4スレ>>263

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 …許してくれとは言わない。  …許してもらうつもりもない。  …あの日、俺は彼女を裏切ってしまったのだから。     ~紫苑の花を片手に~ 「マスタぁー! 早く、早く~っ!」 「ちょ――ちょ、待てよぉ」  そう、岩山トンネルの出口から俺を急かす、疲れ知らずの嫁。こと、ピカチュウ。  俺はそれにSM○Pのイケメン風に答えてみせるが、疲労困憊のせいで、いまいち役になりきれなかった。  常磐の森でピチューな頃の彼女と偶然出くわし、即保護。  水着姿のカスミ氏に現を抜かして、何度もコテンパンにされながらも(主に俺のメンバー達に)、  お月見山で迷った甲斐あって、晴れてピチューは今のピカチュウに進化。  あの素早さで天使のキッス、10万ボルトのコンボは実に強烈。  最後のスターミーには苦戦したが、見事、でんこうせっかで勝利をもぎ取ってくれた、俺の素晴らしい相棒だ。  ピチューのころの名残か、無邪気で人懐っこくて、一夫多妻についても――……なぜだろう?  最近、ダブルバトルで他のメンバーと顔合わせさせると、笑い合っているのに、なぜか寒気を感じる……不思議だ。 「もぉー! マスター、はやくしないと本当に置いていきますよぉ~?」  だが、今感じるのはジメジメとした空気ではなく、出口から流れてくる爽やかな風。  そして、眩しすぎる逆光に照らされ、影ごとかき消えそうになっているピカチュウ。  ――?  不意に頭の中で、不思議な情景が浮かんだ……が、それはあまりにも唐突であったため、  記憶することもできなかった…。 (きっと疲れているせいだな。あぁ、これもすべてはA製作者の「鬼畜の洗礼」のせいだ。彼の鬼畜MAPには、  ほとほと泣かされたぜ…。んで、勇気を振り絞って穴から堕ちたら、  まさか真下に山男さんがいるとは気が付かず(つーか、ありゃバグだろ…完璧…)、ごっつんこ。  それに何を勘違いしたのか山男さん、gtmtフラグ立てやがって、こっちとらぁ逃げるに必死で暗闇の中、  さらに迷子になっちまったじゃねーかよ……orz。…だけど、噂ではこれで鬼畜MAPは終わりらしい。  ピカチュウが元気なのも納得がいく。どら、早くピカチュウのところに行ってやるとするか) 「あぁ…! …だから……ちょ――ちょ待てよぉ~!」  ……………………。  …………。  ……。  …うん、もう一度、場の寒気を感じたのは気のせいじゃないよな……。 「…やっぱり、似てないです……」  そう嘆息を吐き捨てながら仰いやがったピカチュウ女士。 「疲れてんだよ。暗かったんだよ。怖かったんだよ(主に山男が)。それにそこまでハッキリと言うんじゃねーよ…  俺の芸人魂が2ミリほどハートブレイクしちまっちゃったじゃねーかよ…」  岩山トンネル内のひんやりとした地べたでorzとなる俺。 「また2ミリって、ずいぶんと微妙ですね…」  そんなヘタレ状態の俺の背中を「よしよし」と宥めてくれるピカチュウ。  …にしては、どうにも手がゴツイ気がする。 (…MASAKA…)  振り返りたくもないが、それでも振り返ってしまうのが、人間の性というものなのか? 「ほんと、かわいそうね~。今度こそ、私がそのプリティなお尻を慰めて…あ・げ・る」  忘れよう! いますぐ忘れよう! さぁ忘れよう! ――そして、 「なにやってんだ、ピカチュウ! 早くしないと置いていくぞぉぉぉぉぉぉぉぉ…ッ!!!!!!」  ――駆けた。俺は一瞬で音速を超え、光をも超絶した。  この身が満身創痍だということも忘れ、全力で走った。  四肢よ、ちぎれよ。とばかりに。 「ドップラー効果?! マスターいつの間に高速移動を覚え――」 「あらあら、貴女のマスターってほんと、照れ屋なのね……――それじゃ、代わりに貴女を…――」 「ラジャーッ! どこまでもついていくッスよ! マスタあぁぁぁぁぁぁぁぁ……ッ!!!」 