5スレ>>896

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 穏やかな日差しが温かい日。  俺は街から離れた草むらの近くで一息入れていた。  少し離れた場所では、平均より大分小さなリザードンが何やら跳んだり落ちたりの動作を繰り返している。   「ライダー…キーック!」  どうやら昨日一緒に見た特撮物に出てくる必殺技の真似をしているらしい。  うちのリザードンは物理攻撃を主にした戦法を使う。  だからああいう風に自主的な格闘訓練?をしてくれるのは嬉しい事なんだが…うーむ。  リザードンの動きにちょっと思うところがあった俺は傍にまで寄って声を掛ける事にした。 「リザードン。」 「ライダー……どうしたの、マスター。」 「今やってる蹴り技についてちょっと思った事があるんだが…。」 「ライダーキックについて?なに?」 「……どうせ蹴るなら足に炎を纏わせた方が良くないか?」  今のリザードンがやっている事は正直に言ってしまえばただの跳び蹴りの練習だ。  しかしどうせ蹴るなら脚に炎を纏わせて相手を燃やしつつ蹴った方が威力が高い気がする。  炎のパンチみたく炎を利用すれば燃えるキックを放つ事も不可能じゃないはず。  ソレナンテフレアドライブ?という謎の単語が浮かんだが気にしない事にした。  と、リザードンを見れば眼を輝かせている、どうやらその発想を気に入ったらしい。 「それ、カッコいい!やってみるね!」 「ああ、頑張れよ。」  リザードンが適当な場所に目を配り何も無い場所を標的に定める。  一瞬脚を屈めたかと思えば一気に走り出し幼くとも龍の強靭な足腰を以てして疾風の如く走る。  どのようなタイミングでか跳び上がり同時に突き出した片足が発火して炎を纏う。   「ライダー…キーック!」  どこかで聞いた事のある掛け声と共に何も無い虚空に燃える蹴りを放つ。  頭の中では敵を蹴り飛ばしているのだろう。  脚の炎を消して何事も無く着地してからも神妙な顔付きのままじっとしている。  かと思えば、こちらに振り向いて無邪気な笑顔を見せた。   「出来た!どう?」 「うん、いいんじゃないかな。」  どう?って聞かれても反応に困ったので適当に返したんだがリザードンは嬉しそうだ。  しかし本当に脚も自然発火出来るんだな。  確証があって言ったわけではなかったので俺はちょっと驚いていた。   「マスター、名前はどうしよう。」 「名前?」 「そう、名前。この必殺技に名前を付けようと思うんだ。」  必殺技ときましたか。  リザードンは戦闘経験こそ豊富だがまだ幼い。  必殺技とかそう言うのが欲しい時期なんだろう…俺は今でも嫌いじゃないけど。  しかし名前なら、燃える蹴りなんだから、炎のキックでいいんじゃないだろうか? 「ちょっとダサいー。もっと真面目に考えてよ―。」  駄目らしい。  じゃあ似たような技のフレアドライブから取ってフレアキック…はなんだか語呂が悪い気がする。  そういうのは嫌いじゃないんだけど、いきなり名前を考えてと言われても中々難しい。  燃える…火炎…炎の…フレア…ファイアー…バーニング。  蹴る…放つ…穿つ…キック…シュート…シューティング。  バーニングシューティング…いや、ちょっと長い、バーニングシュートはどうだろうか? 「バーニングシュート…うん、それ採用!」 「それでいいのか?自分で言っておいてちょっと安直な気がするんだが。」 「それでいいの!なんかこう力を溜めている感じが!」 「そうか。良く分からないが気に入って貰えたなら何よりだ。」 「じゃあ私はバーニングシュートの練習をしているから!」  もう完璧にマスターしたんじゃないか?と思っていたんだが本人にとってそうではないらしい。  早速リザードンは跳んだり落ちたりを繰り返す今までの動作に脚を燃やす動作を付け加え動き始める。  その様子を俺はちょっと離れた場所からちょっと微笑ましく見守っていた。  …しかし、このやり取りから数カ月後。  ①フレアドライブ並みに威力がある  ②高確率で相手を火傷を負わせる。  ③フレアドライブのようなデメリットが無い。  以上の好条件を満たした炎タイプ物理技「バーニングシュート3」が完成し猛威を振るうとは思わなかった…。  

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