3スレ>>748(1)

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わたしを止めてくれるひとは もう だれひとり いない。 『 それは有り得るかもしれない最悪の未来 』 それは、とても不思議な夢。 泣いて喚くのが日課の私が たくさんの人を、打ち倒していく、夢。 「この悪魔め! あの凶暴な生き物を飼いならして、何を企んでやがる!?」 「あんな生き物、この世にあってはいけないんだ!」 「いつあいつらが、俺たち人間の腹を喰いちぎりにくるかと  どれだけの人が怯えていると思っている!」 青ざめた顔をひきつらせ、たくさんの大きな男の人たちが私たちに向かって吠え立てている。 でも、不思議と怖くはなかった。 むしろ、可哀想だとさえ思えた。 憐憫を込めて、ため息を一つ吐く。 「リュカ、スピアー…頼めるか?」 「了解マスター」 「お安い御用よ」 傍らにいるウィンディのリュカと、自分の姉的存在のスピアーに声をかける。 私の言葉に答えるや否や、リュカが雄叫びをあげる。 物騒なことを平気で言ってのけていた割に、男たちはリュカの叫びにすっかり 怯んでしまっていた。情けない。 それを見逃さず、スピアーがその手にある巨大な針を彼らに突き刺した。 刺した、といっても向こう側に貫通するほどではなくて、皮膚に先端を軽く刺しただけだった。 しかし、彼女の毒は人間の脆い体にはてき面だ。 ばたり、ばたりと倒れる不躾な来訪者たち。 しんではいない。麻痺毒で体の自由を少しの間、奪っただけ。 「お引取り、願います」 動けなくなった人間たちを、いわゆるワープゾーンのような存在の穴に叩き落す。 そして、その場での騒動は終わった。 踵を返し、自分たちの住処に帰ろうとした刹那、ふと違和感を感じた。 傍らには、いつも通りスピアーとリュカがいる。 でも、足りない。何かが、足りていない気が…… … あれ? 他のみんなは…?   みんな、みんな何処に行ったの? ― 何を言っているんだ。   みんな、みんな いってしまったんじゃないか。 … どこへ?   だから、みんなは何処へ行ってしまったの? ― だから、行った んじゃない。   逝った んだよ。みんな。        みんな、ころされたんじゃ ないか   この せかいに。 ノイズがかっていた思考が、一気にクリアになる。 思い出せなかった、思い出したくなかった事実が 引きずり出される。 それは ある日突然 やって来た。 人間と共存関係を結んで生きてきた、萌えもん。 彼らが突如、人間に牙を剥いて来たのだ。 今までも、ロケット団の扱う萌えもんたちが人間に害を与えてきたことはあった。 しかし、その事件はそういう類のものではなかったのだ。 それは、大勢の野生の萌えもんたちが一斉蜂起し、たくさんの人間の息の根を止めたという恐ろしい事件。 自分はテレビ中継でその光景を目の当たりにしたけれど、人間を襲った野生萌えもんたちはまるで 「人間とは袂を分かつ時が来た」とでも言いたげな形相をしていた。 突然訪れた恐怖に、人間たちは混乱した。 そして、自分の身を守るための行動に移った。 (まったくそういうことだけに関しては、対応が素早いんだよなあ、人間って…) 簡潔にいってしまえば、人間による萌えもんたちの「駆除」がはじまったのだ。 そして、私を支えてくれた みんなも なんとか、スピアーとガーディのリュカだけは助けることができたけれど みんな、みんな この世界に「駆除」されて、しまった……。 私は泣いた。 いきなり訪れた、あまりにも惨すぎる現実に。 大人の人たちは、いくら言っても聞いてくれなかった。 お母さんやおばあちゃんは、唯一私を信じてくれた。みんなを庇って必死に戦ってくれた。 私も戦った。 あくまで無駄な血を流さぬようにと、配慮しながら。 …暴力で対抗してくる大人たちに、言葉など通じるはずがなかったのに。 ひとしきり泣き終わった後、私は…願った。 自分を愛してくれた萌えもんたちに、報いたいと。 