5スレ>>203

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「………はぁ………」 どうもおはようございます、エアームド(♂・3年生)です。 今日は2月の14日、所謂バレンタインデーって奴だね。 世の中の男どもはこの日を楽しみにしているようだけど、僕はそうもいかない。 …この日は、正直相当忙しい。以前からこの日指定の依頼が大量に来ている。間違いなくチョコ絡みの。 「…渡すのくらい自分でやれっての…ガキじゃないんだからさ…」 この数日間、チョコを購入するための店の紹介や予約の依頼も相当数が来ていたからな… 正直、もう勘弁してほしいや…でも。ちょっと楽しみでも、あるんだよね。 「シャワーズ…『期待しててくださいね』とは言ってたけど…何だろう…」 …考えたり愚痴っていても仕方がない。とにかく、学校へ行こう。 鎧羽根を着けて、靴を履いて部屋を出る。 「あ、おにいちゃん」 「エア兄、おはよーっ!はいこれ!」 …いきなりに1つ渡された。 「おはよう、ライチュウ、ロコン。…あれ、これ手作り?」 「うん、エア兄って、甘いのそんなに好きじゃないでしょ?だからクッキーにしたの!」 「そっか…ありがとね。お返しはそれなりに期待してくれて構わないから」 「やったぁ!じゃ、お先に!」 「…行ってきます…」 「はいはーい、いってらっしゃい」 …男としてのメンツ、ってのが若干あるよね。お返しとかってさ。 とりあえず、貰ったものは家の冷蔵庫に片付けて、僕もマンションから出発した。 羽を広げて、空を駆ける。登下校における飛行の利点とはまさに、障害物や道を無視できるところだろう。       * * * …学校につくと同時に、複数の女子生徒に囲まれた。依頼されていたチョコを名簿で確認し、渡してやる。 とりあえず今年は本命だけという制限を設けたので、鞄いっぱいにはならずに済んだ。去年は義理も持ってきたから、もう量が…。 ちなみに、直接相手にとどけて欲しいという依頼はなるべくパスしている。 後々面倒なことになりかねないからだ。 「…やれやれ…あれ、一個残ってる?」 …リストを確認。…ああ、この子か。…なんでいないんだろ? と、かんがえていたら。 「エアームドー!」 「ぐぇぇっ!?」 一瞬で空中に持ち上げられた!? そのまま空中を引きずられて、部室棟の物影に連れ込まれた。…なんでそこまでするのか。 「…朝から元気だね、ラティアス。…で、僕をここに連れてきてどうするのさ」 「アレ、持ってきてくれた?」 「ん、あるよ。それで話をそらすな。…何でわざわざ引っ張ってくるんだよ」 3年生E組、ラティアス。兄がこの学園の教師を務めている。年は結構離れてるのに、似てるんだよね… 原因は彼女ではなく、そのお兄さんにあるんだけど。 「だって、恥ずかしいじゃん。ボクのキャラじゃないでしょ?」 「…気持ちは分かるけど、なら別の方法で呼んで、お願いだから」 このおてんば娘。…いや、同学年だけどさ。 「っと、もうチャイムなっちゃうよ!エアームド!」 「はいこれ。…お兄さんに?」 「さぁね、内緒!どうせ知ってるんでしょ?」 「知ってたら聞かないよ。…それじゃ」 「うん、ありがとね!」 …いや、知ってるけどあえて聞いてみただけだったり。 っと、落ち着いてる場合でもないな。急いで教室に向かおう。       * * * 「連絡は以上。…さて、本日は2月14日、所謂バレンタインデーというやつだ。  まぁ説明はしないけれど、授業中にチョコを渡したりする事のないように。時と場所を選ぶことは重要だ」 A組担任、フーディンのSHRも終わり、先生は教室から出て行こうとする。 ドアがしまった直後、念話で声が頭に流れ込んできた。 『昼休みにいつもの場所で』 で、昼休み。呼び出された場所に行く前に、もう一つ予定されていた場所へ向かう。 特に何をするでもなくそこで暇をつぶしていると、階段を駆け上がる足音。 「……来たね。大丈夫?」 「…なんとか…」 クレセリアだ。…運動神経の高い彼にしては珍しく、若干息が上がっている。 とりあえず、この程度は予測していたので、持ってきていたスポーツ飲料を投げ渡した。 