5スレ>>938

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○前回までのあらすじ 図鑑、バッジ収集のため、ジョウト地方からカントー地方に派遣されたリュウマ一行。 途中様々なトラブルに遭い、時には暴走、時には不時着に巻き込まれもした。 が、今日も彼らは新たな仲間と出会い、別れ、元気に(?)旅を続けている。 …そして三度目のクチバシティからニビシティへ無事に到着。 クチバシティで会った謎の旅人を引き連れ、再度トキワの森を訪れるのであった。  …時は昼過ぎ。程よく日光が眩しく、優しく肌を撫でる風が心地よい。  そんな中、俺達一行は再びトキワの森に来て、図鑑の収集に勤しんでいた。 「ふぅ……」 「ねぇリュウ兄? そろそろニビシティに行こっ?」 「せっかくの提案だがポニータ、まだピカチュウのデータが二匹分足りないんだ」 「明日じゃダメなの?」 「あと二匹だからもうじき終わる。もう少し待ってくれ」 「むぅ……」  そんな怪訝そうにこちらを見られても、博士に頼まれているのだから仕方がない。  それにあと二匹だけなのに引き返して明日やるだなんて、俺が許さない。  こういうのは後に回す方が面倒だしなぁ……  course of life -with you-  第十話~お月見山に轟音走る?~ 「…まだかかる?」 「あぁ。そりゃあ向こうもこっちの思い通りには出てきてくれないしな」  …さっきから一分もたたずに何度も同じ質問を投げ掛けてくるポニータ。  もちろん、俺の返事が変わる事はないのだが。 「なんだったら、ポニータもみんなとボールに入っておくか? 疲れたろ?」 「う…ううん、私も付き合うっ!」 「そうか? 無理しなくてもいいぞ?」 「む、無理なんてしてないよっ?」 「んー、ならいいんだが……」  そうは言うが、ポニータの顔には疲れの色が見て取れる。  別に無理してまで付き合ってもらわなくてもいいのだが…… 「無理してないっ!」 「あー、分かった分かった。でも、戻りたくなったらちゃんと言うんだぞ?」 「はーい」  やはり読まれていた。疑り深いというかなんというか……  そこまでして外にいたい理由は分からないが、まぁ良しとしよう。  …で、だ。 「えーっと……」 「あ、あたい? そういえば、自己紹介まだだったね」 「ん、あぁ。それもあるけど……」  さっきから無言で俺の持っている図鑑に目が釘付けのこの人。  クチバで会ってから道中ろくに給水もせずについて来ているが、大丈夫なのだろうか?  …そんな俺の心配などお構いなしといったふうに、彼女は自己紹介を始める。 「あたいはライカ。"雷"と"華"って書いて雷華。よろしく。気軽にライカって呼んでね」 「あぁ、よろしく。俺はリュウマ。見ての通りトレーナーだ。年は18。現在職探し……」 「えっ!?」 「え?」  よく分からないが、突然目を丸くして驚く旅人、改めライカ。  別に驚くような事は何も言っていないはずなのだが…… 「…何か不都合でもあったか?」 「あ、ううん、なんでもない。こっちの話だから気にしなくていいよ」 「はぁ……」  何かよく分からないが、まぁライカの言う通り、気にしない事にしよう。  あまり深入りしても良くない事は、これまでの旅路で学習したし。 「それでさ、一つ聞きたい事があるんだけど……」 「ん? なんだ?」 「今更なんだけどさ、その図鑑収集って基本的に何するの?」  そういえばライカや手持ちの皆には詳しく話してなかったっけか。  なんだかんだでこういう自分持ちの仕事は手持ち達に詳しく話さなかったりするし。  もしかしたら手持ち達が真面目に仕事しないのは、このせいなのかもしれないなぁ…… 「…えーっと、俺の場合は萌えもん一種につき最低五匹のデータを取る事。  取るって言っても別に捕まえたりはしないで、図鑑を対象の萌えもんに向けるだけだ」 「へぇ~……俺の場合は、って事は、他の人達は実際に捕まえたりしてるってワケ?」 「そうだな。そっちの方が種族個体の詳しいデータを得られるし」 「なるほどねー。じゃあリュウマは種族個体のデータを広く浅く集めてる、ってワケね」 「そういう事だ。話が早くて助かるよ」  …他の手持ち達にこういった話をすると、大抵の答えが"分からない"で返ってくる。  そのため理解させるのに一苦労。一筋縄ではいかない。  