5スレ>>833-1

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「ほれほれほれ、よいではないかよいではないか」 「んやあ、やめ……! ご主人様、なぜ止めてくださらないんです……っかぁん!?」  今俺の目の前ではルギアがホウオウに襲われている。  なぜ止めないかって?  だって、ねぇ。  普段あれだけ迷惑かけられてるんだ。たまには2人だけでじゃれていてほしいと思わないかい?  それになりよりさぁ。  このシーンをカメラに収めないでどうするのって感じ。 ~るぎゃーとほーおー・これってコスプレ? サイドA~ 「ああいう場面に男がいるものではないだろう、主」  とヒスイさんに言われてしまった。カメラも没収されちゃったよ。  全国の大きいお友達になんて言い訳すればいいんだい。 「……あれ? サラは?」 「ああ……中に残ってる」  …………なん、だって? 「コガネくんヒスイさん、今なんて言った? あのサラまで中に残っているだと!?  くそっ、それこそカメラに収めないでどうしようって状況じゃないか! ちくしょう、ちくしょう!」  え? キャラ違うって? こっちが地だよ! 「……大丈夫かな、サラ」 「大丈夫だろう。ルリもいる」  ……あの、ルリまでもが中に居るだと……!? 「くそ、カメラ返せヒスイ!」 「……ヒスイさん……それ、むしろ不安なんだけど……」 「……そうだったな……」  ええい、カメラ返せって言ってるだろ、この── 「「とりあえず黙ろうか、マスター」」  ──あれ? なんか目の前が急に暗く…………  ……っは!? 「おはよう、マスター」  サラ? あれ? ここはどこ? 「……何があったかは知らないけど、あんまり2人をおこらせないほうがいいよ?」  ……ああそうか、俺はあの2人に叩きのめされたわけか。  そしてサラがここに居るってことは……? 「……身体測定は終わったの?」 「うん」  ちくしょう、ちくしょう!  おい、誰か撮ってないのかよ!? 「あと、ホウオウがマスターの財布持って買い物に言ったよ」 「……なん……だと……!?」  さらに悪い知らせ。  あのトラブルメーカーが、俺の財布を持っていった。  ≒スッカラカンになる。  ……なんてこったい。  今から止めに行っても遅いんだろうなぁ。 「ただいまじゃー!」  ……ほらね?  もう帰ってきてるんだもん、遅すぎたね。  とりあえず。 「勝手に人の財布を持っていくんじゃありません!」 「ま、まあそういうな主。わらわとて無駄に金を使ったわけではない。  主に驚き喜んで欲しかったからこその強行なのじゃ」 「問答無用!」 「ぎにゃあん!」  やたらとでかい袋をみればそれだけで殴る理由になるわぼけぇ!  全く……さて、一体なにを買ってきたんだか。  俺が袋の中身を改めようとしたら、即座に復活してきたホウオウが言う。 「おっとう! いかな主とてこれは見せるわけにはいかんのう」 「じゃあ聞くけど、何これ? 言えないような代物?」  否定が返ってこなかったらまたしても問答無用で棄却してやるつもりだったが、そうもいかなかった。 「服じゃ、服。それは主様からすれば多少値の張るものかもしれぬが……  おおよそ普通の女性が購入するようなものから見れば安い方じゃと思うぞ」  中身が気にはなったが、聞くより早く財布を放り投げられた。  あわててキャッチしたときには、すでに逃げられている。 「……まったく。驚かせるのはいいけど、あんまりおかしなものだったらまた殴るからね!?」 「なーに、問題ないじゃろうて! わらわが良いというまで覗いてはならんぞ、主ー!?」 「覗かないよ!」  ……服装で驚かすってことは、コスプレだろうか。  メイドだったりしたらぶんなぐろう。  とりあえず待つしかできないなら、ということで部屋に戻った俺。  さてどうやって暇をつぶそうかと思案すること10分。  え? 長い? 無趣味なんだよ。……閑話休題。  とにかく暇を持て余していた俺、その部屋に、ノックの音が転がったわけだ。  誰にも会えない顔でもないし、あの野郎まだいやがったのかという場面でもない。  素直に俺はこう言った。 「どちらさまでー?」 「わ、わたし……です、ご主人様……」  返ってくるのはルギアの声。  わざわざ声真似するような奴もできるような奴も知り合いにはいないから、まぁ本人だろう。  やけにためらっているようだが、はて。 「……ああ、ホウオウになにか着せられて、それを俺に見せて来いと発破掛けられたと?」 「はい……そのとおりです……」  計画通り……もとい、予想通り。  おかしいな、なんだかネタに走ってるな今の俺は。  振り回されたせいですっかり頭がギャグに傾いてるのか?  まぁとりあえずだな。 「入っておいでよ。恥ずかしい格好なら、なおさらさ。  他の誰かに見られたくもないだろう? ……いや、ホウオウとかロリ達には見られてるかもしれないけどさ」 「……その……驚かないでくださいね? これが私の趣味だとか思わないでくださいね?」 「思わない思わない。ホウオウがやらせたってことはわかりきってるんだから」  優しく、そっと誘導する。  