「ほらこれ。そこ入って。見た目はアレだけど、中身はちゃんと掃除もされてるし広いから」 「…大丈夫なんだろうね」 「とにかくベストは尽くす。…任せて」 隠れ場所の扉を閉めて、そこから若干距離を置いて、窓の外を眺める。 …ほどなく、かなりの数の足音が駆けあがってきた。 「エアームド、クレセリア見なかった!?」 「先輩、私達を見てどこかに逃げちゃったんですよ!」 「どうしてもコレを渡したいの、教えてくれるよね!?」 …多数の生徒に詰め寄られる。…怖いな…恋する乙女って…なんか男も交じってる気がするけど。 クレセリア、もう実質上婚約してるのにね。まぁ、僕がかかわる問題じゃないか。 「お、落ち着いて…今日は見てないな。  でも、たいてい逃げても最後には、いつもの屋上で隠れてると思うよ。  待ち伏せしたらいいんじゃない?」 「ありがとっ!あとこれ、義理だけど受け取って!」 「いつもいつもありがとうございます先輩!」 「アタシ達急ぐから、それじゃ!」 ……嵐は去っていった。いくつか義理貰ったけど…ついでだと思うと、正直うれしくない。 足音が去ったのを確認してからさらにもうちょっと待って、隠れ場所の扉を開けた。 「はい、もう大丈夫だよー」 「…………」 「どしたの?」 「……もういない?」 「ぐっ……いないよ。さっさと出てきたら?」 とりあえず、細い出入り口から出る彼を手伝ってやる。 …しかし、男だと分かってても、さっきの涙目は恐ろしい破壊力が… でも、普段ポーカーフェイスというか、隠すのが上手い彼がこんな表情をするとは…よっぽど恐ろしいんだな、あれは… 「…大丈夫?」 「ああ、平気」 「聞いての通り、今日は屋上に近寄らない方がいいよ」 「そうさせてもらう」 ぱんぱん、と制服の汚れを軽くはたいてハンカチで払っているクレセリアに、さっきから気になっていた質問をしてみる。 「あのさ…おととし、何があったの?」 「聞くな、それだけは」 「……悪かったよ」 …何やらトラウマだったらしい。まぁ、彼の容姿はいろいろトラブルを引き起こすらしいからね… 「じゃ、僕はもう行くよ。なんか先生に呼ばれてるし」 「エアームド」 「…何?」 「…………あんがと」 小さなつぶやきのような声だったけれど、彼のお礼はちゃんと聞こえた。 …しかし、見た眼も声も完全に女の子だよね…本人に言ったら殴られそうだから言わないけど。 「どういたしまして。それじゃ、君も気をつけて」 「ああ」 いつもの場所、というのは、某校舎裏のタンクの影だ。 別に僕とフーディンは怪しい関係とかじゃなくって、親類で昔からの知り合いなだけ。 友達とはまた違った面で、いろいろと内密な相談ができてしまうから、学校内でもそれなりに親密にしている。 …まさか、入学当初彼女に見つかって物影に連れ込まれてあんなことされるとは思ってなかったけどね。 …で、さ。ここに来てみると、何やら角の向こうから妖しい声が聞こえてくるんだよ。確実に18禁級の。 女性の声…が、ふたつ。…片方は間違いなくフーディン。 …あの色魔め…いや、この学校、両刀なフーディン先生以外にもそう言う意味で危ない先生何人かいるんだけどね。 ウツボット先生とか。あの人に食われそうにもなったしね。…鋼タイプだから大丈夫って問題じゃないだろ。 「ん、ぷは…先生、ちょっと失礼。彼が来たらしい」 「あら、残念。せっかく面白いところだったのにねぇ…そこにいるの?」 「みたいだね。エアームド、きていいよ」 「…いや、来ていいよ、って…」 …呼ばれてから、少し待つ。僕はこう見えて、飛行のために耳や目の感覚は鋭い。 2人が服を整える音が止むまで待ってから、角を曲がった。 「…やっぱりキュウコン先生でしたか」 「あら、聡明ね?どうして分かったのかしら」 「声で分かります。これでも耳はいいので…というより、何故キュウコン先生がここに?  そして何をしてるんですか?こんなところで。」 赤いスーツに手袋、萌えもん学園美術教諭、キュウコン先生。 才色兼備で、生徒からは「美人だけど怖い先生」と、畏敬のまなざしで見られている。 …しかしこの人、いろいろ秘密があって… 「何してるって、さっきの声で分かるでしょう?