5スレ>>344

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※どうも、零です。 久しぶりのスタートは新シリーズとなりました。 現本編すらまともに進めてないんですが、まぁいろいろありまして…、申し訳ありません;; オリジナル要素、DP要素が多いですが、ご了承ください。 お暇があれば是非どうぞ。 --*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--        Ray Side Story... ~ⅰ~           それはいつもの日常から --*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*-- 「…なんでこんなことになってんだ?」 ここはタマムシシティのゲームコーナー地下に隠されているロケット団アジト。 その地下3Fに、彼、彼女らはいた。 中心には、歳は18ぐらいの、トレーナーと思われる青年。 その横には長く透き通った青髪のハクリューが控え、前にはふわふわと、紫の大きい魔女のような三角帽の目立つムウマージが漂っている。 そしてその青年の頭に乗っかっているのは、頭と両耳についた綿の可愛いワタッコだ。 青年の手持ちもえもんなのだが、大抵のトレーナーのするようにボールに収めることはせず、基本的には常に外に出している。 それも信頼の深い証なのだろう。 青年と彼女らの付き合いは長く、それも青年が全国各地を旅して回っているからだ。 元々はカントー地方のマサラタウンの出身なのだが、ジョウト地方にもシンオウ地方にも行ったし、その他にもいろいろな地方を回っている。 それ故に、ムウマージ、ワタッコといった、シンオウ、ジョウトならではの珍しいもえもんも従えているのだ。 彼女らとの出会いも、大抵のトレーナー達とは違い、奇異な、そして悲惨なものでもあったりするのだが、それはまた昔の話。 そんな青年が今現在、何故ロケット団のアジトにいるのか、というと、それはカントーにリーグ制覇のために戻ってきて、その旅の途中の話だ。 ― ――― ――――― 船から下りてすぐの港町、クチバシティのジムリーダーも倒し、イワヤマトンネルも抜けた先のシオンタウンでのこと。 そこは霊を祀る神聖な街と、青年はそう聞いていたのだが、その日のシオンタウンは、そのイメージとは裏腹に、なにやら、異常なまでに騒がしかった。 「おーい!そこのお前!」 その騒ぎの元凶であるらしい、一人の男――見た目は20代後半の若々しい男――が、青年に向かって叫ぶ。 「え?俺ですか?」 「そうそこのお前!」 初対面であるのにも関わらず、その礼儀の欠片も見当たらないような言葉遣いに、青年は若干顔をしかめる。 関わりたくはない人物ではあったが、別に急用があったわけでもない。 青年は立ち止まって話を聞くことにした。 こうやって地元の住人の問題を助けていくのも、もはや手馴れたことになっていたのだ。 「どうしました…?」 「俺のっ!俺の娘をっ!返してくれっ!」 「は?」 先程の横暴な態度に、意味不明な言動。 さすがに関わらない方が良いと青年は考えはじめた。 それは青年の傍にいたもえもん達も同じであったようで、それぞれ一歩ずつ後退りする。 しかし、なにやら男の必死な様子だけはひしひしと感じられ、青年も彼女らも、何故か逃げようとはしなかった。 「俺はあなたとは初対面ですよ?娘を返せといわれても…」 「ああ!…そ、そうだ、すまん…う、うちの娘が家出してな」 「はぁ」 その男は、青年の正論でパニックから少し復活したが、それでもまだ動揺を抑えきれていない。 あらゆるステップを全部通り過ぎて言い放った。 「頼む!探してくれ!」      ********** ――ほんの些細な――いつもの日常にすらなっていた出来事であるはずだった――少なくとも青年には――。 ――これが――この出会いが――のちの運命を狂わせて行くことになる――。 ――いくつもの運命が――絡み合っていくのだ――。      ********** ――――― ――― ― 青年がその男から聞いた話によると、男の名は『アッキー』、娘の名を『ひな』というらしい。 10歳前後の少女の写った写真と、少なすぎる情報を持って聞き込みをしていたが、幸いにも目立つ一行であったようで、場所はすぐにわかっていった。 とにもかくにも、そんな出来事の後、紆余曲折を経てここに至るというわけだ。 「…なんでこんなことになってんだ?」 「ご主人たまがお人好し過ぎるんでし」 いつものようにビシビシと指摘をするムウマージ。 