5スレ>>889-6

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sweet hideout 1-4b メロウ(ゴル姉)ルート ------------------------------------------------------------------ 【カイナ】 「そういえば、ゴル姉ってどんな仕事をしてるんだ? アルティナは薬屋さんみたいだけど、 ゴル姉の仕事は聞いていなかったから気になる」   【ゴル姉】 「ウチの仕事? ん~フィールドワークっちゅうやつやな」   【カイナ】 「フィールドワークって……確か色んな地方に赴いて その土地の手助けをするって、聞いたことがある」   【ゴル姉】 「せや。ウチはこの世界の各地に流れる河や湖、 水に関係する調査、即ち水質調査をしてるわけや」   【カイナ】 「へぇ~、かっこいいなぁ……やってみたいな……」   先程家に掛けた器具の入ったバッグは 調査のための道具だったのか。   【アルティナ】 「興味あるんならやってみればいいじゃない。 それじゃ、私は仕事場に行くね。 カイナ、ゴル姉に迷惑掛けちゃダメよ」   【カイナ】 「こ、子ども扱いすんなよ! 俺だってバイトの経験あるんだから大丈夫だっつの!」   【アルティナ】 「ふぅん……ま、それぐらいの元気があるんだったら 大丈夫かな? それじゃあね」   含み笑いをしながら踵を返して 正面にある石造りの建物に入っていくアルティナ。   ……何か気になる態度だったなぁ、 そんなに体力の要る仕事なのか?   【ゴル姉】 「あぁ、今日はもう仕事の首尾を報告し合うだけや、 今すぐ現地に行って調査する訳やないから 安心してや」   【カイナ】 「考えてたことを的確に当てるなよ……」   【ゴル姉】 「なはは。それじゃ、ウチラも行こか。 ちょい時間食いすぎたから、レジーナも 待ちくたびれとるかもしれんし……」   【カイナ】 「レジーナって?」   【ゴル姉】 「ウチの仕事仲間や、 えぇヤツやから、すぐ仲良くなれるで」   話しながらゴル姉の後を追うように歩く。   なんだか表面上の話しかしてくれてない気がするけど あまり深く語らない人なんだと思うようにした。   しかし、さっきからどうしても気になることがある。 この萌えもん世界が、俺のいた世界と異なるなら、 明らかに矛盾していることがあるからだ。   【カイナ】 「なぁ……なんでゴル姉は関西弁なんだ?」   【ゴル姉】 「へ? ウチがカンサイベン……?」   きょとんとした顔で俺を見てくるゴル姉。   【カイナ】 「俺は初め、この世界が俺のいた世界と違うということに なかなか考えが行き着かなかったんだ」   【カイナ】 「だって、ゴル姉が俺の世界の『関西』という地方の方言を 使っていたから、だからゴル姉のことも人間としか思えなかった」   【ゴル姉】 「……あーそれはな……」   【カイナ】 「それだけじゃない。ゴル姉ってもしかして 俺の他に人間と会ったことがあるんじゃないか? だからあの時―――」   【ゴル姉】 「ニンゲン……? ……まさ……か………―――」   【カイナ】 「アルティナがいた手前こんなこと切り出せなかったけど…… ゴル姉は俺に起こった現象のこと、知ってるんじゃないか? もしそうだとしたら……教えて欲しい」   【ゴル姉】 「……やっぱり、早く帰りたいんか?」   【カイナ】 「違うよ……ただ、一緒に仕事をするんだから 隠し事とかが多いのは嫌なんだ。 相手を疑いたくなんてないからさ……」   誰にだって隠し事はある。俺にだってあるわけだ。   けど顔を合わせる度に そんないらない感情が出来るのは避けたい。   何より、こんなに良くしてくれる ゴル姉を疑いたくなんてなかった。   ゴル姉は少し俯き加減で悩んでいたけど 次第に口をゆっくりと開く。   【ゴル姉】 「……実はな……ウチ、ちんまい頃にアンタと同じような 人に会ったことあるんや」   【カイナ】 「俺と……同じ?」   【ゴル姉】 「せや、その人も萌えもんのことをよう知らん人でな。 ウチは物珍しさにその人と話してみたんや。 