5スレ>>289

「5スレ>>289」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

5スレ>>289」(2008/03/08 (土) 21:00:25) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

「……あれ? ご主人さま……?」 リザードが夜中に不意に目を覚ますと、そこにはトレーナーの姿はなかった。 ここはタマムシシティのもえもんセンター。 今日、一行はタマムシジムのジムリーダー……エリカに勝ち、早めにセンターで休むことにした。 特に一番活躍していたリザードは、疲れていたのか、部屋についてすぐに寝てしまったのだ。 そして今、夜中の二時という中途半端な時間に起きてしまい、今の状態になっている。 きっとすぐに帰ってくるだろう……そう思い、もう一回寝ようとしたが、やはり不安になった。 (やっぱり……ちょっと捜そう) 仲間を起こさないように、足音を立てないように歩いて、リザードは受付に向かった。 受付には、昼夜問わずにジョーイさんがいる。外にいったなら絶対にジョーイさんが見ているはず。 そう思い、リザードはジョーイさんに質問をしてみることにした。 「あ、あの……私のご主人さまを見ませんでしたか?」 さすがにこれだけだとわからないかな……そう思ったが、ジョーイさんは少し眠そうな声で答えを返してくれた 「あぁ……あの子なら、ついさっき外に出て行ったのを見たわ……ふぁぁ」 最後の方は欠伸を堪えようとしていたが、やはり堪える事は無理だったようだ。 リザードは「ありがとう。お仕事頑張って下さい」と言って、外に飛び出した。 夜のタマムシシティは、昼のそれとはまた違う一面を見せる。唯一変わらないのは、ゲームセンター位だろう。 リザードは思考を巡らせる。ご主人さまは騒がしいのが苦手で、静かな所を好む。だからゲームセンターには行かないであろう。 そう考えると、タマムシシティの中で今の時間、一番静かなのは…… 「デパートの……屋上?」 そう思って、リザードはタマムシデパートに向かって走っていった。 カントーで一番大きいデパートも、夜になると人が疎らになる。 焦る気持ちを抑えつつ、リザードは屋上に向かった。 屋上に着くと、そこには彼女のトレーナーの姿があった。 「ご主人さま! ここにいたのですか……」 トレーナーの姿を見て、リザードはほっと一息つき、トレーナーの元に向かった。 「ん? あぁ、リザード……起きたのか?」 その事に気づいたトレーナーは、リザードに近づき、 「薄着だと寒いでしょ?」 そう言って着ていたコートをリザードに掛けた。 「でも、ご主人さまは……?」 「俺は元から厚着だから平気。リザードの方こそ、そんな薄着で大丈夫だったの?」 そう言われてリザードは自分が今、寝間着のままトレーナーを捜しに来たことを思い出した。 「だ、だって……急に居なくなっちゃって……うぅ……」 リザードは顔を真っ赤にして、苦しい言い訳をし始めた。 その様子を見て、トレーナーはリザードの頭にポンと手を置き、 「心配になって捜しに来てくれたんでしょ? ありがとう」と言った。 その言葉を聞いて、リザードは嬉しさと恥ずかしさの混じった顔をしてトレーナーを見た。 「と……ところで、ご主人さまは此処で何をしていたのですか?」 リザードはこの場の雰囲気を変えるために、当たり障りのない質問をした。 「ん? あぁ……星を見ていたんだ」 「星……ですか?」 「うん、この時期は空気が澄んでるからね……空を見てごらん?」 言われてリザードは空を見上げた。すると…… 「うわぁ……!」 そこには、一面の星の海が広がっていた。 「綺麗でしょ? タマムシでも意外と星って見えるものなんだな……」 そう言ってトレーナーも空を見上げた。 「すごいですね……本当に……」 「本当にね……自分がいかに小さい存在かって改めて思い知らされるよ……」 トレーナーとリザードはその後、暫く空を見上げていた。 「くしゅん!」 ずっと寒空の下にいたので、リザードが思いっきりクシャミをした。 「俺もそろそろ限界だな……帰ろうか、リザード?」 「はい……そうしましょう……」 リザードの体調を事を考慮して、トレーナーとリザードは帰ることにした。 「そう言えば…」 「ん?」 帰りのエレベーターの中、ふとリザードか口を割った。 「さっき、ご主人さまは、自分がいかに小さい存在かって改めて思い知らされる……そう言っていましたよね?」 「あぁ、言ってたけど?」 すると、リザードはトレーナーを真剣な眼差しで見て、こう言った。 「確かに、宇宙とかから見たら、ご主人さまはとっても小さな存在かもしれません。 でも……私からみたら、ご主人さまはとっても大くて……すごく大切な存在です。 だから、自分のことを、そういう風に言わないで下さい」 そこまで言うと、リザードはふと気付いたような顔をして、 「あ……た、大切って言うのは、あ……あの、そう意味じゃなくって……ええと……ええと……」 と、顔を真っ赤にしてあわてふためながらこう付け加えた。 「うん……ありがとう。」 トレーナーがそう言うとエレベーターのドアが開いた。 「どうしたの? 一階に着いたよ?」 「あ……は、はい!」 リザードはふと我にかえって、急いでエレベーターから降りた。 「リザード」 「はい? 何でしょうか?」 トレーナーは一息おいてから、 「さっきの言葉……本当にありがとう。すごく……嬉しかった」 と少し照れくさそうに言った。 リザードはその言葉を聞くと、 「ご主人さまが元気ないと、私も……ううん、みんなも悲しくなりますから……」 そう言ってトレーナーの方を見た。 トレーナーはそれを聞いて、リザードをみて 「そうだな……」 と言い、リザードにフッと笑った。 それを見てリザードも笑顔をトレーナーに返した。 トレーナーもリザードも気持ちはひとつになっていた。 (俺には、リザードがいないと本当に駄目だな……) (私には、ご主人さまがいないと駄目なんですね……) 「お互い……これからも頑張るか……リザード!」 「はい……!」 そう言って、二人は帰路についた。 完 デパートからの帰ったあと、リザードはふと考えていた。 (ご主人さまが居なかったときに……少し……ううん、すごく不安になったけど……あれは何だったんだろう……? 確かに、誰だって自分のトレーナーが居なくなったら不安になるけど……何だろう…… ご主人さまが居なくなったら、私が私じゃなくなる……そんな感じがした……何で……?) 「リザード? リザード?!」 「は、はいぃ?! 何でしょうか?!」 リザードはトレーナーの呼びかけでふと我にかえった。 「何でしょうかじゃないよ……何か変だぞ? 風邪でもひいたか?」 「だ……大丈夫ですよ!」 (まぁ、いいか……久々に二人きりで話をして緊張しちゃったんだ。きっと……) リザードがこの感情を「恋」であると気付くのは……多分、もう少し先の話。 今度こそ、完

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示:
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。