台も、あんず飴に綿飴、焼き蕎麦に甘栗にかき氷と買いあさり、二人で分けながら食べ歩いた。  そして時は過ぎ、二人は萌えもんタワーの最上階に居た…… 「ここが……ゲンの転生した場所……」 「まーな……っと、こっから外に出られっぞ」 「ん……」  ゲンはホウの手を引き、瓦礫の山を登って屋根の上へと出る。  遥か下ではいまだに人々で賑わっているのが見えた。 「いい景色……」 「景色もいいがな、ここからは空の眺めも抜群だぜ。それに、もうそろそろ花火が上がるはずだ」 「……楽しみ」  そう言いながら焼き蕎麦を頬張るホウ。  それを見て、ゲンは苦笑する。 「っはは、やっぱおめーは花より団子ってか?」 「……んく、近頃はそうでもない」 「そうか?……ってかおめー、最近よく食うよな」  ここで『太ったんじゃねーの?』と言わないほうがいいということはゲンも流石に学習していた。  が、やっぱりゲンから見てお腹周りが少し太ってきたように見えていた。  そう思っていると、ホウはお腹を撫でながら言った。 「ん……だって、二人分だから」 「あーなるほど、二人分ね………………今、何と?」 「…………///」  ホウは顔を赤らめつつも相変わらずお腹を撫でている。 「えーと……まさか、もしかして……アレか!?」 「感じる……ボクの中に、ゲンとボクの命を」 「…………」 「……ゲン?」  固まったままのゲンを、ホウはきょとんとした表情で見る。  その数瞬後。  がばっ 「っ、ゲン……?」  ゲンは、嗚咽を漏らしながらホウのことを抱きしめていた。 「っく、ぅおおっ……」 「どうして、泣いてるの……?」 「ばっ、か……嬉しいからに、っ決まってんだろ……うぐっ」 「ゲン……」 「ホウ、これからもずっと……よろしく頼むぜ」 「ん……ボクも」  少し見つめあった後、二人の唇が静かに重なる。  夜空に打ち上がった大輪の花火を背景に、二人は改めて愛を誓い合ったのだった。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ・後書き  どもこんばんわ、毎度お馴染み曹長です。  今回もテスト前効果が(ry  普段からこの勢いで作品書ければなぁ……新人さん方の筆の速度がうらやましい。  さて、今回は外伝……といいますか本編終了後のエピソードですね。  七夕はスルーしたけど季節感を考えて夏祭りでデートのお話。でもアキラメリィデルは出番なし(ヲイ  ……ああもう、ブラックコーヒー飲みながらでも口の中甘ったるいんですけど(ぇ  とりあえず期待されてしまったので書いてしまった、反省はしない(マテ  てかマジでこいつら人気あるなwwwなんでだwwwww  ……え、タマゴグループ?知るかそんなもん(コラ  さて、次回の予定は……未定(ぇー  まぁできるだけ頑張って本編書くよ!  それではまた、次回の後書きでお会いしましょう。
 ある夏の日のこと。  ここ、シオンタウンジムの一室で、ホウはいつものように惰眠を貪っていた。 「……zzz」  今日はジムの休業日。  普段はやかましく起こしに来るアキラやデルも、今日ばかりは彼女を放置していた……の、だが。 「起きろぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!」 「……ふぁ?」  耳元で大声で叫ばれ、ゆっくりと体を起こすホウ。  騒音の元へと視線を動かすと、そこには息を切らせているゲンの姿があった。 「……ゲン、うるさい」 「ぜぇ、ぜぇ……お前、今日が何の日か忘れてるだろ……」 「???」  ホウは、「はて?」というような表情で記憶を漁り始める。  そして数瞬後。 「……あ」 「ったく、待ち合わせのタワーで1時間待っても来ねーからまさかと思って来てみりゃ……」 「ごめん……」 「別に構やしねーよ、いつものこった……下で待ってっから、さっさと支度済まして来いよな」  ゲンは頭をかきながらそう言うと、部屋から出て行く。  ホウはその背中に向かってこくりとうなずき、もそもそと着替えを始めた。  もうそろそろ日も暮れようかという時刻。  少し遠くからは、祭囃子が微かに聞こえてきていた。 『Love You Forever』  シオンタウンの象徴とも言える、萌えもんタワー。  そのふもとでは、普段の寂しげで静かな街からは考えられないほどの賑やかな祭が行われていた。  そんな中を、ゲンとホウも多数の人々にまぎれて歩いていた。 「アキラの奴にとっ捕まって以来ご無沙汰だったが……相変わらずだな、この活気も」 「……ゲンは、よく来てたの?」 「ったりめーだろ!