2スレ>>29

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リュリュと一緒に    初めて会った時はお互い子供だった。 自分が何故こんな事をしてるのかも分からない。分からないという考えさえ働かないくらい小さな時。 ただ本能の求めるままに餌を探して、そのまま河に流されて、そのまま息絶える……はずだった。 そう、結果は違った。違ってくれた。 私は助けられた。 その頃まだミニリュウだった私を、まだ子供だったマスターが助けてくれた。 私を抱えたマスターは血相変えて近所の博士の家に飛び込んでいった……らしい。 当時の事をあまり覚えていないのが悔やまれるけど、あのマスターが私のために焦ってくれた。それだけで心が温かくなる。 その時は解らなかったけど、運が良かったのだ。 近所に私達に詳しい博士が住んでいたことではない。 私を一番最初に見つけてくれた人が、あの心優しい少年だった事。 それが、私を生かしてくれた最大の幸運だった。 それにあの人なら、例え私を拾ったのが山奥だったとしても……助けてくれるに違いない。 それから私達は一緒に暮らした。 彼の母親は彼に似て優しい人だったから……この場合"彼"が"母親"に似て優しい性格だと言うべきなのだろうが。 まぁとにかく私と暮らすのに反対はしなかった。いや、むしろ家族が増えると喜んでいた。 そう、彼らは私を決して飼わなかった。一人の家族として扱ってくれた。 同じ食卓を囲み、同じ物を食べ、同じ生活をした。 嫌いな物を残して困らせたりもした。 出会った日を誕生日にして、毎年プレゼントをくれた。 一番初めにもらった物は、彼がくれた『リュリュ』と言う名前。彼が名前を呼んでくれるたびに大声で返事をしたっけ。 どんなわがままだって聴いてくれた。 ある時私の部屋を用意しようかという話になったが、私は彼と一緒がいいのでそれは断った。 今だって私が少し無茶な要望を言っても『仕方ないなぁ』というお決まりの台詞と苦笑いでもって、私の望みを叶えてくれるだろう 今でこそ、萌えもんの権利に関する様々な討論を知っている今でこそ、当時の彼らの考えの希少さを知り、感謝できるが その時の私にとってはおいしいご飯を作ってくれる母と、誰よりも大好きな優しいお兄ちゃん。 ただそれだけの関係であり、ただそれだけで幸せだった。 ずっと幸せだと思ってた。ずっと一緒にいてくれると思ってた。ずっと……私に笑いかけてくれると思ってた…………。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 始まりは突然。 大きくなった彼と、彼ほどではないがそれなりに成長した私。 二人でいつも通り遊んでいると、隣のおじいさんに声をかけられた。 二人で話がしたいから席を外してくれと言われ、しぶしぶ一人で家に帰る。 『一体何の話なんだろう? そういえば隣のナナミさんの弟も見てないし、三人で話してるのかな。』 疑問は尽きなかったけど、別に心配もしてなかった。帰ってきたら何して遊ぼうか、とか。その程度。 程なくして帰ってきた彼から告げられたのは、とんでもない言葉。 『俺、旅に出ようと思うんだ』 これだけでも衝撃を受けたのに、旅の目的を聞いてさらに衝撃を受けた。 『トレーナーとしてリーグを目指し、図鑑を完成させる。』 え? 何で? 私達を戦わせるの嫌いじゃなかったの? 嘘だったの?  ……本当に聞きたいのはそんな事じゃない。彼なら私は一緒に戦ってもいいし、どんな扱いでもいい。私が本当に聞きたかったのは お兄ちゃん私と遊ぶのが嫌になったの? 私の事嫌いになったの!? 私これからいい子にするから! わがままも言わないから! だからお願い! 私の前からいなくならないで!! ずっと一緒にいて!! 泣きじゃくる私をあやす様に撫でながら、彼は色々話してくれた。 強いトレーナーになれば、リーグを勝ち抜けば、この界隈への影響力を持つ事ができるという事。 その影響力を使って、ロケット団のような萌えもんを道具として扱う者達を駆逐したいという事。 そして…………できる事なら私に、この旅に付いてきて欲しいと言う事。 