5スレ>>177

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 ――暖かい。  なん、だろ。まるで皆と一緒に眠ってるみたい。  お日様のにおい? ううん、ちょっと違う。なんだろう……?  あ、そっか。  ホーホー。ホーホーのにおいだ。  優しくて、しっかりもので、いぢわるで。  私の大切な友達。  ……私、どうなっちゃったのかな?  最後はオーダイルに……やっぱり、死んじゃったのかな?  ホーホー、ちゃんと逃げられたかな?  ……なんか、体がむずむずする。  もうちょっと、このまま――  つんつん!! 「わふっ!?」 ――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「お……気がついたか?」  わふっと目を覚ましたガーディは目をぱちくりさせている。  それにしても……このホーホーノリノリである。  つんつんつんつく。  目覚めたガーディを執拗に突くホーホー。  ところで彼女の持っている木の枝は一体……? 「痛っ! ちょ、ホーホー! 痛い! 痛いって!!」 「ホホゥ! 起きて! 第一声がっ! それですかっ!!」  ……なんというか不思議な光景だ。  うい数十分前まで野生の萌えもんだった二人のはずだけど、異種同士でここまで仲がいいのは結構珍しいんじゃないだろうか?  まるで姉妹のような二人を見ていてそう思う。 「はっ!? こほん。助けていただいてありがとうございます」 「いや、気にしないでよ。それより、ごめんね? なんか無理やり捕まえちゃったみたいで」  そう。マサラタウンを出た少し後、ちょっとしたアクシデントで森を彷徨っていた僕は、偶然ボロボロになった二人を発見したのだ。  で、このままじゃ二人とも危ないと思った僕はオーキド博士からもらったもんすたぁ球を使って無理やり保護したんだけど。 「……!?」  なんかガーディには凄く警戒されてます。  いや、僕これでも命の恩人っぽい立ち位置だと思うんだけど。 「ガーディ。ちゃんとお礼を言いなさい」 「……うぅぅ」  うほ。超唸られてる。  っていうか超睨まれてるんですが……  つんつんつん!! 「わひっ!?」 「ホホゥ。命のっ! 恩人にっ、お礼もっ! 言えないんですかっ!!」  例えるなら秘剣ホーホー連嘴突。軽く片足上げて左手を高々と上げるのがコツなんだろう。 「い、命のオンジンとか言われてもわかんないよ!! わふっ! ひふっ!」  ガーディはもう涙目になっていた。 「あ、いや。お礼とか別にいいよ。善意は見返りを求めないってことで一つ」  なんだかガーディが可愛そうになってしまってとりあえず僕はお礼が欲しくてやったわけじゃない事をアピールする。 「ホホゥ。お見うけした所まだお若いのにとてもしっかりしていらっしゃいますね。ぽっ」  ぽって。頬が染まったわけじゃないのが切ない。  多分ホホゥとかぽって口癖みたいなもんなんだろう。 「いえ、それでは私の気が治まりません」 「私は別にいいけど……痛っ! ちょ、つっつかないでって!!」  つんつん突っつかれるガーディは頭を抱えるようにして逃げ出した。  なんだか微笑ましいけど…… 「僕はどうすればいいんだろう」  僕を中心にくるくる回る二人を見ながら僕はただ苦笑いするしかなかった。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――  時間は遡り、ガーディたちが少年に助けられる少し前のこと。  オーダイルが今まさに倒れこんだガーディに止めを刺そうかとその腕を振り上げた時だった。 「止めろ。オーダイル」  いつの間にか側に立っていた一人の萌えもんがオーダイルを止める。  オーダイルと彼女は面識があった。  同じトレーナーに仕える萌えもん同士なのだから。 「……あァ? てめェ、いつから居やがった?」  その声からもオーダイルが激怒している事は容易だ。  だが、彼女は冷静だった。オーダイルを無視するかのように足元に転がったガーディを見つめる。  息はまだある。  ほんの少し、肩が上下しているのを見て彼女はそう思った。 「……何シカトこいてやがる。まずてめェから打ち殺してやってもいいだぜ……?」  オーダイルから見れば彼女は新顔だ。  それも自分のあずかり知らぬところで主が連れてきた彼女を、オーダイルはひどく毛嫌いしていた。  主の一番は自分で無ければいけない。  主と共にずっと旅をしてきたのだ。主の全てを知っている。そういう自負があったはずなのに。  この女は後からひょっこりと入ってきて、主の一番になろうとしている。  それが一番許せないのだがもう一つ。その目だ。  全てを達観したような、冷めた目。  それが何よりもオーダイルの心をいらつかせるのだろう。 「……やる、というならやぶさかではないが……」  じゃり、と彼女が仁王立ちになる。 「そうなれば貴様も無事ではすまんぞ。オーダイル」  彼女の周りの光景が歪む。  じりじりと近くの気温が上がっているのをオーダイルは感じ取っていた。  ちなみに今のところオーダイルは彼女が全力で戦っている所を見た事が無い。  勇猛なオーダイルだが、先頃のガーディとは訳が違う。  警戒しつつ臨戦態勢に移るオーダイルをよそに、無防備なまま彼女は歩み寄る。  そして思わず後ずさったオーダイルの足元でか細く息をするガーディを抱き上げると、すぐ側に生えていた木の根元にそっと寝かせてやった。  不意に、彼女の目にガーディの胸元から覗く綺麗な石が目に入る。  ――それは、まさか。 「てめェ……どこまでアタシをおちょくってくれんだコラァ!!」  ガーディにも、そして彼女にも愚弄されたオーダイルの怒りの咆哮が木々を揺らす。  