5スレ>>229

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「主よ、そろそろ起きたらどうだ?」  布団に包まり惰眠をむさぼっていた俺を唐突に朝の冷気が包み込む。 「おぉう?寒い寒い……」  布団をかぶろうと手を伸ばす。が、俺の手は空しく虚空をつかむのみである。 「ん~……どこだ……ん?」  布団を求め、さらに手を伸ばす。すると。  ふに。  手が何かをつかむ。それが何かを確かめるため、少々揉んでみる。  ふにふに。  ああ、柔らかい。このしっかりとした感触とハリは絶対に布団ではない。何かは大体わかった。だが俺はわかってないと自己暗示をかけてさらに揉んでみる。  ふにふにふに。 「主よ……いいかげんに――しないかぁっ!」  腹部に強い衝撃。嗚呼、お約束だなぁと思いつつ再び俺は眠りについた。  ○ 「マスター、起きろー」  顔に冷水を引っ掛けられ、俺は目覚めた。 「ああ、ありがとなメノクラゲ」  上体を起こし、辺りを見回す。俺のベッドの横にはメノクラゲが立っており、少し離れたところでサイホーンが腕を組んで立っている。 「でもマスター、さっきサイホーンが起こしにきたはずだよ。 何で寝てるの?」 「あぁ、それは――」 「あっ、主が悪いのだぞ」  俺が口を開こうとするとサイホーンが俺の言葉をさえぎった。 「どーしたの?顔真っ赤」 「なっ、何でもない。いくぞ、皆が待っている」  そう言って、サイホーンは足早に立ち去った。 「何があったの?」 「いや、何でもないよ。いくぜ」  そう言って俺とメノクラゲは部屋を出て行った。  ○  ポケモンセンターというのは旅のトレーナーの宿泊施設もかねており、ちょっとした旅館程度の設備は整っている。俺たちは少し遅い朝食をとりに食堂へ向かっているところだ。 「はい、どうぞ」 「ありがと」  食堂のおばちゃ――否、お姉さんに盆に載った朝食を受け取るとみんなが座っている辺りへ向かう。 「遅いぞ、主よ」  盆を置き、席につこうとした俺にサイホーンは開口一番に言ってきた。 「そうじゃ、ますたぁ。れでぃを待たせるものではない」  それに続いたのはキュウコンだった。呆れたような目をこちらに向けている。 「あー、悪い悪い」  適当な生返事をしつつ席につく。 「で、今日は適当にレベルを上げながらタマムシシティにでも向かおうと思う」 「ふむ、タマムシシティとな? どのようなところなのじゃ、それは?」  手元にあったパンフレットをぱらぱらとめくる。 「あー、とりあえず大型百貨店――いわゆるデパートがある。それとゲーセン……何か娯楽施設ばっかだな」 「ふむ、なかなかに面白そうなところじゃのう」 「私は主の意向に沿うつもりだ」 「ねー、マスター。ゲーセンって弾幕ある?」  ……こいつは……いや、俺が教えたんだっけか? 「いや、コインゲームだけだ」 「ぶー」  いつもどおりの無表情で拗ねるメノクラゲ。うん、かわいいな。 「さて――」  朝食を終えた俺は食器をまとめ、片付けつつ言った。 「そろそろいくとするか」  俺は食器を返し、キュウコンとメノクラゲをボールに入れるとサイホーンに言った。  サイホーンは真面目なうえに頑固で、常に俺の傍で俺の身を守っていなければと言って聞かないため、ボールから出して連れることが多い。 「わかった、では参るとしよう」  ○ 「んー、大分レベルも上がってきたな」  これまでの道中沢山のトレーナーと戦ってきたため財布もホクホク、みんなのレベルもかなり上がってきた。 「そうだな、タマムシシティまではあとどのくらいかかる?」 「んー、もうすぐだな」 「では、今日中にはつけるのだな?」 「それは平気、昼前にはつくことになると思う。 それと――これ、この前見つけてお前に渡そうと思ってたんだ」  そう言って渡したのは気合ハチマキ。 「これを……私に?」 「うん、女の子にハチマキってのもどうかなーって思ったんだけどサイホーンになら似合うかなって」 「……れっ、礼を言うぞ……主よ」  顔を真っ赤に染め、目を逸らすサイホーン。照れやがって、可愛いやつ。  ん……この気配は…… 「手合わせ願おうか、トレーナー」  やはり、別のトレーナーか。いいだろう、受けて立ってやるぜ。 「OKだ、いくぜ」  ○ 「ポケモンファイトォォォ」 「レディ!」 『ゴー!』  俺と相手のトレーナーの叫びが戦いの火蓋を切った。  サッと俺の傍に控えていたサイホーンが前に出て、臨戦態勢に入る。  相手が投げたボールからは眩い光と共にワンリキーが現れる。格闘タイプか……相性が悪いな。 「サイホーン!」 「分かっておる、主よ!」  苦手なタイプなら攻撃を受ける前に倒せばいい。無茶苦茶な理論だが、今まで俺たちはこれで勝ってきた。  