5スレ>>771

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荒野。 赤茶けた土はギラギラと照りつける太陽で熱され、上に乗っかっている空気を常に揺らめかせる。 陽炎のせいで、前後左右どの方向を見渡しても遠くの景色はおぼろげだ。 「あー、あっちぃー…」 …てかなんで俺こんなとこにいんだよ。 トキワシティどころかカントーのカの字すらみえねーんだけど。 ジョウトやホウエン、シンオウ…どこに行ったとしても、こんな漫画やゲームみたいな荒野は今時みつかるまい。 「…いや、実際ゲームの世界なんだけど」 …なんでこんなファンタジーな世界に俺がいるのかはまったくわからない。 が、分からなくても、俺がここにいるという事実は決定的であり、ほんのわずかも動かすことができなかった。 『そダよー、ゲームなんだかラ楽しまないと損なんだヨー』 …天から声が聞こえる。…幻聴ではなく、ゲームにおけるGM、ゲームマスターの声。 電子音声のようなその声を発しているのは、GMを担当する複数のポリゴンのうちの一人だ。 さっきからずっと、こんな風にアドバイスやナビゲーションをしてくれているが… (正直ちょっとうるせぇ…耳が疲れるんだよこの声…) …初心者に自動アドバイス機能がつくのは、この手のゲームのお約束のようなものではあるが。 何もわざわざGMがやることないんじゃないだろうか。 『イやー、それがネー、まだ試行段階だカらさー、プレイヤーが少なクテさー、暇なンダよネー』 …他にもやることいっぱいあるだろ、普通。 『おっと、定時アドバイスの時間ダね!《武器や防具は装備しなイと意味がないゾ》!」 「それ萌えもんじゃなくて某ドラゴン(ry)だろ!?」  M(萌えっこ)M(もんすたぁ)O(オンライン)         クリム編 第一話 『ネトゲもので中の人が電脳世界にダイブはお約束』 「…そもそも荒野なのになんでBGMが1番道路のアレなんだよ…  そりゃ序盤のBGMではあるけどもっと他のないのかよ…」 ぼやいててもしっかり歩くのは、かつて旅をしていたころの習慣か。 文句を言っても道は縮まらないが、何も言わなくても足を動かせば体は進んでいく。 歩きながら、ステータス画面を開いて装備をチェック。 クリム Lv5 ♂ 人間/ローグ(戦士と盗賊の間あたり) HP 20/20  MP 15/15 こうげき:15 ぼうぎょ:11 とくこう:7 とくぼう:9 すばやさ:21 装備 頭:古びたゴーグル    経年劣化の激しいゴーグル。砂埃から目を守るくらいはできる。 体:レザージャケット    革のジャケット。別に下は何も着てないなんてことはない。 右手:キャットテイル    猫の尾をイメージした、練習用の鞭。そこそこ頑丈だが攻撃力は高くない。 左手:木刀    その名のとおり木でできた刀。殴ったら痛いではすまない。 足:レザーブーツ    革のブーツ。手入れはこまめに。 アクセ1:オールドマント    古いマント。ところどころの色が薄くなっている。 アクセ2:なし 最初から結構装備が充実…しているのだろうか。これは。 GMからのランダムプレゼントで手に入れたゴーグル以外は初期装備。 うーん、しかし…    「まてまてーい!」   あ!やせいのツボツボが現れた! っと、エンカウントか! 俺の職業、ローグは比較的すばやさが高い職業なので、先制をとりやすい。 「……ていっ」   クリムの攻撃! 「(ペシィン!)あひぃん!」   きゅうしょに あたった!   ツボツボに22のダメージ!ツボツボを倒した!   クリムは12の経験値と10Gを手に入れた! …いくらゲームとはいえ、萌えもんを鞭で引っぱたくのはいささか抵抗があるんだが。 なんかいろいろ嫌な事思い出しそうだ。R団とかR団とかR団とか。 今はまだいい。ゲームと割り切ればいいし、 何度か戦闘を経験したがダメージを与えても血が出るわけでもないし。 こっちがダメージを受けても、痛みは実際に戦ったときの半分にも満たない。 