この指摘はいつもの事であるし、ムウマージの性格だって、この長い旅の中で、青年はちゃんと理解している。 特に傷つくこともなく、むしろその指摘すらも楽しんでいた。 「そうかなー」 「でも、そこがご主人様の良いところですよ」 「お、ありがとな、ハク」 ハクリューはいつも優しく、パーティで一番常識のある実力者であり、青年の相棒である。 青年とは一番長い付き合いであり、幼き頃から一緒であった。 「なになにー?」 「ん?ハクがな、俺の事好きで好きでたまらないんだってさ」 「えー!?わたぽんもわたぽんもー!!」 さっきから真剣に話を聞いていたかのようにみえて、実は全くわかっていなかったワタッコ。 といっても年齢も10に満たないほどのまだ子供なので、仕方のないことといえば仕方のないこと。 その割には、やけに戦闘能力が高く、この幼い年齢にして、ハクリューやムウマージとも同等、とまでいかなくとも、近いレベルで動けたりするのだが。 「ご主人様は好きですけど、そんなことよりもっと緊張感持ちましょうよ」 「んー、迷子の子猫ちゃんを探しに来ただけなんだけどなぁ…」 何故だか先程からバトルの連続なのだ。 場所が場所であるし、明らかに場違いであるので仕方がないことなのだが。 少女は確かにここにいるはずなのだが、その縦横無尽で神出鬼没ともいえるような行動は全く読めず、どうすればよいのか、青年はもうお手上げ状態である。 「もう大分歩き回ってるでしよ?」 「んー…もうどっかいっちゃったかなぁ?」 相当な時間探し回り、相当な数のバトルもこなしてきた。 さすがに疲労と諦めの色も見え始める。 「もういないと思うんですけど…」 「つーかーれーたー…」 もうそれぞれ限界が近い。 これで最後にしようか、と、青年はいままでのどの扉よりも一際警備の厳しかった扉を開ける。 そこは一つの部屋。 今までの研究施設のようとはまるで違う、どこかの社長室のような部屋。 その奥の机、そのイスに、ある男が座っていた。 やけにがたいのいい、放つオーラが他とは明らかに異質の男であった。 ここの幹部、もしくはボスであろうことは一目でわかる。 「なんのようだ…?」 畏怖を覚えるような低く響き渡る声が、その男から発せられる。 その声に、ワタッコは恐怖で震え上がり、他のメンバーすらも、思わず身構えていた。 「いや~、人探しというか…なんというか…」 明らかに空気を読んだ発言、態度ではないのだが、青年はそう言うほかない。 しかし、どう返答したところで、同じことであった。 男はもともと理由などに興味はなく、当然の事のように青年の排除にかかったのだ。 「なんにせよ、アジトに侵入されたからには見過ごすわけにはいかんな…」 そう言い放って、二つのボールを投げる男。 放たれたボールから現れたのは、ニドキングとニドクイン。 どちらも地面タイプの上位種である。 相対する様子だけを見れば、ハクリュー、ムウマージ、ワタッコ、有する技に、特性に、タイプに、相当な優位に立ってはいる。 しかし、ワタッコは、連続のバトルに男に対する畏怖。 体力的にも精神的にも今回の戦いには参加できない状況であり、他のメンバーも万全とはいえない。 極限状態に近いものがある。 「…ハクリュー、ムウマージ」 「「!!」」 青年は、先程までの緩い気配など欠片も見せず、それぞれ、パートナーである彼女達へ、『愛称』ではなく呼びかける。 青年がパートナー達を正式な『種族名』で呼ぶときは、本気である証。 そのことも理解し、青年から伝わる、殺気で張り詰めた空気も感じ取った彼女らもまた、瞬時に臨戦態勢へと切り替える。 「(こっちには余裕がない、一撃で頼む)」 青年の命を受け、即座にムウマージが動き出す。 繰り出した技は、“かげうち”。 本来ならば、素早く忍び寄り先制攻撃を仕掛ける技なのだが、今回は少し違う。 その高速接近を利用して、敵二体の背後に一瞬で回り込んだのだ。 「な…!?」 「“くろいまなざし”」 ムウマージは、慌てて振り向くニドクインを見、眼に怪しく揺れる光を宿す。 その一睨みで、ニドクインの動きがピタリと止まった。 しかし、その攻撃で動きを止められるのは一体だけ、片割れのニドキングはムウマージへと狙いを定め、命あらばすぐにでも攻撃できる態勢をとる。 幸いにも、その主人である男は、油断していたのであろう、瞬時に展開された今の状況を把握することができず、すぐに命を下すことができなかった。 青年は更なる命を下す。 「もう一度!」 「!!」 その男が理解したときには、時既に遅し、ニドキング、ニドクイン、双方とも“くろいまなざし”により、身動きの取れない状況にいた。 