もちろん私は一緒に行くと言った。 『でも、そのためにはリュリュにボールに入ってもらわなきゃならない。リュリュが嫌ならやめるけど……どうする?』 いいよ、お兄ちゃん。それが必要な事なら私そうするよ。わがまま言わないってさっき決めたもん。 『ありがとう。でも入るのは疲れてる時と、必要な時だけでいいから。普段は外に出てて構わないよ。』 うん! ありがとうお兄ちゃん! これからもよろしくね! 『ああ、辛い旅になるかもしれないけど、よろしくねリュリュ。』 こうして私達の旅は始まった。お兄ちゃんと一緒なら、何にも怖くなかった。 仲間を増やしながら、旅は順調に進む。 彼の優しい気質は、人を、萌えもんを、皆を惹きつけて、旅先で出会う様々な人に助けられながら旅をした。 旅をして変わった事も色々ある。 まず変わったのは彼だ。今までは私が一方的に甘えるだけだったのだが、時折彼の方から甘えてくる様になった。 彼が甘えてくれるたびに、私はたまらなく嬉しい気持ちになる。彼からの信頼がひしひしと伝わってくるのだ。 それに"兄妹"でも"姉弟"でも私達の絆に変わりは無いのだから。 次に変わったのは私。 私はハクリュウに進化し、彼の事をマスターと呼ぶ事にした。 彼は今までのままで良いと言っていたが、私なりのけじめのつもりだった。せめて、旅の間はわがままを言わないようにと。 もちろん彼に対する愛情は変わらなかったし、彼の態度も変わらなかった。 …………変わらなかったのだけれど、やはり家にいた頃のようにはいかなかった。 仲間が増えたら彼女達の世話もしなければならない。 私一人の相手をするわけにもいかない。……当然だ。ひいきしてはチームワークにひびが入る。 それでも良かった。彼の信頼は感じていたし、いつでも兄妹に戻れると知っていたから。 だから、別にそのままで良かった。甘えられなくても良かった。二人で話せなくても良かった。このままでよかった…………よかった、のに。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「…………んぅ。あれ、ここは?」 眠りから覚め周りを見渡す。目に映るのは柔らかい光を放つ焚き火と、それを中心に眠っている仲間達。 「そうだ、確か……今日はボールに入らないで寝ようって事になって」 パチパチという焚き火特有の音を聞きながら考える。 何だか嫌な夢を見たような気がする。記憶は憶えていないのだが、妙に不安な気持ちにさせる。 それともこんな音の無い夜だからなのか。……心なしか焚き火に合わせて揺れる自分の影すら怖く感じる。 夜が怖いという年でもないのだけれど…………久しぶりに彼に甘えてみるのもいいかもしれない。 「焚き火が点いてるって事はマスターはまだ起きてるのよね」 火を消していないのだから、そんなに遠くにはいってないはず。 考えながら探すと、すぐに見つかる見慣れた後姿。 少し驚かしてみようか。そう思い気配を消して近づく。 彼の位置なら影で気付く事も無いだろう。ふふふ、甘えるの久しぶりだなぁ。何話そうかなぁ。久しぶりに膝枕やってもらいたいなぁ。 「ね「眠れそうかい? ピカチュウ」……え?」 「ん~まだ~」 彼の膝にいるのは……先日仲間になった、ピカチュウ? 「いい加減俺も寝たいんだけどなぁ」   ピカチュウを撫でる彼の手 「えへへ~。そう言いながらも撫でてくれるからマスター好き~」 「ふぅ、やれやれ。こうなったらどこまでもお付き合いいたしますよ、お姫様」 「うむ、くるしゅうない。はっはっは~」 幸せそうに間延びしたピカチュウの声がする 「でもとりあえず火が見えるとこに移動しような、危ないから」 「わかった~」 二人が動く気配がして、慌てて元の位置に戻る私。 あれ? 何で私、マスターから隠れてるの? だって確か甘えようとして、話しようとして……それで? 膝枕やってもらおうとして……そこはもう埋まってて…………なんで? あそこは私の場所なのに…… いつだって私のために空けておいてくれて…… 私が撫でて欲しい時はいつだって撫でてくれて…… なんで? どうして? どうして今私はお兄ちゃんから離れてるの? 