5スレ>>961

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とても強いストライクがいた。 戦場に出れば一度も背中を見せる事も無く常勝。 どのような相手であれ無敗。 左の鎌は鋼を裂き右の鎌は水を割る。 背の羽は天狗よりも早く。 彼の刃は正しく死神の鎌。 実しやかに囁かれるその伝説、全て真実でありそのような強さを持つストライクは実在した。 ただこの伝説に加筆をすればそのストライクが最後に戦場に経ったのは三十年以上前の事であり今は年老いていると言う事だ。 年老いて尚その剣に錆は無いのだが戦場を駆け抜ける体力は抜け落ちており、山奥で仙人の様な日々を送っている。 独りではなく。若い雄のストライクと共に暮らしている。 彼は孤児であったが一目見た時に宝玉の輝きを見出され、自らの剣技を託すに相応しい跡継ぎとして育てている。 普段は優しい好々爺だが修行となればガラリと変わる。纏う覇気は針山の如く、一喝は鼓膜に突き刺さる。 その鬼の様な形相を見て何度自分が殺される夢を見たか分からない。 尚も若いストライクが逃げ出さずに付き従っていたのは尊敬を胸に秘めていたからだろう。 強く気高い養父のようになりたいと云う無垢なる誇りを、時を重ねた今も尚抱き続け、血と汗が流れる一振りに込めている。 それは養父も感心する程想い。そうこうして春夏秋冬と時は流れ年月と共に腕を磨き続けてきた。 ある、日の事だ。 若いストライクは朝早くから義父に呼び出され道場の下座に居座っていた。 普段ならこの時間は素振りをしているはず。それを置いて言葉が有るというのであれば、余程の事なのだろう。 だが一緒に暮らしているはずの彼女にはその用件が分からない。自分の落ち度は見当たらないし生活も困った風は無い。 考えに考え抜いている内に年老いたストライクが道場に入り、上座に座る。その表情には修行の時の様な真剣味を帯びていた。 「お前が武を始めてから幾年月が過ぎた…もうその刃を防げる者は多くないだろう。」 「全ては先生のお陰です。」 「だがこれより教えるは武の極致。その道中に潜む悪鬼羅刹の責苦を味わう覚悟はあるか?」 ふと、年老いたストライクの顔から険が剥がれ落ちて、修行時以外の、柔らかな微笑みが浮かび上がる。 「無理にとは言わん。だが進む為にはワシは心を鬼にせねばならん。そして、お前はワシを恨むだろう。」 だがその笑顔に刻まれたシワが、親心と武人としての矜持との間にある深い谷を物語っている。 「強さの最果てにあるものを見る代償…それを、お前は受け容れるか?」 閻魔大王の最終通告に、若いストライクは、口元を引き締めて、首を、縦に、降ろした。 「先生。俺は強さの果てにあるものが見たい。その為ならば如何な責苦も耐え切る所存です。」 「そうか…、お前は優しい。やはり、ワシの眼に狂いは無かった。」 ほっ、と息を吐くように。長い長い旅路が終わったような、安堵と共に。 それも一瞬、再び覇気を取り戻し、年老いたストライクは立ち上がって武の構えに則る。 「では本日より我等が路の踏破を始める。構えぃ!」 「はいっ!」 若いストライクも立ち上がり意気揚々と武の構えに則る。 瞳に燦々と輝く光を灯して。 その日の修行は普段よりも早めに終わった。 時間を切り上げた義父は今日は程良く体を休めてしっかりと食事を採る様にと言う。 初めての事では無い。そう言う日の翌日は山を下りて別門派の達人に教えを乞うのが常であった。 今回もそういう事なのだろう、若いストライクはそう考え学問の読書を終わらせると普段よりも早めに寝入る事にした。 空には三日月、手よりも先は宵闇に覆われ見るには辛く、かと言って灯りを使うのは勿体無い。 