3スレ>>778

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……ママ。 …ねぇママ、どこにいるの? ママ。 いるんだよね。 ――ママ。 …ママ。 ・ ・ ・ 「呼んでる……。」 「……?どうしたんですかナツメさん。」 「呼んでいるわ。…行かなくちゃ。」 「へ?ちょ、ちょっとナツメさん、どこに!?」 「皆!ナツメさんがまたどっかに!」 「またですかナツメさん!」 -+-+--+-+--+-+--+-+--+-+--+-+--+-+--+-+--+-+--+-+--+-+--+-+--+-+--+-+--+-+--+-+--+-+--+-+- 亡 き 母 親 へ の 鎮 魂 歌     ~Reincarnation~ +-+--+-+--+-+--+-+--+-+--+-+--+-+--+-+--+-+--+-+--+-+--+-+--+-+--+-+--+-+--+-+--+-+--+-+-+ カントー首都圏。それは経済都市ヤマブキ、歓楽街タマムシ、貿易都市クチバ、住宅街ハナダ、 これらから成る大都市群のことを指す。が、実はもう一つ、首都圏に数えられていた都市がある。 その都市――現在の名は、亡霊都市シオン。 カントー七不思議のひとつ、シオンタウンの怪奇現象。あるときから街中に霊がはびこり、 人は逃げるように移住し今では、亡霊たちの街と化している。 しかしながら、シオンタウンには萌えもん達の霊を悼む為の霊廟、萌えもんタワーがあるため、 萌えもん達の墓参りでシオンにやって来る人は少なくない。 そのために現地で留まる人間もいるにはいる。が、街はやはり昼間でも不気味な程静かであった。 「感じる……どこにいるの?」 その亡霊の帝国と化した街へ足を踏み入れたのは、ヤマブキシティジムリーダー、ナツメ。 別に誰とも話しているわけではない…いや、厳密には話しているのか。そこにはいない、誰かと。 「…塔?これって……。」 いつの間にか足は高く聳え立つ塔の入り口まで進んでいた。 ナツメは幼年期の頃に不思議な力に開花した。それは俗に人が言う"超能力"なるもの。 その能力がどういったものかというのは俗説様々入り乱れてはいるが、萌えもんに似通った能力を 持つ者もいることから"超能力"と呼ばれるものは大きくニつほどの能力に大別される。 その一つは、ESPと呼ばれる、超感覚能力。通常の人間には認識できない現象を認識、干渉する能力。 接触感応(サイコメトリー)、精神干渉(テレパシー)、予知能力(プレコグニション)、透視能力(クレヤボヤンス) そして催眠能力(ヒュプノシス)、これらは超感覚能力に分類される超能力である。 もう一つは、PKと呼ばれる、念動力。これは物理現象に干渉するタイプの能力で、 念力(サイコキネシス)、物体移動(アポーツ)、これらの能力が属する。 例外として、この二つに属さない瞬間移動(テレポート)能力がある。 …が、実際に理論が確立されるわけでもなく、また矛盾した力の干渉なども報告されておらず、 ひとつに"超能力"とは何なのか、と聞かれて、正確に答えることのできる人間は恐らくいない。 紛れもない事実なのは、そういった類の能力を持ち、それを実際に目で見たものが、いるということだ。 「また随分と死霊蔓延るところに来たものねぇ。」 と、どこからともなく声が聞こえた。その姿は、ナツメの隣に現れた。 「……マジック?」 「ナツメ、ここはヤバいわよ。あなたも感じ取っているでしょう?"霊"の波動を。」 …超能力が内在する力で構成されているとすれば、世の中の怪奇現象――人に見えない不思議な力の一種―― は霊能力なる概念で構成されているだろう。そしてこの二つは、よく似ているということ。 …そう語るのは、ナツメ、そして彼女の萌えもんである、ムウマージことマジック。 ナツメの隣をふわふわと浮遊し、片手に持っている星型のステッキをかざす。 「――。とても強力な霊が、ひとつ。その周りに無数の霊が集まっているようね。」 「マジック。あなたは霊を読み取る事に関しては秀でているようだけど、念を感じ取れてないようね。」 「こんなにたくさん霊が集まってるとその中にある念を感じ取るのはあたしにはちょっとね…。 ナツメは…念を読み取れてるの?」 霊と念。同種の力なのかそれとも相反するものなのか。 あるところによると、霊は、死者が遺した念とも説明されているらしいが――。 「あるわ。こんなに霊がたくさんあるのに、そのなかに一つだけ、念が。」 ナツメは特殊な超能力者だった。霊も念も、どんな状況においても正確に読み取れる。 それは数多の人間に羨まれたり、妬まれたりしたため、彼女の身内は彼女を畏怖し遠ざけている。 「……行きましょう。微弱だけど確実に念を放っているものがいるわ。」 その念だけを手がかりに、ナツメは彷徨えるほど広く高いその霊廟へと吸い込まれていった―― ・ ・ ・ …ママ… ここはどこなの…?薄暗くてよくわからないよ… ねぇママ…… もう出てきてもいいよ… ママ… …… 『去れ……』 「…ひっ…!」 『生ける者よ、ここは死者の地なり…』 『早々に立ち去れ…』 『貴様も死の淵に追い込まれたいのか…?』 「う…うわぁぁぁぁぁぁ!」 『ヒヒヒヒヒ…』 『そっちは出口じゃないよ…』 『出口はどっちかなぁ?』 『こっちだぜ…ヒヒ』 『いやいやこっちだ…』 『出口なんぞどこにもねぇよぉ!』 『『『あっはははははははははは!』』』 「怖いよぉぉ……助けて!助けてママぁ!」 「エクソシズム!」 