青年は、少し息を漏らし、双方の動きを止められたことに安堵し、ほんの少し胸を撫で下ろす。 もちろん勝負が決しているわけではない。 すぐに気を引き締めなおして、二人のパートナーへと止めを命じた。 「…“なみのり”、“マジカルリーフ”」 「「はい!」」 命じられた二人も、これで止めと確信しているのだろう、大きく返事をし、ありったけの力を攻撃に込める。 ハクリューが生み出すは激流、ムウマージが放つは七色の葉の刃、その二つが折り重なって敵二人へと襲い掛かった。 効果抜群、会心の一撃。 ニドキング、ニドクイン、双方立ち上がれるわけもない。 「こ、小僧…!貴様何者だっ!?」 圧倒的速さでの惨敗に歯を噛み締める男。 その様子とは真逆に、青年は、まるで何事もなかったかのように軽く返す。 とにかく早く戻りたいのだ。 「ふぅ…いや、ここにはもう用はないんで…」 決着はついた。 何かまた別な問題が起きる前に、青年はその場を後にする。 ハクリューもムウマージも力を出し尽くしたであろう、これ以上の問題はさすがに辛い状況であったのだ。 部屋を出た直後に聞いた、男の、くそっ、という叫び声を耳に残しつつ、青年は急いでもえもんセンターへと向かう。 ――その夜。 どんよりとした曇り空ではあるが、心地よい風が吹く。 青年は、隣のハクリューと共に、窓から吹く夜風に当たっていた。 「結局見つかりませんでしたね…」 「そうだなー…もう情報がないな…」 もえもんセンターで診て貰って、今は三人ともすっかり元気である。 ムウマージ、ワタッコに至っては、いつものようにつまらないことでケンカの真っ只中だ。 「んー…明日タマムシジムにでもいってみるか…制覇ついでに聞いてみよう…他にやることもなさそうだ」 「…そうですね」 ~~あとがき~~ んー…どうだろう;; 第一話、これだけじゃまだなんにもわかりませんね;; このシリーズには秘密たっぷりです。 これからいろんな謎も解けていくでしょう!そうであるはずです! ところでキャラ設定とかいるんだろうか…? まぁそのへんも追々と考えております。 もし興味を持ってくれたのならば是非次話も読んでやってください;; 最後に、こんなものに付き合っていただき、本当にありがとうございました。m(__)m 第二話、できあがったらまた見てもらえると嬉しい限りです。では。
※どうも、零です。 久しぶりのスタートは新シリーズとなりました。 現本編すらまともに進めてないんですが、まぁいろいろありまして…、申し訳ありません;; オリジナル要素、DP要素が多いですが、ご了承ください。 お暇があれば是非どうぞ。 --*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--        Ray Side Story... -ⅰ-           それはいつもの日常から --*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*-- 「…なんでこんなことになってんだ?」 ここはタマムシシティのゲームコーナー地下に隠されているロケット団アジト。 その地下3Fに、彼、彼女らはいた。 中心には、歳は18ぐらいの、トレーナーと思われる青年。 その横には長く透き通った青髪のハクリューが控え、前にはふわふわと、紫の大きい魔女のような三角帽の目立つムウマージが漂っている。 そしてその青年の頭に乗っかっているのは、頭と両耳についた綿の可愛いワタッコだ。 青年の手持ちもえもんなのだが、大抵のトレーナーのするようにボールに収めることはせず、基本的には常に外に出している。 それも信頼の深い証なのだろう。 青年と彼女らの付き合いは長く、それも青年が全国各地を旅して回っているからだ。 元々はカントー地方のマサラタウンの出身なのだが、ジョウト地方にもシンオウ地方にも行ったし、その他にもいろいろな地方を回っている。 それ故に、ムウマージ、ワタッコといった、シンオウ、ジョウトならではの珍しいもえもんも従えているのだ。 彼女らとの出会いも、大抵のトレーナー達とは違い、奇異な、そして悲惨なものでもあったりするのだが、それはまた昔の話。 そんな青年が今現在、何故ロケット団のアジトにいるのか、というと、それはカントーにリーグ制覇のために戻ってきて、その旅の途中の話だ。 ― ――― ――――― 船から下りてすぐの港町、クチバシティのジムリーダーも倒し、イワヤマトンネルも抜けた先のシオンタウンでのこと。 そこは霊を祀る神聖な街と、青年はそう聞いていたのだが、その日のシオンタウンは、そのイメージとは裏腹に、なにやら、異常なまでに騒がしかった。 