5スレ>>314

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切り開かれていない山道を私は進む。 目的地はとある山深くの庵― 見えた。 腰には脇差と刀、肩には大きな筒、手には手土産を。 私は、庵の玄関を開き 「お久しぶりです」 「久しぶりやね。待っとったよ、アヤメ」 始まりは昔―失敗作だった私が研究所から逃げだしてすぐの頃。 当時の私はこんな体に生み出したヒトへの復讐にかられていた。 生み出された頃から持つ刀を使い、ヒトを斬り、強者と戦い、それを打倒していた。 ヒトと萌えもんでは身体能力も違う…いつしか殺すことに喜びを見出していた。 「ここね…」 そんなある日、とある風のうわさを聞いた 曰く―山奥に住む剣豪がいるらしい―と。 私はその場所―山奥に佇む庵に向かった。 「いらっしゃい…こんな山奥までどないな用で?」 出迎えたのは、蒼い着物を着た少女。 腰に挿した刀を見るに、弟子か何かだろうか。 「ここに住む剣豪の噂を聞きまして、お手合わせをしたく…」 「木刀で?それとも真剣勝負?」 「真剣勝負を」 「…まぁええやろ。お相手しましょ」 「え?」 ―どうやら、この少女が噂の剣豪らしい。 もっと年老いた男かと思っていたのだが… 道場は庵の隣にあった。 「初めてのお方や。ウチが直接お相手するわ」 そう言って、腰に挿していた刀を抜く。 柄の拵えは大陸風だったが、刃は直刀だがかなりの業物だと判る。 私も腰の刀を抜いた。 「ずいぶんと良い獲物ですのね。柄から倭刀か何かかと思っていたのですが…」 「刃以外はウチの趣味や。日本刀の柄拵は好かん」 そう言って、刀を右手で持ち、『無構え』の姿勢をとる。 「さぁ、いつでもええよ。何処からでもかかって来ぃや」 私は、刀を振りかぶり、一気に接近する― 「そ…んな」 「まだまだ未熟。そんな腕じゃウチに触れることもできん」 結果は私の惨敗だった。 どれだけ速く切りかかろうと、後ろに回り込もうと、かわされ、いなされ、最後には獲物を弾かれた。 「くっ…もう一度…もう一度ですわ…」 「嫌や。手合わせは一回きり」 「くっ…」 「もし…ウチともう一回手合わせしたい言うんやったら…」 「なら?」 「お師匠様…失礼、来客でしたか」 道場に一人の男が入ってくる。 年は20代くらいか… 「ええよ。丁度ええ所に来てくれた…で、もしウチともう一回手合わせしたい言うんやったら―  コイツに勝ってみぃ。これでもコイツはウチの弟子や」 「…来客かと思ってましたが…道場破りでしたか。  しかしまぁ人が悪い…お師匠様には俺だって一撃を加えたことも無いのに…」 「わかりましたわ…では、そこの方、お手合わせ願えます?」 「はいはい…それじゃあ、宜しく」 そして彼とも手合わせをして―私は負けた。 それからはあっという間に過ぎていった。 彼を倒すために、さらに剣術の腕を磨いた。 ヒトの教えも受けるようになり、私はさらに強くなっていった。 しかし、彼もそれと同じかそれ以上に腕を磨き、次に勝負をしたときにはやっぱり私は負ける。 それが悔しくて私はさらに腕を磨く。そのうちにヒトの復讐を忘れていった。 いつしか彼も20代から30代へと年をとるが、それでも尚彼の剣は冴えていく。 暫くして、彼は印可を貰い、遥かホウエンの地へと旅立っていった。 「まぁええやろ。アイツも出て行った事やし、ウチが相手したる」 その頃から、代わりに彼女が私の相手をするようになった。 彼女と手合わせし、そして負け、また剣の腕を磨く。 そして月日は過ぎて… 「はぁっ!」 両手の刀を振りかぶる―が、容易くかわされる。 追撃で左手の脇差で突きを放つがこれもかわされる。 耐性を立て直すために後方に下がる。しかしその距離を一歩で詰められて下段からの薙ぎ払いを放たれる。 私はそれをギリギリでかわし、さらに下がる。 すると、彼女は片手で振るっていた刀を両手で持ち、上段に構えた。 ―来る― 一撃に備えるために腰だめになり、左手の脇差をしまい、その手を峰にそえる。 次の瞬間、一歩で距離を詰めた彼女の上段からの振り下ろしが来た。 私は腰だめの姿勢のまま耐え―きれずに姿勢を崩す。 その隙を逃さず、彼女はバランスの崩れた私に蹴りを放つ。 その衝撃を吹っ飛ばされ―倒れた私の首に刀を突きつけられた。 「ここまでやね」 「…くっ…また負けましたわ…」 此処に足を運ぶようになってかなりになるが…いまだに一太刀すら浴びせられない状態。 かなり鍛えてきたのだが…まだまだのようだ。 「また腕を上げたね、アヤメ。