3スレ>>973

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カンカンと甲高い音を響かせてハシゴを下る。 先に下りていた主人は私を支えてくれた。 後に続いて伝説のお三方とホウオウ様が降りてくる。 「あぁ、居た…」 ホウオウ様の相方とやらは洞窟の真ん中で椅子に座っていた。 近づいてみるとまるで『瞑想』をしているかの様に目を瞑っている。 「あの?」 「…………」 主人が話しかけても無反応。 それ程深く瞑想しているのか――と思った時、ホウオウ様がツカツカと相方の前に。 「―――起きろっ」 「はう!?」 ぱかーんといい音をさせてホウオウが相方を殴りつける。 ――寝てた!?と一同驚くも……。 「はう…? あ、ホウオウちゃん~。おはよう~」 「ルギア。お客さんだよ。それと何回も言ってるけどちゃん付けは止めて?」 「あぁ~、これはこれは失礼しました~。お客さんなんて何百年ぶりかしら~」 少し涙の滲んだ目をこすりつつ、ホウオウ様と話をしているルギア様。 どうやらこのホウオウの相方のルギア様とやら。 ……天然な性格なお方らしい。 「主人、話を進めましょう……」 「あ? ……あぁ、ルギア…と言ったかな?」 いち早く再起動した私の言葉に主人は戸惑いながらも用件を伝える事に成功した。 「―――そうなんですかぁ。大変ですねぇ。早く見つかるといいですねぇ」 「いや、ルギア。ボク達の役割、思い出そうよ」 主人が『薬草』の事を伝えるとルギア様が他人事と言った感じで答えた。 ホウオウ様はルギア様に突っ込みを入れる。 そうするとルギア様は『……あぁ、そうだったわねぇ』と思い出した様に手を打った。 「……イメージと違いますね」 「…言うな。キングラー」 「言わないで頂戴」 私のポツリとした呟きにサンダーやフリーザが言った。 「それでルギア、人間にどんな試練を?」 「そうねぇ…。見た感じはいい人だし、穏便に行きましょうか?  それはそうと、お茶にしましょうか、皆さん!」 「はい…?」 そんなこんなで主人と私達はルギア様とホウオウ様の用意したテーブルへと着席している。 目の前には紅茶があり……、テーブルの真ん中には人数以上のシュークリームが並んでいた。 ドクロが蓋になった瓶が真ん中にチョコンと置いてあるのは趣味が悪いのか何なのか…。 「何のつもりなんだ…?」 「試練ですよ~。貴方が『薬草を手にする資格があるかどうか』の~」 ルギア様は続けてルールを説明してくれた。 ただ単純。『シューを食べ切れなかったら負け』であった。 ルギア様曰く、『運と度胸を試す試練』だそうで。 「毒は…入って無いよな?」 「勿論ですよ~。わたしだって死にたくはありませんから~」 「ですが、ルギア様。このシューは貴女様が用意された物。  出来レースなのでは無いのでしょうか?」 この試練の欠点をルギア様に問いただす。 「大丈夫。ルギアは辛い物は大の苦手なんだよ。タバスコとかカラシとか異常な程に敵視してるんだから」 「そうなの~、ホウオウちゃんたら酷いのよ~? わたしの嫌いなカラシシューとかハバネロシューとか入れるんだもん~」 そんな敵方を見ながら主人の顔を見てみると『だったらこんな試練しなけりゃいいじゃないか』と顔に書いてあった。 顔に書いてあるだけでそれは無視され試練は開始された。 「……最初は俺か」 「だって、挑戦者ですし~」 ルギア様の言葉に黙って1つのシューを手に取った。 色は特に異常は無い。シューを1回転だけ回して見て主人はシューを齧る。 ――カリ そんな音が聞こえた。 「……何が入ってました? 主人」 「…………萌えもんフードの乾燥型」 齧ったシューを見つつそう答えてくれた。 食べられない物が出て来なくて少し安心したのは私だけの秘密である。 少し戸惑いながらも主人はそのシューを完食した。 「じゃぁ、わたしはこれ~」 ルギア様もシューの山から選んで取った。 無事に食べ終える。 ――次のターン。 主人は選びつつも適当に取って齧る。 「……イナゴ?」 「食べ慣れて無いのかしら?」 「少なくともゲテモノでは無いのう」 甘いシューの中にイナゴの佃煮とか味の想像も付かないが。 やはり食べられる物しか入って無いらしい。 「現代っ子は食べ慣れて無いのよね~」 「いや、俺は旅が長かったからな。ゲテモノ類は食べ慣れてるさ」 事実、主人は旅の途中で何でも食べていた。 