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「主、朝じゃぞ! 起きぬか!」
「ご主人様、すでに目覚ましも沈黙しています」
僕のややこしい毎日は、こんな風に始まる。
~るぎゃーとほーおー・てーるおぶからー~
「……誰のせいで眠れなかったと思ってるんだよ、まったく……」
2人してくっついてきやがって……
なんだっけ、父と母が子供を引っ張り合って、先に放した方がなんちゃらってやつ。
あんな感じ。引っ張るというかひっつくというか。
「こ奴のせいじゃ」
「阿呆王のせいです」
いやそこでそんな風に即答しないでほしい。どう突っ込めというんだ。
「阿呆王とはなんじゃ阿呆王とは」
「わかりました。どあほうおう、と訂正しましょう」
うん、とりあえず。
「あんまりあほとかいわないの。ホウオウも、責任転嫁しないの」
両方叱っておこう。同じだと喧嘩しそうだから理由を変えて。
「うむぅ……わらわが悪かったのか……?」
「あうぅ……ごめんなさいご主人さま……」
うん、一応どっちも反省してるみたいだし、こんなもんでいいか。
「はい、反省したら朝ごはんにしましょう。さ、2人ともしたくして」
今日の朝ごはんはトーストにバターやシナモンやらを塗りたくった、簡素ながら美味しいメニュー。
「んぐ、そういやホウオウは色違いなんだね」
顔を突き合わせてのご飯。何も話さないのはあまりにも寂しいので、適当に気になっていたことを尋ねる。
「うむ。どうじゃ、主は好きかの、わらわの色」
「うん、好きだよ。赤と銀。いいじゃないか」
肯定、そして返される質問に同じく肯定。
それだけでなぜか調子に乗る。
「うむうむ。やはり孤島の引きこもりなんぞよりわらわが好きか。うむ!」
「いや、色合いが好みってだけでなんでそうなるかな」
控えめではあるが、ここには突っ込みを入れなければなるまい。
「なにをいう。萌えもんの色と言えばすなわちそのまま魂の色。
それを好きだというなら、それはすなわち、わらわを好きだというの同然じゃろう」
「いやいや。第一銀はルギアにも入ってるし、僕は青も好きだよ」
こう言ってやると、いままで黙って──それもかわいいしぐさで──トーストにかじりついていたルギアが。
「むぐ、ご主人様……私の色、好きですか?」
なんて言ってくるものだから、僕はすかさず答えていた。
「うん。ルギアの青は、特に好きだな」
「…………はぅ」
自分で言っておいて、すこし照れたくらいだ。
ルギアにとってはもっと恥ずかしかったろう。
「……むぅ。わらわの赤と、どちらがすきなのじゃ主」
なんて、ホウオウが突っかかってきたときは、軽く感謝してしまったくらいだ。
「ん、どっちも同じくらい好きだよ」
これ幸いと答えたのはいいが、それっきり2人とも口をきいてくれなくなった。
まぁご飯が終わるまでだったけど、はたして僕は何か失言をしただろうか……?