5スレ>>89(1)

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『運命の朝』 『サトシー?ちょっと降りてきてー!』 階下からの母の声を聞いて、俺は目を覚ました。こんな朝早くからなんだというのだろう。寝ぼけ眼で下に下りる。 『なに?かあさん。』 『オーキド博士から連絡があったわよ。すぐに来てくれって』 『博士から?』 オーキドユキナリ。ポケットモンスター研究の第一人者で、萌えもん出現後も萌えもんの研究を続けている。齢80に迫ろうとしているが、だが、まだまだ盛んな人だ。そんな有名人だが、家とは隣同士と言う縁もあり、家族ぐるみで仲がいい。それに一応、俺も有名人の家族だしな。 父さんのレッドは前々ポケモンリーグチャンピオンだし、叔父さんのブルーは前回ポケモンリーグチャンピオン。2代チャンピオンを輩出した家として、その名を轟かせているのだ。・・・といっても、父さんも叔父さんも、『チャンピオンなんて面倒くさい』とすぐにその座を返上してしまい、今は暫定チャンピオンとして3代前のチャンピオン、ワタルさんが今一度その座を守っている。俺も親の七光りで何度か会ったことがある。カッコイイし性格もいいのだが・・・天はポケモンの腕とルックス、2物は与えても3物はさすがに与えなかったようで、服飾のセンスが壊滅的だった。 ・・・話がそれたな。 『何の用だって?』 『さぁ・・・?あの人のことだから、萌えもん関係じゃない?』 何の用事かまでは聞いていないらしく、母さんは首をひねる。 『大体見当はつくぞ』 声をしたほうを見ると、一人の男が入り口から入ってくる所だった。圧倒的な高身長に不釣合いな童顔、それ以上に目を引くのが、赤と白で構成された皮膚の色と、巨大な尻尾の先に燃え盛る火炎。これこそが萌えもん、かつてポケモンの『リザードン』だったものだ。父さんの絶対的な右腕として活躍し、『ピーピーリカバーさえあれば四天王全員抜きも可能だった』と称されるほどの実力の持ち主である。今は萌えもんの保護活動に飛び回っている父さんが、『一番信頼できるから』と、俺や母さんの護衛のためにあえてメンバーから外して家においていった彼とは、生まれたころからの付き合いだ。彼が萌えもん化したときは、あの雄雄しくてゴツかったリザードンが、身長以外は美少女と見紛うばかりのかわいい姿に変わってしまった、その余りのギャップに耐えかねて一日中笑いが止まらず、ブチきれた彼に高度8000メートルまで連れ去られて死ぬ思いをしたものだ。 ・・・また話がそれた。悪い癖だ。 『どういうこと?』 俺が聞き返すと、リザードンはこう答えた。 『仕事の依頼、だな。』 『仕事?』 『ああ。レッドから聞いた話なんだがな、あいつが俺とはじめて会ったとき、やっぱりこんな感じで呼び出しがあったそうだ。カメックスから聞いた話だと、ブルーのときもそうだったらしいぞ?』 『ってことは・・・』 リザードンは軽く頷いて、言った。 『きっとまた、図鑑作りだな。』

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