5スレ>>123

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 1~7の島を日替わりで散歩するのが俺の日課になっている。  どの島を散歩するかは暇な時間と俺の気分次第。今日散歩にきたのは6の島  オヤジに貰ったキセルをふかしながら海岸沿いを何をするでもなく散歩する。  葉を詰めるのは面倒だが、一度吸いだすと紙巻では満足できなくなるから困った物だ。  いつも休憩を入れるところですわり、海を眺める、誰だじじくさいとか言ったのは。 「パープルさん!」  すぐ傍らの草むらから飛び出してきたのはナゾノクサ、どうやらこのあたりの萌えもんには 顔を覚えられているらしい。時々話しかけてくるヤツが居るのだ。  喧嘩の仲裁をやらされたり色々と面倒だったりするが。 「珍しいな、煙草の火がついている間はいつも出てこないのに」 「それどころじゃないんです、ちょっと来て下さい!」  ナゾノクサについていくと、海岸には紫の髪に黒のワンピースの女の子が倒れていた。 「2時間ぐらい前に打ち上げられてるのを見つけて、応急手当はしたんですけど、萌えもんの 手にはおえなくて……。オニドリルさんの話しだと、はずれの島にいるバブネークっていう 萌えもんさんらしいんですけど。見てくださいここ……」  言われずとも分かる、背中に右肩から左腰にかけて袈裟懸けに傷が一つ、 こんな状態で流れてきてよく息があったものだ。 「わかった。センターまで俺がつれてこう。」  センターまでその子を背負って運び、ジョーイさんに引き渡して治療をしてもらう。  待っている間に、煙草に火をつけ……ようとしたところで、治療室の方から何かが暴れる音が聞こえてきた。 「なんだ?」  頭上に疑問符を浮かべていると、ジョーイさんが俺の前に走ってきた。 「すいません、さっき預かった子が目を覚ますなり暴れだして、まだ治療も終わっていないのに……」  やれやれと肩を竦め、治療室に向かうと、部屋の隅で黒い刀を構え、こちらを睨みつけているハブネークがいた。 むこうから襲い掛かってくるような様子はない。よく観察すれば、刀を持つ手がかたかたと震えていて、 目にはうっすら涙を浮かべている。 「怯えてるのか。ジョーイさん、しばらく治療室ふさがっちゃうけど、説得するから外してもらっていいかい? ああ、ドアは閉めといてもらえると助かる。それとなんでもいいんで椅子を一つお願い」  ジョーイさんは頷くと治療室から出て、パイプ椅子を置いて、ドアを閉めていった。 「さて、と」  ハブネークから視線を外し、煙草に火をつけ、いつもと同じ調子で煙草を吸う。ハブネークは完全に無視し、 昼前に買ったミックスオレをポケットから出してのみながら……。 「……」  手近な台に携帯灰皿を置き、3度ほど葉を取り替えた所で、俺は口を開く。 「疲れないか?」  返事は無い。 「ま、取りあえずこれでも飲んだらどうだ?」  飲みかけのミックスオレをハブネークの近くの台に置き、それから椅子に座りなおす。十秒ほど、 それをじっと見つめていたが、それを手に取り、少しだけ口をつけた。 「甘い……」  甘さが気に入ったのか、一気にそれをあおる。中に眠り粉を仕込んであるともしらずに……。 「あれ……?」  数秒で、ハブネークは意識を失い、その場に倒れこんだ。  その後、すぐジョーイさんに治療の続きを頼み、治療が終わると1の島の自宅へと帰った。  ハブネークは取りあえずベッドに寝かせ、刀はクローゼットに隠した。余計な時間を食ってしまったので、 すっかり夜になってしまっていた。  翌日早朝に俺は目を覚ましてベッドの方を向く。 「なんだ、まだ寝てるのか、ま、そのほうが面倒が無くていいってもんだ」  ふんふんと、鼻歌など歌いながら、朝食の準備をし、2人分の朝食が完成したところでハブネークが目を覚ました。 「……。刀……、私の刀どこ!?」 「お、目が覚めたか、おはよーさん。飯食えるか?」 「それより、私の刀は……!」  半泣きになって、必死に聞いてくる。一つため息をつき、俺はベッドに腰掛る 「落ち着け、ちゃんと返してやるから。その代わり、約束して欲しい事があるんだ」 「聞く! 聞くから返して……!」 「じゃ、刀返しても暴れるなよ?」  クローゼットから刀を取り出して、ハブネークに渡してやると、心底安心したようにその刀を抱きしめた。その一瞬後、 ぐぅ~っという腹の虫が鳴き、ハブネークが顔を真っ赤に染める。  朝食を半分ほど食べた頃友人のニシキが家にやってきた。ハブネークがニシキの顔を見たとたん、暴れこそしないが、 怯えて部屋の隅へといってしまう。 「お、バイトか?」 「ご名答です。しかも今度は長期ですよ、はい、これバイトの詳細です」  ニシキに渡された紙を見ると、依頼者はマサキ経由でオーキド、内容は萌えもん収集、ということだった。 「これ、賃金は歩合制なのか?」 「萌えもんトレーナーは、うまくやれば簡単にお金が溜まりますよ。本体の賃金は安いですけど、 下手なアルバイトよりそうとう儲かるとおもいますよ? パープルさんは体力有り余ってますし、丁度いいバイトだとおもいますけど。」 「そうだな、やるか」 「問題は、どうやってマサラまでいくかですねぇ……、その子は、見た感じまだ若いようですし、クチバあたりのトレーナーあいてにはつらそうです」  ニシキがハブネークを指差して言う。 「こいつは昨日たまたま助けただけなんだ。傷も直った事だし、はずれの島に返してやろうとおもってる」 「ファイヤーさんに助けてもらうってわけにはいきませんかねぇ。パープルさん、 確か子供の頃からともしび山でファイヤーさんとよく遊んでましたよね?」  当時の俺はファイヤーの萌えもんとしての強さも、その希少性も全く知らなかったが、実の親の夫婦喧嘩を見るのに疲れ、 ふらりと山に登ったときそいつに出会ったのだ。詳細は長くなるので割愛する。 「いや、あいつはダメだよ。山から離れたがらないし。まぁ、マサラまで運ぶだけなら手伝ってくれるだろうし、 頼んでみるよ。あいつは、俺の育ての親みたいなもんだから」 「足が確保できるなら、問題ないじゃないですか」 「そうだな。ま、頼んでみるよ。仕事引き受けたって連絡入れといてくれ、俺はファイヤーのところにいってそのまま行くよ」 「じゃあ、これだけ渡しておきます」  ニシキはにこにこしながら俺に何の変哲も無いモンスターボールを数個と、傷薬をいくつか渡してから家を出て行った。 それを見送ってからハブネークの方へ向き直る。 「お前、はずれの島が家なんだろ? つれてってやるから、ついてきな」  そういうとハブネークは俯き、首を横に振る。 「やだ、あそこには帰りたくない……」  ぽつぽつとハブネークが話す事を要約すると、どうも島の萌えもんたちと話が合わないということ (おそらくいじめられていたのだろう)と、黒い服を着た人間達に攻撃され、海に落ちたという事だった。 「なるほど……。なら、俺と一緒に来るか? もっとも、俺も黒服と同じく人間だが」  しばらく考えたあと、一つ頷く。それを見てから、俺はハブネークの前にモンスターボールを投げる。  ハブネークを吸い込んだモンスターボールは揺れる事もなく、カチリと蓋を閉じた。

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