「おーい!そこのお前!」 その騒ぎの元凶であるらしい、一人の男――見た目は20代後半の若々しい男――が、青年に向かって叫ぶ。 「え?俺ですか?」 「そうそこのお前!」 初対面であるのにも関わらず、その礼儀の欠片も見当たらないような言葉遣いに、青年は若干顔をしかめる。 関わりたくはない人物ではあったが、別に急用があったわけでもない。 青年は立ち止まって話を聞くことにした。 こうやって地元の住人の問題を助けていくのも、もはや手馴れたことになっていたのだ。 「どうしました…?」 「俺のっ!俺の娘をっ!返してくれっ!」 「は?」 先程の横暴な態度に、意味不明な言動。 さすがに関わらない方が良いと青年は考えはじめた。 それは青年の傍にいたもえもん達も同じであったようで、それぞれ一歩ずつ後退りする。 しかし、なにやら男の必死な様子だけはひしひしと感じられ、青年も彼女らも、何故か逃げようとはしなかった。 「俺はあなたとは初対面ですよ?娘を返せといわれても…」 「ああ!…そ、そうだ、すまん…う、うちの娘が家出してな」 「はぁ」 その男は、青年の正論でパニックから少し復活したが、それでもまだ動揺を抑えきれていない。 あらゆるステップを全部通り過ぎて言い放った。 「頼む!探してくれ!」      ********** ――ほんの些細な――いつもの日常にすらなっていた出来事であるはずだった――少なくとも青年には――。 ――これが――この出会いが――のちの運命を狂わせて行くことになる――。 ――いくつもの運命が――絡み合っていくのだ――。      ********** ――――― ――― ― 青年がその男から聞いた話によると、男の名は『アッキー』、娘の名を『ひな』というらしい。 10歳前後の少女の写った写真と、少なすぎる情報を持って聞き込みをしていたが、幸いにも目立つ一行であったようで、場所はすぐにわかっていった。 とにもかくにも、そんな出来事の後、紆余曲折を経てここに至るというわけだ。 「…なんでこんなことになってんだ?」 「ご主人たまがお人好し過ぎるんでし」 いつものようにビシビシと指摘をするムウマージ。 この指摘はいつもの事であるし、ムウマージの性格だって、この長い旅の中で、青年はちゃんと理解している。 特に傷つくこともなく、むしろその指摘すらも楽しんでいた。 「そうかなー」 「でも、そこがご主人様の良いところですよ」 「お、ありがとな、ハク」 ハクリューはいつも優しく、パーティで一番常識のある実力者であり、青年の相棒である。 青年とは一番長い付き合いであり、幼き頃から一緒であった。 「なになにー?」 「ん?ハクがな、俺の事好きで好きでたまらないんだってさ」 「えー!?わたぽんもわたぽんもー!!」 さっきから真剣に話を聞いていたかのようにみえて、実は全くわかっていなかったワタッコ。 といっても年齢も10に満たないほどのまだ子供なので、仕方のないことといえば仕方のないこと。 その割には、やけに戦闘能力が高く、この幼い年齢にして、ハクリューやムウマージとも同等、とまでいかなくとも、近いレベルで動けたりするのだが。 「ご主人様は好きですけど、そんなことよりもっと緊張感持ちましょうよ」 「んー、迷子の子猫ちゃんを探しに来ただけなんだけどなぁ…」 何故だか先程からバトルの連続なのだ。 場所が場所であるし、明らかに場違いであるので仕方がないことなのだが。 少女は確かにここにいるはずなのだが、その縦横無尽で神出鬼没ともいえるような行動は全く読めず、どうすればよいのか、青年はもうお手上げ状態である。 「もう大分歩き回ってるでしよ?」 「んー…もうどっかいっちゃったかなぁ?」 相当な時間探し回り、相当な数のバトルもこなしてきた。 さすがに疲労と諦めの色も見え始める。 「もういないと思うんですけど…」 「つーかーれーたー…」 もうそれぞれ限界が近い。 これで最後にしようか、と、青年はいままでのどの扉よりも一際警備の厳しかった扉を開ける。 そこは一つの部屋。 今までの研究施設のようとはまるで違う、どこかの社長室のような部屋。 その奥の机、そのイスに、ある男が座っていた。 やけにがたいのいい、放つオーラが他とは明らかに異質の男であった。 ここの幹部、もしくはボスであろうことは一目でわかる。 「なんのようだ…?」 畏怖を覚えるような低く響き渡る声が、その男から発せられる。 その声に、ワタッコは恐怖で震え上がり、他のメンバーすらも、思わず身構えていた。 「いや~、人探しというか…なんというか…」 明らかに空気を読んだ発言、態度ではないのだが、青年はそう言うほかない。 