布団が敷いてある部屋にまで向かう、廊下へと出た、その時だ。 「…ッ!」 音も無く空気が揺れる。 揺らぎの正体である鎌を己の鎌で受け止める。 容赦の無い追撃を全て受け流し一瞬の隙を突いて懐へ、肘打ちを喰らわせようとしたが、咄嗟に距離を置かれた。 一体のストライクが居る。般若のお面で顔を隠しており闇の所為で全容は良く見えない。 ただ並々ならぬ実力者である事は分かる。先の不意打ちを防げたのは運が良かったからに他ならない。 偶然にも床が軋む音がして何気無しに意識をそちらに割けたから対応出来た。 もしも気付けなかったら最初の一撃で首が跳んでいた、自身へ向けられた殺意への恐怖を、噛み締める。 「貴様、何者だ!」 「…。」 闇に吼える。だが暗殺のストライクは何も答えずに斬りかかってきた。 止む無しと若いストライクも応戦する。生け捕って正体を吐かせたいのだが、手加減が通じる相手ではない。 狭い廊下では自在に飛び回る事は出来ない。正面対正面の、小手先と小手先の削り合いだ。 上段からの鎌を受け止める。追撃の肘も避けたが背と肩の体当たりを受けてしまう。 体勢が崩される。不味い。脚と羽を無理やりに動かして後ろへ回転。元居た場所を鎌が通り過ぎる。 仕切り直しと若いストライクは斬りかかる。受け流されるが構わない。踏み込んで肘鉄が本命。 確信を以て放った肘鉄は、しかし当たらなかった。暗殺のストライクはふわりと舞い紙一重で攻撃を無意味と化す。 踏み込みの所為で次の鎌は避けれない。正確無慈悲に首を刎ねる鎌を、驚く事に歯で受け止めた。 「…らぁっ!」 今度は暗殺のストライクが動けない。跳び膝蹴りが直撃し吹き飛ばされる。 この隙に義父の安全を確保したかった若いストライクであったが、それは出来なかった。 今の攻防で自分の認識を訂正せざる得なかった。暗殺のストライクは今まで自分が戦ってきた何者よりも強い。 今の跳び膝蹴りも、歯で刃を離したほんの一瞬の間に後ろに跳んで威力を殆ど零にまで抑えている。 今ここで捕えるか戦闘不能にしておかなければ必ず災いが降り注ぐ。そう確信した。 最悪は殺すか、殺されるか―――脊筋に寒気が流し込まれ頭がすっと冷えていった。 斬る。無心でそれを体現する。暗殺のストライクもまた同様。暗闇の廊下に幾つもの閃光が走った。 その一太刀一太刀が確実に首や臓物を裂く至高の業。二体のストライクは死線を潜り斬り結ぶ。 「…ッ!」 技量では暗殺のストライクが上手だった。紙一重からの反撃が若いストライクの胴を切り裂く。 無理な体勢から身体を動かせて危くも致命傷を避けるが、それが精一杯。 若いストライクは死を覚悟する。決死の一撃、それが通じ無ければ、己は死ぬ。 乾坤一擲の太刀。それすらも受け流される。待つのは死。死。だがそうはならなかった。 自分の首を切り落とす刃が来ない。若いストライクは直ぐさま距離を取る。 何故? と疑問を深め、よくよく耳を澄ませれば、暗殺のストライクの息は荒くなっている事に気付いた。 息が途切れ途切れだ。一撃を受け流す事は出来ても反撃に転じる為の体力が無かったのだろう。 勝機。若いストライクは怒涛の攻めに転じる。回復させる暇を与えない。攻撃は最大の防御。 先程まで神業染みた冴えを見せた暗殺のストライクであったがその動きは素人の目から見ても鈍っている。 暗殺のストライクは接近からの体当たりを喰らわせる。体勢は崩された。その首への一太刀。 闇を裂くような光線は、空を切った。若いストライクは紙一重でそれを避けていた。 己の技によって完全に開いた身体を最速の斬撃が見舞う。「燕返し」。若いストライクが得意とする技だ。 「なっ…!」 驚いたのは技を仕掛けた方。 