5スレ>>759

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「夏だ!」 「海だ!」 「だからって水着かよ!?」  ここはハナダシティジム。  このたびめでたくこのジムのトレーナーとして受け入れられたエド。  その初日でこれである。……軽く状況説明しようか。  歓迎パーティーの名のもとに、ジムリーダーカスミの許可を取り付けジムのプールで水着パーティーを決行したのだ。 「えと、どう? アルバート」 「…………(萌え尽きたぜ、真っ白にな)」  こちらは水着姿の言ノ葉(髪型はもちろんポニーテール)にKOされてるアル。 「もう……すこしはこの普段は隠れてる肌をこれでもかと見せてるビキニな私に反応しなさいな」 「え、え? なにそれ、どういう意味ルク、ってなんかものすごい殺気が2つほどー!?」  最初にエド&レンに突っ込みいれたリンだが、ルクの悪戯でさらに振り回される。  レン、及びハバキがものすごい形相でこちらを睨みつけている。 「ちょっと! 僕は浮気なんかするつもりないよ!?」 「あなたになくても、私にあるんです……ふふっ」  その様子を遠巻きに眺める影が2つ。 「やれやれ。いつものことだが、ルクは悪戯好きにもほどがある」 「見てる分には退屈しないでしょう? 感謝こそすれ、文句はいいっこなしですよ」 「……そうだな」  この2人……雫羽とメアは水着に着替えてすらいない。  そんななか、エドにこっそり近づく影が。 「……エディ……」 「ん、おそかったねジニー」  台詞をすべていいこそしたが、振り向いたそこで停止する。  なんのことはない、言ノ葉と同じスクール水着だ。  それをヴァージニアが着ている、ただそれだけだ。  ただ、それだけだというのに。 「いこうジニー、そのすがたは目に毒だ他の誰かに見せちゃいけないさぁ着替えるんだ着替えは僕が見つくろうからさぁ早く!」 「え、ちょっとエディ、まって、まってってばー!?」  エドは暴走してしまった。  さすがの変態紳士である、すでに誰もいないであろう更衣室へ一直線に翔けていった。 「HA☆NA☆SE!」 「だが断る!」 「月は出ているか!?」 「安心しろ、峰打ちだ」  そのあいだもリンの受難は続いていた。 「……アルバート?」 「……(まさに『お持ち帰り~!』の気分だ)」  こっちもこっちであいかわらずだった。  そんなこんなで一段落。  ヴァージニアは普段の格好と似たような──臍こそ出ているものの、そこを除けば露出度は若干下がった──格好に。  アルは鼻血がひどいという理由で言ノ葉に連れられて医務室へ。  リンは冷凍ビームをルクに放ち(手加減してダメージなし、凍らせただけ)、水中に逃げた。  そこにハバキを蹴っ飛ばした反動でレンが飛び込み、ルクは胸でハバキの頭を受け止めた。 「(こうして静かな水中に居ると、普段どれだけ賑やかなのかがわかるな)」  プールの底に近いところまで潜ったリンは、唐突にそう思った。  ふと水面を見上げると、綺麗な形に光が濃淡を作り、心がいやされた。  そこに、恋人が加わったとあればなおのことだった。 「(……え、レン?)」  そこでなぜ自分が水中に入ったのかを思い出し、焦る。  しかし焦ったところで素早く逃げられるわけでもない。瞬く間に距離を詰められた。  しかし、何か違う。違和感の正体に気づいたのは、レンの表情をしっかり確認した時だった。 「(……泣いて、るのか?)」  もちろん、水中だから雫が頬を伝うわけもなく、上がったところで涙に濡れたのかなどわからない。  それでも、その顔は泣いているものなのだ。  だから近づいてきた唇に、自然と自分のものを能動的に重ねていた。 「「────」」  だいぶ長いことそうしていると、当然息苦しくなる。  相手の背中を叩いて講義するレン。  するとなぜか舌が侵入してきた。 「(な、なんだぁ!?)」  驚くレンだが、次には納得していた。  つまり、口移し。  リンが水中に逃げたのは、彼が他より桁違いに長く水中で活動できるからだ。  酸素を効率よく使えるから、こんな芸当もできるのだ。  まぁ、直後に浮上するのは照れがあったからだろうが。 「……ぷはぁ、はぁ、な、なにするのさぁ!?」  それでも恥ずかしいことに変わりはない。  即座に文句を言うのだが、返事が返ってこない。  疑問に思っていると、ふと自分達の状態に気づいた。  リンに抱きかかえられる形で浮いているのだ。 「────っ!?」  恥ずかしさの余り赤面するが、その際にリンの顔を見ればやはり赤い。 「……あの、その、自分で泳げる、からさ、放してくれるかな……」 「……もうちょっと」 「ふ、ふええ!?」  