この世の全てが信じられなくなって、疑心暗鬼という泥沼に沈みかけていた自分を そのあたたかで、ちいさな手で引き上げてくれた萌えもんたちに 報いたい、と。 やがて願いは決意にすりかわった。 報いたい、のではない。  報いるのだ。 いつしか、必ず…… 萌えもんたちと共に生き、笑いあうことができたあの世界を、取り戻すのだ と。 …それから、何年たったのか。 私は必死に駆けずり回った。萌えもんたちの未来を、どうにかして繋げる為に。 伝説の萌えもんたちが居るらしい場所へと手当たり次第に向かい、 出会えた伝説の萌えもんたちに片っ端から協力を願った。 もちろん断られたこともあった。 ころされかけたことも沢山あった。 それでも諦め切れなかった。 その執念が向こうにも伝わったのか、とある伝説の萌えもんから ちょっとした力を授かってしまったこともあった。 それは、いわゆる『念力』みたいなものだった。 非力な自分には、ありがたい力だった。 この『念力』のおかげで、屈強な男に束になって襲われたとしても ある程度なら、自分一人で撃退することが可能となったのだから。 最近はこの力に自分なりのアレンジを加えて、面白い技も使えるようになるまでに成長したくらいだ。 ……つまり、私は人間の癖に 人間に反旗を翻した うらぎりもの だ。 「…マスター、大丈夫ですか…?」 「…ああ、もう大丈夫だよ。ありがとう、リュカ」 ふと思い出してしまった、惨たらしい過去に動揺した私を、リュカとスピアーは必死になだめながら 住処へと連れ帰ってくれていた。 ああ、記憶がぐちゃぐちゃになってしまって、非常にしんどい。 気がつけば、空が暗い。夜も更けていることに、やっと気がつくことが出来た。 「今日も、くるかしらね」 「――― さあな。彼もそんなに暇じゃないだろうし」 スピアーのその言葉に、胸が少しだけ痛くなる。 過去が、今でも自分を追いかけてくる事実に 心が、痛む。 ばあん、と 破裂音のような音が響き渡った。 それは、誰かが扉を開けた音。 過去が、今夜も追いかけてきた証拠。 「…待たせたな」 「…別に、待ってもいない」 「こんなことはもう止めろ。  萌えもんを人間から完全に引き離すだなんて、無駄な話だ」 「無駄ではない、現にいま」 「各地の伝説萌えもんたちに手伝ってもらって、大掛かりな結界を張っている…だろう?」 「…分かっているじゃないか」 「それが無駄だと言っているんだ」 「言っている意味が分からないのだが?」 「時は流れる。人間どもは無駄に賢くなる。それは誰にも止められない。  …いつか、お前の結界も、無駄に賢い人間どもに破られる」 「…だから、無駄だと言いたいのか」 「そうだ」 自信満々に、そう言い放つ訪問者。 …ああ、なんて憎たらしいまでに自信に溢れている目だろう。 だからこそ私は、追いかけてくる過去を、未だに振り切ることが出来ない。 「――― ひとつだけ、言わせてくれないか」 「奇遇だな、俺も今そう思ってたところだ」 「貴方のその心無い言葉が、ずっと大嫌いだった!!」 「俺もお前のその甘さが、ずっと気に喰わなかったさ!!」 ああ、今宵もまた ころしあいの幕が上がる。 わたしを止めてくれるひとは わたしの こころを止めてくれるひとは もう だれひとり いない。 +++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ 「…という夢を見ました」(へタレ) 「アホか」(オニスズメ) 「マンガの読みすぎ」(スピアー) 「ゲームのしすぎ」(ピカチュウ) 「これが噂の厨二病…?」(二ドリーナ) 「疲れてるんだね、ダンナ…」(フシギソウ) 「んー、設定がだいぶ血生臭いね」(プリン) 「…ろ、ろまんちっくなんですね」(兄さんとこのストライクくん) 「ストライク無理すんな」(追っかけ兄さん) 「…くー、くー」(爆睡中のリュカくん) それは、あくまで 有り得るかもしれない最悪の未来。

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