5スレ>>681-2


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 ドライアイスを押し当てられたような痛みが、わずかに露出した肌に突き刺さる。
 お天道様と別れてもう久しい。この島で天を仰いでも、無数のツララが落ちてきそうな不安に襲われるだけだ。
 正面を向きなおすと、もっと大きな不安に襲われた。
 この指示出したらツララどころか島ごと崩壊しないだろうか。
「ミニリュウ、はかいこうせん!」
 水上を迸る極大の光線が放たれる。
 ミニリュウ最強の攻撃は容赦なくヤドランに襲い掛かり、一切の手落ちなくその意識を断ち切った。
 図鑑がレベルアップのファンファーレを鳴らす。新しいわざを覚えるかと期待したが、残念ながらステータスが上がるに留まった。
「もう大丈夫ですかぁ?」
 背後から震えた声が聞こえる。足場が非情に狭いので、振り返らずに安全を伝えた。
 飛び散る水飛沫を警戒してか、オレの肩からおそるおそると首を出すリザードン。
 苦手な水上とはいえ、動くどころか揺れもしなかったのに、何がそんなに恐ろしいんだか。
「怖いんならボールに戻っていいってば」
 リザードンは首を振った。
「だってわたしがいないとマスターもミニリュウも凍えちゃいんっ?」
 一瞬、足が大きく上下した。とっさに足元を見やると、ミニリュウがはしゃいでいる。
 カントー中の冬を集結したような島でよくここまで元気でいられるな、と逆に感心してしまう。
「どうだったごしゅじんさま? かっこよかった?」
「もちろんだ。慣れない環境なのによく頑張ってくれたな」
「お、お疲れ様。ミニリュウは偉いね。なみのりにバトルに大活躍だ」
 しっぽを撫でて労いをかけるリザードン。しゃがむ足が震えているのは言うまでもない。
「あはは。くすぐったいよリザードン」
「実際よくやってるよミニリュウは。頭上げろ、撫でてやるから」
「な、撫でるって、マスターがミニリュウを?」
「え? ミニリュウが頑張ってるって言ったのリザードンじゃないか」
「そう、そうですけど、その」
 あれ? 気を抜いた途端こんな展開?
「いやいやいや。よくやってくれてるんだから誉めるのは当たり前だろ。他意はないから。
 あー、頑張ってくれてるなミニリュウ。この後もなみのり続けてもらうけど、もう少しだから」
 時々力を入れ過ぎて柔らかな髪を傷めないかと心配になるが、本人は嬉しそうにくしゃりと顔を歪める。
「えへへ。ありがとうごしゅじんさま」
 リザードンにもストライクにも浮かべられない、幼いからこそ出来る、天使のような笑み。
 捕まえてから何回かしてやった事はあるが、いまいち慣れない。心臓が痒くてうずうずしてくる。
 咳払いを一つ挟んでから、再度なみのりを続ける旨を伝えた。
「でも本当に平気か? 寒くないか?」
「へーきへーき。リザードンもいるし、ごしゅじんさまのっけてるから」
 どんな理屈だそりゃ。
 立ち上がって正面を見据える。オーキド博士から聞いたポイントが認められた。
 実に三日を費やしたふたごじま攻略作戦も、ついにクライマックスを迎えようとしている。



 落ちたくない一心でオレの肩に痛いぐらい掴まりながら、凍えないよう周囲の温度を上げ続けるリザードン。