戦闘能力を奪う為に腕を切り落とす為の一撃だった。 だが暗殺のストライクは避けるどころか自らの体を動かし打点をずらして急所を切り裂かれた。 よろよろと数歩後ろに歩いて、崩れるその体躯。その衝撃で般若のお面が剥がれ落ちる。 そこにあったのは、数刻前まで微笑んで声を掛けてくれた、養父の顔だった。 「せ、先生!?」 ぎょっとした、どころではない。地が割れ天が落ちてしまったような驚愕。 慌てて駆けつける若いストライクとは対照的に、年老いたストライクは安らかに微笑んでいる。 「最後の一撃、見事だった。戦いの中でワシの奥義を自分の物としていたとは。」 「何故こんな事をしたのですか!? 何故、俺達は、殺し合うような真似を…。」 「必要で有ったからだ。真剣で殺し合い、お前がワシを殺さなければ、強さの果てにあるものを見る事は出来ない…。」 年老いたストライクは血を吐き出した。腹の傷は致命傷。 仕掛けた本人であるからこそ若いストライクは誰かに助けを求める事が出来なかった。 「教えて下さい先生、こんな事をしてまで、一体何が見えると言うのですか! 俺には、俺には何も見えません!」 流れる涙は留まらない。 「強さの最果てにあるもの、それは無情の死だ。これでようやくワシも、死ぬことが、できる。」 言葉には悔いも恨みは一切無く、何処まで落ち着いていて。 「…父さん? 父さん、父さん? う、うわああああああああああああああああああああああああ!!!」 山奥で、哀しみを全て吐き出すような悲鳴が響く。 その一粒一粒を食いものにして目に見えぬ化物はニヤリと笑った。 とても強いストライクがいた。 戦場に出れば一度も背中を見せる事も無く常勝。 どのような相手であれ無敗。 左の鎌は鋼を裂き右の鎌は水を割る。 背の羽は天狗よりも早く。 彼の刃は正しく死神の鎌。 とても強いストライクがいた。 ただそれだけの話。
とても強いストライクがいた。 戦場に出れば一度も背中を見せる事も無く常勝。 どのような相手であれ無敗。 左の鎌は鋼を裂き右の鎌は水を割る。 背の羽は天狗よりも早く。 彼の刃は正しく死神の鎌。 実しやかに囁かれるその伝説、全て真実でありそのような強さを持つストライクは実在した。 ただこの伝説に加筆をすればそのストライクが最後に戦場に経ったのは三十年以上前の事であると言う事。 年老いて尚その剣に錆は無いのだが戦場を駆け抜ける体力は抜け落ちており、山奥で仙人の様な日々を送っている。 独りではなく、若い雄のストライクと共に暮らしている。 彼は孤児であったが一目見た時に宝玉の輝きを見出され、自らの剣技を託すに相応しい跡継ぎとして育てている。 普段は優しい好々爺だが修行となればガラリと変わる。纏う覇気は針山の如く、一喝は鼓膜に突き刺さる。 その鬼の様な形相を見て若いストライクは何度自分が殺される夢を見たか分からない。 尚も修行から逃げ出さずに付き従っていたのは尊敬を胸に秘めていたからだろう。 強く気高い養父のようになりたいと云う無垢なる誇りを、時を重ねた今も尚抱き続け、血と汗が流れる一振りに込めている。 それは養父も感心する程想い。そうこうして春夏秋冬と時は流れ年月と共に腕を磨き続けてきた。 ある、日の事だ。 若いストライクは朝早くから義父に呼び出され道場の下座に居座っていた。 普段ならこの時間は素振りをしているはず。それを置いて言葉が有るというのであれば、余程の事なのだろう。 だが一緒に暮らしているはずの彼にはその用件が分からない。自分の落ち度は見当たらないし生活も困った風は無い。 考えに考え抜いている内に年老いたストライクが道場に入り、上座に座る。その表情には修行の時の様な真剣味を帯びていた。 