「ん~、イケズな子達ねぇ……――まぁいいわ。  ここまで来たついでに、ちょっくら萌えもんタワーにでも寄るとするか…」         ☆ 「じ、死ぬかと思ったぜぇ…!」 「はぁはぁ…! ま、マスターのせいですからね…!」  途切れた息を整える俺達。  危なかったぜ。  あまりの必死さに呼吸すらも忘れて、真っ白に燃え尽きるところだったぜ…!  そしてほどなく、脳内に酸素が行き渡ったところで気が付いた。 「…ここ…どこだ?」 「…さぁ?」  どこを見渡せど、一面、樹木しかない。  まさか、常磐の森の悲劇再来?! (…ぅ宇和ああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!  タウンマップ! タウンマップ! ――って、タウ○ページじゃねーよ!)  今一度、必死でリュックサックを漁る俺。 (…まったく、つくづく思うのだが、このリュックサック、いくら物を入れても型通り。  それでありながら、軽く、無限とも言えるアイテムが入るのだ。おまけに自転車も入るという摩訶不思議な珍品。  まったく、モンスターボールといい、このリュックサックといい、  この世界の技術力に心底驚かされるぜ…――と、タウンマップ。タウンマップっと…)  今度こそタウンマップを取り出し、木漏れ日から溢れる青空の下、広げ、ピカチュウと一緒に覗き込む。 「…うん、どうやらまだ10道路にいるらしいな。ここをこーいって、あーいけば、シオンタウンにいけるな」 「それじゃ、わかりませんよ…読者的な意味で」 「よーするに、南下していけばいつか辿り着く。以上」 「…はぁ。こんなんだからトキワの森で5時間、お月見で1時間半、岩山で2時間近くも迷うんですよ…」 「なんかいったか?」 「べっつにぃ~」  わざとらしく、そっぽを向き、一人歩き出すピカチュウ。  ちゃんと南下していっているあたりが、どうにも素直じゃなくて気に障るが…  まぁ、あの件に関してはピカチュウにはなんの非がなく、あれは完全に俺のせいだ。  だが、俺は忘れない…。  常磐生まれ、常磐育ちでありながら、常磐の森で迷子になっていたお前の姿を…。 (あのまま俺と出逢わなければ、コイツ、永遠と生まれ故郷で迷い、果てていたんだろうなぁ…  ――恐るべしは、A氏の鬼畜な思考!) 「? どうしたんですか、マスター? いつまでも突っ立っていますと日が暮れちゃいますよ?」  ――この瞬間を待っていたぜ――! 「ちょ待てよぉー」 「わぁー、すごい! 紫苑のお花畑だぁ~!」 「聞けよ、コラ」  癪に障った。  どうやらアイツはいまひとつ、主従関係ってもんがわかっちゃいねぇーようだな。  どれ、ここらで調教してや―― 「…か」  そこは思わず声を漏らしまうほどの…いや、本来は声すら上がらないであろう秋の風情。  さきほどの一面樹木とは打って変わって、ちょっと進むとそこは紫苑の花畑が広がっていた。  優に500坪近くあるんじゃねーか? おい…。  ――いや、まったくもってのテキトーだが……。 「ねっ? すごいですよね!」  その花畑の中、子供のようにはしゃぎ、自由に舞い踊るピカチュウ。  一輪の紫苑に触れては、自分の頬と、黄色の心花と合わせ、至上の笑顔を見せる。  あれがピカチュウという種族のコミュニケーションのようで、  よく頬を擦り合わせ、なんかを確かめ合っているらしい。  …………――うん、なにを確かめ合ってるのか、俺の知ったこっちゃない。 「聞けよ、コラ」  花と戯れているピカチュウを軽く小突く。  むろん、帰った来たのは、さきほどの天使の笑顔とは打って変わった、ふくれッ面。 「ったく…急に、こんな開けるなんて、どう考えもおかしいだろ? 考えられるとしたら人の敷地しかない。  つまりこれから出荷されるかもしれない大事な商品かもしれない。そして他にも傷付いたメンバーがいるんだ。  ほら、わかったさっさと行くぞ」 「ぶぅー!」  さらにむくれるピカチュウ。  