 豪華客船にもヒケをとらないの安定感と推進力で冬の海を突き進むミニリュウ。
 あまりにもなみのりが順調に進んでいるからか、物思いにふけてしまった。
 数週間前、鼓膜を破られるぐらい怒鳴ってきた、実に懐かしい嗄れ声が脳裏によぎる。
 公共の場であるセンターのパソコンを使っていたのもお構いなしで、他の利用者にとことん白い目で見られてしまった。
 尤も、悪いのはオレなのだ。
 そもそも図鑑収集の目的で旅立ったオレが、セキチクまで来ておいてわずか5種しか捕まえていない。
 その内の3種が最初に貰ったヒトカゲ系列なのだから、もう怒り心頭雷が落ちるのも仕方ない。
 曰く「よくイワヤマをフラッシュなしで抜けたな」とか「もうちょい捕まえてから連絡せい」とか。
 右手の法則は偉大ですね、と言いかけた口をぐっと堪えさせた理性はとても偉いと思う。
 それでも鬼のようなまくし立ては10分間延々と続き、挙句せめてと命を出された。
 しかし幸運と言うかなんというか、その命はオレが博士に連絡した用事と見事に一致してくれた。
 カントーの南海に浮かぶ冬の島、ふたごじまに棲むとされているあの鳥萌えもんを捕獲せよ。
 成功すれば図鑑収集は当分目を瞑るとまで言われている。オレは一も二もなく快諾した。
 嬉しかったのだ。そんな大役が自分に回ってくるとは思わなかったし、そいつは是非パーティに加えたかった萌えもんだ。
 それに本音を言ってしまうと、オレは図鑑収集なぞやってられない。
「これさえ終わればリーグ制覇に集中出来る」
 すなわち、いつか交わした彼女との約束を果たせることを意味している。
「ミニリュウ、もっとスピード出せるか?」
 一秒でも早くその未来に近づきたい。つい口走ったオレの無茶に焦ったのは同乗者のリザードンだ。
「ちょ、マスター」
「大丈夫だって。ミニリュウのなみのりは一流だ。お前も乗ってて分かるだろ」
「それはそうですけどぉ」
「本当に無理そうならボール戻っていいから。後ちょっとだし、少し寒いぐらい平気だよ。
 じゃあミニリュウ、頼めるか。目標はさっき言った通りあの岸な」
 ミニリュウは笑顔で頷き、途端、ぐんと力強い風を感じた。
 水面下でどれだけもがけば海上で風を肩きって進めるのだろう。オレには想像がつかず、ただ実感するしかない。
 普段のなみのりじゃ上がらない水飛沫が足を濡らし、強くなる抵抗につい前傾姿勢をとってしまう。
 しかしこれだけで終わらないのがドラゴンタイプの底力と言うべきか。ミニリュウは更に加速していく。
 ふと視線のぶつかったゴルバットが一秒で消失したかと思えば、目の前を陣取っていたゴルダックが弾き飛ばされる。
 見事な放物線を描いたそれが海面に叩きつけられたのを音でのみ確認する一方、水飛沫は最早オレの身長をはるかに超え壁と
見間違わんばかりに跳ね上がりならがもなお成長を続け巻き込まれたシェルダーが目を回してぷかぷかと浮かんで
「待て待て待てーい!」
 萌えもんを轢くな! 巻き込むな!
「速い、ミニリュウ、ちょっと、ペース落とせ」
「えー? なーに、きこえないよー」
「ハ、ヤ、イ!」
「はやい? ほんと? わーい! ごしゅじんさまにほめてもらっちゃったー」
 NO! 速けりゃいいってもんじゃない! いや言ったのオレだけど!