何故? どうして? 解らないよ! 気が付いたら私はもう、夢の中にいた。 次の日の夜、私は行動を起こす 皆寝静まった頃を見計らって一人ボールの外に出る 「あれ? どうしたのリュリュ? 眠れない?」 どうやらマスターはまだ起きていたようだ 「いえ、そうじゃなくて……少しいい?」 マスターに近づいていく……そのまま近づく……彼は不思議な顔をしながらも私を抱きとめてくれた。 「……どうしたの?」 「ごめんなさい、マスター」 その状態のまま私は彼に……"でんじは"を放った 「ッ!」 一瞬目を見開いたあと崩れ落ちていくマスター 「本当に……ごめんなさい」 彼の体からボールを外していく。皆を起こさないように、慎重に。 そのままボ-ルを持ってポケモンセンターへ急ぐ。夜中でもパソコンの電源は入っているしジョーイさんだって呼べば来てくれる。 人に見られないようにしてそのままパソコンへ いつも一緒にいたんだ。パソコンのパスワードくらい分かってる。 みんなを預けて急いでマスターの元へ走る。 「ああ、良かった。どっか行っちゃうんじゃないかと思ったわ」 彼はそのまま倒れていた。悪い人に見つかったら連れて行かれていたかもしれない。無事でよかった。 彼を担いで歩いていく。できるなら山奥がいいかな? そこならきっと邪魔は入らない。 必要なのは彼と私だけ。それ以外はいらない。私と彼の逢瀬を邪魔する者などいらないのだ。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「おはようお兄ちゃん」 「……………………」 あれから一週間たった。まだ私と彼の生活は続いている。 彼はあの時から何も喋らない。 食事を用意すれば食べるし、トイレにも行く。歩いてといえば歩いてくれるが、表情は変わらない。 反応は示すが……それだけだ。 もしかしたら心が壊れてしまったのかもしれない。 密接状態のでんじはを人間が受けたのなら……どうなってもおかしくはないだろう。 「ずっと…ずぅっと一緒だよ……」 こんな山奥の小屋。きっと誰も見つけられない。
リュリュと一緒に    初めて会った時はお互い子供だった。 自分が何故こんな事をしてるのかも分からない。分からないという考えさえ働かないくらい小さな時。 ただ本能の求めるままに餌を探して、そのまま河に流されて、そのまま息絶える……はずだった。 そう、結果は違った。違ってくれた。 私は助けられた。 その頃まだミニリュウだった私を、まだ子供だったマスターが助けてくれた。 私を抱えたマスターは血相変えて近所の博士の家に飛び込んでいった……らしい。 当時の事をあまり覚えていないのが悔やまれるけど、あのマスターが私のために焦ってくれた。それだけで心が温かくなる。 その時は解らなかったけど、運が良かったのだ。 近所に私達に詳しい博士が住んでいたことではない。 私を一番最初に見つけてくれた人が、あの心優しい少年だった事。 それが、私を生かしてくれた最大の幸運だった。 それにあの人なら、例え私を拾ったのが山奥だったとしても……助けてくれるに違いない。 それから私達は一緒に暮らした。 彼の母親は彼に似て優しい人だったから……この場合"彼"が"母親"に似て優しい性格だと言うべきなのだろうが。 まぁとにかく私と暮らすのに反対はしなかった。いや、むしろ家族が増えると喜んでいた。 そう、彼らは私を決して飼わなかった。一人の家族として扱ってくれた。 同じ食卓を囲み、同じ物を食べ、同じ生活をした。 嫌いな物を残して困らせたりもした。 出会った日を誕生日にして、毎年プレゼントをくれた。 一番初めにもらった物は、彼がくれた『リュリュ』と言う名前。彼が名前を呼んでくれるたびに大声で返事をしたっけ。 どんなわがままだって聴いてくれた。 ある時私の部屋を用意しようかという話になったが、私は彼と一緒がいいのでそれは断った。 今だって私が少し無茶な要望を言っても『仕方ないなぁ』というお決まりの台詞と苦笑いでもって、私の望みを叶えてくれるだろう 今でこそ、萌えもんの権利に関する様々な討論を知っている今でこそ、当時の彼らの考えの希少さを知り、感謝できるが その時の私にとってはおいしいご飯を作ってくれる母と、誰よりも大好きな優しいお兄ちゃん。 