当然ウチの話し方も普通やった」   【カイナ】 「じゃあ……その人が俺みたいに迷い込んだ人間で、 その人が話す関西弁が気に入って 使い始めたってことか……?」   こくっと頷くゴル姉。   まさか俺以外にもこの世界に来た人がいたなんて…… それも、ゴル姉が幼少の頃と、随分時間差がある。   【カイナ】 「ち、因みにその人と会えたりできるのか!?」   【ゴル姉】 「それがなぁ…… その人がその後どうなったか分からんのや。 ある日忽然といのうなってしもてなぁ……」   【カイナ】 「いなくなった……?」   【ゴル姉】 「せや、まるで神隠しにあったようにな…… ウチ以外にも親しくなった萌えもんもおったようで、 随分と泣いてたなぁ」   【カイナ】 「忽然と……いなくなる…… それじゃあ俺もそうなるかもしれない……?」   元は、俺自身の世界から忽然と姿を消して この世界にやってきたんだ。   もしかしたら何かのはずみでこの世界からも 消えてしまうと考え、そして怖くなる。   【カイナ】 「………っ」   あの声の主が俺をここに連れてきたと考えて いつまた何処かに連れ込まれるか、 または誰もいない場所に投げ出されるのかと考えて 背筋に悪寒が走る。   【ゴル姉】 「……心配せんでえぇよ。 その人かてもしかしたら元の世界に戻れたのかもしれへん。 そうやって考えれば、少しは救いあるやろ?」   数歩前を歩いていたゴル姉が歩調を変えて 俺の横に並び、肩をポンポンと叩いてきた。   【カイナ】 「……元の世界に……」   【ゴル姉】 「せや、悪い方にばっかり考えたら息詰まるで? 何か起きたらその時何をすればいいか考えたらえぇ」   【カイナ】 「……そうだよな。ありがと、ゴル姉…… 答えにくい質問した上に励ましてもらって……」   【ゴル姉】 「なははっ……礼なら仕事で返したってや」 -------------------------------------------------------------  【ゴル姉】 「っと……話しこんどる間に着いたで。 ここら辺が待ち合わせの場所や」   【カイナ】 「え? でも、誰かを待ってるって 感じの人を見かけないけど?」   【ゴル姉】 「せやな……待ちくたびれて 散歩にでも行ったんかな……」   二人で周囲を見渡すけど それらしい人は視界に入らない。   ヒュウウゥゥゥ……   【ゴル姉】 「ま、焦ってもしゃあないから気長に待つとするか」   【カイナ】 「あぁ。下手に動いてすれ違いっていうのも 嫌なパターンだもんな」   ヒュウウゥゥゥ……   【ゴル姉】 「カイナ、ちょっとウチ飲みもの買ってくるわ。 甘いのと酸っぱいのがお勧めなんやけど、 どっちがえぇか?」   【カイナ】 「え? もしかして奢ってくれるのか? それじゃ、酸っぱいのを頼むよ」   【ゴル姉】 「りょーかい♪ そこ動かんといてな」   と言って店の一角へと歩いていくゴル姉。   ヒュウウゥゥゥ……   【カイナ】 「はぁ……やっと落ち着けたっていうのかな……」   知らない世界、不可思議な力を操る萌えもんという人々。   この世界では、最近の人間社会じゃ道行く人との明るい会釈さえ 滅多に見られなくなった中で、それは普通に行われている。   ヒュウウゥゥゥ……   【カイナ】 「まぁ、あっちにもバイト仲間とか、学校のダチとか、 気のいい奴らはいたけど………」   ここはもっと別な……相手との距離がとても近い、何かが……   ヒュウウゥゥゥ……   【カイナ】 「……さっきから何だこの音……? 別に風が吹いてるわけでも……」   【カイナ】 「どぅはあぁぁっ!?」   背中に鈍器のようなものがのしかかる。   その衝撃に耐え切れずに 俺は地面へめり込む程押し付けられる。   【????】 「う~ん、まだ来ていない…… 何処で道草食ってるのよ。メロウったら……」   【カイナ】 「あ……がが……」   【????】 「散歩がてら空を飛び回ってたけど、まだ来ない…… 一応待ち合わせの場所に戻ってきたけど……」   どうやら降って来た鈍器は人であるようだが、 俺の背中に乗り続けたまま辺りを見回している。   