でもなぁ…もしこれで… 「シャワーズとかみんなと同じ種族の萌えもんがでたらかなり―――」   「あ、マスター!?」   あ!魔王軍の シャワーズが現れた! 「え?」 「えええええ!?」 お、おい!ちょっとまてGM!どういう事だこれ!? シャワーズもプレイヤーじゃないのかよ!?なんで敵キャラクターとして出て来るんだよ!? 『あー、アレでスねー、魔王に洗脳サれた半NPC状態なんデすねー。  戦意を奪った上で、倒せば洗脳がとけて仲間に加えられマすヨー、要すルにイベント戦闘ですネ』 「…マジかよ…」 「『魔王様の敵となる人間、その命貰い受ける』…って、何勝手に喋ってるんですか私!?」 …やっぱりアレ、間違いなく俺のシャワーズだ。 しかし参ったなぁ…さすがに自分の嫁を鞭や剣で叩くのは駄目だろ、いくらなんでも。   クリムは ようすをみている!   シャワーズはスキルを発動、『水の波動』! 「か、体が勝手に…!?」 「っとぉ!?」 咄嗟に斜め前にとび、飛んできた水を交わす。   しかし 攻撃ははずれた! あっぶねー…とりあえず動きを止めて… 説得してなんとか戦いをやめさせないとまずいな…耐久力ないからあんなの食らったら死ぬ。一撃で。 「…なら、これでっ!」   クリムのスキル発動、『ハンドスラップ』! 鞭をしならせ、シャワーズが握っていた片手剣の峰を叩く。 強烈な衝撃に手から剣が零れ落ち、地面に突き刺さる。 「まだまだっ!」 鞭を反転、今度はシャワーズの細い手首に巻きつけ――― 「痛みは一瞬だ―――我慢しろよ、シャワーズ!」 「それどこの怪盗さんで…きゃあっ!?」 思いっきり引っ張って体勢を崩し――― 「…そこだっ!」 さらにこちらによろめいてきたシャワーズにタックル、そのまま押し倒す! 「あいたっ!?」 「っと、悪いな」 後頭部をぶつけたらしいが、この際まだマシだと思ってもらうしかない。 とりあえず鞭で両手首を拘束すれば、もう水の波動は命中しないだろう。 「ふー…さて、とりあえずお前を倒さないと仲間にできないわけだが…」 「う、うぅ…」 こうやって押し倒し、馬乗りになった状態で、目を潤ませたシャワーズを見ていると… さすがにこの体勢からさらに殴るなんてことはできそうにない。 そもそもシャワーズの耐久力を考えると一発殴ってすむものでもないし。 となれば、どうしたらいいものか… 「ま、マスター…大丈夫です、我慢しますから…一思いにやっちゃってください!」 「…ちょっと黙って待ってろ、今考えてる」 「あうぅぅ…」 要するに戦意と体力を奪えばいい。 こちらを倒そうとする意思を屈服させ、水の波動どころか拳一つ出せないくらい消耗させてやればいい。 …だとすれば。 「GM、とりあえずアレだよな、体力と戦意を奪えるなら方法はなんでもいいんだよな?」 『そうですヨー、何でもオッケーデスよー、元が元だから多少ぶっ飛んだ手段でも可なンデすよー、  たとえば笑いを取って息切れさせて消耗させるトk』 「えーっと…アドバイス遮断のコマンドを…《@advice》っと」 『アれー、どうやるか見せてクれないんでスかー、興味あルノにー』 「悪いがこっから先は企業秘密だ」 アドバイスとGMの気配がもうしなくなったのを確認し、組み敷いたシャワーズに向き直る。 「あの、マスター」 「どうしたシャワーズ」 「笑顔がすっごく怖いんですけど…」 うん、まぁ自分でも相当意地悪な顔してると思うし。 「許せよシャワーズ、全部お前のためなんだ…俺もつらいんだ」 「ちょ、ちょっと、言いながら服に手をかけないでくださ、や、脱がさないで、だm―――――」 3時間後――――――   シャワーズを倒した!   クリムは50の経験値と70Gを獲得!レベルが6にアップ!   シャワーズは仲間になりたそうな目つきで こちらを見ている!   シャワーズが 仲間に加わった!   シャワーズをフレンドリストに登録した!   

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