5スレ>>691-2


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『2.Crimson Rose』





「……ん」

目が覚めたら、そこは花畑・・・なんてことはなくて、
いつものトキワジムのいつものベッドだった。

この前ちょっとした事情でシーツを買い替えたので、
まっさらな白布の感触が心地よい。

「ん゛ー…っ」

かるく布団の中で伸びをして、体を回転させる。
うつぶせになり、頬を枕に押しつける形になる…はずだったが、何か胸が痛い…

「…何か挟まってるのか?」

手で確かめてみると、柔らかい感触が…あれ?
明らかにこれは…アレだよな?俺の体には本来ないはずの。

「まさか―――!?」

先ほどから気になっていた足の付け根の感触。
手を入れて確かめてみると…

「無くなってる…」


…目が覚めてたら性別が逆転してた、とかシャレになんねーぞ。





「うーん…」
「……………」
「えっと…」

三者三様の反応。
俺の前に座っているのはフライゴン・シャワーズ・フーディン。
いつもの居間で、俺は思い切り体を調べられていた。

「…本物やな、どう見ても」
「ですね…でも、どうして…」
「マスターに…マスターに負けるなんて…」

…好きででかくなったわけじゃない。





「…まぁ要するに、俺はバフ○リンと間違えて例の転換薬を飲んだ、と」

「そうなりますね」
「そもそも何でそんなもんがあるんや…」

…俺も知るか。
そもそもリンのとこのムウマ―ジが作ったアレは直接注射するタイプじゃなかったのか。

「とりあえず、フーディンとプテラが解毒役をもらいに行ってくれてるから…
 今日はジムを閉めよう。この身体で指示を出せるほどの集中力は俺にはない」
「なるほどねぇ…ほな、やる事は一つやな」

がし、とフライゴンに肩を掴まれるのと。

ぞくり、と俺の背中に悪寒が走るのは同時。

「く、この…!!」
「ふっふっふ…男の身体でも力じゃウチには勝てへん癖に…可愛いねぇ」
「ぬがぁっ…、助けろ、シャワーズ!!」
「シャワーズも見たいやろ…?」

…なんとなくわかってるけど、何をだよ!?
あとそこでうつむいて考えるなシャワーズ、助けろよ普通に!

「へへへへへ…ほーれほれ…」
「ふぁっ!?…この、変なとこ触るなっ!!」
「ここか?ここがええのんか?」
「くぅ…この変態が…!」

普通に放送禁止レベルまで持っていく気かお前はっ!
そんな風にセクハラオヤジまがいな事をしてくるフライゴンに引きずられ、
俺はその私室へと連れ込まれていった。


「ちょ、おま、脱がすなっ!?」
「おぉー、服越しでもわかるけどやっぱり…」

「で、何着せてんだよ!?」
「え?そりゃまぁ(自主規制)的な…」
「やめろおおおおおおおおぉぉぉっ!!」



…それからの事は、あまり思いだしたくない。
というか、必死すぎていろいろ記憶がない。

フライゴンは「これまでにないレベルの絶叫と、可愛さやった」と。
シャワーズは何も言わずに顔を真っ赤にしてうつむくばかり。



…で。結局俺はフライゴンのちょっと大きい服を借りて。
なぜか渡されたヴィッグをつけてロングヘアーにし、伊達メガネまでかけてリビングの椅子に座っていた。
フライゴンは遊びきって満足したらしく、上機嫌でテレビのチャンネルを動かしている。

シャワーズは俺のためにお茶を入れ、向かいに座ってこっちを不安げにチラチラ見てる。
…そういうシャワーズもフライゴンの暴走の余波でなぜかポニーテールにしてメガネをかけているが。

「…で、これ脱いでいいか?」
「ええけど着替えはどこにもないで?」

…満面の笑みだな畜生。
と、家(ジム自体、というより裏側から入れる居住空間をこう呼ぶ)の扉が開く音と、足音。
トキワの森の方へ遊びに行っていたライチュウとキュウコンが帰ってきたようだった。

「ただいまー!」
「ただいま…かえりました…」

いや待て。

この姿をあの二人に見られるのはいろいろまずいだろ。
明らかにまずい。これが俺の性癖だとか思われたらもっと困る。
フライゴンは…いない!?いつの間にか部屋に引っ込んだのか!?