いつの間にかリンはキャラがだいぶ変わっていた。 「ハバキ、あなたも大概嫉妬深いわねぇ」 「……いまいち、お前に愛されている自信がないのでな」  プールサイドで膝枕されているハバキ。  レンがすさまじい勢いで、しかも頭を蹴ったため、立ち上がることができなかったのが原因である。  別にもう立てるはずではあるが、どちらもそのことを口にはしない。 「もう……そんなんだから、余計からかいたくなるってわかってる?」 「だからともいえる。いかんな、どうにかすべきだとは思っているのだが」  なんだかんだいってこの2人もいい雰囲気である。  その雰囲気に中てられてか、自然と口をついて出る言葉。 「水着というのも、乙なもんだな」  するとルクは、今さらながらに顔を赤くし、 「べ、別にあなたのために着てるんじゃないからね?!」  などとごまかした。  別に素で言っているわけだはなく、ネタとして言っている。  まぁ、照れていることに変わりはないが。 「……瑠琥」 「っ、なに?」  名前を呼ばれ、さらに動揺する。  だが、続く声はひどくやさしいもので。 「俺は、お前を愛してる」 「────っ」 「そして、お前に愛されたい」  そして、あまりに一直線で。  紡ぐ余裕すらなく、答えは行動で示した。  それは、口付け。 「──、今夜、そんなに眠れなくなりたいのなら、お望みどおりにしてあげますわ!」  照れ隠しに少々硬い口調でこそあるものの、それはつまり照れているわけで、  つまりそれくらいには思っているわけで。 「……やれやれ、好きだなお前も」  そういって、またあわてるルクを見たハバキはこう思った。 「(ああ、俺がこれをもっと見たいのと同じか)」 「ねぇ、エディ?」  膝から先だけで水面を叩く少女が言う。  その可愛らしいお尻を乗せているのは胡坐を組んだ足。  その持ち主にして自らの恋人に話しかけて。 「ん? なんだい?」 「ひょっとして、全部計画通り?」 「まさか。いちゃらぶしてくれればいいとは思ったけど、僕はエスパーじゃないからね。  他人の思考回路を理解なんてできないよ。まぁ、エスパーでもできるかは知らないけど」  その恋人……彼女のマスターでもあるエドワードは、さも心外と言わんばかりに答える。  実際、どこまで予想していたのかは誰にもわからないが、ある程度予想していたのは間違いないだろう。  楽しそうに笑っている。 「それよりさぁ、いいの、こんなに密着してて?」 「? どういうこと?」  その笑みを崩さず、後ろに預けた体重を支えていた腕を自由にし、すぐそばの女を抱きしめる。  水面を叩く足が止まった。  その次の行動──振り向く、それより早く、顔を埋める。その首に。 「──ひあ!?」  あくまでなぞるだけ。何ともいえぬこそばゆさに、双方何ともいえぬ状態だ。  よくわからない描写だが、ともかく我慢比べだと思ってもらえばいいだろう。 「……っ、エディ……!」  そして、先に音をあげたのはヴァージニアの方だった。 「ん? なんだい?」  先ほどと同じ返事。続くのは、まるで方向性の違う台詞。 「どうせキスするなら、唇にして……!」  さて。こんなことを言われて、何も感じないという男が果たしてどれだけいるか。  エドワードはその中に含まれるはずがなく、感じたのは愛おしさだった。  そして好きだからこそ苛めたいとった性格でもなく、結果その言葉に従う。 「────っ」 「ん……っ」  最初は触れるだけ、だんだん強く。情熱的に、積極的に。  人目など気にせず、ただ思うがままに。 「──はぁ、エディ……」 「……ジニー」  唇を放し、名を呼び合う。  そこでお邪魔が入るのはもはやお約束。 「はいはい、ここではそれ以上しないでねー。ここは公共の場だよー」  一行の突っ込み役兼ストッパー、リンくんの一言である。  むしろお約束とわかった上で止めているのかもしれない。 「……楽しかったねぇ。毎年恒例行事になるよう、カスミ嬢にたのんでみるかな」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  ~あとがき~  水着の話が出たから書いてみた。  時間軸としては本編終了後、雨乞いパに近い手持ちを考慮して  エドがハナダジムにトレーナーとして採用された後。  雨パに対して晴れパ、なんて理由でサバトちゃんは晴れパになる予定とネタバレ。  最後が無理やりすぎるかな~?以上番外編、まだ本編に出てすらいないキャラまで書いた吸血の人でした!

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