3スレ>>468

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 以前からどうしても見たかった映画を見に、ちょっくらやってきたわけだが。 「あー、えっと二人分空いてる席ならどこでも」 「では、こちらの……J13、14でよろしいでしょうか?」  上映開始まであと三分ってのにやけにのんびりしやがりますね。 「ごしゅじんさま? 今日はえいがをみるんですか?」 「あ、あぁ。席取ったらすぐいくぞ」  一度ベトベターと見にきたことがあるので映画がどんなものかは聞いてこない。 「こちらがチケットとなります。あちらでお見せになってから御入場ください」  分かってるから早くしてくれ。  チケットを受け取った。 「いくぞベトベター。くっついてくれないと置いてくからな」 「はいご主人様。えっと、あ、あの……ぽっぷこーんを……」 「無理。買ってる余裕ない」 「……」  俺は滑り込むようにして上映間近の劇場へと入っていった。 「ふぅ。間に合った……」 「……」  俺の左腕にくっついていたベトベターを剥がして席に着く。 「?」  あれ? どんな映画を見るですか? とか聞いてこないな。 「おーいベトベター……」 「……(プイ」  目を合わせたらそっぽ向かれたのですが。  いつのまにこんなにご機嫌斜めに?  まぁ、映画を見ているうちにきっと機嫌も直るだろう。  良くも悪くも単純なヤツだから。  物語はいよいよ佳境、スクリーンでは拳法家の主人公がマフィアのボスと対峙していた。  劇場内の全てが映画の先を早く知りたいという空気を作り出していた。 「……」  俺もその一人。  だが、俺の隣には違った空気を作り出してるのがいるのです。  先ほどまで映画を真剣に見ていたベトベターだったが、ここにきて何やらそわそわし始めていた。  たびたび、 「がまんです……」  とか聞こえたからアレだなーとは思っていたけれど。  そろそろ、ベトベターが限界のようである。 「ご……ごしゅじんさま……といれ……」  やはり恥じらいはあるのだろうか、トイレの三文字は聞き取りづらかった。  一度劇場を出ると性分としてもう一回見に来なければいけなくなるので、 「トイレならあの扉を出て左にあるぞ」  一人で行くように促した。  するとベトベター、 「……」  また不機嫌になられます。 「分かった分かった。ついてってやるから怒るなよ」  ポップコーンを買ってあげられなかった代わりのような気持ちで俺はベトベターに付き合うことにした。  ベトベターを抱えて、 「すみません、ちょっと通りまーす」  と、同列の人の前を横切って……ってうわあ、人のポップコーンを取るなベトベター。  劇場を出て、左へ急ぐ。 「ほら、ついたぞ」  ベトベターを降ろす。 「……ごしゅじんさま」  言わんとすることは理解したが俺には行けそうにないよベトベター。 「ココから先は男には入れない場所なんだ」  だから何も言わずに早く行って来い。 「……」  ベトベターがすがるような、甘えるような視線を寄越す。  そんな目で俺を見ないでくれ。  俺だってお前の為に付いていってやりたいのだが……。  ベトベターは中々行こうとしない。 「? あれ? トイレじゃなかった?」  だから俺は聞いてみた。  何も言わないベトベターの反応からしてトイレではあるらしい。 「……ご主人様の入る方に行きます……」 「それならいいか……」  男の入れる方なら別についていくことにもんだいはないよね。  お父さんが娘を男用トイレに連れて行くのと同じだよね。  うん。  高鳴る胸を押さえつけて俺はベトベターとトイレの中へ。  べトベターを個室に突っ込んで、俺はその扉にもたれかかる。 「はやくしてくれよ♪」  俺の精神状態がマズいから。  すでに半分いっちゃってるが。 「は、はい……。では……」  では……とかゆうな、期待しちまうだろうが。  そして流れ出す水の音。  ……うぅ、確かにこれは拷問だ。  アニメで見たときは天国に見えたのだがなぁ。 「……ぅん……ぁ……」  ぐはっ。  切なそうな声出さないで欲しいな。  その声を出してるのがあのベトベターかと思って少し興奮してしまう俺はダメ人間ですかそうですか。  水の流れる音がやんだ。 「ごしゅじんさま……おわりました……」  この時ほど報告癖が俺の脳髄にクリティカルした日はなかったね。  テキトーに見つけた喫茶店でランチタイム真っ最中。 「つ、次からは一人でいけよ……」  結局クライマックスを見ることは出来なかったので近いうちにくることになった。 「はい……あの……ぽっぷこーんも」 「りょーかいりょーかい」 「むぅ……ごしゅじんさま……私、恥ずかしかったのに……」  マテ。危険なことを人の前で言うでない。  喫茶店中の視線が俺を非難するように集った。 「くそぉ……おれ、何か悪いことしたかなぁ……」  頭を抱えて机に突っ伏した。 「あ、ご主人様、このもーにんぐせっとというのはどういう食べ物なのですか?」  その頭をメニューでぺたぺた叩かれながら、俺はベトベターに教えることになった。 「そいつは朝しか頼めないめにゅーだ」 「それは……ざんねんです……」

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