5スレ>>165

「5スレ>>165」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

5スレ>>165」(2008/02/15 (金) 20:08:29) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

「お腹すいた」  店もなければ、野生の果物もない、そんな山道で少年はお腹を押さえる。  少年のお腹からはぐぎゅるるる~と、盛大な音がしていた。  近道しようと道をそれて、見事に迷って山の中。  リュックの中には食べ物は何もなく、飢えは癒されそうにない。  そんな少年に、何かが入った器が差し出される。 「私の食べかけでよかったらわけてあげるわ。  あなたのために作ったわけじゃないんだからねっ、私が食べたかっただけなんだから」  ラプラスが赤い顔を背けて言う。 「ありがとぅ~」  少年は心底嬉しそうに器を受け取り固まった。  器の中身は、溶けかけのカキ氷。勢いよく現在進行形で溶けている。 「なにこれ?」 「カキ氷塩味」 「なんで塩?」 「唯一あった調味料だから」 「塩入りとはいえ、ただの氷じゃん! 栄養ないよ!」  この会話の間にカキ氷は溶けきって、とても冷たい塩水になった。 「私の作ったカキ氷が食べられらないっていうの?」 「せめて甘さがほしいよ!」 「一からの手作りなのよ? それくらいは我慢してもいいじゃないの」 「手作りって、そういえば水もないのにどうやって?」 「ハイドロポンプをれいとうビームで凍らせて、いわくだきで粉々にしたのよ」  どおりで氷の粒が粗かったはずだ。 「ほんとに一からの手作りかい」  少年は手の中の器をじっと見る。  やがて覚悟を決めたのか、ぐいっと一気飲み。  そこまで覚悟のいるものじゃないだろう、という突っ込みはしないでもらいたい。 「辛っ!?」  訂正しよう。覚悟の必要な飲み物だったようだ。 「あ、味の感想を言いなさいよ」  少しだけ期待の込められた声色で聞く。 「言わなくてもわかるだろ! っていうか一文字で表したよ!」 「海水よりましだったじゃない」 「海水を基準にするな」  水を確保できることがわかっただけでも儲けもの、そう考えて少年は歩き出す。  ラプラスも隣を歩く。  二人が街についたのは、この出来事から一日後のことだった。

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示:
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。