 何度言っても聞きやしない。誉められていると勘違いするか、もしくは上の空だ。
 加速は止まらない。空気抵抗はもはや壁だ。たまらずミニリュウの背中に手をやって歯を食いしばる。
 どう低く見積もっても自転車より速い。もしかしたら昨日てこずった黒潮を上回っているか。
 無理矢理ボールに戻そうかと考えたが、ヘタすれば慣性に従ってオレはさっきのゴルダックと同じ末路を歩んでしまう。
 その未来がありうるのはオレだけではない。
 いつの間にか肩の痛みが消えていた。
「おいリザ」
 悲鳴があがる寸前、アバラがぎゅう、と締めつけられた。
 続いて耳元に吐息がかかる。蚊の鳴くような泣き声が混ざって、とても弱弱しい。
「マス、タァ」
「リザードンッ? いるか、いるんだなっ?」
「うぇえ、ええううぅぅうう」
 彼女の嗚咽に安堵するとは思わなかった。こんな状況じゃなければ腰を抜かしていたと思う。
 ミニリュウの暴走もピークを迎えているかの、さっきから水飛沫の高さが変わっていない。
 それでも叩きつけてくるような突風に身動きがとれないし、リザードンをボールに戻す余裕もゼロだ。
 また一人、今度はジュゴンが轢かれた。もう一呼吸我慢してればああはならなかっただろうに。
 一刻も早く止めなければ被害者は増える一方だ。オレにひっついて離れないリザードンに話しかける。
 今なにか出来るのは彼女だけである。かえんほうしゃを進行方向に放てば勢いを殺げるかもしれない。
「聞こえるかリザードン。いいか、これからオレの言う」
「うぐぅぅぅううう」
 返答はなく、彼女にとっての命綱であるオレの胴体をこれでもかと締め上げてくる。
 怖いのはとてもよく分かるが、今は甘やかせない。
「いいか、これから」
「~~~~~~」
 もう一回。
「いやだから」
「はかせぇ、ミステリィ、カメっちぃ、ミニリュウゥ、ストライクゥ、マァズダァアアァアア!」
「…………」
 アカン。完璧にやられてる。
 それもそうか。彼女が臆病で泣き虫でなくても、こんな水上でジェットコースターやられたら誰でもこうなる。
 オレがそうならないのは、偏に彼女の前でカッコ悪い姿を見せたくない意地だけだ。
 胸元の図鑑を取り出す。解決はひとまず保留。原因から探ってみよう。
 本来一秒とかからない作業がまるで苦行だ。リザードンが抱きついてくるのも正直動き辛い。
 図鑑を飛ばされないよう気をつけつつミニリュウのページを開く。普段と変わらない、無機質な情報が映された。
 レベル38。♀。健康。特性“だっぴ”。技構成“なみのり”“かいりき”“りゅうのいかり”“はかいこうせん”。
 さっきのヤドランに混乱させられたかと思ったがそうではないらしい。
 暖をとっていたとはいえ、ドラゴンタイプには大敵の寒中水泳に頭のネジが外れたのだろうか。
 元々多いとは言えなかったしなぁ。でも寒いなら寒いってちゃんと言ってくれると思うが。
 なんとか結論をまとめようとするが、真正面からの突風が邪魔で思考をまとめられない。
 まっすぐ進んでいるのが不幸中の幸いだ。このスピードで曲がられたら遠心力で吹き飛ばされてしまう。
「そこは指示を守ってくれてるってことか」
 ミニリュウは暴走しながらも目標へ最短距離で向かっている。
 伝説の三鳥萌えもんが一人、フリーザーの生息ポイントだ。
 このペースだとあと三十分とかかるまい。問題は山積みではあるが、覚悟を決めるしかなさそうだ。
 その時までにはせめてリザードンが泣き止んでいますように。



 結論を言うと、何も変わっていない。
 しいて変化を上げるならば、オレの体力がピコンピコンと鳴るまでに減少したぐらいだろう。
 むしろ生身の人間がよくここまでもったと自分で感心する。
 この状況下で一切の変化を見せないお子様ドラゴンと泣き虫なかえん萌えもんには更に感心してしまうが。
 正面を見やる。ポイントはもう目と鼻の先だ。衝突、もとい上陸まで一分とないだろう。
 だがまだ人影も見えていない。いないならいないで困るが、見えてないだけだと厄介だ。
 こちらで今まともに戦えるのはボールで眠るストライクのみ。戦闘になれば勝ち目は薄いだろう。
 なんとか無事に上陸して、リザードンが落ち着いた頃に現れてくれるとベストなのだが。
 そんな神頼みをしつつ、この三十分で幾度となく繰り返したやりとりをまたやってみる。
「リザードン、話せるか?」
「~~~~~~」
「ミニリュウ、ちょっとスピード落としてくれ」
「あはっはははははははははははっ」
 頭が痛くならなくなっただけでも状況に慣れたと言っていいと思う。
 しかしこのやりとりもこれで最後だ。もう解決や原因、ましてや会話を考える時間は終了である。
 とうとう岸まであと数秒。せめて受身だけはとろうと身構えた頃。
 それは現れた。
「え」
 飛んでいたから、最初は十人目の交通事故犠牲者かと思った。
 しかしそれは水中からはねられて飛んだのではなく、上空から水面へと舞い降りるところだった。
 氷の結晶が乱反射を繰り返したダイヤモンドダストを身に纏う姿が、まるで白い霧に包まれているみたいで。
 怖気が走る程眩しく、神々しく、美しかった。
「何を暴れているのかしら。ワタクシのシマで」
 フリーザーは赤い眼でこちらを睨みつけ。
「あははっははっはははっはははっは」
「ぜっだびぃ!?」
 轢かれた。
「え」
 直後、何事もなかったかのように、五秒前に思い描いていた通り、岸に衝突した。
 高々と打ち上げられたオレは、リザードンの腕を掴みながら、今の五秒間を考えていた。
 え? なに? どういうわけ?