ごうん!  サイホーンが地面にこぶしを突き立てると地面を伝わり衝撃波の波紋が広がっていく。 「くぅっ!」  衝撃波に耐え切れずワンリキーが吹っ飛ぶ。追い討ちをかけるがごとくサイホーンは地を蹴った。 「これでとどめだ」  ワンリキーの真上に跳躍したサイホーンは岩石の砲弾を放つ。五発の岩の弾丸がワンリキーを大地にたたきつけた。 「くそっ、もどれワンリキー」  相手トレーナーはワンリキーをボールに戻すと次のボールに手をかけた。 「ワンリキーの敵をとってくれゴーリキー」  ボールから光と共にゴーリキーが現れる。 「ふん、進化後とて先に潰せばどうということはない!」 「それはどうかしら?」  サイホーンが跳躍する。普通ならあのまま倒せるのだが何かいやな予感がする。まて、ゴーリキーのあの構えは!? 「いかん、そいつには手を出すな!」  俺が声をあげるよりも早くサイホーンの角(といってもそんな大層なものではないが)がゴーリキーを穿とうとする。  が、吹き飛んだのはサイホーンだった。サイホーンが突っ込むスピードを利用してカウンターを仕掛けたのだ! 「そんなんじゃこの先生きのこれないぜ」  ゴーリキーが勝ち誇ったようにサイホーンを見下す。 「サイホーン!」  俺はバトル中にもかかわらずサイホーンに駆け寄った。 「大丈夫か?」 「……だ……」 「?」 「まだ……だ……」  満身創痍といった様相のサイホーンがゆらり、と立ち上がった。ぼろぼろだというのにその瞳に映る闘志は消えてはいない。 「まだだ、まだやれるっ!」  サイホーンが跳躍し、ゴーリキーに肉迫する。 「まだ、やれるとはね」  ゴーリキーも驚いたようだったが、すぐにカウンターの構えに入る。 「カウンターなど……させるものかっ!」  轟音。砂煙が巻き起こり、辺りを覆う。一体どうなったのかは俺にも相手のトレーナーにもわからない。そして砂煙が晴れ――立っていたのはサイホーンだった。  そうか、カウンターとて一撃を食らう必要がある。つまり、一撃の下に相手を粉砕すればカウンターを食らうことはないだが相手が耐えれば強烈な反撃を食らう……いつもながら危なっかしいぜ。 「うっ」 「サイホーン、大丈夫か?」  膝をついたサイホーンに駆け寄り、傷薬を使ってやる。 「大丈夫だ。主に貰ったこれのお蔭だ」  そういって前髪を上げるとそこにはさっき渡した気合ハチマキが巻かれていた。 「ったく、それにしてもさっきみたいな危ない真似は止めてくれよ。お前が傷ついて悲しいのは俺なんだからな」 「えっ、あっ、そのっ……うん、悪かった」  顔を真っ赤にして弁解しようとするサイホーン。すごく抱きしめてやりたい衝動に駆られつつも必死に耐える。一応人前だしね。  そして相手トレーナーから賞金を受け取る。 「さ、あとちょっとだ行こうぜサイホーン」  俺はサイホーンに肩を貸し、立たせてやるとスッと手を引いた。  ○  タマムシシティについたのは昼過ぎだった。予想以上に道中のトレーナーが多く、時間がかかってしまったのだ。  そのため、町を回るのはそこそこに休息を取ることにしたのだ。 「本当に大丈夫なのか? サイホーン」 「さっきからそればかりだな主よ、私は平気だ」 「いや、それならいいんだけどさ、心配なんだよ」  割り当てられたロッジの宿舎の個室のような部屋で俺とサイホーンは話していた。ちなみにメノクラゲとキュウコンはまだタマムシデパートだ。 「だから悪かったといってるであろう」  少し拗ねた様にサイホーンが口を尖らせる。 「あいよ。……そーいや最後に使った技――あれ何だったんだ?」 「えっ、あー、あれは……その、恩返し……だ……」  なんと……可愛いことやってくれるじゃねぇか……ここは、もう、うん、あれだ、グッとこなきゃ男じゃねぇぞ。  俺は押し倒したいのを我慢しつつサイホーンを抱きしめた。  あとがき  どうも、暗影です。とりあえずレイヴンが多いことに驚いたりした。  主人公メンバーが三体しかいないのはきっとこれから増えるから。  とりあえずサイホーンは俺の嫁。  あとキャラクターの紹介なんかを↓  主人公:十代後半くらいのクソガキ……ではないと思う。内に秘めたる変態。別名ムッツリ。まだトレーナーとしての経験はあまりないが萌えもんたちのことは人一倍大切に思っている。作者の映し身。  サイホーン:本作のメインヒロイン。冷静沈着という言葉が似合う。ちなみに作者は彼女にかわらずのいしは標準装備だと思っている。  メノクラゲ:クールで無口。デレかどうかは知らんがな。多分突っ込み役なんだと思う。  キュウコン:高貴な性格。お高くとまっており、プライドも高い。古風なしゃべり方。

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