5スレ>>455

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 ヒト神様のお話  それは昔々、今から四千年も前のこと。  まだ人間と魔物が互いを敵視しながら、それでも調停を保って、それぞれの生活を続けていた頃に、  その身に絆を体現した者、ヒト神様は降り立ちました。  光り輝く桃色の髪と、生気に満ち溢れたその姿。  そのあまりの美しさに、人間も、魔物も、すっかり魅せられてしまいました。  そしていつの間にか、ヒト神様の周りには、多くの人間と魔物が集うようになり、  そこから、二つの種族の繋がりが生まれたのです。  ヒト神様の傍には、いつも、三匹の僕が寄り添っていました。  それぞれ名をスイクン、エンテイ、ライコウと呼ばれ、ヒト神様ともども、皆に崇拝されました。  それに気を良くした三匹の僕は、皆の前で、何度も華麗なる奇跡を起こしてみせます。  時には炎が空を彩り、時には雷が土に命を吹き込み、また時には、水が大地に潤いをもたらしました。  あまりの事に、人間も魔物も驚き歓喜して、三匹の僕を褒め称えます。  彼らが、三匹の僕から、三匹の賢者と呼ばれるようになるまで、そう時間はかかりませんでした。  ヒト神様と、三匹の賢者。それを中心にして、人間と魔物は集い、調和を成していきました。  そこに町ができて、お城ができて、ヒト神様はそのお城の領主となり、平和がつむがれていきます。  いつしか人間と魔物との間に確かな絆が生まれ、協力し合える、豊かな心が芽生えました。  それから数年ほどして、人間と魔物との共同生活が日常に変わった頃、  ヒト神様の前には、たくさんの人間の女が集まりました。  女たちは皆、ヒト神様と結婚して、その間に我が子を孕まんとする者たちでした。  けれどヒト神様は、その中の誰とも交わることなく、ただもの悲しそうに、町を見渡すばかり。  そう、なんとヒト神様は、恋をしていたのです。それも、自分と同じ人間ではなく、一匹の魔物に。  やがて、人間と魔物たちはそのヒト神様の想いを知り、話し合いました。  そして彼らは、人間であるヒト神様と、その相手の魔物との繋がりをもってして、  人間と魔物との間の確かな信頼を、形にしようと決めました。  直ぐさま、町の住民たちにより、ヒト神様の意中の魔物探しが始まります。  けれど、その魔物は一向に見つかりません。それもそのはず、だって彼女は、町の住民ではなかったのですから。  それを知った住民たちは、探索の域を町の外に広げ、旅を続けました。  人間と魔物が共に歩む、長い旅。  そこにどんな苦難が在ろうとも、彼らは必死で乗り越え、その度にまた、強い絆が生まれます。  そして遂に、目的の魔物は見つかりました。魔物は自らをミュウと名乗り、旅の一行と共に、町へと赴きました。  城の王室で、再びめぐり合ったヒト神様とミュウ。二人は直ぐに結ばれ、人間の王様と、魔物の女王様が誕生しました。  やがて二人の間には、可愛らしい二匹の子供が産まれます。  そのあまりの可愛らしさに、その子供達は町の住民から親しみを込めて、こう呼ばれるようになりました。  ”萌えっ娘”と。                        ポケットモンスター                            ↓(二次創作)                        萌えっ娘もんすたぁ                            ↓(三次創作)                      萌えもん、ゲットだぜっ!                          プロローグ  現代のマサラタウン、オーキド研究所にて……。  カントー地方を代表する萌えもん研究者、オーキド博士(愛称)は、  数千もの”モンスターボール”が並べられた部屋を、憂いを含んだ表情で眺めていた。  何か悩みがあるらしいのだが、どんな悩みなのか、まったく予想がつかない。  きっと博士のことだ、何か常人には理解できない悩みをもたれているのだろう。  助手のマコトは、そう考えた挙句、博士に問いかけてみることにした。 「マコト君」 「はかせっ……て、はい、何でしょうか?」  こちらから問いかけようとしていたのに、話しかけられてしまった。何の話だろう? と、マコトは首を傾ける。 「傾けるな。