【カイナ】 (き、気付いてないのかよ!? ま、まずい……圧迫されてまともに言葉出せない…… このままじゃ……)   内臓が圧迫されて、お花畑が口から咲くのは なんとしても避けたいっ……!!   【カイナ】 「う……うぅ………」   【????】 「ん……? 何だろ? この情けない呻き声は……? 足の下から聞こえてくるみたいだけど……」   【????】 「………………」   【カイナ】 「こ、この……漬け物石っ……」   ビキッ!!   【漬け物石と呼ばれた女性】 「誰が漬け物石よ! このガキンチョ!!」   ゲシッ! ゲシッ!!   【カイナ】 「げうっ!? はがぁっ!!」   なけなしの気力で悪態をつきはした。   けれどこの女性らしき声の主は、 俺の背中から退くどころか 逆ギレして背中や頭などを踏みつけてきた。   【ゴル姉】 「お待たせ~……って、なんや、レジーナいたんか」   【ゴル姉】 仕事のことでちょっと話が……って、 なんでカイナを踏んでるんや……」   【レジーナと呼ばれた女性】 「訂正して! 訂正して!! 訂正して!!! 漬け物石と呼んだことを訂正して!! 〝高貴で美麗なお嬢様〟と!!」   ガスッ! ガスッ!! ガスッ!!!   【カイナ】 「こ、〝コール……ミー……クイーン〟……! ヒールで、踏むのは……勘弁っ……女王様……」   【レジーナ】 「まだ言うか!! どっちにしろ悪口にしか聞こえないじゃない!!」   【カイナ】 「ひぎいぃぃぃぃぃ!!!」   【ゴル姉】 「……おーい、二人ともー。 ウチを置いていくなー……」   ------------------------------------------------------------   【レジーナ】 「あっははは、ごめんねー! あたしもまさか降りたところに君がいるなんて 思いもしなかったからさー」   バンバン!   【カイナ】 「ひ、ひでぇ……」   あれほどの怒号を俺の体いっぱいに浴びせかけても ゴル姉の簡単な説明だけで険しい顔は失せ、 馴れ馴れしく肩を叩いて来る。   【カイナ】 (うーん……流石ゴル姉の仕事仲間だ。 脳が天気、もとい底抜けの明るさだ)   流石にまた踏みつけられたくはないので、 素直で率直な意見は心の中だけにしておく。 だって痛いんだもん。   【ゴル姉】 「レジーナ、このカイナのことやこれからのこと さっき話したとおりなんやけど、 明日から仕事をさせてもえぇかな?」   【レジーナ】 「いいけど、今時珍しいね。 社会勉強を進んでしたがる雄の萌えもんなんてさ」   【レジーナ】 「出生率の関係で大抵は地域の決定で……」   【ゴル姉】 「あぁ……それ言うのは無しやレジーナ。 秘密裏に行って一族を驚かせたいそうなんや」   【カイナ】 「………………」   本当のことは喋るなと俺にウィンクで相槌するゴル姉。   けれど……レジーナさんの言った雄の萌えもんの扱いが 少し気になる。   【カイナ】 (なぁゴル姉……最近は物騒になったとか、 雄は勤労意欲が無いように言われてるけど、 そこら辺どうなってるんだ? この世界は……)   【ゴル姉】 (今ここで言うとややこしいことになるから黙っとき。 後でアルと合流したときにでも話すから、 今は話を合わせるんや……!)   【レジーナ】 「ちょっとー、二人して何こそこそ話してんの?」   【カイナ】 「うぃっ!? な、何でもない……!」   ひそひそ話をしていた俺たちを不審に思ったのか、 レジーナさんが顔を近づけて問い詰めてくる。   条件反射で上擦ったトーンの いかにも怪しいそぶりで答えてしまう。   まずいな、変な風に思われたかな……   【レジーナ】 「あ、そうか! ……確かに連れがどんな仕事してるか 気になるもんねー。カイナ君♪」   【カイナ】 「へっ? 連れって……」   【レジーナ】 「え? 恋人同士なんでしょ? だからさっきもあんな風に内緒話して、 熱いところ見せ付けちゃって!」   【カイナ】 「ち、ちが……そんなんじゃ……! ほ、ほら、ゴル姉も何か言ってくれよ!」   【ゴル姉】 「…………ポッ」   【カイナ】 「いや! 