3スレ>>933

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3スレ>>933」(2008/01/07 (月) 21:20:08) の最新版変更点

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「たとえ火のなか水のなか草のなか森のなか~♪」 生い茂る叢の中を紫色の服を着た子が走り回る。 「土のなか雲のなかあの子のスカートのなか~♪」 「キャーッ!? またやられたっ!!」 叢の中にいる少女のスカートがヒラリ、その子の尻尾によって舞い上げられる。 真新しい萌えもんトレーナーの服を着て、手にボールを持つその少女はまたやられたという表情を浮かべた。 「エイパム! ちょっと待って!!」 「あはは♪ 待ってていわれて待つ人なんていないよ~だ♪」 エイパムと呼ばれたその子は振り向きざまにアカンベーをしながら叢の中へ消えていく。 「…見失っちゃった…今度こそ捕まえられると思ったのに!」 こんなことが毎日続いていた。 新米トレーナーの少女は毎日のようにこの叢へ足を運んだ。 目的はイタズラっ子のエイパム。彼女が一番最初に目にした萌えもんである。 珍しいと思って近づいた矢先にスカートめくりの被害に遭った。 それからというものの、彼女は執拗にエイパムを狙い続け、今に至るのだ。 「今日も捕まえれなかったの?」 「…うん。」 少女が家に帰ると彼女の母親が夕飯の支度をしていた。 「トレーナーになるって言い張ってからもう5日も経つのに……最初はセンターで萌えもんが貰えるんじゃなかった?」 「そうだけど……最初は自分で捕まえるって決めたんだもん!!」 「……全く、しょうがない子ね……でも、そう決めたからにはちゃんと捕まえなさいよ? トレーナーになってから5日も家にいるトレーナーなんてほとんどいないんだから。」 「……は~い。」 そんな母子とのやりとりを、エイパムは窓の外から覗いていた。 木に尻尾をひっかけ、逆さま状態で。 「ふ~ん、アタイを捕まえるって急なこと言い出したと思ったら、こういうことだったんだね~」 ぶら下がったまま、エイパムは考える。スカートがめくり上がってパンツが見えているのも気にせずに。 「どうしよっかな~…」 エイパムはピョンと木から降りると、森の中へ帰っていった。 「ただいま~♪」 「おかえり。今日もまた遊んできたの?」 エイパムの母親のエテボースが胸に飛び込んできたエイパムを2本の尻尾で抱きしめる。 「ねぇねぇお母さん。」 「何?」 「アタイがいなくなると寂しい?」 「え? 何でそんなこと聞くの?」 「あのね…………」 ―――――――― ―――――― ―――― ―― 「ふ~ん…いつも遊んでる人間の子がそんな事を……」 「でね、どうしてもアタイを捕まえたいって言ってるの。どうしようかな?」 「それは、自分で決めなきゃ。」 「え?」 「あの子と仲良しなんでしょ?」 「なかよしと言うか……からかってるだけだよ~」 「でも、あの子と遊んだ後、必ず笑顔で帰ってきてたよね? 今まで暗かったのに。」 「そ、それはぁ……」 そう、エイパムには友達がいなかった。半月前に彼女と会うまでは。 「もし、あの子がいなくなったらどうする?」 「…………う……でも……」 「お母さんの事は心配しなくていいわよ、あなたが元気でやっていけたらお母さんも安心するわ。」 「お母さん……」 さらにギュッと抱きしめあう。 「わかった、決めたよ♪」 「そう。」 「でも、アタイが遊びで負けるまで捕まったりしないんだからねっ!!」 「ボールよし、秘密兵器よし……!」 叢の中で少女はもう一度確認をする。 「さぁ、エイパム! 今日こそ捕まえてやるんだから!」 「捕まえれるならつかまえてみろ~♪」 叢の中から声がする。 「たとえ火のなか水のなか草のなか森のなか~♪」 いつもの歌を歌いながらエイパムは少女の位置を確認し、背後に回る。 「土のなか雲のなかあの子のスカートの……ん?」 近づいたところでエイパムは動きを止めた。 「あれ??」 少女から尻尾が生えてるのだ。しかも、エイパムと同じような先が手になっている尻尾だ。 「こんなの生えてたっけ?」 ちょんちょんと触ってみる。すると… パンッ!! 「わひゃっ!?」 突然尻尾の先が割れ、驚いたエイパムは尻餅をついた。 「へへっ、捕まえた~っ!」 少女はガシッとエイパムの体を掴んだ。 「わ~~!! 離せぇ~!!!」 「離せて言われて離す人なんていないよ~」 少女はエイパムの小さな体を胸元でガッチリ抱き上げた。 「スカートめくりの犯人め、捕まえる前にお仕置きしなくちゃね。」 「え、ちょっとま……あははははは!!」 少女がエイパムの体をこしょぐり始めた。 「こちょこちょこちょこちょ」 「あひゃひゃひゃひゃ、く、くすぐったいよぉ~!キャハハッ!」 「どう? 降参する?」 「ヒャハハハ、こ、こうさん~っ!!」 「じゃ、捕まってね♪」 少女がボールをエイパムにポンと当てるとエイパムはボールの中へ吸い込まれていった。 「エイパム、ゲット!!!」 「あ~ぁ、捕まっちゃった♪」 ボールから再び出すとエイパムは少女の肩に乗った。 「それにしては、楽しそうだね?」 「だって、今からずっと一緒でしょ? いつでもスカートめくりできるからねっ!♪」 「こらっ、1めくり1こしょぐりだよ?」 「あ、それはヤダかも。」 「……これからよろしくね、エイパム♪」 「うん! ……あの、ちょっといい?」 「ん? 何?」 「今から旅に出るんでしょ? その前に、お母さんに会いたいんだ。」 「お母さんに?」 「そう、行くのね。」 「うん!」 エイパムはエテボースの胸に飛びついていた。 「エイパム。立派になって帰ってくるのよ? それまでお母さん待ってるから。」 「うん! わかった!!」 「それと、イタズラはしないようにね?」 「それは守れないかも♪」 「こーら。」 エテボースが尻尾でエイパムの頭を叩く。 「あてっ。」 「では、私の子をよろしくお願いしますね。えっと……お名前は……」 「私の名前ですか? ハルカです。」 「ハルカさんね。この子を立派な女の子にしてあげてくださいね。」 「はいっ!!」 エテボースは尻尾を差し出した。少女・ハルカはその尻尾をギュッと掴んで握手をした。 「それじゃ、家に帰って支度をしなきゃ! エイパム、行くよ!」 「はーい♪ えいっ! ハルカのスカートの中~♪」 ヒラリ。スカートがまた揺れる。 「キャッ!? こらーっ!」 「へへっ! 家まできょうそーだ!!」 「待てーっ! こしょぐりの刑だぞーーーっ!!」 あっという間に森の中へと消えるエイパムとハルカ。 エテボースはその2人の背中をじっと見つめていた。 「元気でね、エイパム……」 つづく?

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