転生してから捕まるまで、俺はタワーで生活してたんだぜ?」 「……野生でも、祭に?」 「おうよ。っても、オレはこれ以外の祭は知らねーから普通はどうなのかは知らんがな」  と、笑顔で話すゲン。  祭ということで、彼もいつもの服装ではなく藍染の甚平を着ている。  ホウも、青地に紫陽花の描かれた浴衣姿である。 「じゃ……案内、お願い」 「へへっ、任せとけ!」  そう言うとゲンはホウの手を取り、屋台の密集している方へと歩き出す。  ホウは、その手をしっかりと握り返しながら彼に続いた。  そうして少し歩き、彼らが行き着いた屋台は…… 「よーよー釣り……?」 「何だ、知らねーのか?」  コクリ、とホウは頷く。 「よっしゃ、んじゃまずはオレが手本を見せてやるとすっか。おいオヤジ!一回頼むぜ!」  毎度、と応える屋台の主から針つきの紙縒りを受け取ると、ゲンは早速獲物の選別に取り掛かった。 「よーく見てろよ……」 「……」 「こうやって、紙縒りを濡らさねーようにして……それ!」  と、見事に大き目の水風船を釣り上げていた。 「……おー」 「へへっ、ホウもやるか?」 「……(コクコク」  ゲンはもう一回分のお金を払い、貰った紙縒りをホウに渡す。  ホウはじーっと水面を見つめ……適当に針を引っ掛けて持ち上げた。 「おぉ、やるじゃねぇ……か……」 「……」  ホウの釣り上げた物を見て固まるゲン。  彼女が釣り上げたのは…… 「ビーチボール……だよな、コイツ」 「……おっきい」  直径30cmはあろうかというビーチボール(マスターボール柄)。  それがゴム紐にぶら下がり、ぶらんぶらんと揺れていた。  ……結局のところ、他の屋台を回るのに邪魔になるという理由で彼らは普通の水風船とそれを交換してもらったのだった。 「……ちょっと、びっくりした」 「オレもだ……ってか、やるじゃねーか」 「ん……」 「負けてらんねーな……よし、次はあれだ」  と、ゲンが目差した屋台は射的。  ここでも手馴れた様子で料金を支払い、受け取った銃をホウに手渡した。 「ほらよ。コイツで的になってる賞品を撃って、倒れりゃゲットって訳だ」 「……ん」  ホウは言われた通りに的に狙いをつけ……引き金を引く。  が。  ぽんっ!  かこん 「……」 「……大ハズレだな」 「……難しい」 「ははっ、まぁここはオレに任せとけ……んで、どれ狙ったんだ?」 「あれ……」  彼女が指差したのは……文庫本だった。  表紙には『グラエナと調味料』と書かれている。 「なんだありゃ……料理の本か?まーいいや、見てろ」 「どきどき……」  ゲンは本に向かって銃を構え、良く狙って……引き金を引いた。  すると。  ぽんっ!  ぱこんっ!  ぱたん! 「倒れた……」 「へっ、どんなもんよ!これでも昔は『タワーのコルクスナイパー』って言われてたんだぜ!」 「……微妙な二つ名」 「言うな、若気の至りだったんだ……ってまーそれは置いといて、ほらよ」  と、ゲンは店主から受け取った本をホウに渡す。 「……いいの?」 「良いも何もおめーのために取ったんだし、オレは本は読まねーからな」 「ありがと……ちゅっ」 「……んななななななななぁっ!?」  ホウははにかみながら礼を言うと、軽く背伸びをしてゲンの頬にキスをした。  往来のど真ん中で不意打ちを食らったゲンは、真っ赤になって慌てていた。  そして。 「ととと、とりあえず次行くぞ、次!」 「あっ……」  周囲のニヤニヤ視線から逃れるため、ゲンは脇目もふらずに走り出すのだった。  当然、ホウの手を引いたまま。 「ぜぇ、ぜぇ……ここまで来れば、もういいだろ……」 「はぁ、はぁ……ゲン、慌てすぎ……」 「うっせーバカ、道のど真ん中であんなことされりゃ恥ずかしいだろ……」 「気にしなければいい……」 「いや、気になるっての」 「……見せ付けてやりたいのに」 「無 茶 言 う な」 「……残念」 「っと、エラく外れの方まで来ちまったな……」  そう言ってゲンは周囲を見渡す。  屋台もまばらで、目ぼしい物は無い……と彼が思ったとき、ホウに袖を引かれた。 「ん、どした?」 「……あれ」 「お、何々?……モンスターボールくじ?」  どうやら、モンスターボールに似せたカプセルを箱から見ないで取り出すタイプのくじ引きらしい。 「……やってみたい」 「おし、んじゃやってみっか」  二人分の代金を払うと、二人は同時にボールを取り出した。  ゲンは早速ボールを開く。  と、中には一枚の紙切れが入っていた。 「何々……四等・フエン煎餅セット?」 「おぉ、兄ちゃんはこれだな」  と、そこそこの大きさの箱を店主から渡されるゲン。  