5スレ>>184

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 鉄屑の脳で考えた結末は誰でも予想出来る範囲である。 12時の鐘までに戻るようシンデレラは言われ、【獲物】を城に探しにいく。 魔女は王子様の存在が邪魔だった、だからシンデレラを利用した。 王子様はシンデレラに食われ屍になる、骨を砕き肉を飛び散らせ臓物を潰す。 シンデレラは魔女にかけられた魔法で魔物になった。 魔物になったシンデレラは王城の騎士に討ち滅ぼされ、あの世で王子と結ばれたのだった。 ――――――――――  彼女の放った視線、そして言の葉は周囲全てを凍らせるに十分な力がある。 狐やハピナス、果ては毛玉すらその薄く鋭利な殺意に身を凍らせた。 禍々しい殺意、萌えもんのポッチャマではないのか? 彼女はそれとは違う何かなのか? 余りに異質な怒気、狂気と他の何か……まるで悲しみが混ざったような。 「――……それで、何が聞きたいの?」 その間は一瞬であったか、永劫の時を経ていたのか。 小さな少女の再び放った言葉を受けるまで、4人は動く事すら許されず、静かな落ち着きの篭る一言に救われた。 ハピナスが何を思って少女に声をかけたか、他の3人には理解の範疇になかった。 少女の琴線に触れる“何か”を含んだ質問であったのだろう事だけは想像に難くないが。 「……貴女は、人間ですね?」 ―不意にハピナスの投げかけたその言葉に、マスターと狐は反応すら出来ず、赤い毛玉は言の葉が放たれた事すら気付いていない。 有るか無きか、刹那の間を置き、ハピナスは意識を永劫の闇へ落とされた。 吹き飛び、壁を突き破り、氷河の上を転がるメイドを二人(+毛玉)は何が起こったか把握する事すら出来ず眺めていた……。 ――――――――――  冷たい氷河を赤き鮮血で染め、ハピナスは静かに眠っている。 もう動く事はない、背中は爆ぜ、彼女の心臓はその周囲の物ごと消えうせている。 右手を肩の高さまで上げ、血に染めたポッチャマはそっとその腕を振り、赤き雫を静かに落とす。 「――貴方達も聞きたい事があるの?」 返り血で顔を深紅に彩るその形相は静かな怒気と、そして懐かしむかのようなそんな不思議な感じを擁している。 ゆっくりと歩み寄る少女を狐は虚ろな視線で眺める。 彼女にとって、ハピナスは初めて出来た友人でもあった、良く気がつき、話し相手になり、些細な遊びもハピナスと一緒に覚えた。 唯一無二の親友、そういう事も出来た。 「……お前は逃げろ。」 ガーディをぶち抜かれた壁から放り投げた紫煙のマスターは、そっと煙草を咥え、火を燈した。 ――――――――――  燻らせた紫煙は少女の殺気すら無き物とするが如き静寂の落ち着きを払っている。 まるでそこだけが、別の場所であるかのように振る舞い、少女の気勢すらも殺ぐ。 「ハピナスが言ったのは……本当か?」 隻腕の彼が残す片腕で煙草をそっと外す、その様子はまるで、剣を備えた騎士のような……。 「本当なの、私は元々人間、かの有名なμ2の研究の過程で実験材料にされてこんな姿になったの。」 紫煙の無垢な静寂に一度は殺がれた気勢も、真実を語る上では無意味であったか。 再び再燃した殺意と怒気は人間、そして全ての生物を憎むかのような苛烈さを増していた。 「とても不思議だった、体中生きたまま弄繰り回されて、終わらない激痛を味わって、他の生き物の物まで色々つけられたの」 未だ赤き染みを残す右腕の雫をそっと口に運び味わう少女は、果たして人間であるか、萌えもんであるか。 最早その狂気の前では些細な問題であるように思えた。 「……私は人間も萌えもんも嫌い、でも貴方達はいい人に見えたのに、だから助けたのに。」 その刹那、少女の姿は紫煙の眼前にあった。 触れ合うほどの距離、万人を魅了し悪魔をもその微笑で浄化しうる顔は、今や血に染まり、その殺気にて全てを死神の形相を呈すに至っている。 「どうして私の過去を知っているの?」 そっと胸元へ触れる右手は、まるで一夜の惑いを誘発するかであったが、それは死者への僅かな手向けであろうか。 夜伽を連想させる妖艶な手は紫煙の胸元を静かに撫で、しかし赤く染まった指先はゆっくりと命の灯火を探っている。 「……元チャンプなんでな、何年もやってれば余計な情報が入ってくる、新米のチャンプには入ってこないようなものまでな。」 回した腕は何の意図か、紫煙は腕を回し抱き寄せた。 耳元に口をよせ何事か囁き、そして。 「……大人はずるい……もっと早く貴方に逢えればよかったの……。」 言葉は武器になる。 鋭利な刃の言葉は人の心を容易に切り裂き、柔らかな包み込む言葉は人の心を優しく癒す。 しかし、届いても間に合わなかった言葉は、どちらになるのだろうか? ――――――――――  少女は、静かな死を迎えたかった。 自分を殺してくれる誰かをずっと探して、このシンオウの氷河にたどり着いた。 