「お前が武を始めてから幾年月が過ぎた…もうその刃を防げる者は多くないだろう。」 「全ては先生のお陰です。」 「だがこれより教えるは武の極致。その道中に潜む悪鬼羅刹の責苦を味わう覚悟はあるか?」 ふと、年老いたストライクの顔から険が剥がれ落ちて、修行時以外の、柔らかな微笑みが浮かび上がる。 「無理にとは言わん。だが進む為にはワシは心を鬼にせねばならん。そして、お前はワシを恨むだろう。」 だがその笑顔に刻まれたシワが、親心と武人としての矜持との間にある深い谷を物語っている。 「強さの最果てにあるものを見る代償…それを、お前は受け容れるか?」 閻魔大王の最終通告に、若いストライクは、口元を引き締めて、首を、縦に、降ろした。 「先生。俺は強さの果てにあるものが見たい。その為ならば如何な責苦も耐え切る所存です。」 「そうか…、お前は優しい。やはり、ワシの眼に狂いは無かった。」 ほっ、と息を吐くように。長い長い旅路が終わったような、安堵と共に。 それも一瞬、再び覇気を取り戻し、年老いたストライクは立ち上がって武の構えに則る。 「では本日より我等が路の踏破を始める。構えぃ!」 「はいっ!」 若いストライクも立ち上がり意気揚々と武の構えに則る。 瞳に燦々と輝く光を灯して。 その日の修行は普段よりも早めに終わった。 時間を切り上げた義父は今日は程良く体を休めてしっかりと食事を採る様にと言う。 初めての事では無い。そう言う日の翌日は山を下りて別門派の達人に教えを乞うのが常であった。 今回もそういう事なのだろう、若いストライクはそう考え学問の読書を終わらせると普段よりも早めに寝入る事にした。 空には三日月、手よりも先は宵闇に覆われ見るには辛く、かと言って灯りを使うのは勿体無い。 布団が敷いてある部屋にまで向かう、廊下へと出た、その時だ。 「…ッ!」 音も無く空気が揺れる。 揺らぎの正体である鎌を己の鎌で受け止める。 容赦の無い追撃を全て受け流し一瞬の隙を突いて懐へ、肘打ちを喰らわせようとしたが、咄嗟に距離を置かれた。 一体のストライクが居る。般若のお面で顔を隠しており闇の所為で全容は良く見えない。 ただ並々ならぬ実力者である事は分かる。先の不意打ちを防げたのは運が良かったからに他ならない。 偶然にも床が軋む音がして何気無しに意識をそちらに割けたから対応出来た。 もしも気付けなかったら最初の一撃で首が跳んでいた、自身へ向けられた殺意への恐怖を、噛み締める。 「貴様、何者だ!」 「…。」 闇に吼える。だが暗殺のストライクは何も答えずに斬りかかってきた。 止む無しと若いストライクも応戦する。生け捕って正体を吐かせたいのだが、手加減が通じる相手ではない。 狭い廊下では自在に飛び回る事は出来ない。正面対正面の、小手先と小手先の削り合いだ。 上段からの鎌を受け止める。追撃の肘も避けたが背と肩の体当たりを受けてしまう。 体勢が崩される。不味い。脚と羽を無理やりに動かして後ろへ回転。元居た場所を鎌が通り過ぎる。 仕切り直しと若いストライクは斬りかかる。受け流されるが構わない。踏み込んで肘鉄が本命。 確信を以て放った肘鉄は、しかし当たらなかった。暗殺のストライクはふわりと舞い紙一重で攻撃を無意味と化す。 踏み込みの所為で次の鎌は避けれない。正確無慈悲に首を刎ねる鎌を、驚く事に歯で受け止めた。 「…らぁっ!」 今度は暗殺のストライクが動けない。跳び膝蹴りが直撃し吹き飛ばされる。 この隙に義父の安全を確保したかった若いストライクであったが、それは出来なかった。 今の攻防で自分の認識を訂正せざる得なかった。暗殺のストライクは今まで自分が戦ってきた何者よりも強い。 今の跳び膝蹴りも、歯で刃を離したほんの一瞬の間に後ろに跳んで威力を殆ど零にまで抑えている。 