私の目を見なさい」 「す、すいませんっ!」  慌てて向き直り、オーキド博士と視線を合わせるマコト。しかし、何だか違和感があり、視線がずれる。  苦手なのだ。人の視線というものが。 「はぁ……まぁよい」 「すいません……」  誰かと話すとき、しっかりと相手の目を見て話すのはマナーであり、常識だ。  しかしそれが苦手な人というのは、わりと多いもので、マコトもその内の一人だった。 「マコト君、この部屋に並んでいるこのモンスターボールを見て、何か思うことないかね?」 「思うこと……ですか?」  うぅん、何だろう、何かあるだろうか? 考えるマコト。  博士は一体、どんな回答を求めているのだろうか?  今の様子からして、そう明るいものには思えない。だとしたら、何だ……?  ふと、何か心に染み渡ってくるような、冷たい波紋にとらわれる。 「……寂しい?」 「うむ」  そう、なんだか寂しい感じがしたのである。理由は……思い当たるものがあった。 「そうか、ここにあるモンスターボールは、全て――」 「トレーナー達に忘れ去られた、行き場のない萌えもん達のものじゃ」  博士のその言葉を聞いた途端、薄っすらと感じていたもの悲しさが、ふっとハッキリしたものに変わる。  ここで彼は理解したのだ。博士の悲しみの源に。 「捕まえられた挙句、一度として日の目を浴びることのないままに転送されてきた、悲しき娘たちじゃ。  強くなるために、大きくなるために、人と共に歩むために脚を並べたというのに、その相手に見放された哀れな娘たちじゃっ!」 「博士……しかし、萌えもんトレーナー基本法には、所持するポケモンは六匹までだという正式なルールがあります。  それを破ってしまえば、一人の人間が、多くの萌えもんを利用できることになってしまう。  そんなことになったら、いつどこで萌えもんの悪用を企む者が出てくるか。  現に今でさえ、ロケット団と名乗る悪者の結社が、世に潜んでいるでは在りませんか」 「そんなことはわかっておる。わかっておるとも……じゃが、しかし……」  博士は床に膝を着いて、部屋の電気から放たれる光を照り返す床に、右の拳を叩きつけた。 「どうしてこんなに可愛い萌えっ娘たちを平気で置いていけるのじゃあ……。最近のトレーナーは悪魔かっ!」 「今に始まったことじゃありませんよ! 博士!」 「うるさい! 何故聞こえん。この部屋の中でただひたすらに泣いておる娘達の声が……」  ピカピカに磨かれた床に、男の涙がしたり落ちる。 「萌えんのかっ! 今のトレーナー達は、萌えを忘れてしまったのかっ!  どんな萌えもんも分け隔てなく愛するのが、トレーナーの揺るぎ無き信念だったではないかっ!」 「博士……」  マコトの中にあるオーキドの人物像が、輝く。  この人は、本物だ。本当に、心の底から萌えもん達を愛しておられる。全力で萌えている! 「マコト君」 「何でしょう? オーキド博士」  床を見つめたまま、博士が口を開く。 「明日旅に出る予定の子供たち、何人じゃったかな……?」 「レッド君にグリーン君、ブルーちゃん、イエローちゃん、そしてシゲル君にサトシ君の、合わせて六人です」 「そうか……それなら、早く最初の友達を選んであげねばならんな……」 「? しかし博士、始めのパートナー萌えもんは既に選んでいたのでは?」 「気が変わった。……子供たちには、この部屋の中の萌えもん達から一匹を選んでもらう事にする」 「ほ、本気ですか博士? ここにいるのは全て、トレーナーが戦力外として判断した能力の低い――」 「黙れっ! この世に、役立たずな萌えもんなど存在しない!」  立ち上がり、激昂し、叫ぶように言い放つオーキド。マコトは自分の失言を呪った。 「何故理解しない。彼らは……こんなにも美しいではないか……。  トレーナーに萌えさえあれば、どんな萌えもんでも輝けるはずじゃ!」 「博士……。はい、おっしゃる通りです」 「うむ」  そして熱い握手を交わすオーキドとマコト。変態である。 「我々の手で導きましょう、博士。変わってしまった、現代のトレーナー達を」 「そうだ。この世界は壊れかけているのだよ。立ち上がらねばならんのじゃ」 「頑張りましょう、博士」 「うむ!」  新たな何かが始まってしまった気がした、旅立ちの日前夜の出来事であった。  つづく。

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