3スレ>>714

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時は12月の25日、クリスマス。  ふたご島とグレン島の間にある無人島に、たくさんのもえもんと一人の少女が、楽しそうに騒いでいる。  地面には何枚もシートが広げられ、その上にはジュースやお菓子、トランプなどの遊び道具が置かれている。  そこから少しだけ離れた所には、手製のカマドがいくつか。鍋と鉄板とフライパンが火にかけられて、料理が作られている。  そのカマドの一つのそばで、フシギバナと少女が話をしている。 「マスター、皆楽しそうですね」 「うん、皆楽しんでくれて、クリスマスパーティ開いたかいがあったよ」  二人は、仲間たちを見渡す。  少女の鼻には、ティッシュが詰められている。もえもんたちの笑顔にあてられたのか、いつものように鼻血を出したらしい。 「十月ごろから、お金を節約してると思ったら、こんなこと考えていたとは。  好きなお菓子や可愛い小物を買わなくなっているから、変だなぁと思っていたんですけど」  料理する手は、止めずにフシギバナは喋る。  少女は、それを見てるだけ。相変わらず料理を作ることは、禁止されている。 「食費や道具のお金を削るわけにはいかないからね。  そんなことしたら、もえもんバトルになったとき、あなたたちに負担かけることになるから。  それで、どこを削るか考えて、私の分が減ったというわけ。  それだけじゃ足りないから、バトルの賞金の一部もこっちに回してたけど」 「クリスマスって家族で過ごす人もいるって聞きましたけど、マスターは家に帰らなくてよかったのですか?」  料理を一品完成させて、話題も変える。  盛り付けは、少女も手伝った。 「皆と過ごしたかったからね。家でパーティ開くと、皆一緒っていうわけにはいかないし、うちそこまで広くない。  正月に一度帰るって、連絡は入れてあるよ」 「皆と一緒に過ごすためにですか。それで、皆を連れてここまで来たんですねぇ。  突然、連れて歩ける以上の仲間を出して、出発だー! とか言うから驚いたんですよ?」  フシギバナは、次の料理を作り始める。  プリンと何人かの楽しそうな歌声が流れてくる。  今でも技としての「歌」は使えないプリンだが、ああやって楽しそうに歌えてるんだから、  それでじゅうぶんじゃないかと少女は思っている。 「驚いてくれたんなら、成功だ。  ちなみに、この島を使うにあたって、カツラさんに許可はもらってあるから安心してね」  少女は、事前にカツラに許可をもらってあると告げる。  誰かの迷惑にならない場所で、広い場所を探していた少女は、以前グレン島に行く途中でみつけた無人島のことを思い出した。  それで、グレン島で一番偉そうなカツラに、使用許可をもらいにいったのだ。  ここらの島は、国の管理している島で、カツラのものではないのだが、一時的に使うくらいならば問題ないだろうと言われていた。 「ほんとにこういうことには、行動が早いです」 「いや~それほどでも」  褒められていると受け取った少女は、照れる。  フシギバナは、若干の呆れを混ぜながらも褒めていたから、的外れな反応ではない。 「それにしても、仲間が増えました」  各々で、好きに過ごしている仲間たちを見ながらフシギバナは言う。  遊んでいる者や、各々の技や技同士を組み合わせて、宴会芸としている者もいる。  例えば、ギャロップがひのこを空に打ち上げて花火としている。  ジュゴンがれいとうビームで氷を作り出し、ストライクがそれを彫像に削っている。  ピカチュウがかげぶんしんを使い、その中の実体当てクイズをしている。 「始めは、あなたと二人で始めた旅だったのに、今では六十人。  可愛い子に囲まれて私は、幸せだよ。旅に出てよかった」  心底、幸せそうな少女。手を頬に当て、目も潤んで、鼻に詰めたティッシュも赤く染まって、本当に幸せそうだ。 「いろんな出会いがありましたし、いろんな出来事もありました」 「旅に出た始めのころは、もえもんリーグに参加するなんて考えてもなかったしね」 「まあカンナさんに、門前払いくらいましたが」 「さすがに皆Lv50以下だと、無理だった。  一人くらいは、なんとかなると思ってんだけどな。さすが四天王強かった。リベンジはできたから、少し満足だけど」 「でも、次のシバさんで負けました」 「カンナさんに勝ったときみたいに、鍛えてから挑戦すればいいよ。ゆっくりいこう、焦ったっていいことないない」    負けたことをあまり悔しく思っていない少女は、少し落ち込んだフシギバナを撫でて励ます。  チャンピオンになることが目的ではないから、少女は落ち込まないのだろう。  少女の目的は、もえもんとの出会い。その目的が順調に進んでいるのは、ここにいるもえもんたちを見ればわかる。  ちなみに、旅の間で一番落ち込んだのは、もえもんたちの悪戯で嫌いと言われたときだ。  そのときの落ち込み具合は、少女だけに世界の終わりが来たかのように、すごかったらしい。  このときの様子から、もえもんたちは、少女に対して安易に嫌いとは言わないように心に誓った。 「そうですね、ゆっくりといきましょう」  マスターが気にしていないのだから、自分がいつまでも落ち込んでいられないと、気分を変える。 