5スレ>>193

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5スレ>>193」(2008/02/15 (金) 20:37:46) の最新版変更点

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2 まえがき           うちのルギアが明るくなっていく場面です、温かい目でご覧ください -----------------------------------------------------------------------             ~RELIVE~              ~青空~ ――ひとしきり俺に抱かれて泣き続けたあと、彼女は少し落ち着きを取り戻して俺にこう聞いてきた ルギア「本当は・・・・・・あなたみたいな人がいて欲しいって思ってた・・・ずっと期待してた     ・・・でも・・・叶わないと思ってあきらめようとしてた・・・恐かったから・・・だから・・・ここにいたの・・・」      そんな彼女に、俺はそっと優しく言った    「大丈夫だよ・・・これからはずっと一緒にいられるから」 ルギア「うん・・・・・・・・・・・・///」      ・・・しばらくの沈黙の後、彼女がこう言った ルギア「・・・・・・・・・ねぇ・・・これから、どうするの?」    「うーん・・・ひとまず外に出るかなぁ、」 ルギア「そういえば・・・あなたの仲間は? ・・・ひとりで、ここへ?」    「えっ・・・いや、いるよ・・・ここを探検するにはちょっと危険が伴いそうだと思って・・・」 ルギア「どんな方?」      彼女がそっけなく聞いてきた。が、何かしらの含みを持ったような言い方だったので         あえてここで紹介するのは後回しにしておこうと考えた    「まあ・・・・・でも、あとで紹介するよ。しばらくは2人でいたいなぁ~~とか思ってるし」 ルギア「//////」      ・・・とりあえず、妬いてたのかなって予感がしたんだけど、予感が当たってたら        それはそれで彼女のココロが俺に向いているということで         まぁ・・・うれしい・・・カナ・・・///       ルギア「ねえ、どうやって、出るの?」      と、聞かれても、単純な答えしか返せない    「来た道をたどって出るかな。でも、ここから出るのは大変そうだな」 ルギア「出られるわよ、すぐに」    「えっ?」      ・・・正直驚いた。だがよく考えればこんな閉鎖的な空間だけで生活していくには無理がある・・・ ルギア「ほら・・・あそこに大きな水溜りがあるでしょう・・・あそこから・・・外に通じているの・・・夜に外へ出たりするときに使っているんだけど・・・」      と、ひとつの水溜りを指差した。幅は・・・4メートルそこそこ・・・かな? 人が問題なく通れそうな大きさだが・・・    「でも、ずぶ濡れになりそうだな・・・」 ルギア「・・・やっぱり・・・嫌・・・かな・・・?」      すこしトーンを低くして言った彼女の頭を、そっとなでた    「そんなことないよ。どうやって外に出るのか、興味があるし。じゃあ、それで行こうか」 ルギア「・・・濡れちゃう・・・けど・・・・・・・・・いいの?」      彼女が伺うように聞いてきた    「まあ、何とかなるさ!」      濡れることよりも、その外への出方に興味があった俺は、彼女の背を軽く叩き、そう言った         ルギア「そうですね・・・では、今すぐ行きますか?」    「うん、じゃあ、そうしようか」      そして、俺と彼女はその水溜りの前に立った ルギア「えっと・・・では・・・わたしにしっかりと掴まってくださいね」    「こ・・・こうで・・・いいのか?」      