3スレ>>871

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旅にでて一週間ほどたった。 普通に進めば、セキチクについててもいいころだ。 だけど、俺はまだ12番道路をいったりきたりしている。 12番道路は釣りの名所と言われ、水萌えもんを仲間にするのにはもってこいの場所だ。 最初は船で行こうとクチバに向かったのだが、グレンへの船は出てないと言われ、それからずっとここで釣りをしているわけだ。 「……釣れん」 《きょうもつれないの?》 「ああ、今日も駄目そうだ」 さすがにこの会話も慣れてきた。できたらしゃべってもらいたいところだが。 それにしても釣れない。 あのクチバの釣り親父に騙されたか。何もないよりましだが。 ……釣れねぇ。釣りは忍耐力だって誰かが言ってたな。 さすがにキレそうだ。 何か向こうの方が騒がしいな。バトルでもしてんのかな? 「見に行ってみるか?」 カラカラはうなずく。 「んじゃ、いくか」 俺たちはその人だかりの方に向かっていった。 人だかりはやっぱりバトルだった。 話を聞くと、最近毎日ここでバトルをしているらしい。しかも、毎日同じような結果だとか。 片方はスターミー。もう片方は…見たことない萌えもんだな。 水タイプみたいだけど、十万ボルトとか電気タイプの技を使えるのか。 でもスターミーに当ってないんだよなぁ。 全部‘かげぶんしん’でかわされてるんだよな。 当ればいいとこいくと思うんだけど…。あ、倒れた。 「そこまで!スターミーの勝ち!」 審判をやってた人が叫ぶ。 「今日も同じだったか」「でも惜しかったわよねぇ」 人々が感想を言いながら立ち去っていく。 「今日も俺の勝ちだったな。ずっと同じ戦い方じゃいつまでも勝てないぜ。じゃあな!」 そう言って駆け出していくスターミーのトレーナー。あっちはクチバだから萌えもんセンターにでもいくのだろうか。 俺もその場を離れようとしたとき、急にものすごい怒声が聞こえた。 「お前のせいで今日も負けたじゃねえかよ!!お前なんかもういらねえ!!そのままくたばっちまえ!!」 瀕死の萌えもんに怒鳴りつけるトレーナー。萌えもんはぐったりしてほとんど聞こえていないだろう。 しばらくしてその場を去ろうとするトレーナー。 「置いてっていいのか?」 俺はそのトレーナーに聞いた。 「いいんだよ!あんな弱いやつ!」 予想通りの答えだった。目を見ても嘘なんかついてない事がわかる。 「じゃああの娘引き取っていいか?」 「勝手にしろよ!ほらよ!そんな弱いや…」 モンスターボールを渡される。それと同時にその萌えもんのもとに走る。何か言っているが気にしない。 萌えもんをボールの中にいれ、また走る。 近くのセンターまで全力で走る。 「…どうですか?」 「大丈夫ですよ。体の方はすっかり元気になりました」 ほっ、と肩をなでおろす。 「でも心の方は……」 「大丈夫です。それはこちらでなんとかしますよ」 そういってから萌えもんのとこまで案内してもらう。 「ところで、そろそろ頭から降りてくれないか?」 走るときに乗せたのが気に入ったのか、ずっとそのままだったカラカラに話しかける。 《やだ》 あっさりと却下される。 (あたし、なんでこんなところに?) 気がついたら、ベッドの上にいた。 混乱している頭の中を必死に整理する。 (えっと、バトルに負けて、起き上がれなくなって、それから……) だめだ、その後が思い出せない。 (あれ、そういえばご主人様はどこ?) そう思い、体を起こす。 すると、センターの人と知らない人が部屋にはいってきた。 「よう、起きたか」 知らない人に話しかけられる。 「私のご主人様はどこ?」 私はその人に問いかけた。 「私のご主人様はどこ?」 まあ、当然の質問だよな。 さてどうしたものか。 「まあちょっと待て、その前におまえの名前は?」 「えっ?ランターン…」 「オッケー、じゃあランターン、この辺じゃあ見かけないけど七島辺りからきたのか?」 「前はジョウトにいたの」 それから何回か質問を繰り返す。こっちのことも教えながら。 「じゃあ本題に入るか。なんでここにいるか…はわかんないよな。ここで目が覚める前のこと覚えてるか?」 「えっと、バトルに負けて、起き上がれなくなって、それから……」 だめだ。やっぱり思い出せない。 でもこの人どこかであった気がする……。それも最近の気が…。 「それからが思い出せないの」 「そっか、思い出したら教えてくれ。あとご主人様探しに行こうとするなよ。今日一日はここにいろ。」 そう言って、その人は部屋から立ち去ろうとする。 その人の頭に乗ってた萌えもんがこっちにくる。手に持ってるメモ帳を見せる。 《からだだいじょうぶ?》 そう書かれている。この娘しゃべれないのかな? 私は「大丈夫だよ」と答えた。 急にカラカラが頭から飛び降りる。 ランターンと話がしたいのかな? 「ここにいるか?」 カラカラに訊ねる。 《うん》 ずいぶん返事早いな。 「じゃ、逃げないように見張っとけよ」 そう言って部屋からでる。 「どうなんですか?」 ジョーイさんに訊ねられる。 「たぶん、覚えてますよ。何があったかは」 「えっ!?」 「あれは多分思い出せないんじゃなくて、思いだしたくないんだと思います」 「そんなことあるんですか!?」 「人間でもあるじゃないですか。昔虐待を受けてて…ってやつ。それとおんなじですよ、一時的なものですけど」 絶句するジョーイさん。そりゃそうだ。 はっきり言って俺はかなりキレている。本当なら今すぐにでもあのトレーナーをぶん殴りたい。 でもその前にやるべきことがある。殴るのはそれからだ。 「あの…」 その場を去ろうとしたときジョーイさんにたずねられる。 「何でそこまでわかるんですか?あのランターンのこと」 「昔、似たような症状の子にあったことがあるんですよ。だからそういう方向の勉強もしてたんですよ」 「なるほどそれで…」 「じゃあ、あいつらにジュースでも買ってきますね」 「おーい、ジュース買ってき…ってなんだよ」 部屋に入るとベッド上で眠る二人の姿。 しょうがないか、話の続きは明日にしよう。 俺は二人に布団をかけて、部屋のソファーで眠った。                                               ~続く~

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