5スレ>>862-2

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 ははっ、いい顔になってきたじゃんか。やっぱライバルはこうでなくちゃな、サイカ!  にしてもさっきのはちっとばかしまずかったな。まさかあの一瞬でこっちの策を見抜くとは。  向こうが指示を聞かなかったらいいものの、指示通りよけてたらどうなってたか・・・。  あいつは昔から土壇場のひらめきがすごかったからなぁ。やっぱり油断はできねぇか。 「行くぞ、マドカ!」  とはいえ数の上ではこっちが有利だし、タイプ的に有利なラピスも控えてる。そう簡単には勝たせないぜ。 「リン、いいな」 「えぇ、大丈夫ですよ、マスター」  あ、声色が戻ってやがる。対アサギ用なのかよ、あれは。  まぁ、いいや。サイカの次の出方は分かってる。タイミングをしくじらなければこの策で行けるはずだ。 「マドカ、まずは「なきごえ」だ!」 「行きますよー! ぎゃおー!」  うわ、やばい、かわいすぎる。これはラピスに匹敵するかわいさかもしれん。あなどれんなサイカ。  ってそんなバカなこと考えてる場合じゃない。ラピスがなんかジト目で見てる気がするが、だいじょうぶ、お前がナンバーワンだ。  案の定、まずはこっちの攻撃力を下げに来たか。けど、その慎重さが命取りだぜ! 「よっしゃ! 行けぇ、リン!」 「そんなのお見通しなのよ! えぇいっ!」  「なきごえ」直後のマドカに急速接近して「すなかけ」を見舞ってやる。 「なっ!」 「きゃっ!」  マドカが目を押さえて飛びずさる。さすがに連続でこの手で来るとは思って無かったみたいだな。 「サイカ、策にはまった後慎重になりすぎるのはお前の悪い癖だぜ」 「くっ・・・!」  そう、こいつは相手の策にはまった後、相手の出方をうかがうために補助技を使うことが多かった。んで、その隙を狙ったわけだが、うまくいったみたいだな。 「とどめ、行くわよ!」  リンが再びスピードを上げて迫る。攻撃力が下がってるとはいえ、このスピードならどうかな? 「ちぃっ! マドカ、よけろ!」 「無駄だって言ったでしょ!」  さっきも言ったけど、目が見えなくなってる状態のポケモンに指示は通じないぜ。目が見えないってのは思った以上に混乱するもんだからな。よっぽどの信頼関係があれば別なんだろうが・・・。 「吹き飛びなさい!」 「今だ、左によけろ!」  無駄だ・・・ってなにぃ! よけやがった!?  リンの体がぶつかる直前、マドカは左に身をかわした。まさか見えてんのか? 「マスター! 次はどうすれば?」  いや、あの様子だと見えてないみたい・・・ってことはマジで「指示だけ」でよけたのかよ!?  手持ちになってわずか一日でそこまでの信頼関係を築いたってのか? 冗談だろ?  確かめるには・・・。 「リン! もう一発だ!」 「任せなさい!」  もう一度「たいあたり」の指示を出す。しかも今度はさっきよりスピードが速い。  これでもかわせるか!? 「今度は右だ!」 「はい!」 「嘘っ!?」  さすがにリンも信じられないといった風だ。どうやら完全に指示は通じてるらしいな。  たかだか一日でここまでとは・・・ホントに怖い奴だぜ。けど・・・。 「リン! 「かぜおこし」の後を追え!」 「・・・! 分かったわ!」  あんな状況で指示が通じること自体がありえないんだが、だったら指示が通じてもかわせないようにしてやりゃいい。 「行きなさい!」  リンの羽ばたきで再び風が巻き起こり、マドカに向かっていく。  それと同時にリン自身も「たいあたり」で風の後を追っていく。  どうだ、右に交わそうが左に交わそうが後ろから追撃が来るぜ! 「くっ・・・なら、マドカ、跳べぇっ!」 「えぇぃっ!」  しまった! 上を・・・!  「かぜおこし」を飛び越え、マドカがリンの上を取る。 「やあぁぁぁぁぁぁっ!!」 「くっ! うあぁっ!!」  ジャンプの勢いを乗せた爪がリンにクリーンヒットする。  くっ、スピードを上げ過ぎて逆にこっちがかわせなかったか。 「う・・・マスター、すいません」 「いや、よくやったさ。