彼女はガーディから離れると、オーダイルに目をやった。  怒りにその身を任せ、襲い来る様はまさに濁流。  その長い後ろ髪を振り乱し、必殺の速度を持って彼女に襲い掛かる! 「引き裂いてやらァ!!」  爪による一撃はオーダイルの最も得意とする攻撃。  横一線に走った豪腕の一閃は容易に木をへし折った。 「クソッタレ! ちょこまか……動きやがって!!」  オーダイルが反転するとポニーテールが鋼のごとき硬さに変わる。 「食らいなッ! アイアンテェェェェルッ!!」  寸での所でアイアンテールを回避した彼女は表情一つ変えない。  空中で彼女はすっと右手を上げる。  その手が赤くなり、陽炎を生み出すとオーダイルの全身に悪寒が走った。 「――ブレイズ」  タイプは自分が圧倒的に有利なはずなのに。  体格だって、自分のほうが有利なはずなのに。 「クローッ!!」  振り下ろされる紅蓮の爪。  唸りを上げるそれは焔を纏い、オーダイルの頭目掛けて振り下ろされた腕は――  オーダイルの額を焼く一歩手前で止められた。 「ほら、そこまでにしな二人とも」 「マ……マスター!!」  彼女とオーダイルの視線の先に居るのは彼女たちのマスターだった。 「ボクの可愛い萌えもんが仲間割れなんて、ボクは悲しいよ……ディル」 「ち、ちが! マスター! コイツが喧嘩を売ってきたんです!」  必死に自分の潔白を訴えるオーダイル……どうやら名前はディルというらしい。  ディルの顔から殺意が消える。殺気を孕んでいたその目は恋焦がれる目に変わっていた。  それを見て彼女の顔が一瞬不快感を露にする。  そんなディルを抱きとめるマスター。 「さ、キミもおいで」 「断る」  一言吐き捨てると彼女はマスターの腰からもんすたぁ球をひったくると、慣れた手つきでボールの中に戻ってしまった。 「フフ、つれないキミも悪くない」  そう言ってニヤケるマスターに気づかないディルは転がっているホーホーとガーディを指差した。 「マスター、マスター。アイツらどうします??」 「……うーん。雑魚で薄汚れてるからいらないや。ボクには強くて綺麗な萌えもんしか必要ないからね」 「マスタ~。アタシ一人でも十分だって~」  じゃれ付くディルをうまくいなしながら、マスターは歩き出した。  彼が目指すのは……萌えもんりーぐ。  そう。全ての萌えもんトレーナーの憧れであるチャンピオンだ。 「……今頃あのグズはどうしてるかな」  まぁ、無様に這いつくばっているに違いない。  彼は高笑いをしながら次の町へと向かって歩き出した。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――  さて。あれから少しして、僕たちはとりあえず夕飯をとる事となった。  なんとかして、今日中にガーディと少しでもいいから仲良くなっておきたい。  何せ、手持ちの萌えもんの中では唯一の火タイプ。  いざというときにそっぽを向かれると困ってしまう。  しかしまだまだ警戒されてるから食べてくれそうに…… 「まふっ! ハフッ! モフッ!!」  うわぁ、警戒心0で貪り食ってるよこのガーディ。  ホーホーの方も美味しそうに食べているみたいだし……  うん。いいね。なんかイイ! イイよこれ!! 「……」  ついついっと僕の裾を引っ張るのは僕の相棒ヒノアラシのヒノだ。  ヒノはめったにしゃべらない。身振り手振りで意思疎通を図る事が多い。 「うん? どうしたんだヒノ」  ちょこちょことアクションをとるヒノ。ふむ、なるほど、なるほど。 「ええと、ガーディ? この子はヒノアラシのヒノ。仲良くしてくれれば……」 「……」  いつも通りの笑顔でヒノはガーディの前に座り込む。  そして、空皿を前に少ししょんぼりしているガーディに自分の分を少し差し出した。 「……くれるの?」  上目遣いで尋ねるガーディを見てヒノはこくりと頷く。  するとガーディの顔が次第に明るくなって行き―― 「ありがとーー!! はむっ! まふっ!!」  またものすごい勢いでそれを食べ始める。  しかし……凄い食いっぷりだ。  言い方は悪いけどこれなら餌で釣る事ができるかも……? 「ほら。僕の分も食べていいんだよ?」  そっとフードを差し出す。これで上手くいけば仲良く 「がうっ!!」  ガブ!! 「Oh! My GOD!!」  激痛。なんていうか手を噛まれた。  フードを食べようとして噛んじゃったとかそういうレベルじゃない。純粋に噛まれた。  結構ショックが大きかったりする。 「ホホゥ! 人のッ! 手をッ! 噛むとはッ!!」  つんつつつんつん!! 「痛っ! 痛痛痛!!」 「うわぁ! ホーホーつついちゃ駄目だぁ!!」  この子は一体どこにこの木の枝を隠してるんだろう。  それはさておき、このまま放っておいたらちょっとガーディが可愛そう過ぎる。 「だ、大丈夫だよ。全然痛くないから。ちょっとじゃれただけだよね?」  そう言いながらガーディの頭を撫でる。 「ソ、ソウダよ。ワタシ、じゃれタダケダヨ……!」  口の端がヒクヒクしてますガーディさん。  きっと怖気がするほど撫でられるのやなんだね? 「……ホホゥ? じゃれただけですか」 「そ、そうそう! じゃれただけ!!」  撫で速度を加速させてなんとかその場をごまかそうとすると、ホーホーはじと目になって僕たちを見つめた。  言い訳が苦しかったか!? 「ぽっ。そういう事にしておきましょう。ホホゥ」  ……良かった。なんとかこの場を納められた……  がぶ!! 「――!!」  思わず悲鳴を上げそうになるが、そこは我慢。  ……これから、どうなるのかな。しかし……

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