5スレ>>268

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5スレ>>268」(2008/03/04 (火) 20:50:27) の最新版変更点

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あるトレーナーの家の話。 家の中ではモルフォンが掃除をしている以外は、誰もいない。 マスターは仕事、アメモースは買い物に行っているためである。 「ひゃくごじゅいちの~、ってもう493匹もいるんですよね~♪」 家の中には綺麗好きなモルフォン1人の、のほほんワールドが形成されていた。 ピンポーン。 「もるふぉーん!」 「はいはい、今開けますよ。」 そのワールドをかき消す音。ドアベルの後の呼び声は「ドア開けて!」の合図である。 玄関のドアを開けると、両手にコンビニのビニール袋を提げたアメモースが飛び込んできた。 「ただいま!あー楽しかった!」 「お帰りなさい…って、またたくさん買い込んできましたね。」 「何よ、そのやれやれみたいな言い方。いいじゃん!楽しいんだから。」 満足げな顔のアメモースに比べ、モルフォンは困り眉毛で苦笑していた。 アメモースは机に袋を置き、買ってきた物を整理し始める。今日買ってきたのは、おにぎり2つにチョコ1つだった。 最近のアメモースは買い物がマイブームである。いつもマスターからもらうお小遣いは、全部買い物の費用に消えていく。 しかもそれだけでは飽き足らないのか、モルフォンに借金までして散財している。 当然これは悪いことなのだが、何気にお土産を買ってきたりするので、モルフォンも思わず甘く見てしまう。 だが、そんな彼女も今回ばかりは断らずにはいられない。これ以上貸すとなると、貯金に響くからだ。 「ね、念のため言いますが、もうお金は貸せませんよ?」 「えー、なんでー。」 「それが、私の貯金を崩さないと貸せないほどになってしまって…。」 「貯金?何で貯金なんてしてるの?使っちゃえばいいじゃん。」 アメモースの辞書に貯金という字はない。 「そうは行きませんよ。貯金には理由があるのですから。」 「理由?何、目標か何か?」 アメモースは興味津々にたずねた。 「理由ですか?それはですね…。」 遠い目になるモルフォン。 「私には、長年の夢があるんです…。」 ……… 私は、汚れた萌えもんだ。 私は、物心ついたときにはすでに虫捕りの少年をマスターとして持っていた。 虫萌えもん・コンパンだった私は、他の虫萌えもん達に比べると、エスパー技を使える分マスターに重用されていた。 必要とされる…そのときの私は満たされていて、幸せだった。 だけど、あの時…仲間のトランセルがバタフリーになったときだ。 「お前、毒タイプだし、バタフリーに比べりゃ汚いし…もういらない。」 …汚い…私が?どうして…私は…華やか蝶には勝てないの…? ショック…そんなレベルじゃない。私の全てが消え去った気がした。 モンスターボールに入れられたまま私は草むらに捨てられた。 萌えもんは自分からはボールから出られない。マスターはそれを忘れたのだろうか。 それとも、私を消すためにわざと…いや、考えたくない。 いくらもがいてもボールは固くしまったまま開かなかった。 …私は、このまま飢え死ぬのだろうか。 それから何日経っただろうか。私は1人のトレーナーに救われた。 「ボールに入れられたまま何日も放置されてたのか?可愛そうに…。おい、食いもんをあげるんだ。」 「えー、私のお昼ご飯なのに…仕方ないわね、ほら!」 この人に助けられなかったら、私はボールの中で独り寂しく死んでいただろう。 その人はとても優しく介抱してくれた。その人の萌えもんだろう、一緒にいた少女も、文句は言っているものの一生懸命介抱してくれた。 私は決めた。この人の萌えもんになる。この人達を幸せにして、私も幸せになって、そして、絶対に手放さないようにしてやる。 「もう毒なんて撒きません…汚れなんて全て捨てます…だから…ずっと一緒に…居てくれますか…?」 だから私は、自分から毒を消す。そう決めた。 それから時が経ち、私はモルフォンとなり、その人が今のマスターになった。 ……… 「…というわけで、私はお金を貯めて、萌えもん博士に毒を抜いてもらうように頼もうと思ってるんです。」 「…なるほど、長々とご苦労様。」 「いえいえ…って、ひゃあぁっ!?ま、マスター!?」 俺の前で驚きの声を上げるモルフォン。 何でいきなり俺がいるかというと。 俺が仕事から帰ってきたら、モルフォンが遠い目をしたままぶつぶつとしゃべっていたのだ。 アメモースに聞いてみれば、こいつは過去の回想ワールドに入っているのだとか。 そういうわけで、俺は気づかれないよう黙って話を聞いていたのだ。 「残念だが序盤は聞き逃した。とりあえずバタフリーが出てきたところから聞いてるぜ。」 