5スレ>>249

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化石――――それは過去の遺産       過去が今に伝えたいもの       そして、人々の興味を過去へ誘うもの       ここに、一人眠るものあり。       姿を変えても、他の仲間が目覚めても尚。       まるで、誰かに見つけてもらうためかのように… 「う~ん……」 萌えもん図鑑を手にし一人悩む青年。 「どしたの?マト。」 後ろからひょっこり顔を覗かせるは一人の少女。 「ん、ミトか。いやさ、ちょっとね…」 マトと呼ばれた青年は、少女、ミトの顔も見ずじっと図鑑を見つめていた。 「???」 「化石萌えもんって知ってるだろ?」 「うん、カブトとかぁ、オムナイトとかだよねぇ?」 「そう。それがさ、最近野生で出てきてるのって知ってるか?」 「う~ん、みみにしたことならあるかもぉ…」 「化石が勝手に復元してるわけじゃないと思うんだ。だとすると、一体何故野生で出てくるようになったのか気にならない?」 「うゆぅ、そんなことおもったことないよぉ…」 「それに……」 「それに?」 「ひょっとしたら、化石のままで眠ってることもあるかもしれない。」 「ねむってる?」 「そう、太古の昔からずっと……あぁ、こうしてられない! ちょっと出かけてくる!」 そう言うと、マトは荷物一式を持って家を飛び出してしまった。 「え、マト~? ぁぅぁぅ……」 オムスターとカビゴンの間の萌えもん表示がない萌えもん図鑑を残して…… ―――――――― ―――――― ―――― ―― カーン! カーン! 周りに鶴嘴の岩を叩き割る音が響く。 「…ふぅ、反応のある所を片っ端から掘っても早々見つかるもんじゃないな…」 首にかけたタオルで汗を拭うと、岩の上にどっさりと腰を下ろした。 彼の周りには出土した化石がいくらかあった。が、どれも萌えもんに結びつくものではない。 「時間はたっぷりありますよ、丁寧に見ていきましょう?はい、どうぞ。」 彼にそっと冷たいお茶を渡す萌えもん、オオスバメ。 「ありがとう、オオスバメ。 手伝ってくれるのは君だけだよ。」 マトには他に2人の萌えもんがいた。海御嬢ことカイオーガとウツボット。 ただ、カイオーガは疲れるからということで拒否、ウツボットはいるだけで不穏な空気が漂うので最初から出さず、オオスバメに手伝ってもらっているのだ。 「…もう夕方か…」 日は既に傾いていた。午前中に家を飛び出してから既に数時間も経っていた。 いくら手元に化石探索機があるとはいえ、早々見つかるものではない、それはマトにもわかっていた。 「…もう日も暮れるな…ミトやダイゴお義姉さんにも迷惑かけるだろうから後一箇所だけ掘ってから今日は帰ろうか。」 「そうですね、そうしましょう。」 マトは立ち上がると、再び化石探索機を手にし、岩盤に寄せて反応を見ていく。 (一番大きな反応はどこだ……これはさっきよりも小さいな…) ゆっくり移動させ、反応を見ていく。 すると…… 「!!!」 大きなノイズ。今まで化石探索機は示さなかったような反応。 「オオスバメ…、これどう思う…?」 「そうですねぇ…気になったら、掘ってみましょう?」 「そうだな。」 マトは再び、鶴嘴を手にした。 カーン、カーン、キン! 確実に、違う音がした。 「!!!!」 「マスター、近いですね…!」 「あぁ…!」 マトが小さく開いた窪みを照らしてみる。 「……琥珀だ…!」 「こはく…ですか?」 「あぁ! そしてこの琥珀には、何かが一緒に埋もれていることも多いんだ。」 「何か…それはわからないのですか?」 「掘り出してみないとな。」 ―――――――― ―――――― ―――― ―― 「…………!」 「…………!!」 出てきた琥珀を目にしたとき、2人は息を呑んだ。 出てきたのは、1メートルくらいある大きな琥珀、そして、その中にいたのは紛れもなく萌えもん…プテラだった。 何も纏わず、まるで胎児のように体を丸めて眠る少女の姿に2人は顔を見合わせた。 「ど、どうしますマスター…?」 「お、俺じゃ復元できないよ…化石の研究してる所へ行ってみないと!」 マトの目は、琥珀の中の少女に釘付けになっていた。 「…マスター…?」 「あ、あぁ…御嬢、ウツボット、手伝ってくれ!!」 気付けばもう夜。 「はいはーい、私ここでポケモンの化石の研究をしてまーす。」 持ち運んだ研究所で待っていたのは1人の研究者だった。 「最近ポケモン達が萌えもんになったおかげーで、化石の復元にありつけなくてしまったのですーよ。ところーで、何の用でしょーう?」 