3スレ>>586

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 『お料理』 「ねぇ、マスター? 今、私の手元にね、カレーとシチューのルーがあるの。どっち食べたい?」 「どっちでもいい」 「そう言う返答が一番困るんだけどな……あ、わかった、両方ね!」 「は?」「創作料理って初めてだけど、私、がんばる! マスター待っててね!」 「おい、ちょっとまて、フリーザー!」 「あの子さぁ……カタログ通りに作るのはすごく上手いんだけど、アレンジは壊滅的に駄目なんだよねぇ」  サンダーのポツリと零した言葉が、死刑宣告に聞こえた。 「マスター、出来たよー」  ごくり、と喉が鳴る。  俺は、今もの凄く緊張している。冷や汗がだらだら出てくる。萌えもんリーグに挑戦するときだってこんなに緊張しなかった。  恐い。すごく、キッチンに行くのが恐い。 「マスター?」  行かなければ……行かなければならない。  動け、動け足よ! 前に進むんだ!   「はぁ……」  一歩踏み出しただけでこの疲労感。  俺は無事にキッチンにたどり着けるのだろうか? 「はぁ!」  フワリと体が浮く。  振り向けばフーディンが綺麗な歯を輝かせながら指を立てている。  無論、下向きに。 「裏切り者め」 「主よ。生贄になってくれ」 「後で覚えてろよー!」 「死ぬな……主よ」 「あ、マスター。遅かったじゃない。」  ああ、君のエプロン姿はとても可愛いね……。 「さ、食べて」  目の前に出された小皿を眺める。  刺激臭がするのは気のせいだろうか。 「マスター……? どうしたの?」 「あ、ああ、今食べるよ」  小皿に盛られた少量のルーを飲み干す。 「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! あっ……か、はぁ! う……おおおお」  世界が回り始める。  チカチカとあらゆる物が光り、歪んでいく。 「ま、マスター!? マスター! どうしたの!」  異音が聞こえる。  気持ち悪い。 「うあああああああああああああああああああああああああ!!!」  瞼の裏をコレまでの記憶が走り抜ける。  初めてであった萌えもんの事や、苦労して勝ったジム戦などの事が。 ――俺……死ぬのかなぁ。  意識が段々と遠退く。  泣かないで……くれ。  目が醒めたら病室だった。  見飽きた天井が目の前にある。 「主。生きているか」 「なんとか……な」 「あの後は大変だったよ。台所が雪山になっていた」 「俺を冷凍保存でもするつもりか」 「ははは。まぁその所為で入院期間が増えたのは確かだがな。して、主」 「……なんだ裏切り者」 「味は?」 「花畑の味だ」 「は?」 「向こう側に行ける味、とだけ」 「飛べる味か……麻薬か?」 「しらん……」 落ちなんて無い

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