俺は彼女を後ろから抱きしめるように掴まった ルギア「え・・・ええ、そ・・・それじゃあ・・・いきますよ・・・///」      すると、俺と彼女はふわりと浮かんで、水溜りの中へ飛び込んだ。       こ・・・これは・・・ちょっとキツいかも・・・。息が続かなくなりそうだった              我慢の限界に近づいたあたりで、ようやく水中から外へ出た       俺は少々疲れて呼吸を整えていた       ルギア「ほら、外に出ましたよ」      彼女が呼びかけてきた。     「ふあ~~~、外に出れたぁ~~~。やっぱり外に出ると気持ち言いなぁ~~~」      ふと、彼女のほうを見た。彼女は背を向むいて透き通った青い空を眺めていた      ・・・また、哀しいことを考えているのかな・・・と、俺は心配になった       しかし、その心配が取り越し苦労であることに、すぐに気づく      彼女が振り返ってこちらを見た。そして彼女の顔にはさっきまでの暗い表情からは想像できないような満面の笑みが浮かんでいた       俺は・・・・・・・・・その姿に目を奪われ、しばし何の言葉も出ないのであった・・・ ルギア「青い空って気持ちいいですね!」    「う・・・・・・うん、そうだな・・・///」      恥ずかしさから、少々、反応が遅れる       彼女が、こちらへやって来た ルギア「あの・・・ありがとうございます・・・その・・・あなたの・・・おかげだから・・・・・・        ヒトに見つかるのが恐かったから・・・いつも夜になってから外に出ていたの」      その愛らしい顔が徐々に俺に近づいてくる・・・        ルギア「あの・・・わたしのわがままなんですけど・・・これから・・・ずっと、一緒にいていいですか?」      その愛らしさに耐えられず、俺は彼女を抱きしめた。はぁ・・・なんて愛らしいんだ・・・    「もちろんだよ、ルギア・・・これからもよろしくね」 ルギア「はい・・・・・・/////」      青い空の下、温かく爽やかな風が吹き抜けていった・・・・・・ --------------------------------------------------------------- あとがき  水溜りの大きさをどのくらいにしようかと考えていたらふと思いついてしまったNGがあるので  こっちに書いておきます  実際に使ったほう  と、ひとつの水溜りを指差した。幅は・・・4メートルそこそこ・・・かな? 人が問題なく通れそうな大きさだが・・・  NG    と、ひとつの水溜りを指差した。幅は・・・ (ハンバーガー四個分くらいかな♪) ハッ・・・今頭によぎった言葉は何だ・・・?        もちつけ!俺!・・・あれ・・・? なんか、混乱してきた?      くそっ!正気に戻るんだ!!!       ・・・ええと、幅は・・・4メートルそこそこ・・・かな? 人が問題なく通れそうな大きさだが・・・ 本当はこの回で仲間を紹介しようと思ったんですが、流れの都合上省きました         ~おまけ~ ルギア「ねえ、濡れたままだけど、どうしよう」    「確かに・・・まあ乾かすしかないかな」 ???「ならわたしが乾かしましょうか?」 ???「あたし達は濡れなかったからね!」      とギャロップとサンダースがボールから出てきた ギャロップ「さぁ、2人とも脱ぎ脱ぎしましょうね♪」 サンダース「お姉、なにか変なコト考えてるでしょ?」   俺「・・・まさか全部脱がす気?」 ギャロップ「えっ?ダメだったの?」  他3人「・・・・・・・・・・・・・・・・・」 ルギア「ふっ・・・ふふっ」   俺「?」 ルギア「楽しそうな仲間達ですね」   俺「まあね、けっこう変わってるけど」 ギャロップ「こら、そこ!2人で仲良くしてないではやく服!」   俺「ああ、ごめんごめん。・・・全部は脱がないからね。」 ギャロップ「わかってるって。もう!」      そこで服を乾かしたあと、家へ帰るのであった・・・