しかし、最後のは…」 「えぇ、ホウエンの方の剣術です…」 「という事は…会ったんやね」 「えぇ…」 どれだけ強くてもヒトは老いや病には勝てない… かつての研究者は老いの概念の薄いポケモンや萌えもんに希望を見たのだろうか。 そういえば…彼女は年を取っていないような…はじめてあった時に第一印象でヒトだと思っていたのだが… 「なぁアヤメ」 「なんでしょう?」 「アンタは何のために剣を振るっている?」 「戦いのために。まだ見ぬ強者との戦いの為に」 「昔と変わらんかぁ…」 以前、『何のために剣を振るうか』と聞かれたことがあった。 私はその時も同じ答えだった。 「そういう貴女は?」 「ウチも昔と変わらんよ。ウチは『人を見る』為に剣を振るっている」 『人は剣を向けたとき、心の本性が見える』彼女の言葉だ。 剣を通して人を見る事…それが彼女の剣を振るう理由。 「まぁええ。刀は道具、剣術は技術。殺すことも生かすことも人の『心』しだいや」 「『戦いを望むのは構わない。だが、強者と戦うための術を弱いものに振るうような勿体無い真似はするな』   ―そのときにそう言われましたね」 「覚えててくれたん。それで、どうや?」 「えぇ、守っていますよ」 アヤメは暫く滞在した跡にまた旅立っていった。 「次こそは貴女に一太刀浴びせて見せますわ」 そう言っていた…が、まだ負けるつもりも無い。 気がつけばもう夜。 ふと夜空を見上げれば、そこには満月― 「アイツは満足だったんかね」 ホウエンへと旅立っていった弟子は、病を患い亡くなったと聞いた。 晩年に萌えもんを弟子にして剣術を教えていたそうだ。 彼の弟子…機会があれば会って見たいものだ。 時間の流れとは、人を成長させ、老いさせ、道を残させるものだ。 あの若者だった弟子も、老い、そして己を生きた証を残した 彼女―アヤメも彼女もやがては老い、死んでいくだろう。 私に剣術を教えてくれた先生もとっくに死んでいる。 「時は流れ、移ろい、変わらぬものは無い  流れに忘れられてしまったウチはどうやんなろなぁ…フツノ」 私は愛刀に話しかける…当然答えは返ってこない。 私と同じ時を生きるものは、この刀を除いてはもう『あそこ』にしか居なくなった。 一人は寂しい…久しぶりに帰ってみるとしようか… ホワイトデー?そんなの関係ねぇ(ぇ ハブネークのアヤメ姐さん、師匠(?)を尋ねる、のお話 お師匠さんはどっちかというと京訛に近い口調だと思ってください
切り開かれていない山道を私は進む。 目的地はとある山深くの庵― 見えた。 腰には脇差と刀、肩には大きな筒、手には手土産を。 私は、庵の玄関を開き 「お久しぶりです」 「久しぶりやね。待っとったよ、アヤメ」 始まりは昔―失敗作だった私が研究所から逃げだしてすぐの頃。 当時の私はこんな体に生み出したヒトへの復讐にかられていた。 生み出された頃から持つ刀を使い、ヒトを斬り、強者と戦い、それを打倒していた。 ヒトと萌えもんでは身体能力も違う…いつしか殺すことに喜びを見出していた。 「ここね…」 そんなある日、とある風のうわさを聞いた 曰く―山奥に住む剣豪がいるらしい―と。 私はその場所―山奥に佇む庵に向かった。 「いらっしゃい…こんな山奥までどないな用で?」 出迎えたのは、蒼い着物を着た少女。 腰に挿した刀を見るに、弟子か何かだろうか。 「ここに住む剣豪の噂を聞きまして、お手合わせをしたく…」 「木刀で?それとも真剣勝負?」 「真剣勝負を」 「…まぁええやろ。お相手しましょ」 「え?」 ―どうやら、この少女が噂の剣豪らしい。 もっと年老いた男かと思っていたのだが… 道場は庵の隣にあった。 「初めてのお方や。ウチが直接お相手するわ」 そう言って、腰に挿していた刀を抜く。 柄の拵えは大陸風だったが、刃は直刀だがかなりの業物だと判る。 私も腰の刀を抜いた。 「ずいぶんと良い獲物ですのね。柄から倭刀か何かかと思っていたのですが…」 「刃以外はウチの趣味や。日本刀の柄拵は好かん」 そう言って、刀を右手で持ち、『無構え』の姿勢をとる。 「さぁ、いつでもええよ。何処からでもかかって来ぃや」 私は、刀を振りかぶり、一気に接近する― 「そ…んな」 「まだまだ未熟。そんな腕じゃウチに触れることもできん」 結果は私の惨敗だった。 どれだけ速く切りかかろうと、後ろに回り込もうと、かわされ、いなされ、最後には獲物を弾かれた。 「くっ…もう一度…もう一度ですわ…」 「嫌や。手合わせは一回きり」 「くっ…」 「もし…ウチともう一回手合わせしたい言うんやったら…」 「なら?」 「お師匠様…失礼、来客でしたか」 道場に一人の男が入ってくる。 年は20代くらいか… 「ええよ。