~今日の指令~
サンドとお風呂
サンドとのお風呂なんざ、何年ぶりだろうなぁ。
オレも年を重ねていくにつれ、男女を分けるようになった頃から、サンドと入ってない。
まあ、なんだ……こう、久しぶりにサンドと入るもんだから、いらぬ緊張とかを、すこし感じているところだ。
して、しばらく湯船に浸かっていると、
――こんこん
ふいに、ドアがノックされ、
「あのっ……入って、いいでしょうか……?」
サンドの、緊張したような声があとを追う。
「ああ、いいよ」
オレが許可をだすと、ドアがおずおずといった感じにあけられる。その隙間からひょこっと頭を出し、
「しっ……失礼します……」
と、声のあとにドアの閉まる音。どうやら、サンドが浴室に入ってきたようだが、ゆけむりでぼやけてしか見えない。
「まってたよ、サンド」
お湯が流れる音。サンドがお湯を体にかけたのだろうか。
水音がやむ。しかし、サンドがこちらに来る気配がない。
「……サンド?」
「すこし……恥ずかしいです」
バスタブ越し、サンドが入るか入らないか悩んでいるようで、サンドの髪だろうもののシルエットが、左右に動き回っている。
「こぉら、サンド」
「ひゃっ」
動いていたサンドに手を伸ばし、捕獲! つかまえたぞ。そのままサンドを抱きかかえて、湯船へと強制連行。
「マっママ……」
「サンドが誘ってくれたんだろ? せっかくだから、一緒に入ろう」
顔をきょろきょろさせて本当に悩んでいるようだったが、やがて吹っ切れたのか、
「……そうですねっ」
と言って、オレに背を向けた。
「こっちむけよ~」
「いやですよ~」
と、どこかうれしそうな、まだ恥ずかしがってるような反応をする。
「サンド」
頭をなでながら、できる限りの優しい声で呼んでやる。
「なんですか?」
そんなサンドも、柔らかい物言いで、答えてくれるんだ。
「これからも、よろしくな」
というと、きっとサンドは、満面の笑みで、
「もちろんです」
と、いってくれただろう。
天井を見上げると、落ちてきた水滴が俺の目に直撃した。
簡単に後日談。
「あの水滴、地味にいたかった」
「急に叫ぶんですから、驚きましたよ」
「ああ、悪いな」
「いいんですよーだっ(ほんとに……ムード打ち壊しですっ)」
「さて、次からはバンバカ悪事を働きまくるぜっ!」
「んもう、無理はいけませんからね」
「わかっているさ! では、また会おう!」
「さよならです~」
「して、サンドよ」
「はい?」
「お風呂のとき、バスタオル身につけて な か っ た み た い だ な ? 」
「……えっ? ちょっ……うそっ!?」
「忘れてたのか? ……あいかわらずのロリ体型、やっぱりサンドはふつくし――うわなにをするやめ」
「うわぁぁああああん!」
「ギャース!!」
つづく……かも
最終更新:2008年08月23日 10:57