2月14日 バレンタイン 西暦269年、兵士の自由結婚禁止政策に反対したバレンタイン司教が、時のローマ皇帝の迫害により処刑された。 それから、この日がバレンタイン司教の記念日としてキリスト教の行事に加えられ、恋人たちの愛の誓いの日になった。 ヨーロッパでは、この日を「愛の日」として花やケーキ、カード等を贈る風習がある。 女性が男性にチョコレートを贈る習慣は日本独自のものである。 そして今日はその2月14日なのだ。 愛と夢と希望と憎悪と絶望と無関心の日である。 そして、この男はどれにも属さない。 一人の料理部の長として、自分の持つ全知全能を使いチョコを作るのだ。 この男が考えるバレンタインとはそういうものであり、欧米的だが女性にチョコをプレゼントするのだ。 男性にもあげていたがカミングアウトされたという噂になったのでそれはやめたようだ。 「ブツブツ・・・ブツ・・・ブツブツブツ・・・・・・。」 調理室に篭って本を読み漁る、全てバレンタインの特集等が組んであるレシピ帳や雑誌だ。 一つ一つ良く見て読み、ダメだ。違うと言い次の本を見る。既に後ろにやった本が大量にある。 他の子が参考に持っていってもいいかと聞いているのも耳に入らないようだ。 ある意味とんでもない集中力だ。 「ゼブラ・・・ホワイトチョコと綺麗な模様の・・・これは去年やった。  ハートメビウス・・・これはおととしやったし食べづらい。  ハートフェザー・・・安直すぎるよね。」 ランタンが灯り本を照らす。一人悩み続ける。 義理チョコは既に大量生産が終わっているのだ。 たった一つ本命に恐ろしく悩んでいるのだ。心の底から悩み汗をたらしている。 この男は誰のためにそこまで悩むのか?その答えは真横においてある写真立てと写真だ。 「何が一番・・・喜んでくれるかな・・・?」 写真立てに向かって尋ねる、たずねてる相手はその写真に写る1組の男女。 自分ともう一人、恋の感情とかにはまだお互いはっきり気づけてない。 今はむしろその写真の自分に問いかけているようだ。 「味はもちろんのこと・・・形とかにも絶対な自信を込めて送りたいもんね。  ちょっと飲み物買ってこよ・・・。」 自販機にお札を入れる、買うのはミックスオレだ。 ボタンを押して缶を取り、おつりを取る。 「全部百円と十円・・・。」 ぽつりと細かい愚痴を言いグイッと飲み干して缶を捨てる。 「なんか騒がしいなあ・・・やっぱり今日は皆にとっても大事な日なんだね。」 あたりが騒々しい、というより何か殺気の篭ったものまで感じられる。 しかし殺気を放っているのはこの男もである、気づいていないのだろうか。 チョコを作る側として発している渾身のオーラに。 調理室に戻り構想を練る。 「むむ・・・何かひらめかないかな・・・。」 味 食べやすさ デザイン サイズ 気持ち 相手の特徴。 ありとあらゆるものに合格点を付けれないと満足がいかない。 そういってこの男は去年もその前もある種常人がおびえるオーラを出し続けていたのだ。 「はぁ・・・アイディア不作だなあ・・・。」 行き詰まりながら窓の外を見る。 騒がしくもそよそよと流れる風。 空を飛ぶ萌えもん達、翼を持つものの特権である。 「サンダー・・・どうすれば僕の・・・。」 苦しみ悩む。それほど大事に思っている相手への自分の想い。 恋愛とか恋人とか愛とかそういうのじゃなくて、お菓子作りの男として。 一番大切な人への想いをチョコに込める。 適当に読み終わった本に手を付ける。 その記事一つに目が止まった。 結局一番大事なのは相手への気持ち。 チョコに魂を込めるのもいいが気持ちに魂を込めるのもいいですね。 「うーん・・・渡す相手は・・・サンダー。  サンダーっていうと・・・そっか・・・そうだね・・・!」 