「そ、そこからでも十分恥ずかしいです…はふぅ…。」 湯気を出さんという勢いで真っ赤になるモルフォン。 「…しかしまぁ、未だにそんなこと考えていたんだな。  俺はてっきり、あのときの気持ちはもうとっくに捨ててるのかと思ってた。」 「え?…で、でも、私は毒萌えもん、毒の鱗粉も持っていますし…。」 モルフォンは相変わらずもじもじしている。…ええい、じれったい。 俺は唐突に抱きしめてやった。モルフォンは再び声にならない叫びを上げる。 「何言ってやがる。毒が何だ。汚れがどうした。俺はそんなもの気にしていないぜ。」 「ま、マス、ター…。」 モルフォンの体の緊張は、すっと解けていった。 「だから、そんな体質とか気にするな。それはお前の個性ってもんだ。」 「………。」 モルフォンはそのまま答えなかった。首筋に冷たい感触…涙、か。 「…フン、臭いセリフはいちゃってさ!マスターったらあまーいわねぇ、見ているこっちが恥ずかしいわよ!」 …アメモースはそそくさと部屋から出て行った。…焼きもちか? まぁ、今回はそのほうが効率がよさそうだ。俺はしばらくの間、泣いているモルフォンを抱き続けた。 ……… 「あれ?モルフォン、貯金やめちゃうの?」 「いえ、やめませんよ?ただ、ちょっと使うだけです。」 あの日からモルフォンは、貯まるに貯まった貯金を少しずつ解放し始めた。 モルフォンは計画性を持ってお金を使い、必要なものを買ってきてくれる。ありがたいことだ。 アメモースもそれを見てか、多少節制が利くようになった様子。 「それでは、行ってまいります!」 モルフォンはさわやかな笑みを浮かべ、元気良く挨拶をして出かけていった。 色んなことがかなり順調に進んでいるようでなによりだ。 「アメモース、あいつ、何を買いに行くって?」 「あまあまなマスターのために、にがーい漢方薬を買ってくるってっ!」 「…まだ怒ってるのかよ。」 ただ、未だにアメモースがとげとげしてやがるのが気になるが…。 ま、ハッピーエンドってことにしておこう。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ※端書 「あたくしは ガですが チョウのように はなやかなものより たしかなあいを もっているのです」 私にとってはいちげき ひっさつ!なこのセリフ。萌えませんか?萌えますよね? やや暗くなったけど、明るくまとめてよしとしました。アメモースがキレてますが。 駄文ながら最後までお付き合いくださってありがとうございます。 書いた人:蛾
あるトレーナーの家の話。 家の中ではモルフォンが掃除をしている以外は、誰もいない。 マスターは仕事、アメモースは買い物に行っているためである。 「ひゃくごじゅいちの~、ってもう493匹もいるんですよね~♪」 家の中には綺麗好きなモルフォン1人の、のほほんワールドが形成されていた。 ピンポーン。 「もるふぉーん!」 「はいはい、今開けますよ。」 そのワールドをかき消す音。ドアベルの後の呼び声は「ドア開けて!」の合図である。 玄関のドアを開けると、両手にコンビニのビニール袋を提げたアメモースが飛び込んできた。 「ただいま!あー楽しかった!」 「お帰りなさい…って、またたくさん買い込んできましたね。」 「何よ、そのやれやれみたいな言い方。いいじゃん!楽しいんだから。」 満足げな顔のアメモースに比べ、モルフォンは困り眉毛で苦笑していた。 アメモースは机に袋を置き、買ってきた物を整理し始める。今日買ってきたのは、おにぎり2つにチョコ1つだった。 最近のアメモースは買い物がマイブームである。いつもマスターからもらうお小遣いは、全部買い物の費用に消えていく。 しかもそれだけでは飽き足らないのか、モルフォンに借金までして散財している。 当然これは悪いことなのだが、何気にお土産を買ってきたりするので、モルフォンも思わず甘く見てしまう。 だが、そんな彼女も今回ばかりは断らずにはいられない。これ以上貸すとなると、貯金に響くからだ。 「ね、念のため言いますが、もうお金は貸せませんよ?」 「えー、なんでー。」 「それが、私の貯金を崩さないと貸せないほどになってしまって…。」 「貯金?何で貯金なんてしてるの?使っちゃえばいいじゃん。」 アメモースの辞書に貯金という字はない。 「そうは行きませんよ。貯金には理由があるのですから。」 「理由?何、目標か何か?」 アメモースは興味津々にたずねた。 「理由ですか?それはですね…。」 遠い目になるモルフォン。 「私には、長年の夢があるんです…。」 ……… 私は、汚れた萌えもんだ。 私は、物心ついたときにはすでに虫捕りの少年をマスターとして持っていた。 虫萌えもん・コンパンだった私は、他の虫萌えもん達に比べると、エスパー技を使える分マスターに重用されていた。 必要とされる…そのときの私は満たされていて、幸せだった。 