しかし、どう返答したところで、同じことであった。 男はもともと理由などに興味はなく、当然の事のように青年の排除にかかったのだ。 「なんにせよ、アジトに侵入されたからには見過ごすわけにはいかんな…」 そう言い放って、二つのボールを投げる男。 放たれたボールから現れたのは、ニドキングとニドクイン。 どちらも地面タイプの上位種である。 相対する様子だけを見れば、ハクリュー、ムウマージ、ワタッコ、有する技に、特性に、タイプに、相当な優位に立ってはいる。 しかし、ワタッコは、連続のバトルに男に対する畏怖。 体力的にも精神的にも今回の戦いには参加できない状況であり、他のメンバーも万全とはいえない。 極限状態に近いものがある。 「…ハクリュー、ムウマージ」 「「!!」」 青年は、先程までの緩い気配など欠片も見せず、それぞれ、パートナーである彼女達へ、『愛称』ではなく呼びかける。 青年がパートナー達を正式な『種族名』で呼ぶときは、本気である証。 そのことも理解し、青年から伝わる、殺気で張り詰めた空気も感じ取った彼女らもまた、瞬時に臨戦態勢へと切り替える。 「(こっちには余裕がない、一撃で頼む)」 青年の命を受け、即座にムウマージが動き出す。 繰り出した技は、“かげうち”。 本来ならば、素早く忍び寄り先制攻撃を仕掛ける技なのだが、今回は少し違う。 その高速接近を利用して、敵二体の背後に一瞬で回り込んだのだ。 「な…!?」 「“くろいまなざし”」 ムウマージは、慌てて振り向くニドクインを見、眼に怪しく揺れる光を宿す。 その一睨みで、ニドクインの動きがピタリと止まった。 しかし、その攻撃で動きを止められるのは一体だけ、片割れのニドキングはムウマージへと狙いを定め、命あらばすぐにでも攻撃できる態勢をとる。 幸いにも、その主人である男は、油断していたのであろう、瞬時に展開された今の状況を把握することができず、すぐに命を下すことができなかった。 青年は更なる命を下す。 「もう一度!」 「!!」 その男が理解したときには、時既に遅し、ニドキング、ニドクイン、双方とも“くろいまなざし”により、身動きの取れない状況にいた。 青年は、少し息を漏らし、双方の動きを止められたことに安堵し、ほんの少し胸を撫で下ろす。 もちろん勝負が決しているわけではない。 すぐに気を引き締めなおして、二人のパートナーへと止めを命じた。 「…“なみのり”、“マジカルリーフ”」 「「はい!」」 命じられた二人も、これで止めと確信しているのだろう、大きく返事をし、ありったけの力を攻撃に込める。 ハクリューが生み出すは激流、ムウマージが放つは七色の葉の刃、その二つが折り重なって敵二人へと襲い掛かった。 効果抜群、会心の一撃。 ニドキング、ニドクイン、双方立ち上がれるわけもない。 「こ、小僧…!貴様何者だっ!?」 圧倒的速さでの惨敗に歯を噛み締める男。 その様子とは真逆に、青年は、まるで何事もなかったかのように軽く返す。 とにかく早く戻りたいのだ。 「ふぅ…いや、ここにはもう用はないんで…」 決着はついた。 何かまた別な問題が起きる前に、青年はその場を後にする。 ハクリューもムウマージも力を出し尽くしたであろう、これ以上の問題はさすがに辛い状況であったのだ。 部屋を出た直後に聞いた、男の、くそっ、という叫び声を耳に残しつつ、青年は急いでもえもんセンターへと向かう。 ――その夜。 どんよりとした曇り空ではあるが、心地よい風が吹く。 青年は、隣のハクリューと共に、窓から吹く夜風に当たっていた。 「結局見つかりませんでしたね…」 「そうだなー…もう情報がないな…」 もえもんセンターで診て貰って、今は三人ともすっかり元気である。 ムウマージ、ワタッコに至っては、いつものようにつまらないことでケンカの真っ只中だ。 「んー…明日タマムシジムにでもいってみるか…制覇ついでに聞いてみよう…他にやることもなさそうだ」 「…そうですね」 ~~あとがき~~ んー…どうだろう;; 第一話、これだけじゃまだなんにもわかりませんね;; このシリーズには秘密たっぷりです。 これからいろんな謎も解けていくでしょう!そうであるはずです! ところでキャラ設定とかいるんだろうか…? まぁそのへんも追々と考えております。 もし興味を持ってくれたのならば是非次話も読んでやってください;; 最後に、こんなものに付き合っていただき、本当にありがとうございました。m(__)m 第二話、できあがったらまた見てもらえると嬉しい限りです。では。

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