そういった意味では、年の近そうなこの人がいて良かった。 「……」 「ん? どうしたポニータ?」 「え…べ、別になんでもないよっ!?」 「なんでもないって顔には見えないけどなー?」 「もう! なんでもないったらなんでもないっ!」 「そ、そうか……」  よく分からないが、なぜかポニータに怒られてしまう。  俺、何か悪い事したっけ……  …と、そんな事を考えていた時だった。 「あ、皆さん!」  ここ数日で何度も見た顔のオニドリルが、ひょっこりと飛び出してきた。 「お、今朝ぶりだな、クウ。無事戻れたみたいで何よりだ」 「あ…はい! 色々と迷惑かけてごめんなさい」 「いいっていいって。気にするなよ」  …そう、彼女と別れたのは今朝フスベシティを出る前の事。  いや、正確には別れたのではなく、勝手に出て行ったと言った方が正しいだろう。  俺が起きた時には既に彼女の姿はなかったし。  何度もシロガネ山越しでカントー地方へ戻るのは危ないと言ったのにも関わらず……  …ま、もう既に終わった事だし、現にクウは戻ってきてるし、良しとしようか。  取りあえず、無事帰れたようで本当に良かった。 「…ところで、今日は何か探し物ですか?」 「あぁ。ちょっと図鑑の収集中で、ピカチュウのデータがあと二匹分足りないんだ」 「あ、それなら私の知り合いにピカチュウがいるので、連れて来ましょうか?」 「本当か? そりゃ助かるよ」  ここでまさかの助け船。もちろん、乗らないワケなどない。  ここで乗らなきゃ、いつまで続くのかも分からないし。 「ふぅ、いい汗かいたぜ!」 「お前は何もしてないだろうがオニドリル」 「てへっ、バレたー?」 「……」  …という事でクウの協力により、俺達は本日のノルマを達成。  無事にトキワシティのセンターに到着し、現在に至る。  まだ日が暮れる前なので、これから何をするか考えていた所なのだが…… 「ねぇリュウマ、まだしばらく休憩してる? あたいこの辺少し見てきたいんだけどさ」 「あぁ、別に構わないが……」 「あ! 私も行くっ!」 「わたしも行きますー」 「あたしもあたしも!」 「ぼ、僕もいいかな?」  …ライカに続いて手持ちの皆も散策へ行きたい、との事。  まぁ、一人言い出すと皆こうなるのはいつもの事だけどな。  どうせこうなるのも大体分かってたし。  …………。  …お月見山。頂上まで登れば最高の月を拝める事で有名な観光地の一つ。  満月の夜にお月見目当てではるばる遠くからこの地を訪れる人も珍しくはない。  が、今そのお月見山には人っ子一人見当たらない。  なぜなら今このお月見山では、これ以上ないほどの危機が迫っているからだ。 「…お月見山爆破計画、ねぇ。あたいには分かんないけど、一体何がしたいんだろ?」 「あいつらはお月見山に眠る化石が狙いだ。ここまでするとは思ってもなかったが……」  呟くライカを横目に、ニビシティジムリーダーのタケシが口を開く。  彼とはニビシティ探索中にジムの前で会ったのだが、急いでいたらしくすぐに別れた。  が、何かただ事ではない様子だったので後を追った結果、現在に至るというワケだ。 「…それで、どうやって止めるんだ?」  そう聞くと少し考え込む様子を見せるタケシ。  だがあまり迷う事もなく、もっともな結論を見出した。 「そうだな……三人いるから、手分けして片っ端から潰していこう!」 「了解した!」 「了解~!」  その合図と共に、俺、ライカ、タケシの三人は、それぞれ我が道へと駆け出した! 「…とは言ったものの、ねぇ……」  リュウマ、ジムリーダーのタケシと別れ、あたいはとぼとぼ洞窟を進む。  もちろん、一人。しかも、あたいは根っからの方向音痴。  これだけでもかなりピンチなのに、その上悪の組織と戦うだなんて……  頼れる手持ちなんているわけない。だってあたいは……と思った時だった。 「ライカー! ちょっと待ちなさいってばー!」  どこかで聞き覚えのある声が来た道から聞こえてくる。  なんだろうと思って振り向くと、そこにはオニドリルの姿があった。 「オニドリル……? なんでここに?」 「あんたが心配だったからリュウのとこから抜け出してきたよ」 「抜け出して…って、大丈夫なのソレ?」 「へーきへーき。いつもの事だし!」 「へ、へぇ。そうなの……」  …驚いた。まさか抜け出してまであたいの所にきてくれるだなんて。  