何かが思いついたらしく、くすんでいた瞳に光が灯った。 そして邪魔な大量なレシピや本を蹴散らして急速に用意を始めた。 「よし・・・これだ・・・これしかない・・・!  悩みついた結果だし、これならきっといけるよね。  もやもやとかそういうの、隣の屋根に放り投げて・・・。  I say goodbye~♪」 そのアーティストがよほどお気に入りらしい。窓の外に何かを放り投げるモーションをして。 アルミホイルと厚紙を取り出し、図画工作。チョコの型を綺麗に作り出す。 ハートの輪郭がトゲトゲになった感じのデザインである。 「よし・・・これをグラグラしないようガッチリとさせて・・・  アルミホイルを付けてチョコをたらしこめるようにして・・・。  よし、このデザインで・・・この部分を裏にして前から見たときの見え方と裏からのを統一して・・・。  立体的な型になったけどこれを均等に流し入れるのは難しい・・・  だけど・・・やってみるさ!」 刻んだチョコを湯銭する、使うチョコはミルクチョコとブラックチョコだ。 高性能な温度計片手に水分がまったくついてないゴムベラで混ぜながら溶かしていく。 ミルクチョコは僅かにぬるめに。ブラックチョコは僅かに熱めに。 ちなみにこの作業をテンパリングというらしい。 「柄とかデザインに関しては去年よりも複雑。注意して扱わないとダメだ。」 情けない男の本気の目つき。普段からこんな強いまなざしならば多少評価も上がるだろうに。 温度計をにらみつつチョコ、そして自分と向かいあう。 「勝負だチョコよ僕よ、今の僕は全身全霊だよ、多分負けないよ。」 つまみ出されんばかりの世迷言を言いながらチョコを作る。 肯定をある程度省略するが時間をかけて完成させる。 「よし・・・あとは冷やし固めるだけ・・・!」 高く掲げ、興奮しつつまたしても。 「ありとあらゆる僕の全知全能・・・このチョコこそがその結果、これならきっといけるッ!」 男の誇りにかけて作ったチョコである。 あとは生徒会長のサンダーに渡すだけである。 感動しつつ窓の外からなにやら音が。いや、声だ。 「ランターン、ここ開けて!」 「エアームド、何やってんの!?」 幾分省略されながらも説明を受ける。 エアームドはランターンと同じく苦労な目にあいやすいのだろうか。 「・・・というわけでして。」 「大変だね、君も・・・。」 調理室の机の影、外からは見えない位置に男2人が隠れていた。 この男チョコの構想等に必死でまったく気づいていなかったのだ。 「追手はウチの生徒で、アブソル先生が手懐けていたみたい。  顔がわかれば脅せるんだけど、みんな覆面してるし…参ったな、とりあえず先生が飽きるまで逃げるしかないか」 「い、今さり気に怖い事言ったよね、ね?」 スルーされつつもエアームドの身を案じかくまう。 事態を把握し始めたランターンは周りを見る、窓の外に怪しい影。 「・・・ねぇ、エアームド。」 「え、何?」 「そ、そ、そこの、窓・・・。」 なにやら黒い覆面がこちらを覗いている一体何がおこっているのだろうか。 チョコを作っていたときのこの男の真剣な表情は消え怖がっている。 情けない男である。 「ランターン、そこの窓のカギ、開いてる?」 「うん、開いてるけど。」 「君はここから動かないで。会長さんにチョコ、渡すんでしょ?」 「ちょ、ちょっと!」 止めようとしたがとき既に遅し、エアームドは即座に窓から飛び出し、走りだしていた。 追っ手がかかっていく、振り払いながら走り去っていった。 「うぉおおおおおおおおおおおおおおっ!!」 「エアームド~!」 取り残された男ランターン。そして普段の調理室に戻った。 ボーゼンと突っ立っている男。 「あ・・・チョコチョコ・・・いけないいけない。  冷やして完成だ、僕のこの想い伝わって・・・!」 何事も無かったかのようにチョコを冷やす。 すっかり散らかした本をかき集めて片付ける。 チョコの完成を待つ、想い人の生徒会の仕事が終わるのも待つ。 