2スレ>>891

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[あくの道] 「わたしは、あくのメノクラゲ。今日もあくを目指してがんばるぞ!」  タマムシシティ入り口に、メノクラゲが一人立って、何かおかしなことを宣言している。  悪を目指すというのなら、まずはあくを漢字で発音しろ。「あく」と言ってると、可愛らしさが先にたつ。  このちょっとおかしなメノクラゲが、タマムシティにやってきたのは、ロケット団に入るため。  あくを目指すには、あくの先輩に教えを乞うのが一番だと考えたらしい。  “海の仲間百人に聞きました”の“あくにんといえば?”アンケートで一位を取った相手に会いに来ただけ、という裏話もあるが、気にしては駄目だ。 「いままでで、十分あくぎょうを積んだから、ここでさらなるレベルアップが必要なのです!」  ぐっと拳をにぎり、強く主張しても、なぜだか説得力がない。  事実、周囲にいる人は、この発言を聞いても、可愛いこと言ってるね、ということくらいにしか受け取っていない。  悪には、見た目の凶悪さも必要なんだと、教えてくれる光景だ。 「しかし、さすがは、あくのエリート。どこにいるかさっぱりわかりません」  近くに全身が黒く、Rと書き込まれた帽子をかぶった、柄の悪い奴がいるんだが、なぜわからないのだろう?  みつからなくとも諦めず、メノクラゲはロケット団を探す。  そのかいあってか、町外れの屋敷を拠点にしている、という情報を掴んだ。   「ここがそうですか。うん、あくの本拠地にふさわしいところです」  大きくなく、されど小さくもない、中途半端な屋敷を前に、一人うんうんと頷くメノクラゲ。  そんなメノクラゲに、庭にいたロケット団員が気づいた。 「こいつは、たぶんメノクラゲだよな? なんでこんな陸地に?」  近づいてきた男を、期待を込めた目で見上げるメノクラゲ。  そんな目で見られたことのない男は、ちょっとだけ後ずさる。 「あなたは、ロケット団ですか?」 「そ、そうだが?」 「わたしは、ろけったじゃなくて、ロケット団に入りたいのです。入れてください!」  ちょっと緊張して噛んでしまうも、自分の望みを言いきった。  先手を取ることはあっても、先手を取られることは滅多にないロケット団。  慣れないことに、戸惑ってしまう。 「ロ、ロケット団に? どうしてだ?」 「わたしは、あくを目指しているのです! より大きなあくになるため、あくのエリート、ロケット団で学びたいのです!」 「……うーむ」    もえもんが、悪になりたいと言ったり、自らロケット団に入りにきたり、学びにきたり、初めてづくしで理解が追いつかなくなってきた男。  少しだけ考えて、 「ならば、面接と入団試験を受けてもらおう!」  適当にやってみようと結論づけたらしい。考えるのをやめたともいう。   「まず始めに、ロケット団に入りたい動機だが、これはすでに聞いたな。  では、次。いままでにしてきた悪を言ってみろ」 「はい! ピンポンダッシュと釣銭泥棒と空き缶のポイ捨てと落書きですっ!」 「うむ。なかなかの悪だな」 「先輩はどんなあくをしましたかぁ?」 「俺か? 俺の一番の悪は……あれだ、電車で老人に席を譲らなかった」 「おおー! すごいあくです! 憧れます!」 「そうだろ、そうだろ。お前も早くこれくらいできるようになれよ」 「がんばりますっ」  どうやら、この男もメノクラゲと同じくらい変らしい。  どうしてロケット団にいるのだろうか? なんというか必要とされていない気がする。  意気投合したらしいメノクラゲと男は、次の入団試験に話を移した。 「うむ。面接は合格だ。  次は、試験だ。弱い奴は、ロケット団にはいらない。まずは、どんな技ができるか言ってみろ」 「ようかいえきとぉ」 「うむ」 「バリアーとぉ」 「ほう」 「ハイドロポンプとぉ」 「なっ!?」 「ギガドレインです!」 「は?」  このメノクラゲ、通常では覚えられないギガドレインまで、覚えてなさる。どこで技マシンを拾ったのやら。  見た目にそぐわず、実力は高かったようだ。  驚く男は、さっきと同じように深く考えるのをやめて、話を続ける。 「そ、それでは、技の威力はどれくらいか、試してみることにする。  そう……だな」  男は周りを見渡し、庭にあったサカキの像を指差す。 「あれに向かって、ハイドロポンプだ」  この男、よりによって、自分の組織のトップであるサカキを模した像に、向かって打てと言いおった。  のちに男は言った。入ったばかりで、トップの顔なんか知りませんでした、すんませんと。  知ってたら選ぶことはしなかっただろうが、今の二人には、あれがなんなのかわからないので、躊躇いなく実行した。 「いきます、ハイドロポンプ~」  この男とメノクラゲの不幸は、この行為を実行したことだろう。  メノクラゲは、とあることがあって決意し、自分を鍛えた。だが、その鍛錬はすべて一人で行ったもの。  だから、どれくらい手を抜けばいいのか、わからない。ほかの言い方をすれば、手加減を知らない。  結果、全力で発射された水流は、石像を壊して突き進み、その背後にある屋敷の壁をも貫いた。 「どうですか?」  水流が出た状態で、男のほうへと向く。水流が、屋敷を破壊しながら、男の腹にぶち当たる。 「ぶほっ」  水流に押され男は、屋敷の壁にぶつかり、そのまま壁をぶち抜いて飛んでいく。 「あれ?」  自分のしたことがよくわからないのか、首をかしげぽやーとするメノクラゲ。  その目の前で、屋敷が音を立てて、壊れていった。どうやら、水流は屋敷を支えるうえで、大事な柱も壊したらしい。  このメノクラゲ、実力が高いどころの騒ぎじゃなかった。 「何が起きたんだ!?」 「わかるかっ!」 「ロケット団に恨みをもつ奴の仕業じゃないのか」 「いや警察が思い切った手段を使った可能性も」 「いや、俺は見た! メノクラゲが屋敷に向かって、ハイドロポンプを使ったのを!」 「馬鹿言うな! 強力な技とはいえ、もえもん一人で、屋敷を破壊できるわけないだろ!」  半壊した屋敷から、中にいたロケット団員が、這い出てきて、何が起きたのか怒鳴りあう。 「ほら、あのメノクラゲがやったんだって!」    その場にいたロケット団員全員が、メノクラゲを見る。  いかつい男に一斉に注目されて、一歩後ずさるメノクラゲ。歓迎してる雰囲気ではないことは、メノクラゲにもわかった。  主に怒りの感情を示す男たちに、にじり寄られて、メノクラゲはさらに一歩後退。 「なんだかわからないけど、逃げたほうがよさそうです」  そう呟くと、くるりと背を見せて、駆け出した。 「逃げたぞ! 追えー!」 「おー!」  こうしてロケット団との鬼ごっこが始まった。  三時間におよぶ鬼ごっこは、海に逃げ込み、追っ手を振り切ったメノクラゲの勝ち。  今回のことが原因で、メノクラゲは、ロケット団のブラックリストに載ることになる。  入団しにきて、敵対することになってどうするメノクラゲ。   「今日は、失敗したけど、明日も大きなあくを目指すのです!」  まだ諦めないのかメノクラゲ。  君の明日はどっちだ!

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