ただそれだけの関係であり、ただそれだけで幸せだった。 ずっと幸せだと思ってた。ずっと一緒にいてくれると思ってた。ずっと……私に笑いかけてくれると思ってた…………。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 始まりは突然。 大きくなった彼と、彼ほどではないがそれなりに成長した私。 二人でいつも通り遊んでいると、隣のおじいさんに声をかけられた。 二人で話がしたいから席を外してくれと言われ、しぶしぶ一人で家に帰る。 『一体何の話なんだろう? そういえば隣のナナミさんの弟も見てないし、三人で話してるのかな。』 疑問は尽きなかったけど、別に心配もしてなかった。帰ってきたら何して遊ぼうか、とか。その程度。 程なくして帰ってきた彼から告げられたのは、とんでもない言葉。 『俺、旅に出ようと思うんだ』 これだけでも衝撃を受けたのに、旅の目的を聞いてさらに衝撃を受けた。 『トレーナーとしてリーグを目指し、図鑑を完成させる。』 え? 何で? 私達を戦わせるの嫌いじゃなかったの? 嘘だったの?  ……本当に聞きたいのはそんな事じゃない。彼なら私は一緒に戦ってもいいし、どんな扱いでもいい。私が本当に聞きたかったのは お兄ちゃん私と遊ぶのが嫌になったの? 私の事嫌いになったの!? 私これからいい子にするから! わがままも言わないから! だからお願い! 私の前からいなくならないで!! ずっと一緒にいて!! 泣きじゃくる私をあやす様に撫でながら、彼は色々話してくれた。 強いトレーナーになれば、リーグを勝ち抜けば、この界隈への影響力を持つ事ができるという事。 その影響力を使って、ロケット団のような萌えもんを道具として扱う者達を駆逐したいという事。 そして…………できる事なら私に、この旅に付いてきて欲しいと言う事。 もちろん私は一緒に行くと言った。 『でも、そのためにはリュリュにボールに入ってもらわなきゃならない。リュリュが嫌ならやめるけど……どうする?』 いいよ、お兄ちゃん。それが必要な事なら私そうするよ。わがまま言わないってさっき決めたもん。 『ありがとう。でも入るのは疲れてる時と、必要な時だけでいいから。普段は外に出てて構わないよ。』 うん! ありがとうお兄ちゃん! これからもよろしくね! 『ああ、辛い旅になるかもしれないけど、よろしくねリュリュ。』 こうして私達の旅は始まった。お兄ちゃんと一緒なら、何にも怖くなかった。 仲間を増やしながら、旅は順調に進む。 彼の優しい気質は、人を、萌えもんを、皆を惹きつけて、旅先で出会う様々な人に助けられながら旅をした。 旅をして変わった事も色々ある。 まず変わったのは彼だ。今までは私が一方的に甘えるだけだったのだが、時折彼の方から甘えてくる様になった。 彼が甘えてくれるたびに、私はたまらなく嬉しい気持ちになる。彼からの信頼がひしひしと伝わってくるのだ。 それに"兄妹"でも"姉弟"でも私達の絆に変わりは無いのだから。 次に変わったのは私。 私はハクリュウに進化し、彼の事をマスターと呼ぶ事にした。 彼は今までのままで良いと言っていたが、私なりのけじめのつもりだった。せめて、旅の間はわがままを言わないようにと。 もちろん彼に対する愛情は変わらなかったし、彼の態度も変わらなかった。 …………変わらなかったのだけれど、やはり家にいた頃のようにはいかなかった。 仲間が増えたら彼女達の世話もしなければならない。 私一人の相手をするわけにもいかない。……当然だ。ひいきしてはチームワークにひびが入る。 それでも良かった。彼の信頼は感じていたし、いつでも兄妹に戻れると知っていたから。 だから、別にそのままで良かった。甘えられなくても良かった。二人で話せなくても良かった。このままでよかった…………よかった、のに。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「…………んぅ。あれ、ここは?」 眠りから覚め周りを見渡す。目に映るのは柔らかい光を放つ焚き火と、それを中心に眠っている仲間達。 