顔を赤らめるんじゃなくて!!」   ゴル姉は恥らう表情をして、 予想外の反応に俺は慌てふためいてしまい、 そしてレジーナさんはニコニコ顔でそれを眺めていた。   【レジーナ】 「あはは! 冗談よ冗談!!」   【カイナ】 「じょ、冗談じゃ……って、……へ?」   【ゴル姉】 「なはは……見た目と違うて純なんやな。カイナは」   【カイナ】 「え? えぇ……? 何がどうなって……」   突如態度を変えて笑い出すゴル姉とレジーナさん。   俺は訳が分からず、鳩が豆鉄砲を食らったような顔をした。   【レジーナ】 「恋人なんてネタにしちゃったけどさー、 この前一緒に飲んだ時言ってたもんね。 〝ウチは一生独身やー〟って!」   【カイナ】 「ど、独身って……好きな人とか、 かっこいい男に興味とかないのか?」   【ゴル姉】 「まぁなぁ、少しはあるけど……今の生活で充実しとるし、 アルもいるから楽しいし……」   【カイナ】 「……単に行き遅れただけなんじゃ……」   【カイナ】 「うごっ!?」   にっこり顔をしてるけど 眉を少し引きつらせた表情のゴル姉が 俺の額目掛けて強烈な平手を打ってきた。   【ゴル姉】 「こんなうら若いレディーを掴まえて、 行き遅れってなんやねん……!?」   【カイナ】 「さ、酒呑みのレディーってありえな……」   【カイナ】 「ぉごっ!?」   思ったことを割りと普通に口に出してしまう癖が災いして 一言一言の後にツッコミとも感じるゴル姉の平手が 赤くなった肌に再度突き刺さる。   【レジーナ】 「あははは! アンタ達息がぴったりねぇ…… 仕事もその要領でこなせちゃうんじゃない?」   【ゴル姉】 「せやなぁ、こいつがおると退屈せぇへんし、 何より気軽にどつけるのがな♪」   【カイナ】 「……叩かれた方はたまったもんじゃないぞ……」   けど、楽しくは仕事が出来そうな気がする。   ゴル姉にしても、レジーナさんにしても、 かしこまることのない、ざっくばらんな気持ちで 付き合えそうだからだ。   -----------------------------------------------------------------   【レジーナ】 「今日の調査の結果は、さっきのメロウの説明で分かったわ。 明日はカイナ君もいるから、 近場の依頼場所での仕事にするわね」   【ゴル姉】 「近場っちゅうとあの湖のことか…… まぁ確かにあそこなら見通しがえぇから 仕事もやりやすいんやけど……けどなぁ……」   【カイナ】 「え? 何か問題あるのか?」   言葉を詰まらせるゴル姉。   多分レジーナさんは新人の俺のことを考えて なるべく近場を選んでくれたみたいなんだけど、 ゴル姉の表情はあまり晴れやかなものとは言えない。   【ゴル姉】 「いや……ウチはえぇんやけど、 アンタがちょっと嫌な気分になりそうな気がするんや」   【カイナ】 「俺が? 何で?」   【レジーナ】 「でもさ、社会勉強したいのなら 行っておいた方がいいのよ。 明日行く場所の他にだってそういう地域はあるから」   【ゴル姉】 「うーん……せやな。 アルと合流した時にでもカイナに話してみるわ」   【レジーナ】 「ん、そうしてあげな」   【レジーナ】 「結構あるのよね。 種を大事にするあまり、掟とかを 本人に黙っているケースって……」   【レジーナ】 「何も知らないのがある意味幸せなんだろうけど、 それじゃあ本当の意味では不幸だからね。 しっかり教えてあげてね、メロウ」   【カイナ】 「???」   言葉の意味がよく分からなかった。   俺に関することだとすれば、二人と異なること、 つまり男か女かの違い、若しくはこの世界への理解力だ。   男(彼女達は雄と呼ぶ)がこの世界では極端に少ないことは アルティナやゴル姉、レジーナさんの話からよく分かる。   けど、それがあったからと言って どのような処遇が為されているというのだろう。   …………………………………………………   TO BE CONTINUED

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