丁度ええ所に来てくれた…で、もしウチともう一回手合わせしたい言うんやったら―  コイツに勝ってみぃ。これでもコイツはウチの弟子や」 「…来客かと思ってましたが…道場破りでしたか。  しかしまぁ人が悪い…お師匠様には俺だって一撃を加えたことも無いのに…」 「わかりましたわ…では、そこの方、お手合わせ願えます?」 「はいはい…それじゃあ、宜しく」 そして彼とも手合わせをして―私は負けた。 それからはあっという間に過ぎていった。 彼を倒すために、さらに剣術の腕を磨いた。 ヒトの教えも受けるようになり、私はさらに強くなっていった。 しかし、彼もそれと同じかそれ以上に腕を磨き、次に勝負をしたときにはやっぱり私は負ける。 それが悔しくて私はさらに腕を磨く。そのうちにヒトの復讐を忘れていった。 いつしか彼も20代から30代へと年をとるが、それでも尚彼の剣は冴えていく。 暫くして、彼は印可を貰い、遥かホウエンの地へと旅立っていった。 「まぁええやろ。アイツも出て行った事やし、ウチが相手したる」 その頃から、代わりに彼女が私の相手をするようになった。 彼女と手合わせし、そして負け、また剣の腕を磨く。 そして月日は過ぎて… 「はぁっ!」 両手の刀を振りかぶる―が、容易くかわされる。 追撃で左手の脇差で突きを放つがこれもかわされる。 耐性を立て直すために後方に下がる。しかしその距離を一歩で詰められて下段からの薙ぎ払いを放たれる。 私はそれをギリギリでかわし、さらに下がる。 すると、彼女は片手で振るっていた刀を両手で持ち、上段に構えた。 ―来る― 一撃に備えるために腰だめになり、左手の脇差をしまい、その手を峰にそえる。 次の瞬間、一歩で距離を詰めた彼女の上段からの振り下ろしが来た。 私は腰だめの姿勢のまま耐え―きれずに姿勢を崩す。 その隙を逃さず、彼女はバランスの崩れた私に蹴りを放つ。 その衝撃を吹っ飛ばされ―倒れた私の首に刀を突きつけられた。 「ここまでやね」 「…くっ…また負けましたわ…」 此処に足を運ぶようになってかなりになるが…いまだに一太刀すら浴びせられない状態。 かなり鍛えてきたのだが…まだまだのようだ。 「また腕を上げたね、アヤメ。しかし、最後のは…」 「えぇ、ホウエンの方の剣術です…」 「という事は…会ったんやね」 「えぇ…」 どれだけ強くてもヒトは老いや病には勝てない… かつての研究者は老いの概念の薄いポケモンや萌えもんに希望を見たのだろうか。 そういえば…彼女は年を取っていないような…はじめてあった時に第一印象でヒトだと思っていたのだが… 「なぁアヤメ」 「なんでしょう?」 「アンタは何のために剣を振るっている?」 「戦いのために。まだ見ぬ強者との戦いの為に」 「昔と変わらんかぁ…」 以前、『何のために剣を振るうか』と聞かれたことがあった。 私はその時も同じ答えだった。 「そういう貴女は?」 「ウチも昔と変わらんよ。ウチは『人を見る』為に剣を振るっている」 『人は剣を向けたとき、心の本性が見える』彼女の言葉だ。 剣を通して人を見る事…それが彼女の剣を振るう理由。 「まぁええ。刀は道具、剣術は技術。殺すことも生かすことも人の『心』しだいや」 「『戦いを望むのは構わない。だが、強者と戦うための術を弱いものに振るうような勿体無い真似はするな』   ―そのときにそう言われましたね」 「覚えててくれたん。それで、どうや?」 「えぇ、守っていますよ」 アヤメは暫く滞在した跡にまた旅立っていった。 「次こそは貴女に一太刀浴びせて見せますわ」 そう言っていた…が、まだ負けるつもりも無い。 気がつけばもう夜。 ふと夜空を見上げれば、そこには満月― 「アイツは満足だったんかね」 ホウエンへと旅立っていった弟子は、病を患い亡くなったと聞いた。 晩年に萌えもんを弟子にして剣術を教えていたそうだ。 彼の弟子…機会があれば会って見たいものだ。 時間の流れとは、人を成長させ、老いさせ、道を残させるものだ。 あの若者だった弟子も、老い、そして己を生きた証を残した 彼女―アヤメも彼女もやがては老い、死んでいくだろう。 私に剣術を教えてくれた先生もとっくに死んでいる。 「時は流れ、移ろい、変わらぬものは無い  流れに忘れられてしまったウチはどうやんなろなぁ…」 私は愛刀に話しかける…当然答えは返ってこなかった。 ホワイトデー?そんなの関係ねぇ(ぇ ハブネークのアヤメ姐さん、師匠(?)を尋ねる、のお話 お師匠さんはどっちかというと京訛に近い口調だと思ってください

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