4スレ>>178

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 春がきた。  夏をむかえた。  秋をみつけた。  冬がすぎた。  そしてまた春がきた。  そのストライクにとって、じんせいはそういうものでした。  他には何もありません。  憧れに近づいてくるニドリーノも。  敵対心に燃えるニドリーナも。  畏怖を抱いて震えるタマタマも。  ストライクにとって、そういう人はみんな石ころと一緒でした。  こんなことをきかれた気がします。誰かは、石ころだからいちいち覚えてません。  ―――きみはどうしてそんなに強いんだい?  ストライクは答えました。こうおぼえているから、こう言ったのでしょう。  ―――あなたたちはどうして弱いの?  石ころはそそくさと逃げた気がします。  そのストライクは、とてもとてもつよいお父さんとお母さんに恵まれました。  お父さんはサファリパークの主で。  お母さんは昔はジムリーダーのパートナーでした。  だから、その子どもがとてもつよいのは、当たり前の話です。  ストライクは生まれてすぐに神さまの子だ、天才だとよばれるぐらいつよくなりました。  たまにやってくる悪いにんげんを自慢のかまでやっつけてやりました。  そのたびにみんながほめてくれます。すごい、すごい、と。  さいしょは嬉しくて嬉しくて、自分を生んでくれた両親にありがとうと毎日いってました。  何回目かの誕生日が終わる頃に、ちょっとフシギにおもいました。  ―――なんで誰もわたしと遊ばないんだろう?  よくかんがえてみると、みんなが自分をすごいすごいと言ってくれるけど、誰も遊んでくれません。  そのフシギはどんどん大きくなって、子どもだったストライクはとてもつらかったのです。  やろうと思えば何でもできるのに、友達だけは手に入らないのかな、とおもいました。  だから、次の誕生日に、思いきって両親にきいてみました。  するとお父さんが、本当のことをいってくれました。  ―――お前は昔、友達を殺しかけたんだよ。  なんでも、まだストライクがなにもおぼえられない頃は、みんな遊んでくれたらしいのです。  だけど、ある日に友達がふざけて、ストライクが大嫌いな火をちかづけました。  そのストライクはとてもつよいストライクでした。  だけど友達はふつうの萌えもんでした。  だからストライクにとってはとっさの抵抗でも、友達にとってはものすごく痛いこうげきだったのです。  お父さんはこうもいいました。  ―――いいかい。きみはつよい。今までもこれからも、欲しい物は何でも手に入る。だから、  そこでお父さんはさかさになりました。  そのストライクはとてもつよいストライクでした。  だから、自分のお父さんの■だって、とても簡単にきりさけちゃったのです。  自慢のかまからポタポタと音がします。  近くにいたお母さんもきりました。悲鳴もあげないでたおれました。  二人ともかんたんにきれました。  なんだ、お父さんもお母さんも、その友達と同じなんだ、とそのストライクはおもいました。  家から出ると、みんないました。  遊ぼうというといつもはぐらかすモルフォンも。  つよいと有名なのに、自分には近づかないケンタロスも。  ちょっぴりかっこいいとおもってるカイロスも。  みんなみんな、まるでお化けを見るような目で、そのストライクをみました。  だから、みんなきりました。  そのストライクにとっては、遊びのようなものでした。  だから、誰も無事ではありません。  まるで歩くぐらいのちからで飛んでっちゃう石ころのように。  みんなみんな、草むらにころがりました。  ペンキをこぼしたような真っ赤な草むらで、ストライクだけが石ころじゃありませんでした。  そのストライクは、とてもつよかったから。  そのストライクは、みんなと遊んでみたから。  そのストライクは、もう何も手にはいらないのです。  もうだれもほめてくれません。  そのストライクは、とても悪い“おやごろし”をしてしまったからです。  でもとてもつよいから、だれもストライクをおこれません。  今のみんなも、そのストライクを、あの日みんなが見たようにしか見ません。  むかしのことだから分かるけど、ずっと前からみんなそのストライクをそういう目で見ていました。  憧れてる石ころも、敵対心をもってる石ころも、本当は同じ目で見ていました。  なんで。  いやだ。  たすけて。  もうストライクにとってはどうでもいいことです。  