蛙やら鳩やら虫やら……。 「なぁ、提案なんだが…」 「ふぁ?」 主人が食べたシューが5個目…と言った所で主人が口を開いた。 ルギア様も5個目を食べようとしていたが口を開けたまま主人へと向いた。 「……このまま続けても埒があかないだろう?  なら少々ルールを変えたいと思うんだが?」 「……んく。そうですね~。わたしもちょっとお腹がいっぱいになってきましたし~」 5個目を飲み込んだルギア様が主人の提案も飲んだ。 「これから食べるシューは相手が指定したシューだ」 「はぇ? 短期決戦……ですか~」 「そう言う事だ。俺の番だからルギア、君が指定してくれ」 主人がそう言うとルギアは『じゃぁ、これで~』と案の定、真っ赤になった一目で『辛い』と判る物を指定してきた。 それを判って居たのか、主人はそれを手に取って口に放り込む。 「…甘辛い」 「どんな感想なのよ?」 5秒後の主人の感想にファイヤーが突っ込んでいたが。 「……ふぅ。じゃあ、次はコレを食べてくれ」 「あれ~? 辛いのじゃ…ないのかしら~?」 選んだのはごく普通に見えるシュー。上に黒いソースがちょっとだけ垂らされている。 真っ赤に染まったシューは取らなかった。 ルギア様は『当然、来るだろうな』と考えて居たらしく拍子抜けした感じであった。 「まぁ…指定したのは君だしねぇ~。いただきま~す」 「ホウオウ。牛乳でも用意してくれ」 「あ、そうだね」 主人がホウオウ様にそう伝えると、ホウオウ様は洞窟の奥へと引っ込んだ。 ―――その瞬間。 「きゃふ!? な゛何コレ!? ごふっ!?」 「あー。ちっと待てな? ホウオウに牛乳取りに行って貰ってる」 ゴホゴホと咳き込むルギア様。 ホウオウ様が持ってきた牛乳を涙目で飲んでいた。 「ホウオウー。『ブ〇アの午前6時』だろ? コレ」 「あ、ばれたー? やってみたかったんだよね、このイタズラ」 「いや、イタズラの域を越えてるからな?」 私達には何が起こったのか判らなかった。 ルギア様はまだ落ち着いて無い様子であった。 「知ってたのですか!?」 「あぁ、旅の途中で聞いた。『世界一辛い調味料』だそうだ」 どうやら、この調味料が『辛い』事を知っていたらしい。 途中からのルール変更で出来レースになりましたか…。 「ま、まさか、人間にハメられるとは…。このルギア、一生の不覚」 「用意したのはホウオウだけどな」 「こうなったら! 責任取ってください!」 「……はい?」 ルギア様が主人に向かってそう言う。 当の主人は『何故?』と言った顔。 「今から貴方は私のマスターです!」 「…いや、用意したのはホウオウ―――」 「決めました! マスター!」 主人に有無を言わさずにそう言うルギア様。 なんて言うゴーイングマイウェイな天然娘。 「でもな…?」 「ルギアは一度決めたら動かないよ」 「…はぁ」 ホウオウ様のこの言葉で主人は諦めた様子であった。 主人は『しょうがないか』といった感じで諦めた様子。 いや、元からこの状況を予想でもしていたみたいな感じであった。 「それでルギア。この人の事は認めた?」 「はい~…、ルール変更を申し出た時にそれは決まってました~」 「…どう言う事だ?」 主人がルギア様に問いかけると、ルギア様曰く『運と度胸を試す試練』では無くて、 『勝つ可能性の少ない状況でどう動くかの試験』だったらしい。 ルール変更直後の一撃必殺に『見事でした。……酷かったですが』と酷評のルギア様。 主人は『それは悪かった、許してくれ』と困り気味の様子。 「とにかく、ボクも認めたから。この人に『アレ』あげようね」 「あ、そうでしたね」 そう言ってルギア様とホウオウ様は主人の前へと並ぶ。 「第2のカギの1つ! ホウオウ!」 「第2のカギの1つ、ルギア」 『我が主人へ最後のカギへの道を渡す』 ルギア様とホウオウ様のかざした手から光が溢れ出て主人のかざした手に集まる。 光は神秘のチケットと同様に1枚の紙の形になった。 「『オーロラチケット』か」 幻想的な色をしたチケットが主人の手にあった。 「『はじまりの島』そこでそのチケットをかざすんだ。それで『最後のカギ』が現れるよ」 「…判った」 私達は旅の仲間を連れてシーギャロップへと戻る。 いよいよ、主人の薬草を探す旅も終焉に向かっていた。 ルギアの試練-Fin-

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