 半分放心していたので、モロに顔面から落下する。
 しかし人間気にしなければ、というか気にしてられないと痛みを感じないらしい。
 鼻をさすりながら起き上がると、胸に衝撃が走った。赤い髪と使わない羽がそこにある。
「マズダ、マウタァ、マスタウァウァウァ」
「だい、大丈夫だ。生きてる。リザードンは?」
「生きてますっ。あんな怖かったのに、生きて、生きてえぇえぇえぇえぇ」
 叫びも交えた泣きっぷりに、心から無事を確認した。しかしそんなに涙流すと凍るぞ。
 背中をぽんぽんと叩きつつ髪をくしゃくしゃと撫でてやる。オレとは違い、どこもケガはないようだ。
 少し落ち着かせてから、さっきまでの舞台に視線をやる。
 オレと同じように鼻をさするフリーザーと相対して、ミニリュウが笑っていた。
「あなたがフリーザー? やっぱりつよいの? ねぇつよい?」
「アンタね、さっきからガンガンガンガン河を荒らしてるのは。ドラゴンの癖にふたごじまで暴れるなんて」
「あばれる? あたしそれおぼえてないよ? あたしなみのりしただけだけど」
「へ、へぇー。ワタクシをバカにする? 三鳥萌えもんと名高いこのフリーザーをねぇ。ウフフフフ」
「そうだ。いまのごめんね。きづかなくて、ついひいちゃった」
「き、づ、か、な、い。そう。
 これでも誰もが目を奪われずにいられない美貌を持ってると自負してたりなんかしてたんだけどさぁっ」
 なんだあの噛みあいっぷり。つーかオレが出会う萌えもんは伝説でもアレなのか。
 いや冷静に傍観している場合ではない。相手が伝説通りのフリーザーだとしたら、ミニリュウには最悪の相性だ。
 リザードンはまだダメだ。ストライクのボールに手を伸ばす。
 しかし出すには至らなかった。ミニリュウに気をとられていた筈のフリーザーの視線がオレを向けられる。
 動くどころではない。心臓を氷漬けにされている。いや、リザードンがいなければ体も氷漬けにされていた。
「監督不行き届き。ウフフ、長生きしてるからこんな難しい言葉も知ってるのよ?」
 やはり伝説に名を残す萌えもんだ。オレがミニリュウのおやである事実を見抜いている。
 “こころのめ”で狙いを定められた。逃げようがない。
「あなたも一度氷漬けになってみなさい。意外と暖かいわよ、氷の中って」
 リザードンを突き飛ばそうとしたその瞬間、奇妙な音を聞いた。
 変に軽い、今までに二回だけ聞いた気がする音。
 音のした方には図鑑が落ちていた。落ちた衝撃で開いている。
 画面にはミニリュウが映っている。
「まってよ」
 メッセージウィンドウに文字が見える。
「そのひとはあたしのごしゅじんさまなんだから」
 おや……? ミニリュウのようすが……?