正直ホッとした。このまま一人だったらきっと…ううん、かなりヤバかっただろうし。 「さてと。じゃ、早いとこ終わらせてリュウ達より先に帰るとしましょーか!」 「オッケー! じゃあ……」 「そこにいるのは誰だ!」 「「!!」」  結構大きな声を出していたためか、近くにいた黒服の男に見つかってしまった。  あれが噂のロケット団……いかにも悪事を働きそうな奴等だ。  もちろん、放っておくワケにはいかない。 「さぁて、見つかったとなったら……」 「やるしかないわね。オニドリル、行ける?」 「もちろん! ライカもちゃんと付いて来ないと置いてくからね?」 「オーケー!」  ロケット団の下っ端と思われる男は、あたい達の会話中に手持ちを出してスタンバイ。  こちらも戦闘態勢は整い、戦いの火蓋は切って落とされた! 「オニドリルのやつ、またか……」  手持ちのボールを確認すると、例によって約一名不在となっていた。  まぁアイツにも何か考えがあっての事だろうから、あまり気にはしないが。  何かあれば向こうから連絡入れてくるはずだし。 「…ま、考えてても始まらないな。ポニータ、出番だ」 「はいはーいっ!」  腰から目当てのボールを手に取り、宙に放る。  すると辺りの暗がりを吹き飛ばすが如く、元気よくポニータが飛び出してきた。 「ポニ…」 「分かってるよっ! 任せて!」  こちらが用件を言うまでもなく、耳をそばだてるポニータ。  以前にも説明したが、彼女は俺や他の手持ち達よりもずば抜けて聴力がいい。  故に下手に洞窟内をしらみ潰しに歩くより、こちらの方が遥かに効率よく動けるのだ。 「…こっちみたい。ついて来てっ!」 「おう!」  言われるままポニータについて行き、突き当たりを右へ左へ。  その途中、野生の萌えもんが出たりもしたが、構ってなどいられない。  …そして、ポニータの動きがぴたりと止まった。 「そこに誰かいるのか?」 「うん。多分門番か何かだと思う。奥にいっぱい人がいるみたいだし」 「そっか。じゃ……」 「行こうっ!」  躊躇う事なく歩み出す俺とポニータ。覚悟なんて旅立ちの日でとっくにできている。  まぁその日にこんな事に巻き込まれるなんて思ってもいなかったが……  …とにかく、奴等、ロケット団だけは許すわけにはいかない。  このお月見山を守るためにも。そして、母を奪われたオニドリルのためにも。 「そこにいるのは誰だ? 止まれ!」  こちらの存在に気付いたロケット団の下っ端が目の前に立ちはだかる。  もちろん、何を言われようが引き下がりはしない。 「…嫌だと言ったら?」 「力ずくでも止めさせてもらおう!」 「臨むところだ! 行くぞポニータ!」 「うんっ!」  気合いも十分。無駄な口論もほどほどに、いざ戦闘へ。  ロケット団の下っ端はコラッタを繰り出した。対して俺は無論ポニータ。  相手のぎこちない動きからして、トレーナー歴は浅いと見たからだ。 「先手必勝! ポニータ!」 「ハイっ!」  言うまでもなく、先手必勝の"電光石火"。一気に勝ちを取りに行く。  相手の抵抗も空しく、"電光石火"はクリティカルヒット。  コラッタは一撃で沈んでしまった。 「ちっ、使えねぇ奴だ。こうなったら……」 「「!?」」  何を思ったのか、ロケット団の下っ端は二匹同時に手持ちを繰り出してきた。  汚い。流石ロケット団。汚い。  こんな事をするこいつらは本当に人間なのか。それとも実は人間ではないのか。  いや待てよ。実はこいつらって…… 「変な事考えてないで早く指示ちょうだいよっ!」 「あ、あぁ。悪い悪い」  …ツッコまれてしまった。ホント、ポニータの前では変な事考えられないよなぁ……  まぁ冗談もそこそこに、実は俺の方も少し考えがあるのだ。  そう。相手は二匹。だったらこちらもフェアに…… 「ブイゼル! 初出陣だ!」 「…呼んだ?」  相変わらずの落ち着き払った様子でボールから出てくるブイゼル。  眠そうにも見えなくはないが……まぁいつ見てもそうっぽいし、大丈夫だろう。 「一気にケリをつけるぞ! 二人共! "電光石火"だ!」 「「了解っ!」」  指示した刹那、二人揃っての"電光石火"が相手に奇襲をかける。  勝負がつくまで、さほど時間は掛からなかった。  …後編へ続く。

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