「出会いといえば、すごい出会いもあったね」 「ファイアーさんとフリーザーさんですか?」 「そうそう、なんていったって伝説だよ? 出会えたことすら奇跡!  拝み倒しただけで、仲間になってもらえたのは、すごいと思わない?」 「拝み倒したおかげじゃなくて、別の理由があったと思いますけど?」  出血多量で死なれたら困るからとか、ぽや~としているうちに捕まったとか。  話題の二人は、今何をしてるかというと。  ファイアーは、オニスズメが作っている料理をつまみ食いしたせいで、正座させられて説教を受けている。  拝み倒して仲間になってもらったのは、間違いない。  でも土下座しているときに、流れ出た鼻血が徐々に床に広がっていって、出血多量死を恐れて承諾したのも事実。  フリーザーは、プリンたちちびっ子に混ざって、楽しそうに歌っている。  初めて会ったときは、見下されているように見えたフリーザー。でも実際は、のんびりとした性格で、しょっちゅうぽやーっとしている。  初めて会ったときも、少女たちに気づかず、思考がどこか遠いところへ行っているだけだった。  そのおかげで、モンスターボールを一回投げただけで、捕まえることができた。  ボールから出して、改めて仲間になってもらおうと説得したときも、どこか軽い返事で承諾された。  こんな二人だから、伝説の威厳はあまり感じられない。  サンダーもどこかずれてそうだと思っているのは、フシギバナだけではないはずだ。 「フシギバナ? 手が止まってるよ」 「あっはい!」  少女に呼ばれて、慌てて作業する手を動かす。  少し手が止まっていただけなので、料理は駄目になっていない。  そこに、プリンたちがやってきた。 「マスター!」 「どしたの? 料理はまだできないから、遊んでていいよ?」  しゃがんで、駆け寄ってきたちびっ子たちに目線を合わせる。 「ちがうの! 料理じゃないの! 今日サンタさんくるんだよね?  マスターが話してくれた、真っ赤な服のおひげおじさん」  きらきらと期待に目を輝かせてちびっ子たちは、少女を見ている。  その中にフリーザーも混ざっているのは、なんというか少し違和感を感じないでもない。  ちびっ子たちとフリーザーの可愛さに、鼻の奥が熱くなるのを感じる少女。  少女はなんとか鼻血を耐えて、残念な知らせをちびっ子たちにする。 「それなんだけどね、残念なことにサンタさん忙しくてこれないんだって。  世界中の子供たちにプレゼントを配らないといけないから、無理もないんだけど」 「えー」  不満そうな声や残念そうな声、泣きそうな声が上がる。  それを聞いて、少女は慌てて付け加える。 「でもプレゼントは、受け取っておいたから!   ね? だから泣かないでー!」    慌ててなだめ始める少女。それが功を奏したのか、泣き出すようなことはなかった。  事前にサンタをどうしようかと悩み、忙しくてこれないということにしようと決めていた。  メタモンに頼んでサンタに変身してもらうという考えもあったが、メタモンもサンタを楽しみにしている側だったので、  この案は使えなかった。   「サンタさんからもらったプレゼントは、パーティの終わりに渡すから、遊んでてね?」 「わかったー」  サンタからのプレゼントはもらえるとわかって、なんとか納得したちびっ子たち。  少女の言うことを聞いて、シートのほうへと戻っていく。 「ふーなんとかごまかせた」 「お疲れ様ですマスター」 「あの子達の可愛い顔が見れたから、これくらいどうってことないわ。  それにしても、お父さんに感謝しないとね」 「お父さんですか?」 「うん。去年、サンタの正体がお父さんだってわかって、すごくがっかりしたの。  でもそのおかげで今年は、あの子たちにサンタがいないかもっていうことを、知られないように事前策を練れた。  サンタがいるって思ってたら、私は今年もあの子達側にいたわ」  もしそうだとしたら、すっごく苦労することになったんだろうなぁと思うフシギバナ。  そうしているうちに、料理が全品完成して、パーティを本格的に始める準備が整う。  フシギバナが、ぱんぱんと手を叩いて、皆の注目を集める。 「これからクリスマスパーティを本格的に始めます。  私たちのマスターで、このパーティを企画してくれたマスターから、開始の挨拶をもらいたいと思います。  静かに聞いてください」  フシギバナに集まっていた注目が、少女へと移る。  少女は緊張することなく、挨拶のため口を開く。  緊張していないかわりに、六十人の可愛い子たちを一度に見れて、デレっと相好を崩したが、もえもんたちは、  いつものことだとスルー。  表情を引き締めて、挨拶を始める。 「こういった挨拶はしたことないから、短くいこう。  私の仲間になってくれてありがとう。私を受け入れてくれてありがとう。  不甲斐ないマスターだけど、これからもよろしく!  それじゃ、今日は楽しもう!」  少女の挨拶にわあぁーっと大きな拍手が起きて、もえもんたちから「こちらこそ、よろしく!」と返事が返ってきた。  パーティは、盛り上がる。  お酒が入っているわけでもないのに、テンションは天井知らずに上がっていった。  楽しそうな笑い声は、夜更けまで辺りに響いていた。

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