「ただいま、シャワーズー…ってあれ?お客さん?」
「え、えーと…あの、この人は…」

…ホントにまずい。シャワーズが下手なことをしゃべる前に取り繕わなくては!

「え、えーと…俺、じゃなくてワタシは…その、クリム君の友人で…」
「………そ、そうなんですよ!ちょうどマスターが出かけてる間に来て下さって…!」

アイコンタクトでシャワーズと連携してなんとか誤魔化そうと努める。

「へぇー、マスターって友達いたんだ…」
「マサラでは…会わなかった…です」
「ほ、ほら、ワタシもトレーナーだから…パートナー達は今ちょっと…センターに預けてるんだけど」
「お友達さんはなんて言うの―?」

ライチュウの素朴な質問に、シャワーズが息をのむ音が重なる。
…まずいな、何か適当な名前…偽名…!
必死で何かヒントを求めて彷徨うおれの眼が捉えたのは…以前フライゴンが貰ってきたバラだった。

「ロ…ローズ」
「きれいな、名前…ですね…」
「で、でしょ?気に入ってるのよ♪」

ヤバイ、自分がこれほどまでに気持ち悪いと感じたのは初めてだ。
シャワーズもちょっとこっちを驚いた眼で見つめている。
…どうする…次はどうする!?

「あ、も、もうこんな時間ですよ!そろそろ迎えにいかないといけないんじゃ…ろ、ローズさん…」
「え…あ、あぁ、そうね!クリムに会えなかったのは残念だけどもう行かなきゃ!
 また今度遊びに来ますね、さようならー!」

後半は捨てゼリフ同然で走って家を出る。
ライチュウとキュウコンが何か聞く前に玄関を出てセンターへ行く…ふりをして、
ジムの裏の壁に背中を預けた。…ここなら、窓からは見えない。

「…あ、危なかった…!」
「ホンマやねぇ…何あの偽名は…笑い死ぬかと思ったわ」
「元凶がよくもまぁそんな口を叩けるなこの野郎」

フライゴンが、家の裏口から出てきていた。
頭のヴィッグを剥ぎ取り、フライゴンに手渡す。

「だって可愛ええんやもん、別にええやろ?「ローズ」ちゃん?」
「…!!」
「へっへっへー、そんな女の子の拳なんてあたらへんもーん♪」
「うわ、なんか余計ムカつく!」

拳を止められ、必死で抵抗するも抱きすくめられ…って、これさっきと同じ展開じゃねーか!
と、思った瞬間。俺の右腕を掴み、そこに針…注射器を刺した手があった。

「ただいまマスター。面白そうなことやってるね」
「ふ、フーディン…解毒剤は?」
「マージに大急ぎで作ってもらった。今打ったのがそうだよ」
「えー!?…可愛いのに…」

フライゴンの抗議の声がだんだん遠くなる。眩暈とともに、体が燃えるような熱さを感じた。
目の前がパチパチと白く点滅し、明るい光に包まれるようで…
と思ったら、俺の体は昨日までと同じ男の体に戻っていた。

「…治った…」
「これにて一件落着、かな?プテラは先に家に入ってるよ」
「そうだな…悪いなフーディン、手間をかけて」
「まあ、今回はさすがに…ね」

「…で、二人してなんでウチの両手つかんでるん?」

フライゴンの問いかけ。…答えなんてわかりきってるだろうに。
俺とフーディンは目で意志を交換。…意見は一致した。

「マージから聞いたよ。…あの錠剤はフライゴンが買い取ったって。
 最初からマスターに投与するつもりだったらしいね?」
「そうなのか。…じゃあついでに、さっきまでの借りもたっぷりと返してやろう。
 フーディン、テレポートだ。どっかお仕置きに適した場所」
「了解したよ、マスター」
「そんな殺生なあああああああああああっ!?」














「うーん、マスター帰ってくるの遅いなぁ」
「ローズさん、また会いたいです…」
(どうしよう…勢いでうそついちゃったけど、どこ行っちゃったんだろうマスター…)
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