箱には『ホウエン銘菓』と書かれている。 「おー、中々いいもんが当たったぜ」 「……そう?」 「まーな。ハズレとかだとマジでロクなもん貰えねーし……ってかホウ、おめーはどうだったんだ」 「ん、今開ける……」  そう言ってホウも持っていたボールを開く。  とその瞬間。  パァーン! 「のあっ!?」 「……クラッカー?」  ボールの中からリボンやら紙ふぶきやらが飛び出してきたのだった。  そしてそれを見た店主は笑顔で鐘を鳴らす。 「おめでとうっ!一等・シンオウ地方一周旅行券はお嬢ちゃんのもんだ!」 「な、何とおぉぉぉぉっ!?」 「…………」  派手に驚くゲンと、店主から賞品を受け取ってもなおぼーっとしているホウ。  視線を手元の旅行券とゲンの顔になんどか往復させ、最後にゲンに視線を止めた。 「……ゲン」 「な、何だ?」 「いつか一緒に、行こうね……」 「お……おうよ!」  その後も、二人は様々な屋台を回って祭りを楽しんだ。  輪投げに的当て、片抜きにスーパーボール(保護用)すくい。  食べ物の屋台も、あんず飴に綿飴、焼き蕎麦に甘栗にかき氷と買いあさり、二人で分けながら食べ歩いた。  そして時は過ぎ、二人は萌えもんタワーの最上階に居た…… 「ここが……ゲンの転生した場所……」 「まーな……っと、こっから外に出られっぞ」 「ん……」  ゲンはホウの手を引き、瓦礫の山を登って屋根の上へと出る。  遥か下ではいまだに人々で賑わっているのが見えた。 「いい景色……」 「景色もいいがな、ここからは空の眺めも抜群だぜ。それに、もうそろそろ花火が上がるはずだ」 「……楽しみ」  そう言いながら焼き蕎麦を頬張るホウ。  それを見て、ゲンは苦笑する。 「っはは、やっぱおめーは花より団子ってか?」 「……んく、近頃はそうでもない」 「そうか?……ってかおめー、最近よく食うよな」  ここで『太ったんじゃねーの?』と言わないほうがいいということはゲンも流石に学習していた。  が、やっぱりゲンから見てお腹周りが少し太ってきたように見えていた。  そう思っていると、ホウはお腹を撫でながら言った。 「ん……だって、二人分だから」 「あーなるほど、二人分ね………………今、何と?」 「…………///」  ホウは顔を赤らめつつも相変わらずお腹を撫でている。 「えーと……まさか、もしかして……アレか!?」 「感じる……ボクの中に、ゲンとボクの命を」 「…………」 「……ゲン?」  固まったままのゲンを、ホウはきょとんとした表情で見る。  その数瞬後。  がばっ 「っ、ゲン……?」  ゲンは、嗚咽を漏らしながらホウのことを抱きしめていた。 「っく、ぅおおっ……」 「どうして、泣いてるの……?」 「ばっ、か……嬉しいからに、っ決まってんだろ……うぐっ」 「ゲン……」 「ホウ、これからもずっと……よろしく頼むぜ」 「ん……ボクも」  少し見つめあった後、二人の唇が静かに重なる。  夜空に打ち上がった大輪の花火を背景に、二人は改めて愛を誓い合ったのだった。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ・後書き  どもこんばんわ、毎度お馴染み曹長です。  今回もテスト前効果が(ry  普段からこの勢いで作品書ければなぁ……新人さん方の筆の速度がうらやましい。  さて、今回は外伝……といいますか本編終了後のエピソードですね。  七夕はスルーしたけど季節感を考えて夏祭りでデートのお話。でもアキラメリィデルは出番なし(ヲイ  ……ああもう、ブラックコーヒー飲みながらでも口の中甘ったるいんですけど(ぇ  とりあえず期待されてしまったので書いてしまった、反省はしない(マテ  てかマジでこいつら人気あるなwwwなんでだwwwww  ……え、タマゴグループ?知るかそんなもん(コラ  さて、次回の予定は……未定(ぇー  まぁできるだけ頑張って本編書くよ!  それではまた、次回の後書きでお会いしましょう。 ・補足  作者は萌えもんは「卵生」だと考えてます。  ただ、私のイメージする「タマゴ」のサイズ(幼児が一人入る程度)だと、妊娠期間のようなものがあってもいいかなと思っていますのでこうなりました。  流石にスリムなお腹のままでそこそこ大きなタマゴが生まれてくるのもアレですしね。  また、タマゴの解釈については諸説ある(タマゴで生まれた派、タマゴのように見える保育器派等)ので、この後どちらとでも解釈できる終わらせ方にしました。

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