「ころしたりしたらだめっ」
 河から、今日見た中で一番大きく水飛沫が爆ぜた。
 フリーザーがオレに向けたわざを中断し、ミニリュウのいた方向に向き直る。
 水飛沫は柱となっていて、ちょうど真ん中あたりに影が見える。その影は、ミニリュウより二回りは大きかった。
 影に指示を送る。
「ハクリュー、はかいこうせん!」
 水柱からの閃光は、確かにフリーザーを貫いた。



「ねぇ、話はそれで終わり?」
「ん? そうだけど?」
「なんだ。ミニリュウがハクリューに進化しましたってだけの話じゃない」
「そう言っちゃったらそうだけど」
 水羊羹をカマで器用に摘まむストライク。続いてリザードンも半分摘まむ。
 オレも摘まんで口の中へ。うん。美味い。
「結局、暴走も異常な加速もフリーザーを轢いちまう程のパワーも、ぜーんぶ進化の前兆だったってわけだ」
 よくよく考えれば、ミニリュウの小学生と変わらぬ体格でオレとリザードンの二人を乗せられるわけがない。
 背が伸びていた。つまりふたごじまに入った頃からミニリュウは進化しようとしていたのだ。
 だがドラゴンタイプには不向きな極寒の環境にいたせいか、なかなか進化出来なかった。
 そんな体でレベルアップまでしたものだから、内に溜まった進化の力を持て余し、暴走というカタチで発露したのだ。
 ミニリュウ、いやもうハクリューか、とストライクは言い直した。
「あの娘、結局フリーザーやっつけちゃったんでしょ。もったいなかったわね」
 涙目で「おーぼーえーてーろー」と飛び去ったフリーザーの後姿を思い出す。
「しょうがないさ。楽は出来ないっていい教訓になったよ。
 存在してるってはっきりしただけでも、博士はとりあえず満足してくれたし」
 あらそう、とストライクは大きくアクビをした。ふたごじまを探索していた三日間丸々寝てたくせに、まだ寝足りないか。
 ストライクは口を閉じるやいなや、水羊羹の最後の一切れを口に放り込んで言った。
「それにしてもさ」
「ん?」
「貴方とリザードン、今回大分いちゃいちゃしてたわね」
「なっ?」
「えぇっ?」
 突然の発言に頭がショートする。
 漏電した頭で記憶を引きずり出してみると、確かにそう思われても仕方ないシーンが多かった事を知る。
 リザードンも同じらしく、顔を真っ赤にして震えている。今回は恐怖のそれではない。
「吊り橋効果って言うのかしら? 抱きついたり胸で大泣きしたり頭撫でてあげたり、青春まっしぐらねぇ」
「オ、オイ。なに勘違いしてるか知らんが」
「勘違いっ? そんな、はっきり言わなくても」
「なんでそこに反応するっ?」
「じゃあねー。今回のジムはほのおタイプなんでしょ? 私は適当な場所で昼寝してるわ」
「コラ! 逃げるなダメ萌えもん!」
 咎める声も聞かず、ストライクは忍者の足運びでさっさと自動扉をくぐってしまった。
「そ、そうよ! 待ちなさいストライク!」
 勝ち逃げさせるもんかとリザードンも飛び出すように出て行った。
 オレの言葉に泣かず犯人を追いかけていったあたり、当座の涙はふたごじまで出し尽くしたのかもしれない。
 水羊羹もなくなってしまった。一人でいるのもなんなので、席を立ち萌えもんセンターを出る。
 少し歩いて、浅瀬でなみのりごっこを楽しむ、青のポニーテールと額の角がトレードマークの萌えもんに声をかけた。
 その萌えもんは、進化しても変わらぬ天使の笑顔でオレに振り向く。
「あ、ごしゅじんさま。いっしょになみのりごっこやろー!」
 暴走しなけりゃな。オレの返答に、ハクリューは不思議そうに首を傾げた。
ツールボックス

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