赤い頬からピリピリと放電しているところを見ると、かなり機嫌を損ねてしまったらしい。  こりゃ頑として動いてくれそうにないぜ…。  …さてどうしたもんか。コイツ、ピカチュウは閉所恐怖症という名のモンスターボール嫌い。  …ちょい意識しすぎなんじゃねぇ? と思うほどのボール嫌いなのだ。  いや、一応ボールマーカーは付けたから、その気になれば戻せるんだが、  あとで10万ボルトを喰らうのもいやだし、ってか死ぬし…。  しばし熟考する俺。  そして深く溜息を吐く。  業者さんの人、さきに謝っておきます。ごめんなさい。 「…ほらよ」 「――えっ?」 「えっ? じゃねーよ、ほら、これでガマンしておけ」  そう、俺は無造作に摘み取った一輪の紫苑の花を、無造作にピカチュウへと差し出した。  …なぜだろう、なんでこんなにもピカチュウの顔がまともに見れねぇんだ?  差し出した紫苑の花をピカチュウは、虫の羽音よりもちいさな小声で 「ありがと…ございます…」  っと俯きながら、そう…呟いた。  ……参った。こんな気まずい空気になるとは予想外だったぜ……。  なんとかこの状況を打破しようと、コラッタよりも小さな頭脳をフル回転させる。  あぁ、気まずい! 気まずい! 気まずい! 気まずいッ! 「…あの」 「木まずいっ!」  …しまった。なんだ、と聞くはずだったのだが、とんでもなく間違えてしまった。しかもガチで誤植…。  そりゃピカチュウも驚き、身を縮込ませているわけだ。  あぁ…終わった。なにもかも終わった……。いっぺん死んでこよう…。 「ピカチュウ、俺に10万b――」 「あの…! このお花、萌えもんタワーにいる娘たちにもあげていいですかっ?」 「…っは?」  あまりの唐突ぶりに俺の思考、一時停止。  ……New Loading…………。  ……New Loading…………。  ……New Loading…………。  残念ながら、俺にはM1基盤が差さっておりませ――って、んなもん端っからねーよッ! 「…だめ…でしょうか?」  トパーズ色の瞳を潤ませながら、俺を見つめてくるピカチュウ。  ヤバイ――! 別の意味で死ぬ! 「え? あ、いや、そんなことはないぞ? うん…!」  途端、雨雲一風爽快、まぶしい太陽がお見えになった。 「マスタぁー!」 「ちょ! おま! 抱きつく――電気――! 静電気が――ちょぉおお?!」  ピカチュウに押され、紫苑の花畑へと倒れこむ俺達。  ピチューのときからそうだが、コイツはなにか良い事があると、事あるごとに俺に頬ずりしてくるクセがある。  …うん、つまりなにが言いたいかというとだな……――特性のせいで痺れるんだよ、ピリピリと!  地味に痛んだYO! 勝手に表情筋が動くんだYO! 小顔になっちまうYO!  そんな痺れる俺をよそに、ぐりぐりすりすりと頬を擦り合わせるピカチュウ。  …仮にもし、この状況で俺がわずかにでも首を動かしたら、いったいどうなるんだろか……?  …………うん、とりあえず、マヒなおしプリーズ。  いつものことなので、言わずとも、ひとしきり満足したピカチュウにマヒなおしをかけてもらい、復活。  …またしても無駄な出費が……orz 「はい! そうと決まったら、善は急げ! いこっ! マスター!」  落ち込んでいいやら、怒っていいやら、どちらにもつくことができない俺の手を引くピカチュウ。  …彼女がなぜ、萌えもんタワーに花を手向けに行こうとするのかはわからないが、これだけは言える。 「そうだな。それに有力なウワサじゃあ、あそこにはムーマが出るらしいからな! ムーマ! ムーマ!」  思わず、高く振り上げた拳を何度も上げ下ろしする俺。  図で表しちゃうと、こんな感じだZE!     ∩ ( ゚∀゚)彡 ムーマ!   ⊂彡 ムーマ! 「…やっぱ萌えもんタワー行くのよそうかな……」

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