今はこうして、季節がかわるのを知るだけのじんせいなのですから。  そのにんげんを見つけたのは、食べものを探しに歩きまわっていたときでした。  にんげんは岩に座り込んで図鑑のようなものをいじっていました。近くにはテントとランプがありました。  あ、やっと見つけた、と、そのにんげんはよろこびました。にんげんはおとこのこでした。  なにをしてるのかしら、と訊ねると、おとこのこはとてもおどろいた顔をしました。  すっごい問題児って職員さんから聞いてたのに、おとなしい萌えもんだな、といいました。  そのストライクは怒りませんでした。かわりに、今でもピカピカのかまをおとこのこのすぐ近くに振り下ろしました。  おとこのこが座っていた岩がまっぷたつに割れて、おとこのこはバランスを崩して草むらに落ちました。  これでもそうかしら、とそのストライクはいいました。  ああ、うちの奴らと比べたら随分な、とおとこのこはいいました。  ストライクには、おとこのこのいってる意味がわかりません。  こうやってきりかかった時、お父さんは驚きました。  お母さんは泣きました。  みんなは怖がりました。  なのに、おとこのこは驚きませんでした。泣きませんでした。怖がりませんでした。  なんでとも、いやだとも、たすけてとも、いいません。  何か、そう見られたことがないから分からないけど、そのストライクにはおぼえのない見られかたでした。  そんなにつよいんなら、サファリパークはもったいないよ。  気づいたら、おとこのこは立っていました。片手には、もう何万個もきったことのあるボールをもっています。  うちの萌えもんもすげえ問題児でさ。泣き虫なかえん萌えもんとか、元気がとりえのドラゴン萌えもんとか。 出来ればお前にリーダー役やってもらいたいんだ。  また、いってる意味がわかりません。  ストライクはとてもつよいから、他の萌えもんがいっしょにいたらたいへんです。  でも、おとこのこは、そのストライクを見ています。おぼえのない見かたで見ています。  だから、つい口がすべってしまいました。  暇だからいいけど。  おとこのこはとても嬉しそうにはしゃぎました。  本当に嬉しそうなものだから、ストライクはつい笑ってしまいました。  それはまるで勇者さまに助けてもらったお姫さまみたいで。  とても、きれいでした。  また春がきたその日。  とてもつよいストライクのじんせいは、まだ始まってもいないのです。                                    おしまい ※以下徹底的に蛇足。蛇足なのでそっとしてあげてください。 「ただいま、リザードン、ミニリュウ」 「おかえりなさいごしゅじさまー!」 「ああ、ただい…どうしたリザードンっ?」 「マスダァァアァァ! わたしやっぱりだめですぅううううう」 「あのね、あのね、あたしがね、『きょうくるひととリザードンってどっちがつよいの?』ってきいたらね」 「ミニリュウ、それは禁句だっつったろ?  自分より強そうな萌えもんのこと考えるとリザードン、すぐオレに捨てられるって不安になるんだから」 「きんくでしょ? いいおことばなら、だからあたし、いいのかなって」 「そりゃ金句だ! いや待てそっちの方が言葉的には難しいはずだぞ…?」 「わたしぃ、飛びます、空飛びますから捨てないでぇ」 「ああ待て待てリザードン。安心しろ、大丈夫だってオレがお前を捨てるなんてありえないから。  それに今日はその新しい仲間が来たんだ。紹介するぞ、ほら」 「……ごめんなさい、やっぱり帰っていい?」 「は?」 「子どものお守りって苦手なのよね私。ストライクだから戦闘種族だし。生まれもいいから貴族生活染み付いてるし」 「いやいやいや、あんな奥地で仙人みたいな生活しといて何言ってんだ?」 「細かいこと気にしないでよ。とにかく、この子達のお守りなんてお断りよ」 「だーっ!  せっかくまじめな性格が多いストライクでツッコミ増やしたかったのにまーたこのパターンか!  おじょうか! それともこうきかこんちくしょう!」 「そのギャップがいいんじゃないかしら」 「自分で言うな自分で!」 「あー、リザードンひでんましんてくびにあててるー。へんなのー」 「やめてー! なんか絵的まずいからー!」 「わぁ。すごいすごいストライクだ! あたしもサファリパークがおうちなの。よろしくね!」 「……あ、そうね。ええ、よろしく。笑えるわねぇ、この人達」  ちゃんちゃん☆

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