惜しむらくはカメラがないことだが、彼女にカメラを向けることだって気が引ける。  素直に網膜というフィルムに焼きつけるにとどめるさ。 「……では、失礼します…………」 「うん、いらっしゃ────」  うんごめん、気が引けるなんて言ってる場合じゃなかった。  冗談じゃなく可愛い。かわいすぎる。  独り占めしたいという気持ちもあるがそれ以上にこれは全人類の半分が共有すべきだ。  すでに服でごまかされない、ありのままの体を見たことはあるがしかし。  それでもなおその女性ならではのやわらかなラインを見事に引き立てるそれはそう、  ──体操服だった。 「ご主人様……? あの、やはり変でしょうか……?」 「ははは何言ってるんだいそんな・まさか・バカな」  後半を3文字づつテンポよく音読する俺。そう、音読だ。  そこに気持ちなぞこもっていない。ただ言わなければならなかった、一人類の半分を代表するものとして。 「──すごく魅力的だよ。可愛いとか、似合ってるとか、そんな言葉じゃ表せない」  そしてこれは、偽ることない本心。  この場面、自分の言葉で褒められなければ男がすたるというものだ。 「はうぅ……」  伝説というと、こうお貴族様なイメージが先行してしまうが……  ルギアはそういったキャラとはほど遠く、むしろ嫁入り前の箱入り娘、といった感じだ。  表現が古いかもしれないな。まとめは現代風にかつ簡潔に言おう。  つまり、ギャップ萌えというやつだ。今の俺の感情を言い表すならば。THE倒置法。 「…………あ、」 「…………あ?」  頬を染めてうつむきながら、五十音の最初の音を奏でるルギア。  顔が赤い=怒っている、そんな風に思う朴念仁な俺ではない。  やさしく、ただ聞き返す。それだけで、続きは聞ける。 「…………ありがとう、ございます」 「…………こちらこそ、ありがとう」  とっても可愛いよ、とは言わなかった。  きっと、そのまま何も言わなくなってしまうから。 「ばーん! っとわらわが登場じゃー!」 「うん、わかってたよフラグブレイカーとシリアスクラッシャーを足して2で割ったのを人にしたような君、  アホウホウが登場するタイミングをうかがっていたことくらい」  正直、ぶん殴ってやりたかった。  でも、そうするには彼女は可愛すぎたんだ。  スレンダーなルギアに反発するかのように、見事に出ているところは出ている。  かわりに、少々上背が足らないが、そのアンバランスさが逆に成長中の少女といった雰囲気を醸し出している。  いやわかってるよ、本来はスレンダーな方がそうなんだってことは。  イメージの問題なんだイメージの。  さらに言うならばやはりホウオウも体操服を着ているわけで。  起伏にとんだ体もまた、よく引き立てられていて。  正直に言って、 「……かわいいなぁ……」 「む? 可愛いと言うたか? わらわをかわいいというたか!?  そうじゃろうそうじゃろう! わらわほど何を着ても可愛い女もそうはおらぬわ、あっはっは!  どれ、あほうおう呼ばわりはこれに免じて許そうではないか! よろこべ主様!」  これさえなければ、ほんとに美少女で通るっつーか、ルギアとは別の方面で、  魅力しかない女の子だったんだけどな……。  これがいいって言う奇特な方はどうぞお持ち帰りください。ああ俺か。 「……気に入ってくれたようじゃの」 「まあね。以外なチョイスだったと言っておこうか」  ルギアに対してギャップ萌え、とのたまった俺だけど。  正直、ホウオウに対しても似たようなもんなんだよね。 「勝手に財布の中身を遣ったことは、ここでもう一度謝らせてもらうぞ。  重ねて言うが、ただ、主様に驚き喜んで欲しかったからなのじゃ」 「……うん。今回はこれに免じて許そうではないか」  あ、笑った。 「……ふふふ、どこかで聞いた様な台詞じゃの、主?」 「そりゃあ誰よりも君が一番聞いた台詞、だろうねえ」  こんな、しっかり真面目な部分も持ってるんだよ、この娘は。  普段が普段だから、急にこう綺麗な部分を見せられると……その、なんだ。ときめいちまうわけですよ紳士の皆様。 「……ふふふ……しかし主様は体操服萌か……ぶるまぁも購入すればよかったかの?」 「おいこらちょっとまて俺をさりげなくそういう属性持ちのように言うんじゃない」 「……なに……? ちがったのかえ……?」 「意外そうに言うな!」  まあ、この真面目さがもうちょい続いてくれれば、なんて言うのは贅沢なんだろうね。 「……ご主人さまは、やはりぶるまぁとやらをはいている方がお好きでしょうか……?」 「ああ、ごめんよほっといて、でもルギアにまで俺をそういう目で見られたくなかったな」 「して、どちらが好みで?」 「普通に半ズボンの方がいいわい、じゃなくてだなぁお前ら!」  ま、俺らに真面目は似合わないってことで。 「きゃー、おかされるー♪」 「はわわわ、ごめんなさいご主人様ー! お詫びに今日はこの格好で添い寝しますからー!」 「だー! かー!! らー!!!」  ──騒がしいわい、この疫病神どもめ!

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