だけど、あの時…仲間のトランセルがバタフリーになったときだ。 「お前、毒タイプだし、バタフリーに比べりゃ汚いし…もういらない。」 …汚い…私が?どうして…私は…華やか蝶には勝てないの…? ショック…そんなレベルじゃない。私の全てが消え去った気がした。 モンスターボールに入れられたまま私は草むらに捨てられた。 萌えもんは自分からはボールから出られない。マスターはそれを忘れたのだろうか。 それとも、私を消すためにわざと…いや、考えたくない。 いくらもがいてもボールは固くしまったまま開かなかった。 …私は、このまま飢え死ぬのだろうか。 それから何日経っただろうか。私は1人のトレーナーに救われた。 「ボールに入れられたまま何日も放置されてたのか?可愛そうに…。おい、食いもんをあげるんだ。」 「えー、私のお昼ご飯なのに…仕方ないわね、ほら!」 この人に助けられなかったら、私はボールの中で独り寂しく死んでいただろう。 その人はとても優しく介抱してくれた。その人の萌えもんだろう、一緒にいた少女も、文句は言っているものの一生懸命介抱してくれた。 私は決めた。この人の萌えもんになる。この人達を幸せにして、私も幸せになって、そして、絶対に手放さないようにしてやる。 「もう毒なんて撒きません…汚れなんて全て捨てます…だから…ずっと一緒に…居てくれますか…?」 だから私は、自分から毒を消す。そう決めた。 それから時が経ち、私はモルフォンとなり、その人が今のマスターになった。 ……… 「…というわけで、私はお金を貯めて、萌えもん博士に毒を抜いてもらうように頼もうと思ってるんです。」 「…なるほど、長々とご苦労様。」 「いえいえ…って、ひゃあぁっ!?ま、マスター!?」 俺の前で驚きの声を上げるモルフォン。 何でいきなり俺がいるかというと。 俺が仕事から帰ってきたら、モルフォンが遠い目をしたままぶつぶつとしゃべっていたのだ。 アメモースに聞いてみれば、こいつは過去の回想ワールドに入っているのだとか。 そういうわけで、俺は気づかれないよう黙って話を聞いていたのだ。 「残念だが序盤は聞き逃した。とりあえずバタフリーが出てきたところから聞いてるぜ。」 「そ、そこからでも十分恥ずかしいです…はふぅ…。」 湯気を出さんという勢いで真っ赤になるモルフォン。 「…しかしまぁ、未だにそんなこと考えていたんだな。  俺はてっきり、あのときの気持ちはもうとっくに捨ててるのかと思ってた。」 「え?…で、でも、私は毒萌えもん、毒の鱗粉も持っていますし…。」 モルフォンは相変わらずもじもじしている。…ええい、じれったい。 俺は唐突に抱きしめてやった。モルフォンは再び声にならない叫びを上げる。 「何言ってやがる。毒が何だ。汚れがどうした。俺はそんなもの気にしていないぜ。」 「ま、マス、ター…。」 モルフォンの体の緊張は、すっと解けていった。 「だから、そんな体質とか気にするな。それはお前の個性ってもんだ。」 「………。」 モルフォンはそのまま答えなかった。首筋に冷たい感触…涙、か。 「…フン、臭いセリフはいちゃってさ!マスターったらあまーいわねぇ、見ているこっちが恥ずかしいわよ!」 …アメモースはそそくさと部屋から出て行った。…焼きもちか? まぁ、今回はそのほうが効率がよさそうだ。俺はしばらくの間、泣いているモルフォンを抱き続けた。 ……… 「あれ?モルフォン、貯金やめちゃうの?」 「いえ、やめませんよ?ただ、ちょっと使うだけです。」 あの日からモルフォンは、貯まるに貯まった貯金を少しずつ解放し始めた。 モルフォンは計画性を持ってお金を使い、必要なものを買ってきてくれる。ありがたいことだ。 アメモースもそれを見てか、多少節制が利くようになった様子。 「それでは、行ってまいります!」 モルフォンはさわやかな笑みを浮かべ、元気良く挨拶をして出かけていった。 色んなことがかなり順調に進んでいるようでなによりだ。 「アメモース、あいつ、何を買いに行くって?」 「あまあまなマスターのために、にがーい漢方薬を買ってくるってっ!」 「…まだ怒ってるのかよ。」 ただ、未だにアメモースがとげとげしてやがるのが気になるが…。 ま、ハッピーエンドってことにしておこう。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ※端書 「あたくしは ガですが チョウのように はなやかなものより たしかなあいを もっているのです」 私にとってはいちげき ひっさつ!なこのセリフ。萌えませんか?萌えますよね? やや暗くなったけど、明るくまとめてよしとしました。アメモースがキレてますが。 駄文ながら最後までお付き合いくださってありがとうございます。 書いた人:蛾

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