「すみません、これを…復元できませんか?」 「こ、これは……!」 マトの持ってきた琥珀を目にしたとき、研究員は驚いた。 何しろ、琥珀の中に萌えもんが眠っているからだ。 「これは驚きましーた! 早速、復元に入りたいとおもいまーす!」 「俺も、復元に立ち会ってもいいでしょうか?」 「もちろんでーす…!」 復元の作業は困難を極めた。中の彼女を傷つけないためにも、外箔をゆっくり壊していかなければならない。 マトは研究者を手伝った。他の萌えもん達も、手伝ってくれた。そのおかげで、彼女の姿がはっきり出てくるまでそう時間はかからなかった。 次に、破片を残さないように刷毛でゆっくりと彼女の体を払っていく。 「……」 「……」 「ここは、萌えもんさんにやってもらいましょーう。」 「…そうですね。」 作業をオオスバメ達に任せ、2人は後ろに下がった。 「ポケモンが萌えもんになってから、化石萌えもんが野生で出てくるようになったことは知ってますーか?」 「えぇ。」 「その一説に、ポケモンを萌えもんにした原因とされるウイルスーが、何らかの原因で化石萌えもん達を目覚めさせてしまったといわれてまーす。」 「…なるほど。」 「ですが、私もこのように萌えもんの状態で化石を見るのは初めてでーす。」 「俺もまさか、こんな状態で出てくるとは思わなかったです…。興味はあったんですが…」 作業が終わる。そして、最後の行程、復元へと入る。 研究員は彼女の体を大きな機械へと入れた。 「これで復元しまーす。成功するかはわかりませんーが、心配ないと思いまーす。」 スイッチを入れると、機械は不穏な音を上げ始めた。 「今日は疲れたでしょーう。夜も遅いですし、ここで睡眠をとってもらっても構いませーん。」 「ありがとうございます。」 「明日の朝、見てみることにしましょーう。」 そう言うと、研究員は部屋を出て行った。 「…今からミトに連絡取らないとな……」 プシューッ。 機械の扉が開く音。 マトや萌えもん達、研究員は中を覗き込む。 そこには、プテラがいた。 「…成功でーす…!」 「…………」 マト達は息を呑んだ。今目の前に、長年を眠って過ごした少女が再びその目を覚ましたのだから。 「あのプテラ、妾達を見て威嚇しておるぞ…?」 「…どういうことだ? 御嬢。」 「長い夢から覚めた今、あやつは目の前の状況がわかっておらぬ。」 「なるほど…プテラ、安心しろ…!」 「…………ギャーオ!!」 「!?」 プテラが吼えた。 「も、もしかして…言葉を理解してないと思いまーす…!」 「え…!?」 「化石から目覚めた野性の萌えもん達は、生き抜くために言葉を覚え、身を守っていきまーす!しかーし、このプテラはうまれたばかーりでーす! 言葉も分からないばかりか、何もわからないでしょーう!」 「要するに、身を守るための野性本能ということ…ですか?」 「そういうことでーす! 早く、ボールを使うとよろしいでーす!」 「わかりました…! いけっ、萌えもんボール!!」 こうして、プテラを手に入れた。 再び出してやると、プテラはきょとんとした顔でマトを見た。 流石萌えもんボールである。プテラはマトが親であることを理解したようだった。 「これ、俺が貰っていいんですか…?」 「もちろんでーす! 寧ろ、私はこのような復元に立ち会えて久しぶりに感動しましーた…!」 「ありがとうございます…! では、失礼しますね。」 プテラが家に来たのはよかったが、問題はそれからだった。 ミトも親という事を認識させることは簡単だったが、まず言葉を一から教えてあがないといけないのだ。 それに加え、やることなすことも全て。まるで、赤子を育て始めるような状態だ。 おまけに、服を着せるも嫌がってすぐ脱いでしまう。これが、野生というものだろうか? 「プテラちゃーん、ごはんできたよっ」 地べたにペタンと座るプテラにミトが料理の持った皿を出した。 プテラはそれを見るとエサに群がり貪る動物のように、がむしゃらに食べ始めた。 「あぁ~!ぎょうぎわるいよぉ~!」 「ミト、仕方ないだろ?まだ作法も何もしらないんだから…」 「うゆぅ…」 「まぁ、俺達でゆっくり育てていこうな。そのうち、慣れてくるはずさ。」 「…そうだね!」 「ミトやヤジロンみたいな、手間の掛かる子にならなきゃいいけど…」 「はうあっ!? それってどういういみ~!」 「はうぁっ!? どういう意味ですかますたぁー!」 食卓に溢れる笑い声。それに首をかしげる新しい住人。 萌えもん図鑑には、オムスターとカビゴンの間に新しく『プテラ』の名があった。

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