1スレ>>276

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「よっし!」 「ようやく捕まえられましたね」 「流石に石と餌だけじゃ辛いところがあるな」 やれやれと、捕まえたガルーラのサファリボールを拾いながら俺は言った。 「警戒して攻撃してきたポケモンもいましたよね。その都度ひやひやしましたよ」 「はは。まぁ、そういうところだからなここは」 目的を追え、広大なサファリパークの景色を眺めながら帰ろうと思ったら、 キュウコンは歩く足を止め「でも、ちょっとかわいそうです」と、俯きながら言った。 「ん?」 「捕まえられるポケモン達が、です」 「なるほど」 「確かに広くて、餌も貰え、危険な野生のポケモンと会うこともないので住み心地はいいのかもしれません」 「ですが、それが捕まえるためだと思うとあまりいい気はしません」 動物には本音を聞けない。もし、猫や犬が話せたならこういうことを言うのだろうか。 ポケモンは話すことが出来るんだから人間に近いのかもしれない。 それにしても、こいつは賢いと言うか何と言うか・・・。 シオンタウンから西の草むらで見つけて捕まえたが、あの頃は元気の塊で無茶も多く色々と大変だった。 ニドラン好きなトレーナーとの対戦で、大丈夫と意気揚々とでんこうせっかを繰り出したが、毒を浴び苦戦を強いられた。 毒消しを与えようとしたのだが、断ってそのまま無理して戦い、勝てたからいいものの無茶もいいところだった。 しばらく一緒に旅を続け、レベルも大分上がったところで進化させた後の変貌ぶりときたら別人かと思う程だった。 ロコンの時の元気さは身を潜め、命令も聞くようになり、物腰も柔らかくなった。 姿が変わったのもあるんだろうが、人間で性格が変わったのを目の当たりにしたらこういう感じなのだろうか。 当時の自分のことは覚えているようでこの話を切り出すと照れながらも 「昔のことじゃないですか」と話を続けるのを止めようとする。 人間で言えば子供時代ってところなのだろう。あの元気さも無くなってしまうと、少し寂しいものだ。 「マスターもそうは思いませんか?」 キュウコンは赤い瞳を向け、尋ねた。 「ああ・・・確かにな。でも」 「でも?」 「野生で生きていくのが一番いいとは一概には言えないんじゃないか?」 「確かにロケット団のような悪い人間達もいるが、全部の人間がそうではないよ」 そうですね、と同意はしたがまだ何か納得は出来ないような感じだった。 「俺は捕まえる側だからなんとも言えないけど、少なくてもお前達に出会って良かったって思ってるよ」 「はい、それは私もです」 キュウコンは曇った表情を和らげて微笑んだ。

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