「そうだ、確か……今日はボールに入らないで寝ようって事になって」 パチパチという焚き火特有の音を聞きながら考える。 何だか嫌な夢を見たような気がする。記憶は憶えていないのだが、妙に不安な気持ちにさせる。 それともこんな音の無い夜だからなのか。……心なしか焚き火に合わせて揺れる自分の影すら怖く感じる。 夜が怖いという年でもないのだけれど…………久しぶりに彼に甘えてみるのもいいかもしれない。 「焚き火が点いてるって事はマスターはまだ起きてるのよね」 火を消していないのだから、そんなに遠くにはいってないはず。 考えながら探すと、すぐに見つかる見慣れた後姿。 少し驚かしてみようか。そう思い気配を消して近づく。 彼の位置なら影で気付く事も無いだろう。ふふふ、甘えるの久しぶりだなぁ。何話そうかなぁ。久しぶりに膝枕やってもらいたいなぁ。 「ね「眠れそうかい? ピカチュウ」……え?」 「ん~まだ~」 彼の膝にいるのは……先日仲間になった、ピカチュウ? 「いい加減俺も寝たいんだけどなぁ」   ピカチュウを撫でる彼の手 「えへへ~。そう言いながらも撫でてくれるからマスター好き~」 「ふぅ、やれやれ。こうなったらどこまでもお付き合いいたしますよ、お姫様」 「うむ、くるしゅうない。はっはっは~」 幸せそうに間延びしたピカチュウの声がする 「でもとりあえず火が見えるとこに移動しような、危ないから」 「わかった~」 二人が動く気配がして、慌てて元の位置に戻る私。 あれ? 何で私、マスターから隠れてるの? だって確か甘えようとして、話しようとして……それで? 膝枕やってもらおうとして……そこはもう埋まってて…………なんで? あそこは私の場所なのに…… いつだって私のために空けておいてくれて…… 私が撫でて欲しい時はいつだって撫でてくれて…… なんで? どうして? どうして今私はお兄ちゃんから離れてるの? 何故? どうして? 解らないよ! 気が付いたら私はもう、夢の中にいた。 次の日の夜、私は行動を起こす 皆寝静まった頃を見計らって一人ボールの外に出る 「あれ? どうしたのリュリュ? 眠れない?」 どうやらマスターはまだ起きていたようだ 「いえ、そうじゃなくて……少しいい?」 マスターに近づいていく……そのまま近づく……彼は不思議な顔をしながらも私を抱きとめてくれた。 「……どうしたの?」 「ごめんなさい、マスター」 その状態のまま私は彼に……"でんじは"を放った 「ッ!」 一瞬目を見開いたあと崩れ落ちていくマスター 「本当に……ごめんなさい」 彼の体からボールを外していく。皆を起こさないように、慎重に。 そのままボ-ルを持ってポケモンセンターへ急ぐ。夜中でもパソコンの電源は入っているしジョーイさんだって呼べば来てくれる。 人に見られないようにしてそのままパソコンへ いつも一緒にいたんだ。パソコンのパスワードくらい分かってる。 みんなを預けて急いでマスターの元へ走る。 「ああ、良かった。どっか行っちゃうんじゃないかと思ったわ」 彼はそのまま倒れていた。悪い人に見つかったら連れて行かれていたかもしれない。無事でよかった。 彼を担いで歩いていく。できるなら山奥がいいかな? そこならきっと邪魔は入らない。 必要なのは彼と私だけ。それ以外はいらない。私と彼の逢瀬を邪魔する者などいらないのだ。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「おはようお兄ちゃん」 「……………………」 あれから一週間たった。まだ私と彼の生活は続いている。 彼はあの時から何も喋らない。 食事を用意すれば食べるし、トイレにも行く。歩いてといえば歩いてくれるが、表情は変わらない。 反応は示すが……それだけだ。 もしかしたら心が壊れてしまったのかもしれない。 密接状態のでんじはを人間が受けたのなら……どうなってもおかしくはないだろう。 「ずっと…ずぅっと一緒だよ……」 こんな山奥の小屋。きっと誰も見つけられない。

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