「私に~、永久の強さを~灯す~Amulet・・・♪」 またしても口ずさむ男、そしてやっと時間がやってきた。 「よしよし・・・綺麗に出来てる、えーっと・・・  用意した箱にシュレッダーした黄色と黒の紙を入れて飾って・・・その中にチョコを入れて・・・  箱を閉じてリボンを淡い黄色の包装紙に包んで・・・黄色と黒のリボンで綺麗に飾って・・・。  よーし、これでおっけーだ。さて・・・そろそろサンダーも終わってるかな?」 紙袋に箱を入れて生徒会室に向かう。 既に夕方になっている、オレンジ色の日が綺麗だ。 そして一方その頃。 「ったく・・・しまりっ・・・づらいっ・・・!鍵だ。」 生徒会室の鍵はしまりにくいらしい。 「サンダー。」 「お、ランターンか。ちょうど良かった、今あたしから行こうとしたとこだよ。」 「えっと・・・その・・・サンダー、これ受け取って!」 もじもじしつつチョコを渡す、顔を赤らめている。 「あ・・・ありがとな。あけてみて良いか?」 「うん、見て欲しいんだ、今すぐにでも。」 「そっか、じゃあ空けるぞ。それにしても綺麗なリボンに包装。」 ガサガサ・・・パカ 渾身の出来のチョコがそこに存在した。 お菓子を作る男の誇り、サンダーの翼をイメージしたハート型。 ハートの輪郭がトゲトゲで立体的に黒と茶色に分かれている。 「あ・・・。」 「・・・!」 少しの沈黙が辺りを包む。サンダーも少し顔が赤い。 そしてお互いの顔を見つめあい。 「今年も凄いチョコだな、本当にありがとな・・・。」 「喜んでくれた?それなら本当によかった、食べてみてよ!」 「ああ、でもその前に・・・。」 「ん?その前に?」 サンダーが荷物を漁り初めた。 こちらももじもじしている。 「えーっと・・・その・・・毎年もらってばっかだったから・・・その・・・。」 「???」 「あった・・・えっと・・・これ・・・やるよ・・・。」 「あ・・・。」 サンダーがピンクのリボンのついた箱を取り出す。 真っ赤になりながらそれをランターンに手渡す。 バレンタインに女の子が男の子に渡すもの、それは・・・。 そしてその行為はウブなこいつらにはとてもとても恥ずかしいのであった。 「えっと・・・空けてみて良い・・・?」 「あ、ああ。そのために持ってきたんだ。」 ガサガサ・・・パカ 「わあ・・・。」 「その・・・あたしも自分で作ってみたんだ。  ちゃんと・・・チョコになってるよな?平気だよな?」 サンダーの尾羽が少し広がっている。 ランターンの返事を待っている、少し怖いようだ。 作れない自分が勇気を出して作ってみた。 ランターンからみたらそのチョコは市販のもののほうがよっぽど出来が良いと思える品物。 決して上手とはいえないチョコであった、表面が少しデコボコしていたり。 しかしランターンは自分の今作のきっかけの記事を思い出した。 一番大事なのは気持ち、その気持ちをランターンはしっかり汲み取った。 「ありがとうサンダー、すっごくうれしいよ。」 「あ・・・そのチョコ・・・お前にしか作ってないよ。」 「え・・・。」 「その・・・本・・・。」 顔を真っ赤にして目を少しそらして小さな声で言う。 本命のチョコである、バレンタインでの本命である。 つまり、好きだって言うことだ。 ガシッ 「あーッ!!ランターン。あたしはお前のことが・・・!」 「あ・・・。」 しっかり自分の口で伝えようと思い切った。 ランターンの肩をつかんで近づいて何かを言おうとしている。 口が開いてなかなか次の言葉が出てこない。 その時唐突に聞こえた音が・・・。 カシャッ 「!?」 「い、今何か・・・。」 「シャッター音・・・案外聞きなれてるからすぐ分かったな。  ピジョット先生!あんたこんなとこで何してんだよ!」 神出鬼没とでも言うのだろうか、相変わらず生徒の恥ずかしい部分を激写していた。 物凄くしてやったりな笑顔でそこにいた。 