ゆっくり休んでろ」  倒れたリンをねぎらいボールに戻す。  ジャンプの勢いがあったとはいえまさか一撃で倒すとは。しかもあの状況で指示通りに動く・・・いったいどうなってんだ? 「マスター! やりました!」 「あぁ、よくやったな。けどまだ一人残ってるぞ」  ぬぅ、小躍りしてやがる。考えてもしょうがないか、まずはこのバトルのことだ。 「ラピス、行けるな」 「もちろんです! ぜったい勝ちますよ!」  お互い残りの手持ちは一人ずつ。さぁて、どっちに転ぶかねぇ。 「マスター! やりました!」  なんとか、な。正直「すなかけ」を喰らったときはどうするかと思った。  しかし、目の見えない状況で指示を聞いてくれるとは・・・。こいつには本当に驚かされるな。  オレの判断ミスだったのに、こいつはオレを信頼してくれた。  ならこいつやアサギのためにも絶対に勝ってみせる。それがトレーナーとしてオレにできることだ。 「ラピス、頼むぜ!」 「まっかせてください!」  アマネは続けてラピスを出してきた。タイプ的には不利だがどうする・・・。  いや、慎重になるのはオレの悪い癖だったな。なら・・・。 「まずは「ひのこ」で牽制しろ!」 「わかりました! えぇいっ!」  まずは「ひのこ」を辺り一面にばらまく。あまりダメージはないにしてもひとまずの牽制にはなるはずだ。 「うー、マスター、熱いですー!」 「落ち着け、向こうは攻撃が目的じゃない。とりあえずこっちも「しっぽをふる」だ! かわいさ勝負なら負けん!」  なんの勝負だよ。  とりあえずこれで時間は稼げそうだな。なら次はどうする?  マドカが今覚えてる技は・・・そうだ、あれなら! 「マドカ、ちょっとこっちに来てくれ」 「はい、マスター」  駆け寄ってきたマドカに考えた策を耳打ちする。 「・・・で、・・・たら・・・を」 「なるほど、わかりました!」  これが上手くいけばこっちの勝ちは揺るがない。それは「あいつ自身」が言ってたことだ。 「マスター、わたしもあれやりたいですー」 「よし、ラピスもこっちこい!」  ・・・緊張感のない奴らだ。向こうの作戦会議が終わるまで律儀に待つことにする。 「よーし、いつでも来いですよー!」  向こうも終わったみたいだが、まったく気が抜ける掛け声だ。 「いくよ! ラピスちゃん!」 「こい! マドカちゃん!」  アサギとリンじゃないがこいつらも随分と生き生きした顔してやがる。  もしかしたらいいライバルになれるかも、いや、もうとっくになってるのかもな。  ふと、向かい側に立つアマネと目が合う。  あいつも同じことを考えてたのか、笑顔を浮かべていた。  それじゃあ、ライバル同士、ひとまずの決着をつけようか。 「行け、マドカ!」 「迎え撃て、ラピス!」  そして互いの攻撃が始まる。  オレがマドカに出した指示は「とりあえず攻撃を続けろ」だ。 「やぁっ! えぇいっ!」 「たぁっ! このぉっ!」  ただの攻撃を繰り返すうちはおそらく五分、要は決め手を使わせなければいい。ラピスにとっては「あわ」だな。  「あわ」はその性質上、一度息を大きく吸い込む必要がある。その暇さえ与えなけりゃ何の問題もないわけだ。  しかし、さっきの「しっぽをふる」の効果でこっちの方が分が悪い。だから・・・。 「あっ!」  直後、マドカがバランスを崩す。足元の石につまずいたみたいだ。 「チャーンス! ラピス「あわ」だ!」 「行くよっ! すぅぅぅぅ・・・」  その隙にラピスが息を大きく吸い込む。  マドカがつまずいたのが演技とも知らずに!  ダンッ! マドカがつまずいた逆側の足で踏みとどまる。  そして「あわ」を放とうとしたラピスに向かって、 「えーいっ!!」 「え? わきゃっ!」  「えんまく」が炸裂した。 「ま、マスター、目が見えませぇん!」 「なっ! サイカ、てめー目くらましとはずるいぞ!」  誰だよ、「すなかけ」使わせてたのは。お返しだ、お返し。 「よし、マドカ、決めろ!」 「はいっ!」  『目の見えない状況のポケモンに指示なんて通じない』  これはお前の言ったことだったな、アマネ。 「いっけぇぇぇぇぇぇ!!」  