今ここで捕えるか戦闘不能にしておかなければ必ず災いが降り注ぐ。そう確信した。 最悪は殺すか、殺されるか―――脊筋に寒気が流し込まれ頭がすっと冷えていった。 斬る。無心でそれを体現する。暗殺のストライクもまた同様。暗闇の廊下に幾つもの閃光が走った。 その一太刀一太刀が確実に首や臓物を裂く至高の業。二体のストライクは死線を潜り斬り結ぶ。 「…ッ!」 技量では暗殺のストライクが上手だった。紙一重からの反撃が若いストライクの胴を切り裂く。 無理な体勢から身体を動かせて危くも致命傷を避けるが、それが精一杯。 若いストライクは死を覚悟する。決死の一撃、それが通じ無ければ、己は死ぬ。 乾坤一擲の太刀。それすらも受け流される。待つのは死。死。だがそうはならなかった。 自分の首を切り落とす刃が来ない。若いストライクは直ぐさま距離を取る。 何故? と疑問を深め、よくよく耳を澄ませれば、暗殺のストライクの息は荒くなっている事に気付いた。 息が途切れ途切れだ。一撃を受け流す事は出来ても反撃に転じる為の体力が無かったのだろう。 勝機。若いストライクは怒涛の攻めに転じる。回復させる暇を与えない。攻撃は最大の防御。 先程まで神業染みた冴えを見せた暗殺のストライクであったがその動きは素人の目から見ても鈍っている。 暗殺のストライクは接近からの体当たりを喰らわせる。体勢は崩された。その首への一太刀。 闇を裂くような光線は、空を切った。若いストライクは紙一重でそれを避けていた。 己の技によって完全に開いた身体を最速の斬撃が見舞う。「燕返し」。若いストライクが得意とする技だ。 「なっ…!」 驚いたのは技を仕掛けた方。 戦闘能力を奪う為に腕を切り落とす為の一撃だった。 だが暗殺のストライクは避けるどころか自らの体を動かし打点をずらして急所を切り裂かれた。 よろよろと数歩後ろに歩いて、崩れるその体躯。その衝撃で般若のお面が剥がれ落ちる。 そこにあったのは、数刻前まで微笑んで声を掛けてくれた、養父の顔だった。 「せ、先生!?」 ぎょっとした、どころではない。地が割れ天が落ちてしまったような驚愕。 慌てて駆けつける若いストライクとは対照的に、年老いたストライクは安らかに微笑んでいる。 「最後の一撃、見事だった。戦いの中でワシの奥義を自分の物としていたとは。」 「何故こんな事をしたのですか!? 何故、俺達は、殺し合うような真似を…。」 「必要で有ったからだ。真剣で殺し合い、お前がワシを殺さなければ、強さの果てにあるものを見る事は出来ない…。」 年老いたストライクは血を吐き出した。腹の傷は致命傷。 仕掛けた本人であるからこそ若いストライクは誰かに助けを求める事が出来なかった。 「教えて下さい先生、こんな事をしてまで、一体何が見えると言うのですか! 俺には、俺には何も見えません!」 流れる涙は留まらない。 「強さの最果てにあるもの、それは無情の死だ。これでようやくワシも、死ぬことが、できる。」 言葉には悔いも恨みは一切無く、何処まで落ち着いていて。 「…父さん? 父さん、父さん? う、うわああああああああああああああああああああああああ!!!」 山奥で、哀しみを全て吐き出すような悲鳴が響く。 その一粒一粒を食いものにして目に見えぬ化物はニヤリと笑った。 とても強いストライクがいた。 戦場に出れば一度も背中を見せる事も無く常勝。 どのような相手であれ無敗。 左の鎌は鋼を裂き右の鎌は水を割る。 背の羽は天狗よりも早く。 彼の刃は正しく死神の鎌。 とても強いストライクがいた。 ただそれだけの話。

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