4スレ>>170

「4スレ>>170」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

4スレ>>170」(2008/01/18 (金) 01:40:22) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

 ようこそ、こんな山奥まで。  リーグ挑戦じゃなくて、ただ旅の途中で立ち寄っただけだとか。珍しい方ですねぇ。  ここはもえもんリーグ以外には、何もないところですから、立ち寄ってもあまり見学するところはありませんよ?  いろんな人に話を聞くだけでも楽しい? ああ、わかります、わかります。  ここは娯楽が乏しいですからね、誰かとの会話も娯楽の一つになってるんです。  それで、私の話も聞きたいと? 昔話、思い出話くらいしかできませんよ?  それでいい? そうですか。ちょっと待っててください。お茶を入れてきますから。  お待たせしました。  それでどんなことが聞きたいですか?  もえもんとトレーナーの話? そうですね、私もそれくらいしか話せませんから。  四十年も警備員をやっていますと、いろいろな人を見ます。  チャンピオンや四天王、挑戦者、職員、それにもえもんたち。  中には困った人もいましたが、ほとんどの方がいい人ばかりでした。  強い萌えもんや、性格の濃い方ほど、印象に残っていますね。  例えば、十年以上チャンピオンであり続けた方。同じように四天王であり続けた方。少人数でリーグに挑んだ方。  ほかにも、仲間のもえもんをコスプレさせてリーグに挑んだ方や、70歳の挑戦者、同じ技のみで勝ち進んだ方、  戦術、戦略、アイテムを駆使した方など。  思い起こせば、いろいろな方を見てきたと、自分のことながら感心します。  その中でも、一番印象に残っている方がいます。  それは誰ですかって? まあ、慌てなさんな、言い惜しみはしませんよ。  一番印象に残っている方、それはメタモン一人だけ連れた挑戦者です。  そうそう、使える技がへんしんのみのもえもんです。  その挑戦者が現れて、リーグに挑むと知ったとき、ここにいる皆が笑っていました。  失礼ながら私もその一人です。  だけれど、その人とメタモンは、その笑う人たちを気にすることなく、四天王に挑んでいきました。  四天王の一人目で負けたんだろうって? 皆も同じ予想をしていました。  ところがどっこい、四天王の一人に勝ったのです。  その次も、その次も勝ち進み、ついにその二人はチャンピオンに挑むことになりました。  あっという間に、その二人は注目の的になりました。  どんな戦いをするのか、どれくらい強いのか?   あなたも気になるでしょう?   笑っていた者たちも同じだったのでしょう。  始めは、見学者の少なかった挑戦者たちの戦いが、チャンピオン戦には全席満員だったのですから。  そこで私たちは見ました。規格外という者の存在を。  メタモンが変身を使い、チャンピオンのもえもんと同じ姿をとります。  だけれど同じなのは姿だけで、その身に宿る強さは、桁外れでしたね。  愛らしい容姿から、繰り出される強力かつ洗練された技の数々は、私たちを魅了しました。  いったい、どんな修行をしたら、あそこまで強くなれるのか、いまだに不思議に思っていますよ。  それにトレーナーの判断力、知識、経験、発想力、どれも超一流と呼べるものでした。  もえもんが強いだけでは、もえもんバトルを勝利できません。  トレーナーの指示があって、もえもんがその指示のままに動き、ときに独自の行動をして初めて勝利へと繋がります。  トレーナーとメタモンは、そのコミュニケーションが素晴らしかった。  とても強い絆があったのでしょう。  声を出さずとも、指示を出せ、その意思を汲み取るなんてことをやった人たちを、私はその二人以外に見たことはありません。  その人はどうなったか? チャンピオンに勝ちましたよ。しかし、チャンピオンの座につくことはありませんでした。  まだまだ色々なところを見て回りたいと仰って、止める職員を振り切って旅に出てしまわれました。  今はどこにいるのでしょうねぇ。  おっと、仕事の時間が迫ってきました。私の話はこれまでです。  楽しかったですか? それはそれは。私も話したかいがあったというものです。  では、私はもう行きますね。  休息所の座席に座り話していた二人のうち、年をとったほうが立ち去っていく。  体のどこかを悪くしているのか、ひょこひょことぎこちない歩き方だ。  すこし慌てている様子なのが、聞き手には不思議に思えた。 「すいません。ちょっといいですか?」  そんな聞き手に、話しかける男が一人。 「なんでしょう?」 「メタモンを見ませんでしたか?」 「メタモン?」 「ええ、俺の相棒なんですけどね?   昨日、激しいもえもんバトルを終えたばかりで治療中なのに、暇だといって遊びにでかけてしまって。  安静にしてないと駄目なんですけどねぇ」 「ちょっと見てないですね」 「そうですか、ありがとうございました」  男は、周囲をきょろきょろと見渡しながら、歩いていく。  聞き手の耳に、男の独り言が聞こえてきた。 「誰かに変身して悪戯でもしてるか? 悪戯好きだからなぁ」  それを聞いて聞き手の脳裏に、一つの考えが浮かんだ。  昨日バトル、警備員歩き方おかしかった、慌てて去っていった……。  もしかしてと思う聞き手が、あることを思い出す。  それは、昨日チャンピオンを破ったものがいるという話。  聞き手は、今日ここに着いたばかりで、そのことを詳しく知らない。  警備員はメタモンで、昨日あったことを自慢していた? と推測してみるも、証明はできない。    聞き手が考えに没頭しているところから、少し離れた場所。  そこに男とメタモンがいた。  じっとしていないことを叱られているメタモン。  叱られて、目の端に涙を浮かべている様子からは、とても強そうには見えない。  メタモンが警備員に化けて話したこと、それが本当か嘘かわかるのは、  聞き手が、推理の当たり外れを調べ終わったときだ。

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示:
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。