「気づくのが遅かったじゃないですか・・・全ては私のシナリオどおり、残るは甘い空間の幕引きです。  貴方達が愛し合った証を・・・カップルとして愛し合った証を・・・全校にばらまいてあげます!」 どこまでシナリオどおりかは知らないだろうが少なくともバレンタインにチョコ渡すくらいは想像はついていたであろう。 しかしそれを撮影して脅したりするのを悪気もなく行えるのはすばらしい行動力である。 「あっ・・・!待て!待って!待ってくれ!その写真を返してくれー!」 「つかまるわけにはいきませんよ。」 「サンダー!待ってよー!」 飛んで逃げるピジョット先生を必死に追うサンダー。 しかしきっとつかまらないだろう、飛行速度は残念ながら向こうのほうが高いのだ。 逃げ切られて取り残されたランターンのもとへ戻ってきたサンダー。 「サンダー、平気?」 「くそ・・・また嫌な写真取られた・・・。」 「えっと・・・サンダー、さっき言おうとしてた事って・・・?」 「う・・・その・・・それは・・・。」 トンでもないことを聞く男だがランターンにもさっき肩をつかまれたときに覚悟ができたようだ。 ただ自分から言わないあたり究極に情けない男である。 「えっと・・・ランターン・・・あたし・・・お前の事・・・。」 「うん。」 「その・・・す・・・。」 「うん・・・。」 やっぱり次の き が出てこない。 そこはしょうがない、お互いとんでもなくウブだから。 ポーン 「下校時刻になりました、校内に残っている生徒は帰宅してください。」 タイミングが恐ろしく空気を読んでいる。 「あ・・・もうこんな時間か、帰ろうかランターン。」 「そうだね、もう暗いや。」 (しばらくはお預けだな、好きっていう言葉。) (しばらく僕もいえそうにない、ごめんねサンダー。) 鍵を職員室に返し、帰路に着く二人。 お互いのチョコを食べながら歩いて帰る。 「お前のチョコ本当においしいな、本当うらやましいよ。  あたしの作ったやつ、あんまおいしくないよな、正直に言って。」 「う・・・ごめん、でもサンダーはやったことないんだししょうがないよ。  僕が教えてあげるよ、チョコの作り方。」 「そっか、今度からそうするな、フフフ。」 「うん、いつでも聞きにきてね、僕はいつでも待ってるから。」(作り方だけじゃなくて・・・ね。) 「ああ、いつでも聞きに言ってやるぞ、ちゃんと準備しといてくれよ。」(今回預けた言葉も・・・な。) そして自分の家に着いたランターンとサンダー。 二人ともはなれているのに同じタイミングでため息をついた。 「はぁ・・・。」 部屋のベッドに突っ伏すランターン。 「もやもや・・・するけど・・・良かった。  やっぱり僕は・・・サンダーの事が好きなんだねきっと・・・。  好きって僕から言えなかったな・・・。」 そして一方サンダーのほうは。 「はぁ~・・・。」 羽服に着替えてベッドに突っ伏す。 「せっかく・・・好きだって事は気づけたんだけどな。  ・・・馬鹿だなあたしって、結局言えなかったなせっかくの日に。  はぁ・・・写真取られるだけ取られて・・・。」 ゴロゴロしてブツブツ言う、強気なサンダーには似合わない。 「ま、いっか。無理して言う必要もないし。  あたしらはこうやってのんびり一緒にいるのが合ってる。  そうだよな・・・ランターン・・・。」 「まあ、いいよね。僕らは普段通り二人で一緒に遊んだり  二人で笑って、二人で学校行って楽しく過ごして・・・。  僕はそれがとても幸せだし、サンダーもきっとそれが良い・・・はず。  そうだよね・・・サンダー・・・。」 まったく正反対の性格といわれつつも二人とも通じるところはいくつもある。 いつかこの気持ちを告白できると思いながら、そのまますやすやと眠ってしまう二人。 ウブな二人の距離はじょじょに縮まっていった。

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