5スレ>>691-1


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『1.もしヒロインがシャワーズじゃなかったら』





1.フーディンの場合


トキワジムリーダーの仕事を始めて一週間。

「ん…」

目が覚めると、俺は―――

「…またかよ」

―――金縛りだった。

「おはよう、クリム」
「おはようフーディン。これほどいてくれ」
「却下させてもらうよ」

で、掛け布団と俺の体の間に寝そべって…要するに俺に覆いかぶさってるフーディン。

ミュウツーとの戦いを終えて、フーディンと一応結ばれて…
で、毎朝のようにこんな感じで目が覚める。
別に苦じゃないし、あのとき皆を助けるために両腕粉砕したことが原因なので自業自得でもあるんだが…やはり慣れない。

「頼むからどいてくれ。起きられん。またフシギバナとシャワーズに怒られる」
「キスしてくれたら解除してあげるよ」
「…金縛り状態で?」
「あ、そうだったそうだった」

猫を連想させる笑みを浮かべるフーディン。体をずらし、顔を近づける。

「じゃあ…こうしようかな。1分…いや、3分付き合ってくれたら解放してあげる」
「…しょうがねぇな」

…こうして、フーディンとのキスからまた俺の一日が始まる。




2.フシギバナの場合



「ふんふふんふふふーん♪」

…俺はどちらかというと、血圧は高い方らしい。
だが、その割には朝はちょっと弱い。てか寒いな…もう3月になったのに。
…ゆえに、俺はみんなより遅れて食堂へ入ることがおおい。

「おはよう、ご主人様」
「…おはよう、フシギバナ」

皿洗いの手をとめ、俺に挨拶してくるフシギバナ。…うん、可愛い。
また皿洗いに戻る後姿を眺めていると、朝から悪戯心が湧きあがってきた。

「なぁ、フシギバナ」
「なーに…って、ひゃああっ!?」

馬鹿め、油断したな。
持っていたフライパンとおたまが音を立てるが知った事かと抱きよせる。

「うー…朝から恥ずかしい…」
「嫌か?」
「…嫌じゃないよ」

返答とともに、俺に抱きついてくるフシギバナ。
頭の上の花からは、少し早い春の香りがにじみ出ていた。



3.フライゴン編



「やー、今日も旅日和やねぇ」
「まったく、いい天気だ。ちょっと暑いくらいだけどな…」

ジョウト地方。カントーからトージョウの滝を経由してワカバタウンを通り、
俺は今ジョウトの道を進んでいる。

隣を歩く…いや、飛んでいるのはフライゴン。
ミュウツー事件の後、結局俺達は二人で旅をする道を選んだ。

そういえば、フライゴンはこっちの生まれなんだよな。
気になってそう尋ねてみると、頬を掻きながら目をそらす。

「正確には生まれはホウエンなんやけどね。生まれて3年くらいで、こっちに連れてこられたんよ。
 どっかつれてって欲しいとことかあったら案内するで?」
「んー、そうだな…」
「なんやなんや、遠慮せんとおねーさんに言うてみ?」

…いいんだろうか…まぁ、言うだけ言ってみるか。

「…俺、フライゴンの家…っつか、育ったとこに行ってみたい」
「……………」
「…何だよ」

まさに「びっくり」といわんばかりの表情でこちらを見つめたままのフライゴン。
…やがて、じわじわとその顔が赤くなっていくのがわかった。

「ま、まだ早いで…そりゃ、好きとも言われたし…両親もいるにはいるけど…
 そんな、いくらなんでも…」
「…お前は何を言ってるんだ」

…この分だと、連れて行ってもらえるのは当分先になりそうだ。
ま、時間はたっぷりあるんだし、いつでもいいか。



4.ライチュウ編


あれから数か月。ライチュウと俺は、新たな旅路を進んでいた。
ジョウト地方制覇を目指し、各地のジムを回っているのだ。
今は…野生の萌えもんに襲われてるだけなんだけど。

「必殺!イナズマトルネードキーック!!」

…あれでも改良を加えてるつもりなんだろうが、それきりもみ回転追加しただけじゃないのか?
とはいえ、威力の方は保証済みのようだ。
ライチュウの飛び蹴りを受けた野生のヌオーは、先ほど飛び出してきた川へとたたき落とされた。

「…ま、地面タイプ持ちだし致命傷でもないだろ。よくやった、ライチュウ」
「えへへ、朝飯前ならぬ昼飯前、ってね」

…間違っちゃいない気もするがそれはやっぱり間違ってる。
走り寄ってきたライチュウの頭をなでてやる。

「さて、行くか。山も抜けたし、じきヒワダタウンだ」
「うん!」

空は晴天、風は微風。
これから何が起こるかはわからないが、こいつと俺ならどうとでもなるだろう。

山を降りる道を、俺達は歩き始めた。


5.キュウコン編


「ますたー、火……つきました…」
「御苦労さん、キュウコン」

俺とキュウコンは、珍しく山の中へ来ていた。修行…とは名ばかりの、1泊2日のキャンプ。
特訓…ともまた違う、ちょっとした遠足気分だ。

「…というかそもそも修行にならんしな、ここじゃ」

…正直キュウコンに限らず、みんな強くなり過ぎてるし。
こうやって単独で多数と戦ってやっと一応トレーニングの形になる、というところか。


食事を済ませ、川へ降りて口をすすぐ。
俺達が火を焚いているのは、川を見下ろせるちょっとした崖の上だ。
…年を取ったらこの辺に家でも建てて隠居もいいかもしれないな。