幾年月をこの凍える地過ごし、変わらぬ姿のまま、その力故人々に恐れられた。 恐れられ、そして畏れられた。 無為に過ごす少女を人々は女王に祭り上げた。 恐怖は人を狂わせる、例えそれが犠牲を払う事であっても。 ――――――――ー―  床を染めるのは果たして少女の彩血か、紫煙の鮮血か。 赤黒く広がる泉、その静かな流れに倒れ伏す二人の表情は何故こんなにも穏やかなのか。 その場を見つめる唯一の瞳は虚ろに輝きを失い…… ………… ―――――――――― 赤は血の色、そして命の輝きの色。 ―小さな、心を穢すには十分な色。 その手を染めた色は黒く、魂をも染めていく。 ―憎しみに飲まれた魂を救済できはしない。 穢れし流れは真紅の身を深紅に染めていく。 ―有るか無きかの僅かな望みは虚無に染まり逝く。      そして、再び流転する。 ――――――――――  彼がその道を目指したのはただの暇つぶし。 そして彼女が彼に寄り添うのは彼と共に在る為。 嘆きをその身に宿す彼女、そして金色の身を翻す彼女、そして静かに佇むメイド。 【3人の】姿はいつからか朱蒼の女神とも称えられる事になった。 4人の下には常に1人の小さな姿があったという。 ――――――――――  彼がそこに辿り着いたのは気まぐれでしかない。 1人ただ静かに空を見上げその赤き身を風に任せる。 絶望と失意に染まり、失った対価と共にただただ、何も見えぬその空虚な瞳を空へと向ける……。 ――――――――――  無限の可能性を全て捨てた彼はここにいる。 選び取った世界は唯一の存在となる世界。 その身を赤き器から解き放つ事で手に入れた世界。 3人を捨てて手に入れた世界。 やり直しはもうきかない。 無限のループは終わったのだから。 ――――――――――  たった一つの可能性を手にした彼は紫煙をなびかせる窓辺に佇む老人と静かに寄り添っている。 そして年を経て未だ美しさを保つ3人の女性はその老人と共にゆったりと過ごしていた。 九尾の妖狐、嘆きの女王、静謐な侍女。 僅かな可能性を捨てなかった未来は小さな幸せを少しずつ積み重ねた世界。   でも、その世界は本当に、現実? ――――――――――  私が目を覚ました時に広がっていた光景は目を疑うものだった。 深紅の体毛を鮮血に染めた毛玉……ガーディは倒れ伏した3人を抱きかかえ……。 いや、もうガーディと呼ぶべきではないのだろう、鮮血に染まりて尚神々しさを失わないその容姿は子犬のような姿ではなく。 伝説にその名を残す神獣ウィンディとなっていたのだから。 「……もう一度、この世界を終わらせる。」 昏き光が静かに広がっていく。 赤と黒、そして青の光。 全てを覆うその光はあるべき世界を失わせていく光……。   今度は変えてみせる。  北の地を終焉の大地にしない為に。 ――――――――――  Continual change of infinity   To The Next loop......... smoke in the moonlight ~ Fin ~ ―――――――――― あとがき……のような言い訳座談会 「……作者はとりあえず死んでくれ」 煙草を作者の左腕に押し付けながら罵倒するように紫煙の旦那は吐き捨てる。 「同感ね、こんな雑な、それにネタが尽きた? いい加減な事を、気力0だからでしょうに。」 鬼火を灯し作者の全身をあぶっていく狐。 「人をまぁプロットからいたキャラなのに殺すわ殺させるわ酷いったらないの。」 鋼の翼を作者の脳髄へ押し込んでいく嘆きの女王。 「大体なんですか、私は捨て駒とか。 嫁嫁言ってたのはどなたですか。」 ボルトアクションライフルを高速リロードしながら1発ずつ背骨に打ち込んでいくハピナス。 ―――あのごめんなさい、お願いだから、不死身とか言われてるけどそこまですると死ぬって、死ぬよ。 「言い訳は十分かしら。 死んで償うくらいの覚悟はあるんでしょ?」 九尾の妖狐はその身に宿る全力の力を頭上に掲げ巨大な炎獄の塊としている。 ―――あの、だからさ、燃え死んだら生き返らないジャン、助けてくれない? 「助けましょうか?」 メイドらしい静かな口調で手を伸ばすハピナス。 ―――助けて、お願い、いくら嫁の優先順位が狐>ハピナスに変わったからって殺しちゃったのは謝るからさ。 「……変わったんですか。」 ―――……ぁ。 そっと手を引くハピナス、彼女もまたどこからか取り出したレーザーキャノンを構えている。 ―――あの、ごめんね、いや、だってほら、入せ 「言い訳は十分のはずなの。」 巨大な氷を剣の如き刃と化し掲げる女王は心底からの憎悪に満ちている。 ―――……あぁ、次回作の予定は今のところないです、生きてたらまたおあいしm 『……逝け』 そして世界は爆音と閃光に満ちた。  その後、作者の行方を知るものは誰もしなかった……。 byCapri

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