2スレ>>44

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それはいつも通り、ヘタレトレーナー(♀:男装少女です)が 皆の尻にしかれていたある日のこと。 「バカ言ってんじゃないわよ! この甲斐性無しがーーーっっ!!」 いつも通り、強気なピカチュウさんにはっ倒され いつも通り、ヘタレがすっ転んで いつも通り、それを見たみんなが笑ったり苦笑したりして その日もそんな感じで、平和に過ぎていくはずだったのですが。 ピカチュウさんたら、いつもよりちょっと力を入れすぎたらしく ヘタレはいつも以上に、そりゃあもう勢いよく倒れてしまい しかもその倒れた先には、今にも倒れそうなレンガの山が積まれていて ずしゃー どんがらがっしゃーん どかどかどかっ ばっきーーーん 「・・・病院行ってきました」 「・・・」 「・・・」 「右腕が骨折だそうです」 「・・・」 「・・・」 「全治二ヶ月だそうです」 「・・・」 「・・・」 「ピカチュウさん?」 「・・・ ・・・ ご、ごめんなさい」 『 骨折れて、深まるもの 』 緊急のパーティー内会議が行われたあと。 さすがのへタレも、かなりのショックを受けたみたいです。 ひたすら静かに、ポケモンセンターの窓際にあるソファで体育座りしています。 いつものように泣くわけでもなく、喚くわけでもなく。 何もせず、何も言わず、ただじっと座り込んでいます。 困難にぶつかる度に泣き喚いている、情けない彼女ではありますが それは萌えもんの皆に心を許しているからでもあります。 実を言うと彼女も彼女なりに、昔はいっちょまえにプライドを持っていまして 旅に出る前のへタレは、人がいる前では意地でも泣かない子でした。 それは、人間を心のそこから信じることが出来なかったからで ヘタレの周りには 心を許せない意地悪な人ばかりがいたからです。 同じ人間に対して、心を許すことができなかったということは 長い目で見れば、彼女にとっての不幸だったのかもしれません。 ですが彼女は幸せでした。 自分とは異なる種族だったとしても、腹を割って話せる相手が この旅に出たことで、生まれて初めて出来たのですから。 たとえ少々気が荒くて、殴られたり蹴られたりしても 自分に対して素直な感情を向けてくれる萌えもんたちが、何より大好きだったのです。 殴られるのも蹴られるのも、ちょっと馬鹿にされてしまうのも 全部全部、自分に気を許してくれているからだと、そう信じていました。 ですが今回のこの事件で 間接的にとはいえ、ピカチュウに右腕を折られてしまったこの出来事で 『 殴られるのも蹴られるのも、ちょっと馬鹿にされてしまうのも  全部全部、自分に気を許してくれているから 』 という自分の考えは、間違いだったのだろうか? そう思っていたのは自分だけで、本当はみんなみんな 自分のことなんか、だいっきらいなのではないか と、悩み始めてしまったのです。 そんなこと、考えても考えても答えなんて出るはずがないのですが 一度深みにはまってしまうとなかなか抜け出せないみたいです。 かれこれ考え込み始めてから、一時間くらいが経とうとしていました。 「おーい」 「あ、ピカチュウ・・・な、なにか、用?」 「お昼ごはん。さっきまで病院行ってたから、まだ食べてないでしょ」 お店で買ってきた。と言いながら、よじよじとソファーによじ登るピカチュウ。 ヘタレの隣に場所を陣取ると、左手に持っていた紙袋に右手を突っ込んで中身を取り出しにかかります。 紙袋の中身は、ヘタレが好きだと言っていたツナのサンドイッチでした。 ピカチュウはそれを一口サイズの大きさにちぎって、へタレの口元に差し出します。 「ほら、あー」 「・・・ あー ?」 「口開けて、って言ってるの。ほら」 「あ、なんだ “ あーん ” のことか。  それじゃあーん・・・ってちょちょちょちょちょええええええええ!!?」 「なによー、そんなに後ろに行ったら手が届かないじゃないの!」 「あ、や、ごめん・・・  ででででも、なんでまた急にそんな・・・」 「 ――― アンタの、腕になりたいから」 「・・・うで?」 「アタシが、アンタの右腕を折ったこと・・・本当にごめんなさい。  でも、いくらアタシが謝っても、アンタの腕の骨はくっつくわけじゃない。  どんなに後悔しても、すぐに元通りになるわけじゃない。  ・・・だから治るまで、アタシがアンタの腕になる。  