「よし、明日は昼には家に帰れるぞ…それまではまた対複数戦だな」
「はい…おやすみなさい、ますたー」
「おやすみ、キュウコン」

夜空を見れば満点の星。
焔の明かりでちょっと見えにくいが、それでも都会とは比べ物にならない。
ありがちなたとえではあるが、宝石を散りばめた…という感じだろうか。

「…あの、ますたぁ」
「なんだ?」
「一緒にねてもいいですか?」
「…いいよ」

…慣れたもんだな、俺…なんかさっきまで美しく見えてた星空が別のものに見えてきそうだ。
キュウコンに限らずたまに野宿などになると一緒に寝たいという奴が多い。

…まぁそりゃ天井も壁もない森の中で不安にならないという方がおかしいかもしれないが、
むしろ強さという観点から見れば俺の方が一人で寝たくないと言ってもおかしくないんじゃないのか?

「…ほれ」
「ありがとうございます…」

寝袋を開いて敷布団にし、キュウコンの持ってきた寝袋を開いて掛け布団にする。
ボタンで2つの寝袋を留めれば完成…って。

「ん…ぅ…」
「…もう寝てるのかよ」

早すぎるだろ。…まぁ、1日動き回っていれば疲れもするか。
しかし、服の胸元にかかる寝息や、無防備な寝顔を見ていると怪しい感情が…なんてことは全然なかったりする。
…ホントに慣れたな、俺。なんか逆にいろいろ悲しいぞ。

…だが、数センチの空間を経て感じる炎タイプ特有の温かさは、そんな枯れた老人じみた感傷を覆うかのように、
俺の眠気を引きずり出してくる。

「…ま、どうでもいいか」

もう一度小さな白金の頭を撫で、俺も暖かな眠りに負けて意識を手放した。



6.プテラ編

低い管楽器のような、汽笛の音が海に響き渡る。

「しかし、皆を置いてきてよかったのか?」
「別に子供じゃねーんだし、1週間くらい俺がいなくても平気だろ」

とある事情で、俺とプテラは1週間の旅行に出かけた。
オーキド博士やフーディン、義母さんの勧めで出たはいいんだが…サントアンヌ号も久しぶりだ。
この船はいくつかの航路をローテーションして回っている…と聞いたが、俺達が行くのはシンオウ地方だ。

プテラ…に限らないが、化石から孵った古代の萌えもん。そのルーツがシンオウにあるとかなんとかで、
自分の過去を求めているプテラのために、一緒に船に乗ってる…というのが俺の現状。

「…何してんだよ」
「…ぅ?」

見れば、いつの間にかプテラが俺の左腕にしがみつくように寄ってきていた。
どうやら無意識の行動だったらしく、あわててはなれる。

「んむ…済まない、寒いのでついつい」
「…寒い、ね」

…考えてみれば、寒さが苦手なタイプの萌えもんのルーツが、
北国のシンオウにあるというのもおかしな話だ。…当時は暑かったのだろうか。
…しかたない、か。

「ほれ」
「わ…っ!」

びくん、と跳ね上がるプテラ。…落ち着きのないやつだ。

「コートかけただけで驚き過ぎだ、お前は」
「むぅぅ…す、済まない…ご主人」

…ま、たまにはこんなのもいいか。
顔を赤くしてうずくまってるプテラの頭を撫でながら、海の潮風に俺は目を細めた。


7.バタフリー編

「…こうやって森を歩いてると、トキワの森を思い出すな」
「そうですね…もうあれから3年経つんですね」

俺とバタフリーは、草をかき分け森の奥へと進んでいく。
結局俺達は、ずっとこうして旅を続けていた。

「しかし、こんな森の奥にお前の求める場所があるのか?」
「…どうでしょう、行ってみないとこればかりはわかりませんね」

…それもそうか。

「正直言うとですね、もう居場所はどうでもいい気がしてきました」
「…お前、人をここまで引っ張り回して置いてそれかよ」

呆れたように…というか実際あきれながら返すと、
バタフリーは困ったように笑って見せた。

「…マスターやみんなと一緒なら、どこででもいいような気がして…」
「なるほど」

案外バタフリーが求めていたのは、そういうモノなのかも知れない。
なら、俺達はこれからもどこかを目指して歩き続けるのだろう。

ずっと、みんなで。




8.ファイヤー編

1の島、ともしび山の中腹。
小さな沢のそばにある家が、今の俺の居場所だ。

…トキワジムリーダーの座を蹴り、こんな辺鄙な場所で隠棲しているのは…それなりの理由がある。

「…暇そうですね、マスター」
「…まぁな」

ファイヤーが、外を眺めている俺の後ろから声をかけてくる。
俺に捕獲されたとは言えまがりなりにも伝説の萌えもんが人目につきすぎるのはまずいということで、
こっちへ引っ越してきたのだった。

「無理に一緒に来なくても…せっかくのジムリーダーを蹴ってまで」
「…いいんだよ、どうせ代わりなんていくらでもいる」

…そう。あの場所に俺は価値を見いだせなかった。
俺が本当にそこにいたい、と思った場所は――

「…お前一人でこの山にずっと…なんて、寂しいだろ」
「え?」
「…なんでもない」

…聞こえなかったなら、それでもいい。
少なくとも俺は、今の場所から離れるつもりは微塵もないのだから。





















「あの、マスター」
「なんだよ」
「私の出番が一切ないんですけれど…」
「…正ヒロインだからな…一応。今回はあくまでシャワーズ以外がリクエストだし」
「うぅ、そんなぁ…」
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