あなたなら」 「そう言う事では無くてですね…そもそも、先生にはクレセリアがいるでしょう?」 「だってあの子、最近忙しくて相手してくれないのよ?拘束しようとしたら怒るし。  エアームド、その辺の情報って持ってないかしら?」 ……なぜそこまで。まぁ、知ってるけどさ。 「…本人から秘密にしてくれと頼まれていますので、詳しくは言えませんけど…  何か、先生のために準備しているみたいですよ、いろいろと。信じて待ってあげてください」 「あら、それは本当?」 「嘘をつく理由がありませんよ」 「それもそうね。…それじゃ、フーディン先生。お邪魔みたいですし、私はこれで。」 「ああ、ありがとう。楽しかったよ」 キュウコン先生が去っていくと、僕はとりあえず思いきりため息を吐いた。 クレセリア同様、絶対に敵に回したくはない人だ。…さっきの会話も、かなりキツかった。不意打ちだしね。 「遅かったじゃないか…。なかなか来ないので、ちょうど近くを通ったキュウコン先生と暇つぶしを」 「あれが暇つぶし、ね。…校内で何をやってんだよ、アンタは」 幼馴染という事もあって、お互いにプライベートではこんな感じだ。 「もとはと言えば、すぐに来ない君が悪いんじゃないか」 「仕事があったんだよ、こっちにも。まだ昼ごはんも食べてないし」 「ふむ、それはちょうどいい」 「何が…って!?」 突如として、視界が暗転。――目隠し? しまった、油断してた…念力でこっそり目隠しを後ろから回して来たのか! 「ほら、口開けて」 「へ、何――って、ん!?」 口の中に何かが放り込まれ、念力でとじられる。 「…チョコ?…わざわざ放り込まなくても…う」 「ん、どうかしたかい?」 …どうかしたかい、じゃないよ…これ… 「ウ、ウィスキーボンボン…?」 「その通り。まだいくつかあるから、受け取ってくれるよね?」 「え、ちょ、止め、アッーーーー!!」       * * * 気づけば、保健室のベッドの上だった。 …時計を見ると、もう放課後らしい。 「…死ぬかと思いました…ありがとうございます、アブソル先生」 「いいんだよー、エアームド君には色々貰ってるからねー」 アブソル先生。…どう見ても子供にしか見えないが、立派な保険医だ。 見た目も性格も子供っぽいが、保険医としては優秀極まりない。裏表がある性格――だけれど、 裏側はほとんど見せないようだ。…別に、見たいわけでもないけど。こわいし。 「この前の情報なんて、すっごく役にたったよ?」 「また、いつでも言ってください。先生ですし、対価はまけておきますよ?」 「うなー、覚えとくよ」 「…先生、酔ってますか?」 「酔ってないよ~」 …そんな彼女の顔は、ものすごく赤い。 ふと見れば、先生の机の上に箱が… 「先生、それは何ですか?」 「スピリタスボンボンなんだよ、食べる?」 「遠慮しておきます」 「まぁそう言わないで―…ボクのチョコが、食べれないって言うの?」 「っ…!?」 や、やばい、裏に入った!?食べないと死ぬ…けど、これ以上アルコール食べても死ぬ…!! 逃げるしかない…窓からだっ! 「逃がさないよ?捕まえろっ!」 追手ですかーっ!? 「ありとあらゆる僕の全知全能・・・このチョコこそがその結果、これならきっといけるッ!」 うってかわって調理室。料理部部長ランターン渾身の一作(チョコ)が、完成したところだった。 と、窓の外からの声。 「ランターン、ここ開けて!」 「エアームド、何やってんの!?」 「…というわけでして」 「大変だね、君も…」 調理室の机の影、外からは見えない位置に男2人が隠れていた。 …何とかランターンにかくまってもらって、とりあえず一息つけたんだけど… 「追手はウチの生徒で、アブソル先生が手懐けていたみたい。  顔がわかれば脅せるんだけど、みんな覆面してるし…参ったな、とりあえず先生が飽きるまで逃げるしかないか」 「今さり気に怖い事言ったよね、ね?」 ランターンの突っ込みをスルーしつつ、携帯を弄る。 シャワーズは今日家に来るらしい。…チョコの方は期待してていいよ、との事だが… (…僕、家に帰れるんだろうか…) ここから家へ行くには、まず学校の門をくぐる必要がある。