5スレ>>850

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私から見える世界は、いつだって突き抜けたように醜くて、 ノミの大きさほどしか救いがなくて。 それでいて、すべてを拒絶するように美しいんだ。 「お前らなんかに、私を汚すことは出来ないのさ」って、 この世界はいつも満面の笑みでこちらを嘲笑っているんだ。 だから私も、そうやって笑うことに決めたんだよ。 【変人哀歌】 周囲から「あっちいけ」と嫌がられるようになったのはいつからだったか。 幼いころはそれが「自分のせいだ」と深く思い悩んだものだったけれど、 それが金持ち連中から仕組まれた罠だったのだということに気づいた時には、 自分が馬鹿らしくなって悩むのを止めた。 確かに金持ちは偉いさ。まあ、だからといって自分の気に入らんものを 力づくで(時には周りを買収、懐柔してまで)排除することはないだろうと思う。 というかそれだけの労力をかけて、ご苦労さまなことだ。 自分と同じように、周りから「あっちいけ」と言われてる女の子と偶然知り合い 仲良くしてもらったこともあったが、いい加減周りがうざったくなってきたので 家に閉じこもるようになった。 家の中から見える世界は、私のことなどお構いなしでどんどん変わっていく。 この町の子供社会に蔓延っていく陰湿なイジメも、力関係も、私の空虚な 思いも「そんなもの知ったことか」とばかりにぐるぐる変わっていく。 なんでこの世に生まれたんだろう、どうしてこの世はこんなに薄情なんだろう。 思春期特有の、特に理由も無い鬱屈とした思いで何日も何週間も何ヶ月も 過ごし、手段もないのに「そろそろこの世からお別れしようか」と思って 家を飛び出した。 その時、どこかの町で出会った人(もう顔も覚えていない)から 「この世に救いがないのなら、自分で作りゃいいじゃないか」と 凶悪な笑みでそう告げられた次の日ぐらいから、私の気持ちはなんとなく 晴れやかなものに転化していったっけなあ。まあ、引き篭もりは続いたけれど。 「おい変人、何ぼーっとしてんだよ。さっさと行くぞ日が暮れん内に」 大して美しくもない思い出を、支離滅裂な言葉を脳内で紡ぎながら 思い出していたら、ワトソン君に怒られた。 なぜかマサラタウンに住んでいたミズゴロウの彼は、時々強烈な毒舌を吐くけど 基本的に面倒見のいい素直な子だ。 何だかんだ言って、旅立つ時にパートナー萌えもんがいなかった私の後を ついてきてくれたし。 最近よく気になるのが、彼の目にはこの世界はどう映っているんだろうか ということだ。 彼は強いというか、しなやかな強靭さがある性格で、私のように捻くれてはいない。 きっと彼の目には、私とは違う世界が映っているんだろうということが 容易に想像できるのだけれども……。 ただ何となく、同じ物をみたとしても、私とは全く違うものが彼の目には 映っているのだという事実が、寂しく感じられるようになってきたのだ。 「……おい、本当にどうしちまったんだよ今日は。  調子悪いのか? 何だったら明日は萌えセンで一日休んでるか?」 「んー? いや、ちょっと考え事してただけ。気にしないでいいよ」 ドクケイルとコーさんの二人は、今日はボールの中に入ってもらっているから 辺りは静かなほうだ。ワトソン君だけが外に出ているのは習慣的なものであって、 別に彼が望んだわけではない。私としてはひとりで黙々と歩くのも好きだが、 最近はこうやって彼と何気ないやりとりをするのも段々悪くなくなってきた。 「変人」だの「変態」だの言われても怒る気がしないのは、彼が本心から 私のことを馬鹿にしてないのが感じ取れるからだろうか。 「次の町は平和なとこだといいな。もう犯罪結社の相手はしんどいぜ…」 俺らは無償で働くヒーローじゃないんだから、とワトソン君が嘆く。 犯罪結社というのは恐らくロケット団のことだろうか。確かに最近、彼らは ちょっと精力的に動きすぎている。 「そうだなあ。ま、また現れたとしてもワトソン君の蒸気で一発だがな」 「だからそのネタ止めろ! 蒸気なんぞ出ねえって何べん言ったら気が済むんだよ!」 ほら、そんな風に即座に返答してくれるから、からかうのが止められないじゃないか。 「ははは、明日はどうしようか? 特訓でもやるかい、ジャンプ的な」 「友情パワーで化学反応でも起こりゃあ御の字だが、ありゃフィクションだからな  先に言わせてもらうと!」 そんな風に真剣に反応を返しても、無駄なんだよワトソン君。 私から見える世界は、いつだって突き抜けたように醜くて、 ノミの大きさほどしか救いがなくて。 それでいて、すべてを拒絶するように美しいんだ。 「お前らなんかに、私を汚すことは出来ないのさ」って、 この世界はいつも満面の笑みでこちらを嘲笑っているんだ。 だから私も、そうやって笑うことに決めたんだ。 だから、だからそんな風に本気で正面から対応されたら、私が困るじゃないか。

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