アタシが、アンタの腕のかわりになる」 ピカチュウのつぶらな両目は、涙で潤んでいました。 ですがそれを零そうとはせず、いつも殴ったり蹴っ飛ばしたりしている ヘタレトレーナーのことを真剣な表情で見つめてきます。 「許してもらえないのは分かってる。でも、何にもしないのはもっと嫌。  ・・・だから、だから」 「あー、もー」 「?」 「やさしすぎだよ、ピカチュウ」 「・・・っ! な、な、なん」 言葉に詰まっているピカチュウの小さな頭を、ヘタレは左手でやさしく撫でました。 決して美人だとか、美少女とかいう言葉には遠く及ばないものでしたが その顔は、妹をあやすお姉さんのようにも 子供にほほえみかけるお母さんのようにも見える とてもおだやかな表情でした。 「白状するけどね、わたし人間がずーっと嫌いだった。  いっつも他人の粗探しばっかして、ちょっとでも間違ってたら  ここぞとばかりにこき下ろして。そんな奴らばっかりだったせいか、人間なんか  だーいっきらいだった。  ・・・でもね、最近は人間のこと、ちょっとだけ許せるようになったんだ。   何でだと思う?」 「・・・分かんないわよ、そんなの。アタシはエスパータイプじゃないんだし」 「ははっ、それもそうだ。じゃあ正解発表。  ――― それはね ピカチュウたちに、いっぱい優しくしてもらえたから。  みんな何だかんだ言っても、バカなわたしのことを見捨てないでいてくれたから。  それが嬉しくて、わたしもほんのすこしだけ、大きくなれたんだと思う。  相手がどうしようもなくても、許せるようになったんだと思う。  だって、みんなに許してもらってきたんだから。  だから・・・って、あー・・・  何だか自分が何言ってるのか分かんなくなってきた。  ゴメン、この話なかったことにし」 「ばーっか」 ヘタレは、目を見開きました。 あんなに強気なピカチュウの顔に、一本の水の筋が走っていたのです。 「そんなの当たり前でしょ!?  アンタはまあ、頼りないしすぐ泣くし、すぐ落ち込むけど!    ・・・見捨てられるわけ、無いじゃない。    アタシ達は、人間みたいに  簡単に何かを捨てられるような賢さは、持ち合わせてないのよっ!  ・・・ ・・・ ばか ・・・ ・・・」 「・・・ごめん、ピカチュウ」 「・・・謝んなくていいから。アタシももう、ウジウジするの止めるから。    ・・・ ・・・ だからはやく、蹴っ飛ばしても何ともない頑丈なアンタに、戻ってよね?」 「うん、善処します」 そう言い終るや否や、おひさまの光でちょっとぬるくなったツナサンドが ヘタレの口の中に押し込まれたのでした。 一方その頃。 オニスズメ「・・・なんつーかさあ・・・なあ?」 二ドリーナ「・・・声をかけにくい雰囲気に、なってしまったわね」 スピアー「あーもう、どこぞのバカップルみたいにダダ甘ね~。ヤダヤダ」 フシギソウ「バカップルって、ダンナもピカチュウも女の子だよスピアー?」 スピアー「いや世の中にはねぇ・・・まあ、その手の話はいつかゆっくり話してあげるわね」 フシギソウ「???」 プリン「あなたがわたしをかーえて わたーしも へんかしーてーぇ♪     へだてあってたせかいが ひーとーつにぃ とーけあう     あなたはあじあのぱーぴよん はーてーない ゆめをみるー     まらみん たまら たんやぱー とぅいまーかしー しゃんほあにーはお♪」 スピアー「あら、アンタにしては良い選曲じゃない」 プリン「へへー、このあいだマスターに習ったの!」 フシギソウ「にしてもさー、ピカチュウばっかずるいよー。       わたしだってダンナ好きなのにー」 スピアー「あーららら、フシギソウ嫉妬ぉ?      それならこのスピアーちゃんに任せなさーい。とっておきの作戦、教えてあげる♪」 フシギソウ「え? なになに、どんなのどんなの?」 スピアー 「まずはねぇ ・・・ ・・・」 フシギソウ「うんうん」 スピアー「それでね ・・・ ・・・        ・・・ ・・・ ・・・ ・・・」 オニスズメ「おーい、悪巧みすんのはいいけど程ほどにしとけよー?」 二ドリーナ「またマスターが壊れたりしたら、洒落にならないわよ」 強気なピカチュウさんとの心の交流が深まったものの、今度は フシギソウさんが何やら企んでるみたいです。 果てさて、へタレトレーナーの運命やいかに。

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