…結構危険なものだ。 だからと言って、ここで時間をつぶすわけにも―― 「…ねぇ、エアームド」 「え、何?」 「そこの、窓…」 振り返ると、教室の端の窓から、黒い覆面が覗いている。…追手だ… 「ランターン、そこの窓のカギ、開いてる?」 「うん、開いてるけど」 「君はここから動かないで。会長さんにチョコ、渡すんでしょ?」 「ちょ、ちょっと!」 友人の制止を無視して、僕は窓から走り出した。即座に反応した追手がつかみかかってくる。格闘タイプか!? 「この!」 即座に展開した翼で、後頭部をぶったたいて気絶させる。 とにかく、空を飛べば見つかって撃ち落とされる。警戒の薄い地上を強行突破だ! 「うぉおおおおおおおおおおおおおおっ!!」 走って走って、飛び出してきた覆面を鋼の翼でたたき落して、走りながら僕は考えた。 ――バレンタインデーってさ、こんな危険な日だったっけ…?       * * * 遠き山に日は落ちて―― すでに、あたりは暗くなり始めている。 「ぜぇっ、はぁっ、ぜぇっ…」 …なんとか、家まで逃げ切れた…まぁ、明日にはアブソル先生も忘れているだろう。そう言う人だ。 けど、制服も翼も傷だらけだし…服の方は、スペアが家にあったよな… 「た、ただいまー」 「お邪魔してるよー…って、どうしたのそのケガ!?」 玄関口で倒れこんだ僕に駆け寄ってきたのは、シャワーズではなくフシギバナだった。 …まぁ、あそこまでハードな下校はそうそうなかったしなぁ…驚かれるのも無理はないね。 「いや、かくかくじかじかで…」 「そ、それはまた…すっごい事してきたんだね…大丈夫?」 「平気。体にまで通ってる傷はあんまりないみたいだし」 ほとんどがかすり傷で済んだのは僥倖というべきかな…多数とは言えないけど、何人かいたみたいだしね、追手も。 「そういえば、シャワーズは?」 「あ、そうだったね。今は部屋で待ってもらってるよ。  ボクからのチョコは冷蔵庫に入れてあるから。それじゃ、ごゆっくり!」 何やら若干意地の悪い笑みだった気がするが…まぁいいか。フシギバナが隣の部屋へ帰っていくのを見届けて、 僕は部屋へ入る。…すると。 「…なんだこれ…」 部屋のど真ん中に、ラッピングされた大きな箱。萌えもん一人程度なら、簡単に入れるだろう。 「これ、シャワーズが…?まさか…」 あのシャワーズの性格からして、それは考えにくい。…ともかくリボンをほどいて、箱を開けてみる。 中には、やっぱりシャワーズが入っていた。しかも、かなり肌の露出した…いわゆる、「裸リボン」で。 ただし。 「…すー…」 「…寝てるし」 待ちくたびれたのか、寒そうな格好のままでシャワーズは熟睡していた。 「………はぁ…」 箱を解体し、裸リボンのシャワーズを抱えあげてベッドに寝かせて毛布と布団をかぶせる。 そして、シャワーズが持っていたチョコを眺めた。 ハート型のシンプルなチョコだが、ホワイトチョコできれいに装飾がなされている。 作った人の想いが込められていて、その工程の丁寧さを感じさせてくれるようだ。 「…食べようかなぁ…いや、いいか」 どうせなら、本人が起きているときにもらおう… とりあえずチョコを冷蔵庫にいれて、ベッドの横に椅子を動かしてそこに座る。 彼女が目覚めるまで、寝顔を眺めていよう。僕はそう決めて、部屋の明かりを暗くした。 このあと裸リボンは単にフシギバナにそそのかされてやってみただけという事が判明し、 彼女自身の意志ではなかった事が判明した。 けれど結局、今年のバレンタインで僕は、シャワーズからチョコともう一つ、 とてつもないプレゼントをされてしまう羽目になった。…まぁ、よかったけど。それはまた別の話。 あとがき …何を書きたかったんでしょう、僕は。 とりあえずバレンタイン記念を作り終えました…疲れた。 ゴーグル編はネタ不足とキャラ移動に失敗したので廃棄されています。いつかリベンジしたいな… 最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

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