思いっきりジャンプしたマドカは、その勢いごと爪を振り下ろす!  ・・・が、 「・・・なんてね」  ラピスは舌を出して笑みを浮かべていた。  そしてその目は・・・開いてる! 「ぜーんぶ読んでたぜぇ、決め手に「えんまく」使うこともな」  しまった・・・! まさか「えんまく」の瞬間に目を閉じてやりすごしたのか?  そして、身動きがとれないのは逆にこっち! 「くらわせてやれ、ラピス!」 「とんでけぇぇぇぇぇぇ!」  空中で身動きがとれないマドカに「あわ」が放たれる。  やられる・・・っ! 「・・・・・・・・・・・・っ!」  その瞬間だった。  マドカが空中で体を半身にひねる。  半身にしたことでぎりぎりで「あわ」をかわす。  そしてそのまま一回転し、遠心力をつけた「ひっかく」が、 「やぁぁぁぁぁぁっ!!」 「え・・・く、きゃぁぁぁぁぁぁっ!!」  ラピスの体にクリーンヒットした。 「げっ! ラピス! 大丈夫か!?」  なんだ・・・。 「マスター、やりました!!」  なんだったんだ、今の動きは? 「・・・マスター?」 「あ、あぁ、よくやったな・・・」  今の動きは、攻撃は、「指示なしでできる」ものなのか? 「うぅー、マスタ、負けちゃいましたぁ・・・」 「いや、いい勝負だったぞ! なに、また次に勝ちゃいいんだよ!」 「はい、次は、もっと強くなります!」 「おぅ、その意気だ。とりあえず今はボールに戻って休んでろ」  アマネがラピスをボールに戻し、こちらに向き直る。  その顔は苦虫を噛み潰したような顔だった。 「まさか、あんな隠し玉まで用意してるとは思わなかったぜ。完全にオレの負けだな。  っていうかいつのまにあんな攻撃までしこんでたんだよ」  どうやらアマネはあの攻撃が事前に指示されたものだと思っているらしい。 「いや、オレにもその覚えはない」 「なっ、じゃあさっきのはマドカの判断だけで動いたと」 「そう、なるな」  オレの指示じゃない以上もちろんそうなるわけだが・・・。 「待てよ、あの動きは相当のバトル経験つんでないとできないぜ!?」  そう、普通野生のポケモンはあんな動きはしない。あれは明らかにバトルに対しての動きだ。  しかし、一時的にオーキド博士が野生から捕獲するにしても、そこでバトルの経験をつませるわけじゃない。  つまりオーキド博士から渡されるポケモンはバトルに関しては野生とさほど変わらないはずだ。 「オレもここに来るまで数回野生のポケモンと戦わせたが、そんな回数は・・・」 「んー、じゃあマドカにかなりのバトルセンスがあるってことかもしれねぇなぁ」  マドカにバトルセンス?  オレの足元でニコニコ笑顔浮かべてる、こんな人畜無害そうなポケモンが? 「まぁ、なんにせよ、今回はオレの負けだ。けど次は負けねーからな!」 「はっ、返り討ちにしてやるよ」  アマネは手を振って、トキワシティへと戻って行った。  とてもそうは見えないが、マドカのセンスが高いならオレとしてはありがたいことだしな。  けどオレは・・・。 「マスター、どうしたんですか?」  オレの様子にマドカが声をかける。 「マドカ、今回はありがとうな」 「えっ、いえ、無我夢中で動いてたから・・・」  そういってマドカは顔を赤くして照れる。 「オレも、強くなるから」  オレは、こいつらに頼ってばかりじゃダメだ。  オレ自身がもっとトレーナーとして強くならないと。  そうじゃないと胸を張ってこいつらのトレーナーだなんて言えない。 「マスターなら、きっとなれますよ」 『サイカなら、きっとなれるよ』  遠い昔に聞いた言葉がよみがえる。  もうおぼろげな記憶の中で「誰か」が言ってくれた言葉。 「強く・・・」 「はいっ!」  そう言ってマドカは満面の笑みを見せてくれた。 駄文  というわけで第二話です。  今回はバトル描写の難しさが骨身にしみました・・・orz  ていうかわずか4人のバトルでこの分量って・・・今後12人のバトルになったらどうするよ(゚д゚;)  次はいよいよ(ようやく)トキワの森へ向かいます。

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