ぱぁぁぁぁぁぁ…っ …不意に、辺りを強力な光が包み込んだ。 『ギぃぃィぃ…ェェえァ…ァあぁ……』 この世のものかと思えるほどの聞き苦しい悲鳴が聞こえた―― 光が収まる頃には、辺りの薄暗さは消え、不気味な静寂を取り戻していた。 「…ぁ……?」 そこに呆然と立ち尽くしていたのは、一人の少女。 綺麗な銀色のショート髪が映える褐色の肌。そしてその手には、一本の太く長い骨を持っている。 「こんなところにどうして来たの?」 骨を持った少女に話しかけたのは、ムウマージのマジック。 片手にもった星型ステッキを振り下ろしながら、辺りを警戒している。 「………。」 「ここは悪霊の蔓延る危険な場所よ。運が悪ければ、永遠に彷徨うことになるわよ。」 「…わかって…います。」 おずおずと褐色の少女は答える。 そこへ、二人の間に割ってはいる人物がいた。 「――呼んでいたのは、あなた?」 ナツメである。 「…え…?」 「ずっと聞こえていたの。ここに来るまで、あなたの呼んでいる、声が。」 優しく微笑むナツメ。その微笑に、生ける者の温かみを感じる。 「……私が…。」 少女は語りだす。 「私が…呼んでいるのは……ママ…。」 「…ママぁ?」 素っ頓狂な声をあげるマジック。反してナツメの反応はいたって真面目なものだった。 「お母さんに会いたいの?」 「………会いたいよぉ……でも……でも…っ!」 涙をこらえる少女。まるでとめどなく溢れ出そうな想いをせき止めているかのように。 「……殺されたのね?」 ――!! とてもつらかった。とても切なかった。それを思い出してしまうから。 ナツメは少女の思いを汲んでいるのか、彼女が告白を終える前に、言い放った。 「つらい出来事だったね…。よく耐えてきたわ。立派な子。」 そっと、頭を優しく撫でるナツメ。もう耐えることはない。我慢しなくていいの。 …そんなことを語るかのような右手は、少女の頑なな心を溶かした。 「うぅぅ……ぁぁ……ぅぅわぁぁぁぁぁぁぁ!!」 ナツメの懐に、顔をうずめる。そんな少女を優しく迎え入れる。 「……こういう話……弱いのよねぇ…うぅっ。」 傍らで見守っていたムウマージも、いつの間にか涙を浮かべては頬に一筋の曲線を描いた。 「……フーカ。出てきて。」 褐色の少女を胸に抱き寄せ立ち上がると、ナツメは二人目の萌えもんを疲労した。 「やぁ。事情は把握してるよ。さっそく一仕事させてもらいますか、ね。」 フーカと呼ばれた女――フーディン――は、大きなスプーンを肩にかけ、意気揚々とナツメ達の前に姿を現した。 続きます -+-+--+-+--+-+--+-+--+-+--+-+--+-+--+-+--+-+--+-+--+-+--+-+--+-+--+-+--+-+--+-+--+-+- 【設定集】 ◇登場人物 ・ナツメ ヤマブキシティのジムリーダーにして超能力者。その能力を駆使した戦いでチャンピオンの卵たちに試練を課す。 人物名称が苗字なのか名前なのかは不明…だと思うんですが一応名前だと思って書いてます。 エスパー使いといいながら、ゴーストタイプのムウマージ使っているのは筆者が見た目で選んだせいです。 ヤマブキにはもう一つジムがありましたね。旧ジムの設定はこちらARで言う、シズク嬢の道場です。 ナツメとシズクは幼馴染で、昔から犬猿の仲。しょっちゅう噛み合わない主張をしては喧嘩をしていたようです。 その腐れ縁に決着がついたのが、前ジムリーダー同士による戦いで二人の関係も同時に幕が下りました。 今ではとっても仲良しなようです。たまに大規模な喧嘩をするらしいですが、それは昔の古傷の舐め合いというもの。 ・マジック 名前の由来…というか、magic(呪術)そのものです。高位霊体として自我を持ち、普通の萌えもん達と同じように 定義できる幽霊さん。種族はムウマージ。ナツメとの出会いは不明ですが、霊の特徴として、霊の強いところに 集まる性質と、念に反発する性質であるとすれば、超能力者であるナツメには近づこうともしないでしょう。 ナツメが特別な能力者であったことと、マジックが自身の強い意志を持っていたこと、これが大きいでしょう、 とまぁ、理由を無理やりこじつけてみるとw なんか見た目魔法使いっぽいから、ステッキにも設定を乗せてみました。先端にプリティな星のついたタクト みたいな棒――本人は「ステッキだ!」と強く主張しますが――『シューティングスター』というらしいです。 「だから!棒じゃないばか者!いいか、これは素敵なステッキなんだ。……なんなのさ、その寒い目は!!」 ・フーカ 名前の由来はfuga(遁走曲)から。種族はフーディン。ナツメともっとも古い付き合いの萌えもん。 彼女の真価は精神攻撃より肉弾戦までこなせるオールラウンダー性である。近接技であればその手に持っている 「プラティナムティース」…でかいスプーンを振り回して応戦できる。逆に距離が離れていれば得意の超能力で 相手の阻害をしながら精神的ダメージを狙うことができる。これもまだ彼女がケーシィであった時代から ナツメとシズクの喧嘩に巻き込まれたゆえの賜物?なのかもしれない。 さすがにたかが喧嘩で身内の精神かき乱しちゃいかんでしょうし、ねぇ?w ◇超能力と霊能力 超能力も霊能力も、超心理学で確立されている学問のようですが、詳しくは知りません。 作中に出ている超能力の分類は本当にそう定義されているようです。 霊能力との類似性もあるということですが……

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